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   ユメマボロシ 5   


コングラより夢話の方が先にできたので、こちらを先にアップします。
規則性の全くないブログですんません。


朝、目覚めた蓮は自分の腕の中に天使がいないことを確認して苦笑した。

やっぱり夢か。天使と結婚の約束までするなんて、重症化してるな…。
本当にキョーコちゃんを抱きしめて目覚めることが出来たら…この世は何て幸せな夢の世界なのだろう。

蓮は苦笑しながらムクリとベッドから起き上がり、シャワーを浴びようとベッドルームの扉を開けたところでふと動きを止めた。

いつもより空気が軽い?何ていうか…明るい感じと言ったらいいのか…。
見慣れたリビングのはずなのに、なんだかいつもと違う?

窓の方を見ると、掛かっているはずのカーテンがレールから外されていて、窓からは朝日がさんさんと注がれている。

昨日は帰って来たのが真夜中だったから、カーテンが無い事に気が付かなかったのか?ハウスキーパーがクリーニングにでも出したのかもしれないな。

窓に気を取られたまま蓮は一歩を踏み出すと、ラグとは違う何かを踏みつけた感触に驚いた。
踏みつけたものを手に取ると、それは畳まれたミントグリーンの布で、何かを切り出したように大きな穴がポコポコと空いている。

これは…掛かっていたカーテンじゃないか。どうしてこんなものがここに?それにこの穴は一体何だ?

蓮は不思議に思いながらもバスルームへ歩みを進める。すると、トントンとリズムよく包丁が何かを刻む音と、食欲中枢を刺激するいい匂いがキッチンから漂ってくる。
眉を顰めながらそっとキッチンを覗くと、そこには今まさに目にしたミントグリーンと同じ色のワンピースを着た栗色の髪の少女が、鼻歌を歌いながら包丁を握っていた。

蓮の気配に気が付いた少女は、顔を上げて振り返りると花のような笑顔で蓮に笑いかけた。

「おはようございます。そろそろ起こそうと思ってたんですよ?」
「…誰?」
「何を言ってるんですか。早く顔を洗って下さい。マネージャーさんがお迎えに来ちゃいますよ?」
「君、天使のキョーコちゃん…だよね?」

俺の夢に現れた…

「はい。元・天使のキョーコです!」

蓮はキッチンの入り口にもたれ掛って腕組みをしながら、キョーコの笑顔にトロトロに蕩けた笑顔を返す。

…あぁ、まだ俺は夢を見ているんだな。朝起きてもキョーコちゃんがいてくれて、俺に笑いかけてくれる夢。
目が醒めても君がいてくれたらどんなに幸せだろうってずっと思っていたからな。とうとう願望が叶う夢を見ちゃったか。
うん…。フリルのエプロン姿のキョーコちゃんも可愛いな…。出来ればワンピースじゃなくて裸にエプロンで…じゃなくて!

「ちょっと待て!!夢じゃない!?」
「まだ寝ぼけてらっしゃるんですか?早く身支度を整えてください。朝ご飯ももうすぐ出来ますから」
「朝ご飯って…だって食材は?」

蓮はキョーコにギッと睨まれ、冷蔵庫にアルコールと水しか入ってなかった事を責められた。

「本当にびっくりしましたよ。調味料はおろか食べられるものが何ひとつ入ってないんですから。どうやってそのおっきな体を維持しているのか、本当に不思議です。
朝ご飯をどうしようかと困っていたら、見かねたタイショウが餞別にって食材を持って来て下さいました。奥様やみんなで丹精込めて作ったものです。とても美味しいんですよ」

ほら、とキョーコが冷蔵庫を開けると、そこには新鮮な葉物野菜や果物が詰め込まれている。

「牛乳は、私の友達のモー子さんのおうちの牛乳ですし、卵は私がお世話していた鶏の坊ちゃんが、お別れにって特別にポコポコと1ダースも産んでくれました。
とびっきりの食材だから、とびっきりの朝ご飯を作って、それを久遠さんに食べてもらいたいんです」

キョーコはニッコリと蓮を見上げた。

「…本当にキョーコちゃんなの?」
「本当も何も無いと思いますが?」
「ちょっと待って。あれは全部、本当に夢じゃなかったの?」

嘘だろ?
本当に現実だったなんて信じられない。頭がついて行かないよ。

…まさか…まさかリックからの伝言も真実だとでも言うのか!?

「…久遠さん?」

驚愕した様子で固まった蓮を、キョーコは小首を傾げて不安そうに見上げた。

それに俺はこの子とどんな約束をした?何を願った!?
俺の傍にいて欲しいと…この子の気持ちも聞かずに、俺は何て身勝手な願いを口にしたんだ!!

「久遠さん、どこか具合でも悪いんですか?もしかして熱があるとか…」

キョーコが心配そうに蓮に近寄りそっと顔へと腕を伸ばすと、キョーコのほっそりとした白い指が額に触れる寸前、蓮は半歩後ずさった。


その瞬間、キョーコの指はピクリと揺れてて動きを止めた。

そして少しの間、宙を彷徨って…行き場を失った腕をゆっくりと下ろした。


「…熱は無いから…その…ごめん。ちょっと混乱しているだけだから。ずっと夢だと思っていたことが現実で…本当にキョーコちゃんがここにいて…」

ちょっとどころか混乱の坩堝だよ。この状況を俺はどうしたらいいんだ!
どうやったら落ち着けるって言うんだ?

