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   西方の3愚者 後編   


敦賀さんハッピーバースデー!!

三博士を書いた後に、あれ?プロポーズっぽい事言ったけど、きちんとしたプロポーズは
してないんじゃ…アワワワワって気づいて、今回のお話に至りました。



「…??キョーコ、何を言っているの?」

頭にクエスチョンをいくつも並べている蓮に、キョーコは一気に話し出す。

「…赤ちゃんがいる事が分かってから、凄く嬉しいとか大切にするとか歯も浮くようなセリフを毎日のようにあれこれ並べる癖に、結婚とかその…
プロポーズの言葉、敦賀さんから貰ってないです」


…あれ?
そうだっけ?いやいや。俺はキョーコの誕生日にプロポーズしたつもりだったんだけど?
もしかして伝わってなかった?
『ずっと一緒にいよう』はプロポーズには入らなかったという事?


蓮の困惑を余所に、キョーコは神妙な顔で話を続ける。

「だから敦賀さん、赤ちゃんのことは認知するけど、私と結婚するつもりはないって言外に匂わせてるんじゃないかって。
確かに私は敦賀さんの横に並ぶのに相応しくないし、人様に胸を張って言える事なんて何1つ無いけど…卑屈にだけはなりたくないんです」

俺とキョーコと生まれてくる子の、これからの未来が過去最大級に盛大にねじれてこじれてる!!!

「ちょちょっと、キョーコ?」

「私のことを世間様から隠したい、困った存在だって考えが少しでもあるなら、すっぱりきっぱり敦賀さんの目の前から消えて差し上げます。これが私から敦賀さんへの誕生日プレゼントですっ」

キョーコは涙が零れ落ちるのを我慢して、唇を震わせながら、準備していたプレゼントを蓮に突き付けた。

「…もし、このプレゼントを受け取らないとおっしゃるなら…私と結婚してくれませんか?」


本当は受け取って欲しくなんかないのに、どうして私、こんなことしてるんだろう?

ふぅぅぅっ涙で敦賀さんの顔が滲んでどんな表情をしてるかわかんない…。
敦賀さん、困った顔してるのかな、うんざりしてるのかな…それともほっとしてる?
・・・どうしよう、怖くて瞬きもできないよ…


消え入るような、それでもキョーコの心の悲鳴のようなプロポーズに蓮の心臓はねじ上げられた。


俺は本当に間抜けだな。
どうして最愛の子にこんな思いをさせてるんだ?

…最低な男なのに、今俺が最高に幸せな気分なのは、俺が本物の愚か者だからなんだろうな。


「こんなに愛してる君がすっぱりきっぱり目の前から消えてしまうなんて、考えたくもないよ。だから、キョーコからの誕生日プレゼントは全力で受け取りを拒否します。絶対に受け取りません」
「……ほんとに?」
「ほんとに。俺はキョーコと結婚したいです。一生よろしくお願いします」
「うーーーーーーーーーー」

蓮は情けないような心底嬉しそうな笑顔で、ボロボロと涙を零すキョーコをグッと抱き寄せてキスをした。

「ふえぇぇっ…敦賀しゃん…」
「本当にごめんね。俺の言葉が足りないせいで無駄に不安がらせてしまったね」

蓮は自分を不安そうに見上げるキョーコの涙を唇で優しく拭った。

「ねぇ、どうしてそんなに不安になってしまったの?どうしてそこまで思い詰めてしまったの?…まぁ原因は俺なんだけど…」

自分の腕の中にすっぽりと収まるキョーコの柔らかい髪を梳きながら、蓮は優しく問いかけた。

「…母に妊娠を報告した時、覚悟はできているかと聞かれたのを覚えてますか?」
「うん。すごく真剣な顔で言われたね…」
「それを聞いて私、すぐに2つの事に思い当りました。1つは母になる覚悟です。その覚悟は自分なりにできてるつもりでした。…でも、もう1つの覚悟がなかなかつかなかったんです」
「もう1つって、一体なに?」

蓮は困惑した表情でキョーコを見つめた。キョーコも少し困ったような表情で蓮を受け止めていた。

「母のように…1人ででも子供を産む覚悟です。赤ちゃんが出来た事と産むことの報告はしましたけど、その…結婚とかの話はしてませんから。
…母も敦賀さんに結婚の意志は無いって思ったんでしょうね」

キョーコと2人で妊娠を告げた時の、キョーコの母親である冴菜が見せた瞳の揺らぎと、自分を射抜くような鋭い視線、そして帰り際、冴菜がキョーコを見つめて呟いた一言を思い出していた。


「『燕雀鳳を生まず』とはよく言ったものね。…何かあれば連絡なさい」


「ねえ、キョーコ。『えんじゃく』なんとかって君のお母さんが言ったでしょ?あれってどういう意味?」
「覚えてましたか…。あれはですね、『蛙の子は蛙』と同じ意味です」

キョーコは少し寂しそうに笑いながら蓮に教えた。

「シングルマザーだった母の子である私も、母と同じくシングルマザーとなる道を選んだのかっていう、あきらめの境地から出た言葉だったんでしょうね」

蓮は改めて自分の不甲斐なさをまざまざと思い知った。

キョーコのお母さんに俺は何ていう悪印象を与えてきたんだ!
その上キョーコの事まで誤解させて!!

