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   ユビサキニ   


ナーの趣味の1つがジェルネイルなんですが、それをしていて妄想ポロリ。
ネイルサロンは行きません。セルフです。基本キットのみ保有。
色?絵の具を混ぜます。パール感?アイシャドウ混ぜます。
そんな私の爪は今、白と黒のアイシャドウでできてます。



「むーーーっ」
「何をしているの?」
「ひゃぁっ… あーーーーーーー」

キョーコがビクリと肩を上げて盛大に残念そうな声を出した後、はっとラブミー部の部室入口へと振り返ると、蓮が驚いたような、気まずそうな顔で佇んでいた。

「つっ敦賀さん!おっお疲れ様です!!」
「うん。凄く真剣そうにブツブツ言いながら背中を丸めてたから、驚かさないように声をかけたつもりだったんだけどね…。ごめんね?」
「いえいえっ!こちらこそ気づかずに申し訳ございません。移動時間までの休憩ですか?どうぞお座りください。今コーヒー淹れますね」

キョーコは笑顔でパイプ椅子から立ち上がった。

「何か作業してたみたいだけど、いいの?お邪魔じゃない?」
「たいしたことじゃないんです。ただちょっと上手くいかなくて…」

キョーコが今まで座っていたテーブルの上には、いくつものネイルボトルが置かれていた。

「最上さん、ネイル、塗ってたの?」
「はいー。そうなんですよ…」

キョーコは情けない声を出しながらマグカップにコーヒーを注ぐ。
蓮はキョーコの向かいのパイプ椅子に座り、テーブルに置かれたネイルの1つを手に取った。

「どうしたの?そんなため息まじりに。いつもの最上さんらしくないね?」
「いつもの私…」

キョーコのどんよりとした空気に輪がかかる。
その様子に蓮が慌てる。

「えっ最上さん?俺、何か変な事言った?」
「いえ。いつもの私…それは化粧っ気のない、芸能人オーラ皆無の素うどんであることを熟知しております。そんな私にネイルだなんて…ハードルが高すぎるのは承知しているのです」
「そういう意味じゃないし、それこそ最上さんらしくないよ。ヒネ子になってるよ?」
「はい。ヒネ田ヒネ子、根性ヒネ子で結構です。だって…上手く塗れないんです」

キョーコは眉を八の字に下げた情けない顔をして、爪からあちこちはみ出したネイルを蓮に見せた。

「なんだ、ネイルを塗る練習をしてたんだ」
「そうなんです。初めて自分で塗ったんですけど、難しいです」

視聴率を順調に伸ばしているBOX "R"の撮影で、キョーコ演じるナツがネイルを塗るシーンがあり、その練習をしていたのだとキョーコはリムーバーでネイルを拭きとりながら蓮に説明した。

「それにしても…このネイル、買い揃えたの?」

テーブルの上には、薄いピンクや濃いピンク、キラキラと微細なラメが入ったピンク…全てピンクを基調にした、同じデザインのボトルがいくつも置かれていた。

「うぅ。パッケージが可愛くて、気が付いたらいくつも持ってフラフラとレジに立っていたんです。だって見てください。キャップの部分、シルバーのティアラをイメージしているんですよ?ストーンまでキラキラ輝いていらしゃって…はぁぁ。まさしくピンクダイヤモンド・ティアラです!」

目をキラキラさせて、ウットリとネイルを見つめるキョーコを蓮は、社がこの場に居ればそれこそ砂を吐くような、世の女性なら腰砕けにする威力の、蕩けんばかりの笑顔で見つめていた。

ただし残念なことに、キョーコはネイルボトルに夢中で、そんな蓮の眼差しになど一切気付いていない。

「ドラマの撮影までにどうにか、せめてはみ出さないで塗れるようにならないといけないんです」

キョーコは決意を新たに、左手の親指に塗り始めた。

「あぅ…」
「ぷっ」

一塗り目で、既にネイルは、キョーコの爪から盛大にはみ出していた。

「最上さんは何でも器用にこなすのに、これは上手くいかないんだ?」
「…私は天才型ではなく、努力型人間なんです。こういった類のものは努力の末、後天的に身につけたものです」

そうよ…料理だってアイツの父親に…板長に気に入られようと血の滲むような努力を…

キョーコのネイルを持つ手に力が入る。

「あっ」
「うん…雑念を払い除けた方がいいんじゃないかな?」
「そうですね… 一心精神、無念無想、明鏡止水 ノーーーッ!」
「あははは」
「敦賀さん、酷いです…私は真剣なのに…」

