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   コングラッチェ 5   


学校の先生、体調不良者を車でよく駅まで送ってくれました。担任じゃなくても授業が無い暇な(?)先生が。
駅までは20分くらい歩く距離だったのかな。ナーも2回くらい送ってもらいました。
遠い昔の出来事ですが、意外に覚えてるものですね。奢ってもらったジュースの味とか話した内容とか。



生徒会室に寄ってキョーコのコートと鞄を持ち、蓮はキョーコをお姫様抱っこしたまま校舎裏の駐車場へと向かった。

「先生、私電車で帰れます!」
「心配だから送っていくよ。大丈夫、送り狼になんてならないよ」
「~~~~っ!」

蓮が一台の車に近寄ると、ピッと車のロック解除音が鳴った。

「え?コレ、敦賀先生の車なんですか?」
「そうだよ?どうして?」
「凄い車が停まってるなぁっていつも思ってたんです。だって、ほぼ2シーターじゃないですか。後ろの席、凄く狭そう。荷物なんて全然積めないし。どうしてこんな車を選ぶのかなぁって呆れてました」
「そっか、そう来たか。でも最上さん以外乗せるつもりないし。…そうだな。子供が出来たらセダンにでも乗り換えようか。その時は一緒に選ぼうね?」
「何言ってるんですかっ!もうこれ以上からかわないでください」

何一つからかうつもりも冗談のつもりもないのになぁ。

ぷぅっと頬を膨らませて蓮を睨みつけるキョーコに笑いながら、蓮が愛車の助手席を開けようとしたその時、人の気配を感じて蓮は背後を振り返った。

「あら、敦賀先生。まだいらっしゃったんですか…って最上さん?!ちょっとどうしたのっ?」
「琴南先生…あぁ、最上さんが倒れまして…気疲れしてしまったんでしょう。責任感の強い生徒会長ですからね」

蓮は笑って奏江に答えた。

「最上さん大丈夫?顔が赤いわよ?」
「はっはい、大丈夫です。本当に1人で帰れますから。敦賀先生降ろしてください」
「こら、危ないから暴れないで」

奏江は、蓮の腕の中で顔を真っ赤にしてジタバタと必死に抜け出そうとするキョーコと、それを優しい眼差しで見つめる蓮の様子をジッと観察した。

「…敦賀先生、私、面倒事に首を突っ込みたいタチでは無いので全く聞きたくは無いのですが…」
「じゃあ聞かない方がいいと思いますよ?」

にっこりと微笑み返す蓮を見て、奏江は腰に手をあててふーっとため息をついた。

「最上さん、私は何も見なかったし誰とも会ってないわ。でも、何かあったらすぐ私に言うのよ?この男をすぐに懲戒解雇に追い込んでやるから」
「えぇっ!」
「じゃあ敦賀先生、お疲れ様でしたっ」
「はい。お疲れ様でした」

キラキラと神々しい笑顔で蓮は奏江を見送る。

「さ、最上さん。琴南先生のお許しも出た事だし、行こうか?」
「お許しじゃないと思います!それに私、本当に電車でちゃんと帰れます!」
「もう暗くなりかけてるし、俺が心配だから送らせてよ、ね?」

キョーコは蓮をジトリと見据える。

「…先生は天然タラシなんですね」
「え?どういうこと?」
「そんな顔でそんな優しい事を言ったら、大抵の女性は転がるんじゃないでしょうか?」
「俺は君に転がってほしいんだけど?」


まだ疑いの目で見られてるなぁ。
うーん…どうしたら信用してもらえるんだろうか。

蓮は眉根を寄せて少し困ったように笑った。
そんな苦笑を見て、キョーコはフーッと大きく息をついて目を閉じる。

もう訳が分からないよ…こんな風に敦賀先生にからかわれたら、普通、世の乙女は本気にしちゃうわよ。
でも、私がここで転がったりなんかしたら、ショーちゃ……松太郎で何を学習したって言うの?少し優しくされたからって好きになったりなんかしたら、また同じことの繰り返しよ!今度は…今度こそちゃんと…っって!!今度って何よー!