「ごめん!!ごめんね、キョーコ。まさかそんな風に思われてるなんて思ってもいなかった。プロポーズもキョーコに伝わってると思ってたし、俺の中でキョーコとの結婚は当たり前過ぎて…本当にごめん!もう一度きちんとお母さんに会いに行こう!!そうだ、婚姻届の証人欄、お母さんに書いてもらおう!」
「婚姻届…はい…そうですね。きっと母も安心してくれると思います」

驚きと焦りで顔を真っ赤にしている蓮を、キョーコは笑いながら見ていた。

「すごく勇気が必要だったけど、私、敦賀さんにプロポーズして良かったです」

俺の方こそ良かったよ。キョーコが消えてしまわないで。キョーコがこんなにも愚かな俺を許して受け入れてくれて…。

「さっきキョーコにプロポーズされて、凄く嬉しかった。そうだよね…。この喜びをきちんとキョーコにも味わわせてあげないとね」

ちょっと待っててと告げて蓮は一度ベッドルームを出て、すぐにキョーコの元に戻ってきた。
その右手には油性マジックを持っている。

「最上キョーコさん。あなたを一生大切にします。愚かな俺ですが…どうか、俺と結婚してください」
「はいっ。一生よろしくお願いします」

満面の笑みでキョーコと蓮は笑い合った。

「キョーコ、左手を出してくれる?」
「?…はい」

おずおずと差し出されたキョーコの左手を蓮はそっと取り、持っていたマジックで薬指の付け根に1周、円を描いた。

「つっ敦賀さん?」
「ごめん。マリッジリングに頭がいっぱいで、エンゲージリングを忘れてた…忘れていたというか、君の誕生日に渡しそびれて…。用意していたクイーン・ローザの花びらの中に入れておいたんだけど…その…思い出した時には、しおれた花束と共に処分されてて…」

「なっ!!!」

格好悪いから言いたくなかったのに、と眉を下げてごにょごにょと白状する蓮を、キョーコはただただ凝視していた。


なんて告白なの!? いっ息が止まるかと思ったわ!!


「そんな訳で…ごめん。今はこんなものしかあげられないんだ」

キョーコはマジックで描かれたマリッジリングを、右手の人差し指で大事そうになぞった後、
情けない顔で自分を見つめる蓮の胸に、キョーコは自分から飛び込んで、大きな背中に腕を回した。

「凄く、すごーく嬉しいです…。ありがとうございます」
「俺も嬉しいよ。キョーコからのプロポーズなんて。本当に凄い、一生モノの誕生日プレゼントを貰ったよ」
「敦賀さん…」

蓮が見つめる涙を湛えたキョーコの瞳に、満面の笑みを浮かべた自分が映っている。

俺って、こんな風にキョーコを見つめているんだな…。
こんなにも愛しくて愛しくてたまらないって顔をしてるなんて、自分でも今まで気が付かなかったよ。

「キョーコ、愛してるよ」
「…私もです」

恥ずかしそうに頬を染めるキョーコの唇に、蓮がキスを落とそうとしたその瞬間、ドーンと音を立ててベッドルームの扉が開いた。

「ひゃっ!」

びっくりしたキョーコが蓮に抱きついたままドアの方を見れば、そこには必死の表情をしたジュリエラとクーが立っていた。

「そんなの駄目よっ!!久遠っ!きちんとキョーコにエンゲージリングを贈りなさい!!」
「そうだぞっ久遠!ベビー用品にかまけてる場合じゃない!!今すぐジュエリーショップに駆けこめ!!!」

父さん、母さん!!今までの会話、全部聞いてたんですか!!

「やっぱりミキモト?定番のティファニー?それともピアジェにしておく?キョーコ、どこに行く?私も一緒に行ってあげるわ!選んであげる!!」
「ふえぇぇっ!ジュリママ、クーパパっ、いっいいんです!指輪なんてそんな。私、これで十分です」
「それとも今からここにジュエリーデザイナーを呼んじゃう?そうよ、スプーンのデザインもあるし、呼んじゃいましょう」
「母さん、落ち着いてよ」
「そうだな。ボスの知り合いのデザイナーを紹介してもらう!世界に1つしかない、ゴージャスなものが出来る筈だ。ボスに電話だ!!」
「あら、だったらついでに結婚会見の相談もしちゃいましょう!きっとびっくりするような素敵な結婚会見をプロデュースしてくれる筈よ!」

…全然コッチの言う事なんか聞いてないな。それなら…

「キョーコ、父さんたちはこのまま放って2人で出かけよう」
「えぇっ!今からですか!?」
「うん。俺が贈ろうとしたジュエリーショップにこれから2人で行こう。…もう1度作ってくださいって言うのは恥ずかしいし、物凄く情けないけど、俺がキョーコを想ってデザインを考えた指輪なんだ。それをキョーコにつけて欲しい」
「…はい」

キョーコは嬉しそうに蓮を見上げた。
そんなキョーコの頬に蓮はキスを落とした。


「こらーっ!久遠!!父さんたちを置いてどこに行くんだ!」
「キョーコ!ママも一緒に行くわよーーーっ」
「2人はおとなしく留守番しててください」
「えへへ。行ってきます」


キョーコからのプロポーズなんて、素敵な誕生日プレゼントをありがとう。
そして神様、もう一度キョーコにきちんとプロポーズできるチャンスをプレゼントしてくれてありがとう!!


雪が舞い降り出した街を、蓮はキョーコと手を繋いで歩き出した。




END.



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