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   コングラッチェ 2   


『コングラッチェ』ってなんやねん!ですよね。
Congratulation(英語でおめでとう)とGrazie(イタリア語でありがとう)の造語だそうです。
すっごくいい言葉な気がしたので、使わせてもらいました。



「キョーコちゃーん!それ集めてどうするのーっ」
「会長~。俺と使おうよー」

ギャハハハハ


この愚民どもめぇ~~っ

「うるさーいっ!持ってるのがあれば早く出しなさい~っ!」
「えー、勿体無いじゃーん」
「自分たちの卒業式でプレゼント投下禁止になってもいいの!?」
「なんだよそれぇ!」



卒業式の後、緊急職員会議が開かれた。
こんなものを投げるなんて前代未聞、生徒たちを甘やかしすぎたのだと教師たちの激怒は尋常ではなかった。

そりゃそうよ。甘やかしすぎよ。
こんなだから学校の隣の空き地で生徒がタバコ吸ってるところを補導される羽目になるのよ。
どうして学校の隣で吸うのよ。せめてもう少し離れなさいよ!!どうしてその程度の知恵も回らないのよっ
お陰で指導がなっていないって、警察に生徒を引き取りに行った私がこっぴどく説教されたわ!

「琴南先生、コメカミに青筋が立ってますよ?」
「…要らないご指摘ありがとうございます、敦賀先生」
「どういたしまして」

まったく…食えない男だわ。
誰にでも平等って立場を崩さないから上からも下からも受けがいい。
長身で優雅な身のこなし、芸能人顔負けの美貌!騒がれない方が異常ってもんだわ。
女子生徒どころか父兄からのアプローチだって半端無いのに、誰にでも平等だから表立った争いもない。
まぁ水面下では激しいバトルみたいだけど?

どうして教師なんかやってるのかって聞いたら「安定志向なんです」だもの。
意味が分からないわ。

「…では、来年からは卒業生による物品の投げ込みは禁止ということでよろしいですね?」
「飯塚教頭、待って下さい」

え?敦賀先生が発言なんて珍しいわね…



「だーかーらーっ!
生徒の自主性の下!回収率90%以上なら来年のプレゼント投下は許可、それ以下なら禁止って決まったのよ!!」
「なんだよそれーっ」
「知らないわよ!文句なら先生に言ってよ!!ほらっ、この紙袋に入れて!」
「なんでキョーコちゃんが集めてんのよ?」
「~~っショーちゃんがっ風紀委員長が居ないから代わりにやってるのよ!!アイツどこよぉー」
「不破君なら美術準備室に居たわよ?」

クスクス笑いながら、傍の席でファッション誌をめくっていた女子が、ショーの居場所をキョーコに教えた。

「ほんと?ありがとう!捕まえてくるっ」

キョーコは教室を飛び出して美術室のある棟へと走っていった。

「あーあ、キョーコちゃん行っちゃったよ。お前も意地悪だなぁ」
「意地悪なんて酷くない?幼馴染みだか何だか知らないけど、現実を見たほうが良いのよ。ある意味親切心ってものよ」
「そりゃそうかもなぁ。あれじゃキョーコちゃんが可哀相だ」
「でしょ?」

ニヤニヤと笑う女子に、男子たちが『女って怖ー』と小声で囁き合った。


「失礼します…あれ、誰もいない…」

そっか。部活、今日は無いんだ…
それもそうか、来週から期末テストだし、今日は卒業した3年生を部員が囲んで卒パーか。カラオケにでも行ったのね。

1人納得して、美術室の奥、準備室への扉に向かうと中から男女の話し声が聞こえる。

ショーちゃんの声だ。やっぱりこんなところに居たのね?
こんなものの回収、早くアイツにやらせよう

キョーコはドアに手をかけたとこでピタリと動きを止めた。


「ちょっと不破君、こんなことしてて良いわけ?生徒会長…最上さんだっけ。彼女に知られたら大変よ?」
「何だよ、こんな時に…大変なことになんてならねぇよ。彼女でもなんでもないし」
「あら、彼女じゃないの?」
「違うに決まってるだろ。あんなお子様、俺の好みじゃねーよ。キスだってしたことねーよ。
ただのお節介な幼馴染みだよ。お前は俺のオカンかっ!って。
それより祥子先生、コッチに集中してよ。折角先輩たちから貰ったプレゼントなんだから、有意義に使わないとさ」


キョーコはフラフラと美術室を後にした。


どこをどう歩いたかは覚えていないが、気がつくと校舎の屋上でぼうっと佇んでいた。

本当は生徒は立ち入り禁止の場所。
生徒会室に置いてある屋上への扉の鍵を内緒で持ち出して、屋上に1人で来ていた。


「さむっ」

いつの間にか夕方になってる…帰ろう。

一歩を踏み出そうとして、3月の冷たい空気の中、コートも羽織らずに立ち尽くしていたせいで体が強張り、膝がうまく曲がらずにバランスを崩す。

「わわわっ」

キョーコは後ろに倒れた。

「痛~~お尻打った…」

そのままコンクリートの上にごろりと大の字に転がった。


すぐに目を瞑ったつもりなのに、一瞬見てしまった光景が脳裏に焼き付いて離れない。
聞きたくないのに固まって耳がふさげなかったこの腕が憎い。

「うぅっく…」

小さな頃からいつも一緒だったショーちゃんが大好きだった。
母親に怒られたとき、慰める代わりに隣でずっと心配そうに見つめてくれていたショーちゃんが支えだった。

「くくくくっ…」

最近はバンド活動も始めて女の子たちに騒がれるようになってたけど、あの頃のようにずっとショーちゃんの隣にいられるって思ってたのに…

「…」

今気がついたわ。私、都合のいい馬鹿女だったんじゃないかしら?
アイツのために毎日お弁当を作って、遅刻しないようにモーニングコールして、宿題の肩代わりをして、
バンドの練習先に差し入れを持って行って、チケットの手売りを進んでやって…
それをお節介だなんて…


「~~~っショータローのバカーっ!」


悔しい悔しい悔しいーーっ乙女の純情をこれでもかと踏みにじったわねーっ
でもそれ以上に許せないのは自分よっ!


「自分のドバカーーーーーーーっ!!」


どうして今までの人生をアイツに捧げるようなマネをしてたのよ!!
馬鹿を通り越したドバカよ、涙さえ出てこないわよっ!

「そうよ。こんな破廉恥なものまで、あいつの代わりに集めるようなマネまでして!」

上半身だけ起き上がり、手に掴んだままだった、生徒たちから回収した卒業生からのプレゼントにちらりと目をやる。


…こんな現実がプレゼントだって言うの?そんなもの気づきたくなかった!!こんなプレゼントなんていらない!!
まだ半分も回収できていないし90%の回収なんてもう絶対に無理よ。そうよっ!プレゼントなんて禁止されてしまえばいい!!

「こんなものっ」


ベシッ


「こら、撒き散らさない」

キョーコは驚いて声の主を見上げると、スーツ姿の蓮が腕組みをしてキョーコを見下ろしていた。
袋は蓮の足にあたり、生徒たちから集めた中身が散らばっていた。

「敦賀先生…」

夕闇が迫る空の下、蓮が困ったように笑った。



つづく。



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