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   コングラッチェ 17   


黒猫より先にコッチがコロンと出て来たので、コングラです。
一番イタイのが、ショータロのおかんを京都の人設定のままにしているところ。
京言葉はおろか、関西弁だってわかりません。雰囲気…雰囲気ですー!!ごめんなさい!!


「お父さん、久しぶり。なかなか会いに来れなくてごめんね」

水桶や花束を抱えて辿りついた、最上家と彫られた墓石を前にキョーコは微笑んだ。


キョーコが生まれてまだ間もない頃に父親は他界した。だからキョーコは父親の事を何1つ覚えてはいない。

「キョーコちゃんのお父はん、弱い人を助ける正義感の強い弁護士だったんやで?そやさかいキョーコちゃんも困ってはる人がおったら助けてあげるんよ?」
「うん!!」

幼い頃、叔母にせがんでは話してもらった父の話と、残された写真だけがキョーコにとって父のすべてだった。


持って来た真っ白い雑巾を固く絞って、キョーコは墓石を磨き始めた。

「ごめんね、本当はお彼岸のうちに来られたら良かったんだけど…。可愛い娘の親不孝を許してね?」

墓参りに来られなかった半年間の出来事を、キョーコは父親に報告した。何故か自分が生徒会長をしている事、ショータローの悪事の数々、友達との学校生活などを取り留めもなく1人話し続けた。

「今年は大学受験だからキョーコも頑張るよ。私ね、薬学部を目指すつもりなんだ。だからお父さんとお母さんの後は継がないよ。…お母さんもきっと元気だと思うよ?便りの無いのが良い便りって言うんでしょ?だからきっと相変わらずバリバリ仕事をしてると思うよ?
…あとね、私……多分、好きな人が出来たよ?」

キョーコは慌てて墓石を離れて、草をむしり始めた。

私ったら突然何て事を報告してるのよ!お父さんもびっくりするじゃないの!!


…びっくりしてくれたかな?

キョーコはそろそろと振り返る。

……

先程と何も変わらない墓石を眺めて、キョーコは少し寂しそうに笑った。


お墓の周りを掃き清めた後、花を飾り、線香を点ててキョーコは手を合わせた。
時計を見れば、そろそろお昼という時間だった。

「そろそろお昼だね。お父さんの好きなお稲荷さん、ちゃんと持って来たよ?一緒に食べようね」

キョーコはゴソゴソとお弁当箱を広げて、形よく包んだ稲荷寿司を皿に取り墓前に供えた。

少し雲が出てきた空の下で、キョーコは時計を見ながら楽しそうにカウントダウンを開始する。

「5,4,3,2,1… いただきます!」

「いただきます」

「「「いただきます」」」


各々がそれぞれ違う場所で同じ時間に、キョーコが作ったお稲荷さんを前に手を合わせて、みんなが同じお稲荷さんを頬張った。


「これ刻んだ新生姜が刻んで入ってる。さっぱりしてて美味しいわ」
「こっちは胡麻と刻んだ沢庵だ。うーん。本当にもがっ…彼女、料理うまいんだなぁ」
「そうでしょう?本当に上手なんですよ」
「どうでもいいと言えばそれまでなんだけど、1つだけどうしても気になるんだけど…」
「何ですか?琴南先生」
「どうして稲荷寿司にウィンナーが添えられてるの?普通、生姜じゃない?」


**


昼食を食べ終えた後、キョーコが一息ついて見上げた空には先程より雲が多く浮かんでいるように感じた。
さて、じゃあ帰ろうかな……アパートに。

「…本当は1人でアパートに居るのが心細い時もあるんだけどね…。でも大丈夫!お父さんが見守ってくれてるものね!」

空になったお弁当箱をバッグに入れて帰り支度を済ませた後、もう一度墓前に手を合わせた。

「じゃ、またね」

キョーコは墓地を後にした。


**


「どうだ、蓮。この後軽く食事に行かないか?」

仕事が終わり、蓮と社は連れだって校舎から駐車場へと向かっていた。

「すみません社先生。今日はこの後、彼女と待ち合わせしてるんです」
「ええっ?デート!?」
「残念ながらデートじゃないです。妹も一緒です。うっかり彼女と食事をするって話したら、アイツも彼女に会いたいって言いだして…」

なかなか2人にさせてくれないんです。と情けなさそうに笑う蓮の話を、社は驚いた様子でじっと聞いていた。

「ふーん。そっか、仲良くやってるんだなぁ」
「ええ。仲良くやってますよ?早く正式に彼女になって貰えるといいんですけどね」
「いや、ちおちゃんとお前だよ」
「え?千織ですか!?」

