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   コングラッチェ 7   


ヨレヨレのナーです。自家発自家発。
リアル世界がアホアホ過ぎて、今なら幸せを呼ぶ壺とか言われるがまま買っちゃいます。

どうにかナーの通ったミラクルおバカ学校話に戻したいのに、違う方向に行ってます。
勝手に動き出したこの妄想、さてどうしたものかー。



「だからキョーコ、分かるでしょ?いい子だから聞き分けて頂戴」
「……ハイ…」
「…分かったのならこの手を離しなさい。お母さん、もう行かないと飛行機に間に合わないの。グズグズしている暇は無いのよ」
「……ふぇっ…」



「ん…」

気持ちいい…

額に何か冷たいものが置かれた感覚に、キョーコは悪夢を手放してうっすらと目を開けた。

「あ…ゴメン、起こしちゃったかな?」

あれ?敦賀先生? …喉がカラカラだし、なんか頭がぼーっとする…
まだ夢の中なのかな…

「氷を取りかえただけだから、気にせず眠って?」

蓮は氷を入れ替えた氷嚢をキョーコの額に乗せ、首の汗をタオルで拭った。

「…おみず…」
「え?水が欲しいの?」

蓮は慌ててベッド脇に置いておいたミネラルウォーターのボトルを開けて、キョーコに差し出す。

「大丈夫?飲める?」

キョーコはぼーっと蓮を見つめるだけで、とても1人で水を飲める様子ではなかった。


無反応か。
…仕方ない。

蓮は持っていたミネラルウォーターを自分の口に流し込むと、キョーコを抱え上げ、口移しで水を飲ませ始めた。

… ゴクリ …

「…もっと…」
「…分かった」

熱で頬は上気し、瞳を潤ませた恋しい少女を前に、蓮はなけなしの理性を総動員させて、もう一度唇を重ねて、ゆっくりと水を流し込んだ。
キョーコがごくりと嚥下するのを確認して、蓮はほっと息をついた。

目を閉じたキョーコをベッドに寝かせて、再び眠りについたことを確認して蓮はふーっと盛大にため息をついて項垂れた。

最上さんが正気じゃないって分かっているだろ?…しっかりしろ、俺。

「ん……はぁ…」

…ダメだ。こんな所に居たら俺は確実に犯罪者になってしまう。

クツクツと額を叩いてどうにかこうにか正気を保ち、そっと部屋を出ようと立ち上がりかけた蓮の腕を、ぐいっとキョーコに掴まれた。
驚いて振り返れば、そこには不安そうに眉を下げて、瞳には今にも零れ落ちそうなほど涙を溜めたキョーコの顔があった。


「どうしたの?苦しい?」
「……いで」
「最上さん?」
「行かないで…置いて行かないで……1人はもう嫌なの。寂しいのは嫌だよ…行っちゃ嫌だ…」

目尻から涙がつっと伝い落ちていく。

蓮はベッドの横に腰を下ろしてキョーコの縋りつく手を両手で握り締めた。

「大丈夫。ここにいる。俺が君のそばにずっといる。だから安心して眠っていいよ」

キョーコは蓮を見上げてこくんと頷くと、やっと安心した様子で目を閉じ、すうっと深い眠りについた。


最上さん、それが君の本音なの?寂しいの?
側にいる。ずっと、ずっと一緒にいてあげるから。

だから、この手を選んで?



**



…ん…朝?

キョーコは見覚えの無い天井をボーッと見つめながら、ゆっくりと覚醒した。

カーテンから漏れ入る光の方へと首を向けると、タプンと何かが額から外れる。起き上がって見てみれば、それは氷嚢で、枕もタオルが巻かれた氷枕だった。

そうだ。敦賀先生に家まで送ってもらってる途中で体調が悪くなって…
あれ?ここ、私の家じゃない。一体どこなの?

「あ、気が付いた?気分はどう?」
「天宮さん?」

声がする方を振り返ると、千織が立っていた。

「ここ、天宮さんの家?」
「んー、半分そうかな?でもあんまりここには寄らないけどね」

半分?どういうことだろう?

「千織、言葉を濁すな。最上さんが誤解したらどうしてくれるんだ」
「あ…敦賀先生」

シャワーを浴びた蓮が、タオルで髪をガシガシと乾かしながら部屋に入ってきた。

敦賀先生が天宮さんの事を呼び捨て?
一体どういう関係なの?
…ひょっとして…恋人とか?

