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   コングラッチェ 9   


ボケボケのナーです。
電車を乗り過ごしてみたり、荷物をどこかに置いて来たり。(どこ行っちゃったんだろう。)
朝ごはんを食べ忘れたり…。あれ?そっちのボケが進行してるって事ですかね!?



ガサリ。


千織はターゲットが無造作に置いた荷物の中に、あらかじめ準備しておいたものをそっと忍ばせた。
座り込んでブーツの紐を解いて、のそりと上履きに履き替えた獲物は何も気づかず、下駄箱の上に投げ出していた荷物を持って、だるそうに教室へと向かった。

「…ふんっ。こんな程度じゃ復讐にもならないわ」

下駄箱の陰から千織は毒オーラをまき散らしながらショータローを睨みつけた後、キョーコの教室へと向かった。


「キョーコさん、おはよう。体調はどう?」
「おはよう、天宮さん。うん、もう大丈夫。本当に色々とお世話になっちゃったね。どうもありがとう」

元気そうなキョーコの様子を確認して、ホッと安堵のため息をついた。

「良かった。お兄ちゃんと送った後、少し心配してたの。あの後、面倒な事にならなかった?」
「うん。大丈夫だったよ。その…心配してくれてありがとう」
「全然!それより明日は英語と化学のテストよね?英語で分からないところがあるの。早速で悪いんだけど、今日の放課後、教えてもらえない?」
「私で分かる範囲でよければ。じゃあ図書館の自習スペースは埋まってるだろうし…生徒会室で勉強する?」
「よかった~。キョーコさんありがとう!じゃ、お互い頑張ろうね!」

機嫌よく手を振ってキョーコの教室を出たところで、千織は貼り付けていた笑顔を取り払った。

キョーコさん笑ってたけど、本当に大丈夫かしら…。

千織はため息をついてチャイムの鳴る廊下をとぼとぼ歩いた。


**


土曜日の夕方、千織に付き添われてキョーコは蓮の車で自宅へと戻った。


「本当にありがとうございました」

玄関前でキョーコは2人に対して丁寧に頭を下げた。

「じゃ、体調が悪化したり何かあったら、すぐに電話ちょうだいね!」
「そうだよ、遠慮とかしちゃ駄目だよ?」

優しく微笑む蓮と千織に、キョーコは感謝でいっぱいだった。


「キョーコ!!やっと見つけたぞ。お前、どこに行ってたんだよ!!」


3人が驚いて声がする方を振り返ると、両手をポケットに突っ込んだショータローが憮然とした様子で立っていた。


「不破君じゃない。キョーコさんに何か用?」
「用って…それよりキョーコ、お前今までどこにいたんだよ。…まさか敦賀の所じゃないよな!?敦賀っどうなんだよっ!」

怒りも露わに、蓮に対して敵意をむき出しにして大股でずんずんと近寄るショータローの様子に、呆気にとられていたキョーコが慌てて蓮の盾になるように、ずいっと前に出た。

「なっなによっ!そもそもショーちゃ…アンタに関係ないでしょ?」
「うるせぇっ!お前こそ、何で敦賀なんか庇ってるんだよ!!」
「だだって、ショーちゃんが先生を殴りそうに見えたからっ」

今までキョーコはどんな事があろうともシータローに付き従い、反論をした事など無かった。
そのキョーコが自分ではなく蓮を庇う様子に苛ついたショータローは、怒りの矛先をキョーコへと向けた。

「はんっ!殴る訳ねぇだろ!どうして俺がお前なんかの為にセンコー殴んなきゃならないんだよ?」
「だって…」

俯くキョーコをショータローは見下ろして、勝ち誇ったように片頬をひきつらせて笑った。

「不破君!何て言い方をするんだ」

あまりの言い様に蓮が顔を顰めてショータローを窘めると、ショータローは蓮を睨みつけた後、嘲るように口元を歪めた。

「敦賀、お前もキョーコの事を必要以上に構うなよ。男にチヤホヤされた事なんか無いコイツが勘違いして調子に乗るだろ?コイツが本気になんかなったら、俺みたいに四六時中追い掛け回されるんだぜ?コイツ、マジで超ウザいぜ?」

蓮が指先が白くなるほど拳をグッと握りしめていることに気付かずに、ショータローはキョーの頭を指で小突きながら話を続ける。

「大体、お前みたいな地味でつまんねー女を敦賀が相手にするわけないだろーが。キョーコの癖に自惚れるんじゃねぇよっ」
「不破、いい加「このばかちんがーーーーーーーっ!!」」


バチーーンッ


破裂音と共にショータローが吹き飛んだ。


「ふぇぇっ!!天宮さん!!!」
「ちおっ…天宮さん」

黙って事態を静観していた千織が、堪忍袋の緒が切れたとばかりに大きく右手を振りかぶって、ショータローの頬に平手打ちを炸裂させた。

「天宮っ!いてぇじゃねぇか!何するんだよ!」
「黙って聞いていれば調子に乗って悪口雑言をっ!キョーコさんをこれ以上傷つけるなら、私が赦さないわ!!」
「…天宮さん…」

