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   こっそりと   


明けましておめでとうございます。
ナーでございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
皆様にとっても、より良い年となりますように。

ナーは強風渦巻く中、地元の小さなお社に初詣に行きました。
神社恒例の福引きを引いたところ、小さな鉢植えがあたりました。(一等は胡蝶蘭でしたー。いらんわー!)
いくつかの種類から選べたので、私の中の素うどんキョーコちゃんのイメージの、ピンクのガーベラにしました。
サボテンを駄目にするナーに、きちんとお世話できるのか?



蓮はコーヒーを飲みながら、ぼうっとテレビを眺めていた。
その視線の先には、鮮やかな振袖を着飾った笑顔のキョーコが雛壇に座っていた。


**


「ねぇ、最上さん。お正月どこかに行かない?日頃食事を作ってもらってる御礼に。そうだな、温泉とかどう?」

蓮は少し浮かれた様子でテーブルを拭きながら、キッチンから料理を運ぶキョーコに話しかけた。

「敦賀さん、申し訳ございませんが、私、元日からお仕事をいただいております」
「えっ?!1日から撮影があるの?凄い現場だね」

何かトラブルで撮り直しでも発生しているのだろうか?などと考える蓮を、キョーコはジトリと見つめた。

「敦賀さん、お正月のテレビ番組をご覧になったことはありますか?」
「え…まぁ、人並みに?」
「でしたらご存じでしょうけど、お正月はお笑いやバラエティ番組を民放各局がこぞって流すんです。そして有難いことに、私もタレントとしてお仕事をいただいてるのですよ」

だから温泉になど行っている暇はないのだとキョーコは蓮に伝えた。


**


「それにしても千織ちゃんと京子ちゃんの晴れ着姿にはコッチがおどろいたよ!あまりの変わりようにマジっすか!って。すっごく似合ってるよーっ」

MCが雛壇の千織とキョーコに話を振ると、カメラも2人に寄って行く。
人気バラエティ番組『マジスカ』のお正月特番にキョーコはゲスト参加ししていた。
千織の横で、鮮やかな着物に映えるメイクを施されたキョーコは、大人美人度2倍増し、大和撫子3割増しの微笑を浮かべている。

キョーコは臙脂(えんじ)に牡丹と桜をあしらった振袖を、千織は深い紫に牡丹や菊、梅などの花が咲き乱れた振袖を身に纏っている。

「ありがとうございます!ちょっと早い成人式気分です」

にっこりと笑いながら千織が答えた。

最初こそバラエティ番組に嫌々出演していたが、キョーコのお陰で吹っ切れた千織は、容赦ない毒ツッコミを素で入れ、それを嫌味にしない天然キャラを演じきっていた。
そんな様子がお茶の間に受け入れられて、新たなファン層も獲得し女優以外の仕事も着々と増やしていた。

お笑い芸人がひしめく雛壇の中で、ある意味ビジュアル担当といってもいい2人の姿だった。


カクテルドレスもいいけど、色打掛も捨てがたいな。 …俺に和装は似合うのか?

蓮は腕を組んで、未来の披露宴について考え込んでいた。


「さて、そんな2人には、お正月に相応しく羽子板対決をしてもらいます!」
「まさか今時、羽根を落とした方に顔に墨を塗るとかベタなヤツをやるの!?」
「んなわけないだろ。千織ちゃんと京子ちゃんは、プライベートでも仲が良いそうなんです。そこで!勝った方が負けた方の極秘情報を暴露してもらいまーす!」


えぇっ!そんなこと聞いてないわよっ!!顔に墨でバツとか書かれるベタなコーナーだって聞いてたのに!!

チラリと横目でキョーコを見ると、こちらも驚いた顔をしていて、どうやら聞いてない様子だった。

とにかく勝つなり負けるなりして、適当な話をすればいいわよね?

「天宮さんの極秘情報……毒ノート?それとも階段から突き落とされた件かな…」

ギョッとしてキョーコを見れば、顎に手をあててうーんと唸りながら頭の引き出しをカタカタと開けている。

ちょっとやめなさいよっ!どうして実話を語ろうとするのよ!!しかも真っ黒い部分ばかり出してこないでよ!!
…そっちがその気なら死力を尽くして何としてでも勝つわよ?


