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   黒猫の希い 15   


こんにちは。ナーでございます。
こんな書き出しでゴメンナサイ。。
一応本題にはおバカ持ち出してないので許してちょんまげ。


「ほほう。」

日本の王子様って金ぴかの衣装で白馬に乗っているけど、随分年寄りなのねぇ。あ、そうか。日本は高齢化社会だったものね。これくらい普通なのかもね。
それにしても王子様とその側近はこんな髪型にしないといけないの?…不憫だわ。

ヒヒーン!
暴○○坊将軍
ちゃちゃちゃーん ちゃーちゃーちゃーちゃーん


黒猫の希い 15


キョーコの1日は、コーンと蓮で形成されていた。

朝、起床してから朝食の間に、蓮が持って来た缶詰の中からお気に入りの猫を3匹見つけ出す。毎食後、丁寧に剥がしておいた猫の絵を使ってスクラップノートを書き上げる。
昼間、太陽が出ている時間は中庭のベンチでコーンを陽にかざして、飽きることなく眺め続け、それ以外の時間はテレビを見て過ごした。

愛理に教えてもらった、蓮が出演しているドラマやその再放送の時間以外、人混みや街の様子が流れれば、キョーコはその映像を食い入るように見つめて、その中にコーンの姿を探した。


「いたっ」

テレビに釘付けとなっていたキョーコは、急に眉間を弾かれたような痛みに襲われて涙目で眉間をさすった。

痛い…何だろう、頭痛かな。

「あうっ」

今度は後頭部からグッと前に弾かれるように押されて、首が前に倒れる。

慌ててキョロキョロと周りを見回しても、病室には誰もいない。

「なんなのー!」

何だか誰かに悪戯されてるみたいじゃない。しかも子供のような。この部屋には私しかいない筈なのに、一体どうして?

腕を組んで首を捻りうんうん考えているうちにキョーコは、はたとある可能性に気づいた。

「まさか…ショーなの?」

やっと分かったかとばかりに、キョーコは頭をガシガシ撫でられた。

「そうなんだ!ショー、元気だった?」

キョーコはどこにいるか分からない、姿の見えないショーに話しかけた。

「そっか…。もうショーのこと、私は見えないし話も出来ないのね。…私、本当に死神じゃなくなっちゃったんだねぇ」

シン…

沈黙が病室を支配した後、もう一度キョーコの頭はサワリと一撫でされた。

「ふふ。…なんだか面白いね。ショー、元気だった?相変わらず忙しいの?あ、これから仕事?病院なんて一番よく来る場所だったもんね」
「ねぇキョーコちゃん、誰とお話してるの…かな?」
「フギャッ!!」

急に声をかけられたキョーコはビクリと体を震わせて、声のする方を恐る恐る見ると、ひきつった笑顔を貼りつかせた愛理が、点滴パックを持って病室の入り口に立っていた。

「あっ愛理ちゃん…」

どうしようどうしようどうしよう…愛理ちゃんに見られた!!

まさかショーと…『死神と話してました』なんて言えないよ。言っても信じてもらえないだろうし、信じてもらえたって、どうしたらいいのよ!!

冷や汗を背中に這わせながら、キョーコは必死に言い訳を探した。


「えと…妖精さんと話してた…のよ?」


苦しい。我ながら苦しすぎるわ!!!
妖精なんて居るわけが無いじゃないの!お迎えに行った事もお目にかかった事さえ無いわよ!

ミシリ

部屋にあるソファが音を立てて軋んだ。

むーっ!ショー、絶対そこのソファで笑い転げてるわね!?アンタと話してたせいでこんなに苦しい状況に陥ってるって言うのにぃーっ


「キョーコちゃん、それはいつから聞こえるのかな?もしかして、怪我から目覚めた後から…とか?」
「うーん、どうだったかな…えへへ」


午後、キョーコの脳波検査とMRI検査が急きょ追加された。


**


「キョーコちゃん、君は妖精と話しが出来るんだって?」
「うぅっ。蓮、どうしてそれを知ってるの?」
「さっき黒崎先生に偶然会って、スクープだって教えてくれたんだよ」

蓮はベッド脇に置いたパイプ椅子に座って、キョーコの困った顔を見てくすくす笑った。

きっと蓮も黒崎先生と同じように私をバカにするつもりなのね?昔読んだアンデルセン童話のお姫様の話をしたら、黒崎先生なんて大爆笑してたもの。
仕方が無いじゃないの。『人間に悪戯をする見えない存在』って何か、思いっきり脳をフル回転させて咄嗟に出てきた言葉が『妖精』だったんだから!