「…何か今日はもうイッパイイッパイで、転がるより倒れそうです。眩暈までしてきました…」
「あはは。ごめんね?…って、最上さん、本当に顔が赤いけど、まだのぼせてる?」

蓮が笑いながら手の甲で触れた、紅く色づいたキョーコの頬は、少し熱い。
顔を顰めて、蓮はキョーコの顔をしげしげと観察すると、キョーコの目は潤んでいて、ぼうっとしている様子だった。

「最上さん、もしかして本当に熱がある?」
「…分かりません。でもずっとふわふわしてます」

蓮がキョーコの額に手をあてると、明らかに普通の体温より熱い。

「絶対に熱があるよ。こんな薄着で、屋上にどの位居たの?」
「どれくらい…掃除中にショ…松太郎を見つけに行って、その後…」
「…そう。体調を崩すには十分な時間だな」


ぐむむ~~っおのれ、松太郎…。
精神的ショックだけでなく風邪までアイツのせいで引くなんて。来週から期末テストなのよ?
…そうよ気合で今日中に治さなくちゃ。

キョーコの眉間に皺が寄る様子を蓮はじっと見つめ、キョーコの心がショータローに囚われている様子にため息を噛み殺した。

「とにかく家まで送るから。最上さんは電車通学だったよね?最寄駅はどこ?」
「…○○駅です」
「分かった。駅から家まではナビしてもらわなきゃならないから起こすけど、それまで寝てなさい」
「すみません…」

蓮はキョーコを気遣いながら車を発進させた。
キョーコは体調の悪さからか、すぐにシートに身を沈めて眠ってしまった。


まったく…ねぇ最上さん、俺の事を信用し過ぎじゃないの?さっき強引にキスされたことも忘れちゃった?
体調の悪い子を襲うような不埒な奴もいるんだから、少しは用心してほしいよ。

…失恋して落ち込んでる子にいきなりキスする俺も立派な不埒者か


蓮は自分の行動を思い返して苦笑した。


**


「…さん、最上さん。ごめん、起きて?」
「ん…」

少し眉を下げて顔を顰めながらキョーコは目を覚まして、声がする方を向いて瞼を開く。

「ふんぎゃっ!!」
「ぷぷっ何それ、ちょっと驚き過ぎじゃない?体調は大丈夫?」

目に飛び込んできた蓮の神々しい笑顔にキョーコは訳の分からない悲鳴を上げていた。


だだだって、目を開けたら思いもしないキラキラしたご尊顔が飛び込んできたんだもの。驚くわよ。
…そっか、先生に車で送ってもらってたんだ。最寄駅に着いたって事?

窓の外を見れば、見慣れた駅前のロータリーから少し離れた、商店街の入り口脇に蓮の車は停まっていた。

「失礼しました。すみません、本当に寝てしまいました。あの…」
「ん?何かな?」
「私…変な寝言とか言ってませんでした?」

恐る恐る、不安そうにキョーコは蓮に尋ねた。そんなキョーコの様子を蓮は不審に思いながらも、キョーコの不安を拭い去ろうと、おどけた笑顔で応えた。

「…そうだなぁ、『敦賀先生、好きです』って言ってたような言わなかったような?」
「絶対に言ってないです!!」
「あはは。そんな寝言なら大歓迎だし、起きている君から早く聞きたいよ。そうだね、別にうなされるわけでもなく、寝言も言ってなかったよ?」
「そうですか」

ホッとした表情でキョーコは言った。

「じゃあ悪いけど家までナビしてくれるかな」
「あっはい。こちらこそ本当にすみません」

キョーコは道を蓮に教えながら、自宅へと蓮を案内した。

着いた先は、2階建てのアパートだった。

「送っていただいてありがとうございます。あの、お礼にお茶でも飲んでいってください」
「え?何、親御さんにご挨拶させてくれるの?」

蓮はくすくす笑いながら軽口をたたいた。

「いえ、家には誰もいませんので挨拶も何もないのですが、粗茶の一杯でも…」
「誰もいないのか…1人で大丈夫?」

蓮は熱のあるキョーコを気遣う。

「…大丈夫です。こんなの一晩寝れば治ります。さ、どうぞ」

車のドアを開け、外に出ようとしたキョーコはよろけてその場にしゃがみ込んだ。

「えっ最上さん!?」

蓮は慌てて車を降りて傍に駆け寄って支えると、キョーコはハァハァと辛そうに胸で息をしている。

「熱が上がったんだ!最上さん、しっかりして。家は何階?鍵はどこ?」
「すみません…203号室です…」

とにかく寝かせなければと、蓮はキョーコを横抱きに抱えて、受け取った鍵で玄関のドアを開けて家の中へと入った。
小さな玄関を上がり、電気コンロを備えたミニキッチンを通ってドアを開あけると、キョーコの好きそうな淡いピンクのカーテンが引かれている、シングルベッドが置かれたワンルームに行きあたった。

「え…最上さん、もしかして独り暮らしなの?」
「…」
「最上さん!?」


蓮の腕の中で、キョーコの意識は遠のいていた。



つづく。



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