2人はたすき掛けをして羽子板を持ち、笑顔で向かい合う。

コン    …    カン   …    コン

「イイですねぇー。和服を着た美女が伝統的な遊びをするっていう図。お正月ならではだね!!」

MCは笑顔の裏で、可愛い女の子がじゃれ合う画が欲しいだけのどうでもいい企画なんて早く終わってしまえと思っていた。
…が、腕慣らしの2、3往復をしたあたりから、様子が変わってくる。

コンッ  …  カンッ  …  カッ

えぇっ!2人とも笑顔なのに、凄く羽根が速い!!何これっ!!


天宮さん、なかなかやるわね? ショータローとのバドミントン対決を思い出させるわ。
…何て企画なのかしら。よくも正月早々ロクでもない事を思い出さてくれたわね!!

「うにゃーーーーーっ!!!」


2人は羽根を追って、徐々に離れて行く。
千織は雛壇の近くに、キョーコはセットを飛び出してカメラの方へ。

それでも二人は羽根を追い続ける。


ヒュッ カッ … ヒュ コッ  … ヒュ カッ


羽子板が空気を切る音までしてきた!!!羽子板の豪速ラリーじゃん!!すげーメッチャ面白いじゃん!!
しかも2人とも必死すぎて鬼の形相になってるよ!


くーっ京子さんに負けるわけにはいかないのよぉーーーーっ

「ふんぬーーーーーっ!!!邪魔よっどいてっ!!! うりゃーーーっ」

千織は芸人をかき分けて、雛壇に登って羽根を追いかけている。

踏みつけられ蹴散らされた芸人たちも、リアクションを取ることを忘れて2人の死闘を見守っている。



あぁーっもう駄目っ!!私が京子さんのアスリート並みの体力になんかついて行けるはずがないのよ!!


終わった。 さようなら、私の天然キャラ仮面……


力尽きた千織が最後に力なくぺちんと羽根をつく。

「ギャーッ!千織ちゃん、しっかりしてー」

目をつむってヘタリと雛壇から崩れ落ちるのを、まわりの芸人たちが慌てて抱える。


千織の、最後の力を振り絞った一打は、ひょろひょろとスタジオのセット中央へと漂う。

スタジオ後方にまで下がっていたキョーコは、慌ててセットへと戻ろうと全力疾走を開始する。



「あっ」

テレビを見ていた蓮の腰が浮く。


カメラのコードに躓いて、キョーコの体が走っていた勢いそのまま前方へと投げ出された。


べちんっ


一瞬の出来事にスタジオ中が凍りつく。

転んだキョーコは全く動かない。


「きっ京子ちゃんっ!!!」

MCやスタッフ、芸人たちがキョーコの元に駆けつける。

「京子ちゃんっ大丈夫!?動ける?しっかりして!!」
「どこか怪我してない?」
「……大丈夫です。すみません、お見苦しいところを…と言うか、全力を尽くしたのに負けちゃいましたぁ」