キョーコの驚きを無視して、千織は蓮に怒ったように話しかける。

「だって本当の事じゃない。それより急に呼び出してくれちゃって!ママも来るって騒いで大変だったんだよ?分かってるの、お兄ちゃん」

…へ?今、天宮さん、先生の事をお兄ちゃんって呼んだ よね?

「えぇっ!敦賀先生と天宮さんって、兄妹なの?」
「そう。親が離婚して私はママ、お兄ちゃんはパパに引き取られたから苗字は違うんだけどね」
「へー…そうだったんだ…兄妹かぁ」
「そう。本当に最悪だけどね」

キョーコの驚きに、千織はうんざり顔で答えた。

「最悪だなんて…。優しくてカッコいいお兄ちゃんなんて、憧れるけどなぁ…」
「優しくてカッコいいか…。最上さん、今の本音だよね?」

うっ…ついポロリと出ちゃった…。先生、そんな嬉しそうに見つめないでください…

「ウザっ。超ウザい!こんなウザい兄なんて嫌よ!それに何事もソツなくこなす兄にいちいち比べられる身にもなってよ。まだ性別が違うのが救いだったわ。もし私が弟だったらって思うだけでゾッとするわ」
「ゾッとするのはこっちだよ。お前から謂れのない怨みを一身に浴びて、俺はベランダから突き落とされたり、飯に異物を混入された過去を忘れてはいないぞ?」

先生と天宮さん、なかなかハードな兄妹関係なんだぁ。
ちょっと面白いケド。

「バカ言わないでよ。突き落としたのはベランダじゃなくて階段をほんの少しよ!それに料理は実力よ。料理は一家揃って遺伝子レベルで壊滅的なんだから仕方がないの!」

プリプリと怒りながら千織はキョーコに向き合う。

「そのお兄ちゃんが昨日、慌てた様子で電話をかけてきて、『部屋を暖めておけ』って言うのよ?どこの王様かと思ったわよ。
文句の一つでも言ってやろうと思って待ち構えてたら、ぐったりと意識の無いキョーコさんを抱きかかえて帰ってきたんだから。私が失神しそうになったわよ。とうとう理性がブチ切れて拉致監禁かって」
「千織っ」

慌てた様子で蓮は顔を顰める。

しまった。口止めしておけばよかった。
千織の奴…いらないことまでこのまま喋り出しそうだ。

「とりあえず私、身内から犯罪者が出るのだけは御免よ?しかも教師が生徒をなんて、ワイドショーが食いつかない訳がないわ」
「天宮さん…敦賀先生に限ってそんな事するわけないわよ」

敦賀先生が私をからかっているうちに倒れたりしたから、きっと仕方なくご自宅に運んだのよ。
…そうよ。仕方が無いからに決まってる。本当に面倒だったろうなぁ。

千織は頭を振りながらため息をついた。

「ふーっ。甘いわ。お兄ちゃんの事をキョーコさん、買いかぶり過ぎよ」
「えぇっ買いかぶるだなんて。だって敦賀先生、皆に平等に優しいじゃない。だから倒れた私の事だって仕方なく…放っておけなかっただけよ。それを拉致って。天宮さんこそお兄さんの事を酷く言いすぎだよ。先生、本当にご迷惑をおかけして申し訳ございません」
「何言ってるの。迷惑だなんて思ってないよ。そんなこと気にしないで早く治して、いつもの元気な最上さんに戻ってよ」

蓮は恐縮するキョーコを、甘やかな笑顔で見つめている。

…キョーコさん、完全にお兄ちゃんの外ヅラに騙されてるわ。

「お兄ちゃんの薄っぺらい化けの皮に上手いこと騙されちゃって」
「ばっ化けの皮!?」
「お兄ちゃんと社先生の会話をキョーコさんに聞かせてやりたいわよ。どうしたらキョーコさんが自分の事を好きになってくれるだろうなんてことを無限ループで話してるんだから」
「ふえぇぇ!?」
「ちっ千織!」
「お兄ちゃんってかわいいところあるんだ、しかも片想いなんてって始めは微笑ましく思ってたわよ。それがまぁよくも2年も続くわよ!ウジウジウジウジとっ。このウジ虫っ!その顔と体格でオトメンかって何度言ったか分からないわ」
「えぇっ!にっ2年!?」
「そんな乙女なお兄ちゃんが勇気を振り絞ってなのか針が振り切れたのか知らないけど、不破君からキョーコさんを攫って来たんだと思うと、妹としては驚愕しつつも応援したくもなるじゃない?」

「…千織、ホントにもう黙ってくれ」


蓮は真っ赤になった顔を片手で覆いながら千織に懇願した。



つづく。



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