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   手のひらの上 後編   



「大変申し訳ございませんでした。」


蓮は社と奏江を前に、深々と頭を下げていた。


「やー、殺されかけるとは。。恋って恐ろしい病だな」
「ホントに、馬鹿なんじゃないの?」
「申し開きのしようがございません…」

社と奏江が付き合い始めたという告白は、蓮に少しの驚きと大きな安堵をもたらした。

「今日の弁当は、俺たちが付き合い始めた事を知ってるキョーコちゃんと琴南さんが作ったものを、琴南さんが届けてくれたんだよ。
キョーコちゃんは料理上手だから、琴南さんが料理指南をお願いして、二人で作ったんだって。
…要は、俺のおかげでお前はキョーコちゃんの弁当を食えたって訳です」


…それを俺が勝手に勘違いしたんだ


「今日の事は俺が全面的に悪かったですけど、付き合ってること、俺にも教えてくれても良かったんじゃないですか?」

自分のプライベートは教えず、キョーコへの想いを知った上で遊ぼうとする社に、蓮は『ずるい』と抗議した。

「だって!俺のノロケ話なんかしたら絶対お前、俺で遊ぼうとするだろ!それに無駄に自分の状況と比較して闇の国の蓮さんに変身するに決まってる!
仕事に影響が出るんだよ!!」

さすが俺のマネージャー。よくわかってらっしゃる。

「ほんと面倒臭いわね。敦賀さん、いつになったらあの子とくっつく気なんですか?」
「くっつくって…」

なんか話の矛先が変わってきたぞ…

「あの子、『彼のお弁当を作るって素敵な響き~』とか、『ネズミーランドでデートなんて憧れる~』なんて大きな目をキラキラさせて言ってましたよ?
実現させてやったらいいじゃないですか。さっきの勢いで」

キョーコの真似をしながら奏江がずいっと蓮に近寄った。


暴走したことに凹んでいる今、俺にそんな勢いは無いよ。


眉を八の字にさせた困った顔でさえ端正な顔立ちに、普通の女性ならキュン死しているか母性を擽られて抱きしめてしまうところだろう。
しかしそこは恋人ができてもラブミー部に残留する2号。


チッ


えっ!?琴南さん、今舌打ちした???


「いい加減くっついてくれないと、私はあの子と社さんの愚痴を聞き続けないといけないのよ!今まではあの子だけだったのに、今は社さんまで!
もう手一杯なのよっウザいのよっ!!」
「すみません…」
「えっ社さんのせいじゃないです。もとはと言えば俺が「モーッ!どーでもいいっ!!イライラするッ」…はい。すみません」

奏江は般若顔で二人を睨みつけていた。



「…分かったわ。敦賀さん、あなたがヘタレてるんだったら、私がどうにかするわよっ。…あの子に今から告白させてみせるわ。見てなさいっ!!」
「へ?」


言い終わるや否や、ケータイを取出し奏江は電話をかけ始めた。


「…あ、キョーコ?今大丈夫?」
『モー子さぁぁん~~!!きゃーっモー子さんから電話をもらえるなんて、うれしぃ~~っ』
「はいはい。今日は朝早くからお弁当作りありがとう」
『どういたしまして~。私も楽しかったわ~。だってモー子さんのおうちにお泊りできたし、私を頼ってくれるなんて、やっぱり親友っていいわよね~~』

電話から漏れる、自分との電話での会話より数段弾んだキョーコの声に、蓮は奏江にほんの少し嫉妬した。

「社さん、お弁当美味しかったって。過剰なお礼までしてくれたわ」
『過剰なお礼?』
「お礼のキスですって。とってもこゆーい、激しいのをね。社さんなんて天国に片足突っ込んでたわ」
『ギャーっモー子さんの破廉恥っ!!そんな報告いらないわーっ!』
「それで今度の休みにデートすることにしたんだけど」
『っーーー羨ましい~!!甘い響きねーーーーっどこに行くの?』
「まだ決めてないけど、…そうね、あんたが言ってたネズミーランドでもいいかもね。」
『いいなー。私、ネズミーランド自体行ったことないし、大好きな人と行ってみたいなー』
「そうね。大好きな人と行くんだからおしゃれもしなきゃね。服どれ着ようかしら?買いに行こうかな?」
『甘ーい!!いいな~~~~~~~ぁモー子さんが羨ましいぃぃ…むしろ社さんが羨ましい~』


乙女の大好物・恋バナを、目の前の新鋭女優はすべて無表情で言いのけている。
親友でさえ気づかない演技力に男二人は目を瞠っていた。


「じゃあ、一緒に行く?」
『えーっ何言ってるのよ!お邪魔虫になんてなりたくないわよぉ!』
「じゃあ、敦賀さんに告白しなさいよ。」
『!!!なんでここで敦賀さんが出てくるのよぉ』


蓮は話の急展開を見守ることしかできない。
そんな蓮をニヤニヤと社は見守った。


「だって好きなんでしょ?大体があんたの気持ちなんてダダ漏れよ」
『モー子さん、何を言い出すのよぉ~。』
「4人でダブルデートすればいいのよ。そうすれば、あんた私と1日中ネズミーランドを巡れるのよ?」
『…モー子さんと?』
「それに服を買いに2人でショッピングも行かなきゃね。途中でおしゃれなカフェで休憩するのもいいわね」
『何それ、モー子さんとデートできちゃうわけ?』
「そうよ?それ以外にも…そうね、あんたが敦賀さんと付き合えば、社さんがマネージャーなんだから4人でご飯に行ったり、自然な流れじゃない?」
『モー子さんとご飯。…素敵…』
「ね?相手が敦賀さんならあんた、お邪魔虫にならずに私と一緒にいられるのよ?とっとと告白しちゃいなさい。ね?」
『でも、私の告白なんて、敦賀さん迷惑よ…』
「奏江、キョーコと一緒に買い物行ったりデートしたいな………グスッ」

琴南さん、3秒で泣けるんだ…さすが演技派女優だな。

『~~~~~~~~~!!!分かったわ!最上キョーコ!敦賀さんに告白します!』
「ほんと?奏江うれしいっ!」
『モー子さん~~~~~!私、絶対にモー子さんとデートしたいの!!敦賀さんに絶対に受け入れてもらうから、待っててね!!』
「分かったわ。じゃ、がんばって。あ、結果はわかってるから報告はいらないわ。もう寝るし。じゃあね。」


奏江は、用は済んだとばかりに電話を切った。


「じゃ、そう言うことですので、あとは敦賀さん、頑張ってください。」

もう何を言ったらいいか分からないとがっくり落とした蓮の肩を、社がぽんぽんと叩いた。

「蓮…。いいじゃないか。理由はどうあれ、天然乙女が自分から転がってくるんだ。受け止めろ。
そして琴南さんからどうやってキョーコちゃんを引っぺがすかは…受け止めた後考えろ。」


社さんは勿論、俺も最上さんも琴南さんの手のひらの上でいいように転がされてるのか…


「私、そろそろ帰ります。11時には寝ないと美容に『RRRRR....』

蓮の携帯が鳴りだした。

ディスプレイには[最上さん]の文字


「「「早っ!!」」」


ニマニマ笑うカップルはいそいそと部室を出て行った。



さて、あの子の中の『俺<琴南さん』という図式をどうやって変えていこうか。


落ち着きのない鼓動に深呼吸を一つして、蓮は通話ボタンを押した。



「はい。どうしたの?最上さん」
『敦賀さん!こんばんはっ!! …あの…私…』




Fin.


-------
私の中の奏江さんが暴走しました。




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