起き上がって、残念そうに笑うキョーコにみんなが安堵した。

「すっごいダイブだったから本当にびっくりしたよ。  …執念の羽子板対決だったね。千織ちゃんも大丈夫?」

キョーコの様子をうかがっていた千織も、よろよろと雛壇からセットの中央へと戻る。

「えへへ。天宮さん、負けちゃいましたー」
「京子さん…」

へらへらと笑いながら頭をポリポリとかくキョーコにホッとしつつも、険しい顔でキョーコを見つめる。


「さて!スカッとするラリーの勝者となった千織ちゃんに、京子ちゃんの秘密を暴露してもらいましょうか!!」

チラリとキョーコを見れば、困った顔をして千織を見つめている。


「京子さんの秘密…。…そうですね。…実は彼女には」
「京子ちゃんには?」

「京子さんには、粘着質なストーカーがいます」

「「「ええっ!!!」」」

京子さん、MCと一緒に驚かないでよ。あなたが一番知ってる筈じゃないの。


「京子ちゃん、ストーカー被害に遭ってるの!?大丈夫なの?」
「えぇぇっ!!そんなっ、ストーカーなんていませんいませんいません!!!」

ぶんぶんと勢いよく頭を振って否定する。

「本当に?でも京子ちゃん、気をつけてよ!?もーっ、千織ちゃんもいきなり凄い爆弾投げつけないでよー」
「天宮さん、びっくりするじゃないですかぁー。」

そんなケタケタ笑われても…

千織は訝しげにキョーコを見ると、キョーコはぶんぶんと首を振って答えた。



**



カチャン

番組を終えたキョーコは帰ろうと、テレビ局の駐車場横に停めておいた自転車に鍵をさした。

「お疲れ様。足、大丈夫?後で手当てするからちゃんと見せてよ?」
「ひゅわっっ!!どどどうしてこんなところにいらっしゃるんですか!?」

驚いて振り返ると、ポルシェの運転席の窓から、秀麗な顔を盛大に顰めた蓮がキョーコを見つめていた。

「最上さんのことを待っていたんだよ。放送が終わるのも夜遅いし、心配だからね。送ってあげるから、自転車は置いて車で帰ろう?」
「遅いってまだ10時前…と言いますか、待ってたって、一体いつからここにいらしたんですか!?」
「生放送が始まったころかな?車の中でずっと見てたよ。振り袖姿、とても綺麗だったよ?」
「ああありがとうございます…。えへへ。ちょっと照れます」

キョーコは頬を染めてほにゃりと笑う。


大和撫子もいいけど、やっぱりこの笑顔に勝るものはないな…

「うん…。でも転んだ時はびっくりしたよ。全く動かなかったしね。すぐに駆けつけたかったけど、笑って痛みをこらえているのが分かったから、我慢していたよ」

うぅ。バレてる。
天宮さんにはバレてたみたいだけど、他の出演者やスタッフさんには気づかれなかったのに…

「本当に、凄くハラハラした。スタジオに乱入しなかったのを褒めて欲しいよ」
「らっ乱入!?…思いとどまっていただけて本当に良かったです」
「だから俺を安心させると思って、素直に車に乗って手当をさせてよ。どうしても自転車で帰るって言うなら、俺も並走して帰るだけだよ?」

ママチャリに並走するポルシェ…。巡回中のおまわりさんに見られたら、絶対に職務質問されちゃうわ。

「分かりました…。それじゃあ、お願いします」
「喜んで」

渋々了承したキョーコは、キョロキョロと周りに誰もいない事を、誰にも見られていないことを確認して、挫いた足を庇いながらひょこひょこと蓮の車に乗り込んだ。



「…ね?私の言ったとおりでしょ?あれは過保護だとか彼女に甘い彼氏なんて生易しいものじゃなくてストーカーの域よ。っていうかあの2人まだ付き合ってないし?」
「えぇっ付き合ってないの!? …生放送で終わりの時間も分かってるのに、そんな事お構いなしに、延々と好きな女の職場で彼女の出待ちをする男…
間違いなくストーカーだな。そんな敦賀さんの家に今から上がりこんじゃうなんて、京子ちゃん、敦賀さんの事を信用し過ぎだよ」

うんうんとみんなが頷き合う。

「それを京子ちゃん、全然気にしてないって言うか、ストーキング自体にも気づいてないって何なの?」

あれ程分かり易いアプローチを受け流すなんてあり得ないだろう?と全員が黙り込んだ。

「…なんだか敦賀さんが可愛そうになってきたわ」
「敦賀さん、今年こそ…犯罪に気付かれる前に京子ちゃんに、きちんと告白できるといいね…」


「「「敦賀さん、ファイトー」」」


千織率いる『マジスカ』出演者たちが蓮に生暖かい声援をコッソリと送る中、蓮の車はキョーコを乗せて駐車場を後にした。




敦賀さんファイトー。



Comment
明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

ストカ蓮さん。

不憫&残念すぎる蓮さん。

うんうん。


彼にはもう、

ふぁいと〜〜!!!

としか言えませんね!
Re: 明けましておめでとうございます。
魔人sei様

明けましておめでとうございます。
こちらこそ本年もどうぞよろしくお願いいたします。
sei様にとって、素敵な1年となりますように。

お正月早々、不憫な敦賀さんが浮かんでしまいました。
小さな幸せをかみしめる敦賀さん。周りのあたたかい声援を受けて、
きちんと今年こそ正面突破でキョーコちゃんに想いを告げてほしいものです!!

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