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   啓示 後編   


バレンタインも過ぎてしまいましたが、バレンタイン話後編です。



なんだ~。キョーコちゃん、琴南さんに本命チョコを渡す気だったんだぁー。よかった~。
いやいや。キョーコちゃんが本気で泣いてるから、全く良くはないんだけど。
でも、もしもその『本命』チョコを、蓮じゃないそこらの馬の骨に渡す気だったら、闇の国の蓮さんのお出ましどころじゃ済まなかったよー。

社はほっと胸をなで下ろしてから蓮を見上げた。

うわぁ。蓮も凄くホッとしてる。ちょっとその顔はあからさま過ぎるでしょ。


「最上さん、こんなところに座り込んでたら危ないよ。立てる?」

蓮は座り込んでいるキョーコの腕を取って立ち上がらせようとするが、キョーコに立ち上がる気配が無い。

全然だめだな…立ち直れないくらいに傷ついてるのか。

「とりあえず楽屋に行こう?ね?」

自分の楽屋にキョーコを連れて行こうとする蓮を社は慌てて遮る。

「だだ駄目だ駄目だ!絶対に駄目!!お前の楽屋なんてチョコを渡そうとするタレントやら女優がお前の到着を待ち構えてるに決まってるだろ!そんなところに泣いてるキョーコちゃんを連れてってみろ。大変な騒ぎになるぞ!?想像しただけで恐ろしいよ!!」
「…分かりました。じゃあ社さん、先に行ってください」
「先に行けって、お前どうするつもりだよ?」
「最上さん、取りあえず立とう。ここじゃあ車が入ってくるし危ないよ。俺の車の中でひとまず落ち着こう?」
「れ、蓮?」
「ここは車が来るし危ない。楽屋にも行けない。だったらこれが最善でしょう。最上さんが落ち着いたらすぐに行きます。時間までには行きますから」
「う、うん…。蓮、お手柔らかにな?」

早く行けと視線で訴える蓮と泣きじゃくるキョーコを見比べながら、後ろ髪をひかれる想いで社はその場を去った。


キョーコを立たせた後、手を引っ張り何とか歩かせて、蓮は自分の車の助手席にキョーコを座らせた。

「最上さん、本当にごめんね。折角のチョコをこんな姿にしちゃって…」
「ひっく…つっ…敦賀さんのせいじゃないです…あのバカが…バカショーが投げたから…。偶々その上を敦賀さんの車が通過されただけです。どうぞお気になさらないでください」

いや、こんなに泣かれて気にならないわけが無いじゃないか。
『俺の楽屋に集まるチョコの中から好きなのを選んで琴南さんに渡したら?』なんて言ったら怒られるかな。
…人として怒られそうだから言わないでおこう。


「折角モー子さんと一緒に作ったのに…」
「…えっ!?」

鼻をチーンとかんで、少し落ち着いたキョーコがぽつりと零した一言を、蓮は聞き逃さなかった。

ちょと待て!!今最上さん何て言った!?
琴南さんに渡すつもりの本命チョコを琴南さんと作った…そんな訳ないだろう!!

やっぱりこのチョコは最上さんが想ってる男への本命チョコだったんだ!!!


蓮は悲しそうに俯いたままのキョーコを燃えるような瞳で凝視していた。


よりによって敦賀さんの…チョコを渡そうと思ってた人の車に踏み潰されるなんて、私には1ミリほどの運も無いんだわ。
義理でもノリとでも思われてもいいから渡したいなんて思った私がバカなのよ。
モー子さんに今年こそきちんとチョコを敦賀さんに渡しなさいって…。ドラマの撮影で忙しいくせに『チョコ作り、今年も一緒にしてあげるから』ってウジウジ悩んでた私の背中を押してくれたのに。


…もしかしてコレは神様からの啓示なんじゃないかしら?
こんな愛だとか恋だとか愚かしい事を考えたせいでとろけた脳みそを具現化したようなモノを、敦賀さんにお渡ししようなんて考えてたと知られたら…役者としてまだまだ駆け出しのくせに、チョコレート会社の仕掛けたお祭りに乗る暇があるのかってダメ息をつかれて…呆れた、底抜けに幻滅したって言われるんだわ!

そうよ。そうじゃなかったらわざわざ狙ったように敦賀さんの車に踏み潰されるわけが無いわ。
どうせ受け取ってもらえないんだから、はじめから無いものと思えって事なのね?
なるほど。突き返される前に渡すものを無くしてやろうという仏心…


「これ、俺がもらえる筈だった最上さんの本命チョコだったんだ…」
「ふへ?」

キョーコが思考の小部屋から勢いよく飛び出して周りを見渡せば、いつの間にか至近距離で、神々しい蕩ける様な笑顔を湛えて自分を見つめる蓮がいた。

「神様・仏様からの啓示が俺にも聞こえたよ」
「なっ!!!」

嘘でしょ!?私、ペロンと喋っちゃってた?