社の笑顔に蓮は面食らった。

「ちおちゃん、少し前までお前の事が大嫌いだったろう?思春期ってのもあるだろうけど、お前の存在を認めないって言うか、居ないものとして扱ってたじゃないか」
「そうですね。適当に生きていた俺に愛想を尽かしていたんでしょうね。親の離婚もあって元々ひねた性格が更にひねましたし。まぁ今もひねてますけど」

蓮は千織がつけていた日記を興味本位で読んだ時の事を思い出して身震いした。
そこには蓮への罵詈雑言、蓮の彼女から受けた嫌がらせとその報復が延々と書かれていた。

アイツ、俺に見せるためにわざと出しっ放しにしてたよな。おかげでDeath Not○より恐ろしいものを目にしたよ。
…本当に怖い奴だよ。

「それが、彼女に一目惚れしてからは話すようになったし、今ではどんな心境の変化なのかサポートまでしてくれてます」
「まあ兄妹仲良くなって良かったよ。それじゃ、ちおちゃんにも宜しくな?あ、それと彼女にお昼ご馳走様って伝えてくれよ!」

社は蓮に笑顔で手を振って自分の愛車に乗り込んだ。


**


「ご馳走様でした!あのお店のハンバーグ、噂通りとっても美味しかったです!!」
「喜んでもらえてよかった。でも俺としては最上さんのお弁当の方が美味しいと思うけどね?」
「またご冗談を…」
「本当よ。今日の稲荷寿司も美味しかったわ。1週間ぶりにキョーコさんの手料理を食べたけど、本当に美味しかったわ。そぼろと一緒に入ってたの、あれ何?」
「あれは筍よ。えへへ。美味しいって言ってもらえて良かった!」

蓮の運転でキョーコを家へと送っていく車中、3人は他愛のない話をしていた。

「それにしても凄い嵐だったね。店に入ってから降り出してくれて良かったよ」
「雷まで鳴るなんて、春の嵐でしたね。午後になって、少し雲が多くなってきたなぁって思う程度だったのに、本当に急でしたね」


キョーコの家が近づくにつれて、車の渋滞が徐々に酷くなる。

「何かあったのかな?」
「本当ね。車より歩いたほうが早いんじゃない?お兄ちゃん、そこら辺のコンビニの駐車場にでも車を停めて歩こうよ」
「えぇっ!いいよ。1人で帰れるって。先生、ここで降ろしてください」

慌てて車から降りようとするキョーコを見て、千織がため息をついた。

「お兄ちゃんがキョーコさんを1人で帰らせると思うの?諦めて送らせてあげたら?そう言えばバイト先のファミレスにも通ったらしいじゃない。夜までシフト入ってるらしいって言ったら、1人で夜道を帰らせるなんて危険すぎるって凄く焦ってたのよ?」
「千織、そろそろ黙ってくれたら帰りにアイス買ってやるぞ?」
「はーい。あ、ロー○ンだ。あそこに車突っ込んじゃおうよ。戻ったらついでにアイスも買えるし」

先生、ご飯は口実で私の事を心配してお店に通ってくれてたんだ…

「…お手間をおかけいたします」
「最上さん、手間だなんて思ってないから」

目を細めて笑いかける蓮に、キョーコは真っ赤になって慌てて俯いた。


受験勉強ははかどっているか、いつ教科書を買いに行こうか、そんな他愛のない話をしながら3人がキョーコのアパートの手前の角を曲がった所に、赤いパトランプを回した車両が複数台停まっていた。

「何?消防車と警察車両がこんなにいるなんて変じゃない?」
「火事とかあったのかなぁ」

不安そうに眉を寄せるキョーコの手を、蓮と千織が両脇からギュッと握った。

「大丈夫だよ。焼け焦げた匂いは漂ってないし、火事じゃないよ」
「えー。じゃあ何よ?」
「さぁ、何だろうね。でも、最上さんのアパートじゃないんじゃない?まだ先だし…」

パトランプが回る車両のその先をソロソロと覗き込んで、目に映った光景に3人の足が止まる。

「車が…ひっくり返ってるわね…」
「ふへ? あっちには物置が家に突き刺さってる!?」
「これは…竜巻が発生したようだね……もっ最上さん!」
「ぎゃっ!キキキョーコさんのアッアパートがっ」
「おうちの…アパートの屋根が無ーーーーい!!!!」



つづく。




高校時代じゃないですが、職場の先輩の実話です。(竜巻じゃなくて、台風でしたが。)
夜中にミシミシうるさくて布団を被って寝たそうです。起きたら天井が無くて、台風一過の青空が開けていたそうです。
アパート仰天話、使えそうなネタがあと2つあるんですよね。



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