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   コングラッチェ 6   


熱を出したとき、何を食べたくなりますか?
ナーはガリガリ君ソーダ味。(好物だからか?)



ピンポーン


来客を告げるインターフォンに、蓮はのそりと立ち上がって玄関に向かう。

ガチャリ

蓮がドアを開けると、ギターケースを背負い紙袋を突き出したショータローが玄関先にいた。


「やぁ、不破君。どうしたの?」
「…あれ?キョーコは?」

居る筈のない人物のキラキラと神々しい笑顔での応対に、ショータローは間の抜けた声で蓮に話しかけた。

「…カーちゃんがこれ、夕飯のおかずをアイツに持って行けって……っていうか敦賀ッ!なんでお前がキョーコんちに居るんだよっ」
「相変わらず口の利き方がなってないな。…熱を出した最上さんを送ってきたんだよ」

君のせいでね、と言いそうになるのを我慢して、作り笑いで蓮はショータローから紙袋を受け取った。

ショータローの母親が作ったというおかずは紙袋越しにもまだあたたかく、キョーコを気にかける存在がいることを感じさせた。

「ふぅん…。で、アイツ大丈夫なのかよ?」

胡散臭そうにショータローは蓮をジロリと見つめた。

「あぁ、さっき往診をお願いした先生に診てもらったからね。大丈夫、風邪だそうだ。今は薬が効いて眠っているよ」
「ふぅん。そっか」

ホッと安堵して息を落とすショータローを蓮はじっと見つめる。


最上さんと付き合っているわけではなかったようだけど…
幼馴染みの誼(よしみ)で気に掛けているだけの存在って事なのか?

…それとも不破君、自分でも気づいてないだけで、本当は最上さんの事を?


「何だよ、じろじろ見やがって。気持ちわりぃなぁ」
「…いや、君でも最上さんの事を心配するんだな、と思って」
「そりゃ俺だって鬼じゃねーよ。それに…そうだ、アイツにノート借りようと思って来たんだけど、寝てるんじゃ無理か。出直すわ」

彼女のノートを借りる目的で来たのか。最上さんの事を便利な存在だとでも?
しかも出直すって事はまた来る気か。

蓮はドロドロと渦巻く気持ちを隠してショータローに話しかけた。

「そうだ。彼女の親御さんの連絡先を知らないか?」
「…なんでだよ?」
「だって最上さんの事が心配で俺も帰れないだろ?きちんと容体を説明したいしね」
「…あいつの事なんか心配するような人じゃねぇよ」
「はぁ?」

ショータローの怒ったような声に、今度は蓮が間の抜けた声を出す番だった。

「知らねぇか。アイツの母ちゃんは国際弁護士なんだ。アメリカではやり手で有名な弁護士らしいぜ?俺が最後に見たのは中学校の入学式だったかなぁ…まぁそんな調子だから、風邪くらいじゃ電話も取り次いでもらえないぜ?」


…クソ、思い出しちまったよ。入学式だって俺のカーちゃんがキョーコのオカンの冴菜さんを思いっきり叱りつけて、やっとの思いで参列させたんだ。
アンタは大事な娘の節目も祝えないような人でなしに成り下がったのかって…

冴菜さんに久しぶりに会えるって、キョーコはすげーはしゃいでたなぁ。
当日は参列席を何度も何度も振り返って。まだ小学生気分かよって呆れたんだ。

それが…入学式が終わって外に出たら、アイツはぽつんと1人で、ほとんど花が散った桜の下で俺とかーちゃんとオヤジを待ってて…。

「キョーコちゃん、1人でどないしたん!冴菜ちゃんは…お母さんどこへ行かはった?」
「……帰った…」

小さく答えてから、下を向いて唇を噛みしめて涙を堪えるキョーコの頭をオヤジがポンポンと叩いてやって、お祝いに美味しいものを食べてからうちに帰ろうって言ったんだ。

「…ミキちゃんと遊ぶ約束してるから、キョーコはいい」
「あっ!キョーコちゃん!!」

本当は約束なんか無いくせに、俺たち家族の団欒を壊さないようにって気を遣って走り去るキョーコの後姿が目に焼き付いてる。
お陰であの日食べたモノなんて何一つ覚えちゃいねぇよ…


ぶつけ先の無い怒りに耐えるように、眉を顰めて足元を睨みつけ続けるショータローを不審に思いながら、蓮は口を開いた。

「それじゃあ、父親は?」
「…アンタ、ホントに何も知らないんだな。まぁ当たり前か、担任でもないしな。随分前って言うか、アイツが物心もつかないうちに事故で亡くなってるよ。だから中学を卒業してからキョーコは1人で暮らしてる」
「…そうなんだ」

キョーコの事ならアンタより俺の方がずっとずっと、何だって知ってるんだ。急にポッと出てきたようなヤローにアイツの事なんか何一つ分かる訳ない。
例えキョーコの事をマジで心配しようが、お前の出番なんざ無いのさ。

勝ち誇ったように蓮を見ると、ショータローの事など気にする風でもなく、何か考え込んでいる様子の蓮にショータローは苛立った。

「じゃ、俺行くよ?バンドの練習あるし。まぁ仕方が無いから、帰りにもう一度様子を見に戻ってやるよ」
「…そうだ、不破君に渡さなければならないものがあった。車にあるんだ」

そう言って蓮は外に出て、道路脇に停めたままの車の後部座席から紙袋を取出して、ショータローに渡した。

「何これ…ってゴムじゃん!!」

袋の中を見てショーは驚く。

「不破君も見覚えがあるだろう?今日の卒業式で最後に飛び出した卒業生からのプレゼントだよ。回収率90%で来年度の卒業式でもプレゼントの投げ込みは許可、それ以下なら禁止という事になった」
「マジかよ!まだまだ90%には足りなそうな量だなぁ…ってなんで俺に渡すわけ?」
「風紀委員長、回収をお願いするよ。どうやら既に使用しているみたいだけど、それ以外の99%がまだあるはずだろう?」

「なっ!!!敦賀っ!!てめー何で知ってるんだよ」

ショーは一瞬ギョッとした後、蓮を威嚇するように睨みつけた。

「さて…。とにかく、あまり調子に乗るなよ?いつまでも大人が子供に甘い顔をしていると思ったら大間違いだぞ?」

蓮はスッと笑いを消して、切れ長な目を細めてショータローを見据えた。

気圧されたショータローがジリッと一歩引き下がったのを見て、蓮は纏っていた張りつめた空気を解いて、にっこりと笑いかけた。

「じゃ、風紀委員長。よろしくね?」

有無を言わさない神々しい笑顔で、蓮は顔を真っ赤にしてワナワナと震えるショータローを送り出した。


高熱の最上さんを1人で寝かせておくなんて出来ないし、まして不破君が戻って来ることを分かっていながら引き下がれないだろう。


「仕方がないな」


蓮はスマホを取出し、どこかへと電話をかけ始めた。



つづく。



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