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   黒猫の希い 11   


こんにちは。ナーです。

おバカ封印の黒猫話です。いつまで封印できるか…。自分との闘いです。
11を書いてたら長くなってしまったので、少し短いですが切ってます。
短いので明日もアップします。



「缶詰か」
「敦賀さんレベルでもこの桃缶、やっぱり気になります?1缶で千円以上するって凄いですよねぇ」
「ラベルに猫の絵、ありませんか?」
「は?猫ですか?? 桃缶だけに、桃の絵ですねぇ……すっスミマセン!そんなにがっかりしないでください!!」


黒猫の希い 11


「うーん。何でも器用にこなす蓮に不得意なものがあったとはねぇ」
「本当に。敦賀さん面白すぎです。もう、腹筋がよじれそうです。…ぷっ」

グシャリ

「あぁっ握りつぶすなよ!琴南さんもお前のために手伝ってくれてるんだぞ?」
「いいえ、社さん。決して敦賀さんの為ではありません。これはラブミー部への依頼としてお受けしたまでです」

ラブミー部ね…。うちの社長に『愛の欠落者』って判定されたが最後、強制的に入部させられちゃうんだよねぇ。まぁ、まだ部員2名だけどさ。

そんなラブミー部の部室で、蓮は次の仕事までの時間を利用して、真剣に工作に取り組んでいた。

「ハイハイ。そうでした ……プププっ駄目だ。やっぱり笑っちゃうよ。なんか蓮のその残念加減、寧ろかわいいよ。そうだ、バラエティーでやってみないか?新しいファン層を獲得できるぞ?」
「やめてください。そんな仕事を獲って来たら、社さんとのパートナー関係もそこでお終いです」
「あはは。それは困るからやめとくよ。でも惜しいなぁ」
「はいはい。そんな軽口をたたいて喜んでないで手伝ってくださいよ」
「俺、結構上手いよ?きっとお前のプライド、ズタズタにして凹凹にしちゃうよ?」
「キョーコちゃんがこれを食べてくれさえすれば、俺のプライドなんてどうでも良いんです」

蓮の真剣な様子に、作業を手伝っている琴南 奏江が不思議そうに蓮を見た後、社に問いかけた。

「『キョーコちゃん』って、敦賀さんが殺人的なスケジュールをすり抜けて毎日のようにお見舞いに行っている子の事ですよね?」
「そうそう。俺も昨日初めて会ったんだけど、すっごく良い子だったよ」

食事に四苦八苦しながらも、社が話す蓮の普段の様子や食事事情を、楽しそうに聞いていたキョーコの笑顔を社は頭に浮かべて微笑んだ。

「笑顔がチャーミングで、とてもかわいい子だったよ」
「やっぱり社さんもそう思いますか」

それまで一心に作業に没頭していた蓮が、ガバリと顔を上げてニコニコと社を見つめる。

「まるで妹みたいな感じですよね。まぁ俺、1人っ子だからよく分からないですけどね」
「はぁ?蓮、何言ってんの?」
「何がですか?」

お前のファンが見たら全員が腰砕けになるような、あんなに蕩ける笑顔で愛しそうにキョーコちゃんの事を見ておきながら、妹だって?
今だって自分の恋人を褒められた彼氏のように自慢げに笑ってるくせに。
…そんな邪な感情を抱くお兄ちゃんなんて危険だよ。

蓮は、目を丸くしてじーっと自分を見つめる社に、怪訝そうに声をかけた。

「社さん、どうしたんですか?」
「…いや、なんでもない。何か面白いから、お前が自覚するまで放置しておくよ」
「ふぅん。さすがラブミー部員1号ね…。自覚ナシと。」
「あれ、琴南さんも分かっちゃったの?意外だなー。君だってラブミー部員2号なのにね?」
「私はそういったものをきちんと理解した上で、不要と位置付けているだけですから。敦賀さんとは全く性質が違います」
「はぁー。余計タチが悪いんじゃないの?どっちにしろ残念思考だよ」

愛を取り戻したらラブミー部から退部できるらしいけど、琴南さんは退部出来る気配が無いなぁ。でも。

社は蓮をじっと見つめる。

今まで女優やモデルからのお誘いも本気の告白も全てお断りしてきた蓮が、きっかけは何であれ1人の女の子に興味を持ったんだ。
…面白いなぁ。まだ芽を出したばっかりの恋心っぽいけど、どうなるんだろ。もしかして、ラブミー部を退部できちゃうのかな?
ま、とりあえずお兄ちゃんとしては見守っておくか。

「さっきから2人で何なんですか?俺にも分かるように説明してくださいよ」
「んー。説明なんて出来ないよ。自覚するまでまぁ頑張れよ」
「そうですね。社さん、面白そうだし2人で見守りましょう」

社と奏江はニマニマ笑いながら蓮の作業を手伝った。


**


「敦賀さん、出来もしない約束なんてしないでください!!」
「えっ?」

蓮はキョーコの病室に向かう途中、看護師の大原 愛理に呼び止められた。

「缶詰です。昨日キョーコちゃんが食べたいって言ってたの、あれは猫缶の事でしょう!?」
「ええ。猫の絵が描かれた缶詰と言ったら、猫の餌…猫缶でしょうね」


病院食を嫌々食べるキョーコが、食べたいものとして真っ先に挙げたものが猫缶だった。
そんなものを食べたいと言うキョーコが今まで置かれていた状況をどんなに好意的に想像しても、そこに幸せそうなキョーコが映る筈がなく、ただ胸が苦しくなるばかりだった。


「そんなものを持ってくるって本気で約束したそうじゃないですか。キョーコちゃん、凄く喜んじゃって、昨日の夕食からまともに食べてくれないんですよ?
『敦賀さんが持ってきてくれるから、これはいらない』って、見向きもしてくれません。ずっと石を眺めながら敦賀さんの事を待ってます」
「すみません。参ったな…」

蓮のせいでキョーコが食事を摂らないと怒られれば、蓮もひたすら謝るしかない。
困った様子で謝る蓮が右手に持つ、ガサガサと音をたてるビニール袋に目を止めて愛理は驚愕した。

「まさか本当に猫缶を持って来たの!?」
「いや、まさか。いくら彼女が望んだってそんなものを持って来るつもりなんてありませんよ。
でも、これなら食べてもらえるんじゃないかと思ったんですけどね…。大原さん、どう思います?」

袋の中の1つを手に取って愛理に見せると、その表情はそれまでの怒りから驚きに変わり、最後は笑顔になった。

「うふふ。きっとこれならキョーコちゃん、喜んで食べてくれますよ」
「そうだと良いんですが…。じゃあ俺、病室に行きます」


蓮はほっとした様子で笑って、足取り軽くキョーコの病室へと向かった。



続く



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