「ちち違うんです!!えっと、えっとですね」

キョーコが高速で目を泳がせながら言い訳を考えている間に、蓮はダッシュボードに置いていたボロボロの箱を手に取って、ヨレヨレのリボンを解きグシャグシャの包装紙をべりべりと開く。
中から現れた、キョーコが作ったシャンパントリュフをサンドした、潰れてぺちゃんこになった箱をペリリと剥がした。


うぅ…無残。


数分前まで綺麗なラッピングが施されていたチョコの変わり果てた姿に、ジワリとキョーコの眼に涙が再び溢れる。

「じゃあ、ありがたくいただくよ」
「ふぇえっ!!だっ駄目です!!潰れて見た目が最悪な上に車で踏まれてるんですよ?そんなの食べたらお腹壊しちゃいます!!」
「最上さんが俺に作ってくれた本命チョコを食べられるなら、それくらい何でもないよ」

蓮は笑って箱にへばりついている、トリュフの残骸を指で掬ってそのまま口に運んだ。

「うん…とっても美味しいよ」
「嘘です。そんな嘘をついてまで慰めないでください。惨めな気持ちになるだけです!」
「嘘じゃないよ。…嘘だと思うなら、最上さんも食べてみる?」
「え?」

蓮は指でチョコをかき集めて、そのままキョーコの口に指を差し入れた。

「ふっ…んっ…」
「ね?美味しいでしょ。…俺ももっと食べたいな?」

びっくりしたキョーコが反射的に後ろへ下がろうとするのを、蓮は大きな手のひらでキョーコの後頭部を支えながら引き寄せて、指を引き抜いたキョーコの唇が困惑の言葉を紡ぐ前に、頤を取ってキョーコにありったけの気持ちを込めてキスをした。

全てを食べつくすようなキスにキョーコの思考は真っ白になって、気が付けば蓮の背中に腕を回してギュッとジャケットを掴んでいた。


「ふぁ…敦賀さん…」
「チョコレート、ご馳走様。凄く美味しかったよ。それに最上さんも蕩けるように甘かった」
「…破廉恥です」
「うん。でもずっと片思いをしていた好きな子から本命チョコを貰ったら、舞い上がっても仕方が無いと思わない?」
「へ?」

今敦賀さん、何て言ったの!?片思い??敦賀さんが私に片思い?

「そんな…あり得ないです。敦賀さん、やっぱりチョコのせいでお腹じゃなくて頭が壊れたんじゃ…」
「俺、本気だよ?俺の頭ならずっと前から君に壊れっぱなしだよ」
「こここここっ!?」

キョーコの顔がゆでだこのように真っ赤になる。

「最上さんからの本命チョコなんて、俺以外の男が食べるなんて絶対に許さない。こうやって最上さんを味わうのも俺だけだって約束してくれる?」
「あっあじわう?ななな何を仰ってるんですかっ!」

キョーコは蓮の抱擁から必死に逃げ出そうとするけれど、蓮はキョーコを抱きしめる力を緩める気配はない。

「約束してくれるなら、車から出してあげる。約束してくれないなら、約束してくれるまでこうやって…」

蓮の口角が上がった唇がキョーコの唇を捉える寸前、キョーコは両手でそれを遮った。

「わわ分かりました!!お約束します!敦賀さんだけだって誓います!」
「…一生?」
「ふゎい!一生!」
「今日から?」
「もちろんであります!」
「じゃ、今から一生よろしくね?」
「こちらこそよろしくお願いしますですっ!」

必死に目を瞑って敬礼するキョーコの頬に、蓮はチュッと音をたててキスをした。

「ひゃ!!」
「最上さん、大好きだよ」


目を回しているキョーコを蓮は笑顔で抱きしめ続けた。



おしまい。



Comment
キョコさんの
隠し事が出来ないひとり言癖。良いときに出ましたね!!

蓮さんもう、トケトケ!(爆)

ついでにペロッと一生の誓いまで立てさせちゃった彼。今日から婚約者気取り間違いなし!(爆)

こちらも有り難く頂戴して帰ります。
楽しくも可愛いお話を有難うございました!!
Re: キョコさんの
魔人sei様

コメントありがとうございます!

キョーコちゃんは今夜アリクイの夢を見るんでしょうね。

「アリクイが一匹(去年)…アリクイが二匹(今年)…。二度目はナイ…うぴゃ---っ!!」
「なるほど、二度目は無いと言われながらアリクイの攻撃を防げなかったから私は敦賀さんとお付き合いするしかないのね!?」
的な?

こんなおバカ話で恐縮ですが、ご笑納くださいませー。

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