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   黒猫の希い 1   



 ねがう…稀(まれ)で滅多にない願い(自分が望む場合)
 こいねがう…相手の手づるを求めて願い望む(乞い願う)



黒猫の希い 1


傘をさすには微妙な、細かい雨がしとしと、午前2時を過ぎた街に降り注ぐ。
人通りの途絶えた路地裏に入ったその先に、雨に濡れた黒い塊が蹲っていた。


ここならもう誰にも会わないで済むかな…
話しかけられることも無いはずよ。…それだけで夢を見ながら逝けるわ。

バサリ

羽音のする方に、だるそうにゆっくりと顔を向ければ一羽のカラスがごみ箱の上に止まっていた。

ふてぶてしい顔をしたカラスがいる…あぁ、なーんだ。ショーじゃない。
どうしたの?

カー

鳴いてないで喋りなさいよ?

カーカー

わかんない。なんて言ってるか全然分からないよ。

カー

結局私、自由になったのなんてほんの数時間だったんじゃないの?
無駄に痛い思いをさせて…本当にうちの父親ってロクデナシね。

カッ

それは同意って意味?
…もう、どうでもいいや。やっぱり会えなかった…

トコトコと近寄るカラスに覗き込まれながらキョーコは目を閉じた。


バサッ


人の気配にカラスが飛び立った。

静寂のなか、コツコツと規則正しい足音が近づき、蹲る塊のそばでその足音を止めた。

お願いだから…最後のお願いだから、このまま私に声をかけずに通り過ぎて!

朦朧とする意識の中で、少女はギュッと目を瞑って祈るように願った。


酔っ払いか?
随分と小さいし、女性だろう。放っておくのも人としてどうかと思うし…

「こんばんは?」
「…」
「どうしたの?女の子が1人でこんな時間に、こんなところに座り込んで…危ないからもう帰りなさい?」
「…」

声をかけた人物が不審そうに蹲る少女の顔を覗き込むと、その顔は蒼白で、明らかに雨に濡れたものではない、
玉のような冷や汗を顔から滴らせて震えていた。

「おいっ大丈夫か?」

驚いて少女の肩に手をかけると、ピクリと少女が反応する。
ずっと下を向き、睫毛を伏せていた少女が目を開け、声のする方へ首をもたげた。
やっとの思いで焦点を合わせ、心配そうに様子を窺っている人物の顔を少女は恐る恐る確認した。

「…やっぱり99人目も空振りかぁ」
「えっ何?」

少女は茶色い瞳に絶望の色を浮かべて悲しそうに笑い、そして気を失った。

「おいっ!しっかりしろ!」

肩をゆすっても瞼を開く様子は無かった。

「仕方が無い」

溜息をついて、男は少女を担いで路地の先の自宅マンションへと入った。


男は少女を部屋に運び入れ、ベッドの上に横たえた。
蛍光灯の明かりの下で見る少女は、栗色のショートカットの髪が雨に濡れぼそり、額に張り付いていた。
幼さの残る顔は…白い顔に長い睫毛に通った鼻筋、口で息をしているのか、うっすら開いた唇はほんのりと赤い。

男は無意識のうちに、ゴクリと喉を鳴らした。

寝かせる前に着替えか…

雨を含んで重くなっている黒いトレンチコートを少女から脱がそうとした手が止まる。

「何だこれ…」

脱がそうとして伸ばした自分の腕が赤黒く変色していた。
驚いて今までその腕で抱えていた少女の背中を確認すれば、同じように赤黒く滲んでいる。

覗いては駄目だという思いと、その先にあるものを確認せずにはいられない相反する思考を逡巡するも、
恐る恐る、少女のコートのボタンを慎重に外していく。

コートの下には、少女の胸のあたりから腹にかけて、真っ赤な血が滲む包帯がぐるぐると巻かれているだけだった。

少女は苦しいのか、懸命に胸を浅く上下させて酸素を取り込んでいる。
…白い肢体を染めあげる赤黒い液体…


警鐘が頭の中で鳴り響く。

ヤバい。絶対にコレはヤバい!!俺は何てものを拾ったんだ!!

男は咄嗟に電話を手に取った。



つづく


__________

半パラレルです。
シリアスというか暗いと思います。
暗いので、限定にしようかとか考えたのですが、応え出ず。
結果限定にしてません。(限定にすべきですかね??)




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