盛大に笑われ、キョーコは唇を突き出して拗ねたように蓮を見つめた。

その顔も可愛いな…

「ごめんごめん。最上さん、ちょっと俺にも塗らせてよ?」
「へ?…どうぞ」

蓮はテーブルの上の、少し濃いピンクのネイルを手に取った。

「はい、手を出して?」
「え?私の手ですか?」

キョーコはびっくりしたように蓮に尋ねた。

「勿論。俺の指に塗っても仕方が無いでしょ?」
「はぁ…」

キョーコがおずおずと蓮に手を差し出すと、蓮はキョーコの手を取って、爪にネイルを綺麗に塗った。

「えぇっ!凄い!!敦賀さん、お上手ですね」
「あはは。こんなことを褒められても。最上さんが塗るところを観察してて分かったんだけど、最上さん、刷毛にネイルを付け過ぎなんだよ。もう少し刷毛に付ける量を減らせばいいんじゃないかな?」
「むむっ。なるほど…」

蓮に言われたとおり、キョーコは瓶の淵でネイルを落としてから、ネイルを爪に乗せた。

「ほんとだ!!さっきより断然上手に塗れてます!ありがとうございます!!」
「うん。お役にたててよかった」

キョーコはウキウキと笑顔で、もう一度塗ってみるのだとリムーバーでネイルを拭きとり、再度ネイルを塗り始めた。
今度はうまくいっている様子で、鼻歌まで歌っている。

「ねぇ、もう1回塗らせてよ?」
「えへへ。先生、お願いします」

キョーコが差し出した爪に、もう一度蓮がネイルを塗る。

「やっぱり敦賀さんは器用なんですねぇ…」
「あはは。ありがとう。じゃあ…綺麗に塗れるおまじないをしておくね?」
「おまじない!?お願いします!」

蓮はキョーコを熱く見つめながら、逃がさないように、キョーコの手を取る指に力を込めて、そのまま上へと移動させた。


チュッ


キョーコの手の甲に、蓮はキスを落とした。


ピシリと固まったキョーコの手を離して、蓮は立ち上がった。

「さて、そろそろ行かないと。…俺のおまじないが効くといいな。じゃあね。最上さん、コーヒーごちそう様」
「…ぉ粗末様でした…」


極上の笑顔の蓮が立ち去った後、抜け殻になったキョーコはパタリと机に突っ伏した。

「…一体なんなのよ」

ただのおまじない?いいえ、思考停止に陥らせるなんて、あれは一種の呪いだわ。黒魔術よ。
それに正常な思考だってできなくなっちゃうなんて…

敦賀さん、私、勘違いしちゃいますよ?

蓮が握り締めた指をそっと右手で触り、蓮が塗ったネイルを見て、キョーコは目を見開く。

「嘘…」

蓮が1度目、2度目共に塗ったキョーコの指は

左手の薬指

「偶然?それとも…」

キョーコは顔を真っ赤にして、1本だけが濃いピンクで塗られた、5本の指を眺め続けた。




おしまい。





キョーコちゃん、小指塗るの忘れてるよ?ってツッコミは無しでお願いしますー。



Comment
ワタシノユビサキモ
私のネイルもいつも自分でしています(^―^)♪
10回以上重ね塗り。部分ラメにもアイシャドウを使うし、ビジューを花形に並べたり・・・

ただ今は、根元は肌にあわせたパールピンクで爪先に行くほど大きさの違う3種類の金ラメのグラデーション。
サロンでビジューを付けて貰うと、自分でする20回分以上のお値段を取られるので、心置きなく自分でたくさんキラキラ付けてま~す。

でも時々、このネイルが執筆中キーボードの隙間に挟まる時もあり・・・

キョーコの小指は・・・

赤い糸でリボン結びの模様が、2人の脳裏に描かれていると想像して、読みました☆
Re: ワタシノユビサキモ
美海さまー。コメントありがとうございますー。

金ラメのグラデーション。クリスマスっぽくてゴージャス~。
そうですよねー。サロン行くと素敵なお値段しますよね(汗)
私はちまちま作業が苦にならないので、自分でやってしまいます。
キーボードの隙間に刺さるネイル。想像して笑っちゃいましたよー。

赤い糸、いいですねー。ネイルを習得したキョーコちゃんが爪に描いてくれることを期待してますー。
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