キョーコは自分を庇う天宮に驚きと感謝で涙が溢れそうだった。

「不破君、大体あなたキョーコさんの幼馴染みってだけで彼氏でも何でもないんでしょ?キョーコさんが誰と何してたって関係ないじゃない。お前はキョーコさんのオトンかっ!」
「なっ!!」
「それにキョーコさんは今まで私の家にいたのよ?敦賀先生が一人暮らしのキョーコさんを心配して私に電話をくれたの。先生にキョーコさんをうちに運んでもらって看病してたのよ!」
「…ふぅん…」

ショータローは胡散臭そうに蓮と千織を交互に見つめる。
そんなショータローには目もくれず、千織はキョーコに向き直った。

「こんな寒空にまだ具合の悪いキョーコさんをこれ以上とどめておけないわ。さぁ、こんなバカに付き合ってないで早く家に入って」
「何だとっ!」

千織はショータローに構わずキョーコを玄関の中へと促す。

「キョーコさん、もう誰が来てもドアを開けちゃ駄目よ?ここにいるのはただのバカよ。…もう目が醒めたでしょ?」
「うん…天宮さん、ありがとう。月曜学校で。先生も…本当にありがとうございました」


先程までの笑顔を吹き消して、力なく俯くキョーコの眼差しは寂しげで、蓮は焦燥に駆られた。

「最上さんっ」
「先生、キョーコさんも疲れてるみたいだし、帰りましょう」

蓮がキョーコに伸ばしかけた手を千織は制した。


不破君がいる状況でこれ以上お兄ちゃんを関わらせるのは得策じゃないわ。不破君にどんな噂をたてられるか分かったもんじゃない。
お兄ちゃんに恋い焦がれてる女子たちから、キョーコさんがいじめのターゲットにされかねないわ。

千織の今は耐えろという目配せに、蓮は辛そうにギュッと唇を引き締めた。


「っ……最上さん、お大事にね?」
「…はい」
「じゃあね、キョーコさんお大事に。あとで電話するわ」

千織は後ろ髪を引かれる思いを断ち切って玄関のドアを閉めた。

「じゃ、先生帰りましょう。って言うか送って下さい。不破君も月曜から期末試験なんだから早く家に帰ってテスト勉強したら?まさかこんな足蹴にするようなマネをしたキョーコさんのノートをあてになんかしてないわよね?どのツラ下げて貸してくださいなんて言えるのかしら?」
「うぬぬぬ~~~!!」

ふんっ!と鼻息を荒くして千織はショータローをすり抜け、階段を下りて行った。


**


「よーし、HR始めるぞー」

期末テストに浮足立つ教室に、担任の教師が渋い顔をして入ってきた。

「まず最初に連絡事項だが、来年の卒業式から卒業生…まぁお前らだな。卒業生によるプレゼントの投げ込みは禁止が決まった」

「「「えーーーーー!!!!」」」

一拍おいて、生徒から非難と怒号が溢れ出す。

「先生ー何でだよー!」
「ひでーよ!俺らが何したって言うんだよ!!」
「静かにしろー」

ザワザワと不満を言いつつも徐々に静かになった生徒を見渡しながら、担任は話を続けた。

「理由なぁー。来年度以降の物品の投げ込みは、先週の卒業生からの最後のプレゼント、アレの自主回収率90%以上が条件だったんだけどよー」

まさかショーちゃん、回収をしなかったって事?どうしてアンタはそんなにもいい加減なのよっ!

キョーコはショータローの無責任さに落胆した。

「回収率がさぁ…どういう訳か、100%超えたんだよね」

「「「……はぁ?」」」
「100%を超えたってどういう事だよ!」

意味が分からないと騒ぐ生徒たちにため息をついて、担任は説明を続けた。

「卒業生35人が2個セットを2袋ずつ投げた訳だよ。全部で140の筈なんだが、なぜか140以上を、つい今しがた風紀委員長が持って来たわけよ」
「風紀委員長って、3組の不破だろ!?」


ぐらりとキョーコの視界が揺れた。

ショーちゃん、あなた四則演算さえ出来ないの!?
もぉーーーっバカショー!!


「「「不破はアホなのか!!!!!」」」

「確かに90%以上って言ったけど、『そりゃ無いだろう!』って今お前たちも思っただろう?そういう訳で禁止になったから。
まぁ不破を責めるなよ。今頃、飯塚教頭にミッチリ絞られてるからさ」


「アホじゃー!不破は本物のアホじゃーーー!!」


千織の復讐によって学校中で沸き起こった不破バッシングは、1限目のテストが始まるまで続いた。



つづく。



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