誰と話していたかなんて、本当の事を言える訳が無いもの。まさかショーと…死神と話してたなんて言える訳ない。

例え信じてくれたとしても、それがどうしたって言うのよ。…その後の方がよっぽど恐ろしいわ。

どうして死神と話ができるのかって聞かれて、『私、実は死神でした』なんて告白したら、どんなに優しい蓮だって、絶対に私の事を嫌うわ。
迎えに行った人達が私を見つめたのと同じ視線を受け止められる自信なんて無い。……恐怖と嫌悪や怒りの入り混じった視線で蓮や黒崎先生から見られたくない!!

ギュッと苦しそうに目を瞑るキョーコに、蓮は慌てて謝る。

「ごめん!キョーコちゃんがあんまり可愛いから…その、メルヘン世界を馬鹿にした訳じゃないんだよ。本当にごめん」
「…メルヘン?」

そっと目を開けると、蓮が優しく笑いかけていた。

「あ、うん…いいの。…妖精は、私としかお喋りできないって分かってるの。そう!妖精は私の妄想だから。だからね、私の脳波を見ても何も出て来たりしないわよ?」
「プっ…そうだったみたいだね」

キョーコが幼い頃のままなのだと思うと、蓮は嬉しくて仕方が無かった。
コーンとしてキョーコと一緒に河原で屈託なく遊んだ頃の自分を、姿形まで全てを捨ててしまった今の蓮にとって、無垢なままのキョーコが大切でならなかった。


「そうだ、キョーコちゃんの退院が決まったよ」
「退院?…そっか」

どうしよう…。ここを出た後、私は一体どうしたらいいんだろう。コーンを探すつもりだったけど、実際どうやって探せばいいの?
…どうやって生きて行けばいいんだろう?


考え込むキョーコの手を取って、蓮は言い含めるように、穏やかに話し始めた。

「ねぇキョーコちゃん。この前会った俺の社長を覚えているよね?」
「うん。真っ白いスーツの人よね?」

それがどうしたのか、とキョーコは首を傾げて蓮を見つめた。

「退院したら、社長の家に来ないかって言ってくれてるんだ。社長の家ならいつも誰かがいてキョーコちゃんを助けてくれる。だから何も心配せずに傷を治せると思うんだ。それに琴南さんが…ほら、缶詰の猫に色を塗ってくれた人がキョーコちゃんに付いていてくれる」
「…」
「キョーコちゃん?」
「…そこに蓮はいないの?退院したらお別れなのかな…」

キョーコは心配そうに蓮を見つめ、早くも目には涙が零れ落ちそうなほど溜っていた。

「大丈夫!なるべく会いに行くよ。今みたいに夜中に会いに行くのは無理だけど…それでもできるだけ会いに行く。それにキョーコちゃんが1人でも困らないくらいに回復したら、俺の家に来ればいい。だから早く良くなってよ」
「え?蓮の家!?」

キョーコが驚いた拍子にぱちりと瞬きをすると、溜っていた涙がぽろりと零れた。

「うん、俺の家。キョーコちゃん、嫌?」

蓮はキョーコの頬に両手を添えて、親指でそっと涙を拭う。

「ううんっ嫌じゃないよ!蓮のこと、キョーコ好きだもん」
「…ありがとう。本当は退院したらすぐに俺の家に連れて帰りたいんだけどね…」

本当だよ?いつだって君の笑顔を見ていたいんだ。だからそんな顔しないでよ。…心配でこの手を離せなくなってしまうじゃないか。

「でも…社長さんの家もだけど、迷惑じゃない?私みたいなのが転がり込んだら…」

そうよ、私みたいなのが家に上がりこんだだけで不吉だって思われるかもしれない。今すぐ出て行けって言われるかもしれない。
…蓮だって私に優しくしたことをきっと後悔するよ。

不安そうに眉を下げて自分から顔を反らしたキョーコを、蓮は堪らず広い胸に包み込んだ。

「ちっとも迷惑なんかじゃないよ!キョーコちゃんがそばに居てくれればそれでいいんだ。だから早く傷を癒してよ。ね?」
「…ほんとに良いの?」

君を見守りたいんだ。君が幸せに笑ってくれるのを俺は見ていたいんだよ。

「良いに決まっている。大丈夫。キョーコちゃんの事は俺が守るから、安心していいんだよ」
「……蓮、ありがとう」


ねぇコーン。コーンの事を守りたいって思っていた私を、今は蓮が守るって言ってくれてるよ?
コーンは私に幸せな時間をくれたの。だから何が何でも、コーンだけは守りたいと思ったの。

…蓮に守ってもらえるほどの何かを、私は蓮にしてあげられるのかな?


ねぇ、コーン。どう思う?



続く



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