「…そうでしたか…。久遠さん、ずーっと私のことを夢の中の住人だと思ってたんですね…あはは。そうですか…」

キョーコの乾いた笑いに、我に返った蓮が慌ててキョーコの顔を窺えば、うな垂れて足元を見つめていた。

睫毛を伏せたキョーコの表情は哀しそうに見えた。


久遠さんの嘘つき。本気だって…神に誓うって言ったくせに。

…ううん…私ったら駄目ね。久遠さんが悪いんじゃなくて、私が悪いのに。
私の説明が下手だから、久遠さんがあれは全部夢だったって…現実だって信じてくれなかっただけなのに。
それなのに久遠さんを悪く言うなんて。本当に私ったらダメダメね。やっぱり私は天使失格なんだわ。

だから…

「キョーコちゃん?」

思いつめたような様子のキョーコに、心配になった蓮が声をかけた。

「…主に暇(いとま)を乞いに行ったら、久遠さんがそんな事を願うなんて、寝ぼけてるだけか、お前はからかわれたのだと笑って仰っていました。…1つ目の願い事はまだしも、2つ目は有り得ないって…。
からかわれている事にも気がつかないなんて、本当に私って馬鹿ですね」
「違うよ!俺はキョーコちゃんをからかってなんかない!!」
「そうですか。でも久遠さんが寝ぼけてらっしゃったのを気付かないなんて…やっぱり私はおっちょこちょいですね」

キョーコは俯いたままハーッと大きく息をついてから、ゆっくりと蓮を見上げた。その顔は笑顔に戻っていた。

無理くり作ったその笑顔に、蓮は無言で首を振る。

違う違う!!キョーコちゃんにそんな顔をさせたいんじゃない!!
俺は何をやってるんだ!!


「じゃ、そういうことで。残りの願い事は別の者が伺いに参りますから、今度こそきちんと考えておいてくださいね?」

ペコリと勢いよく頭を下げると、キョーコは蓮の横をすり抜けてエプロンを外しながら猛然と玄関へと走り出した。

「待って!!」

嘘だろ!?

蓮は考える余裕もなく必死にキョーコの後を追った。玄関を飛び出す寸前、ガシリとキョーコの腕を掴んだ。
その腕は細くそれでも温かくて、キョーコが今この瞬間、現実に居るという事を蓮に実感させた。

「やだ!離してっ!」
「嫌だ。離したら君は消えてしまうんだろ?」
「だって…だって久遠さんはそれをお望みでしょう!?主も仰ってました。絶対に夢から醒めた久遠さんは私が居ることに困惑するって!お前の存在など疎ましがられるだけだって!!…もうやだよ……ひっく…」
「キョーコちゃんっ」
「帰る!おうちに帰るーーーっ! …… うわーーーん!!」

それまで我慢していた涙がブワッと堰を切ったように一気に溢れ出して、キョーコは泣きじゃくる。

「帰ったらもう戻って来てはくれないんだろ?もう会えないなんて絶対に嫌だよ!」
「何を言ってるんですか。ずっと一緒にいるのは嫌なくせに、また会いたいなんて!まるで私が久遠さんにとって都合のいい女みたいじゃないですか。
昨夜は私の事をケーコって言ったくせに、あなたこそ軽薄のカルオです!カルオのバカーーッ!!」

もう嫌ですっ。私ったら久遠さんに遊ばれていたのです。もてあそばれたのです!
嫁入り前の身でありながら、私は毎日毎日久遠さんに夜這いを致しました。久遠さんに巻き付かれながら眠りました。

…それを少しでもあったかくて、心地いいなんて思ってしまっていたなんて…
本当に私は馬鹿女です!!

主よ、主の仰った通りの結果となってしまいました。1日も経たずに三行半を叩きつけられました!!

「もう離してったら!」
「絶対に嫌だっ!」

痛いほどに掴まれた腕をぐっと引き寄せられて、蓮にぎゅっと抱きすくめられたキョーコはじたばたと暴れる。

「バカバカ久遠さんのバカーっ!!」
「ごめん。キョーコちゃんが俺を許してくれるまで何度でも謝るから。何でもするから。だから帰らないで。絶対に離したくないんだ。お願いだから俺の傍に居て」
「だって「もうキョーコちゃんの口から否定の言葉は聞きたくない…」

蓮はキョーコの唇を自分の唇で塞いだ。

「んーーーっ」

ジタバタと暴れるキョーコを蓮は両手で抱きしめてその唇を貪り続けると、段々とキョーコの抵抗は弱くなり、最後はくたりと蓮に寄り掛かるように身を預けた。

「キョーコちゃん…キョーコちゃん…本当に本物のキョーコちゃんなんだ…」

どうしよう…恋い焦がれた君に触れることが出来るなんて…
甘くて柔らかくて…今すぐにでも全部食べてしまいたいよ。

「もっとキスしたい…もっともっと…もっと君がここに居ることを…俺の腕の中にいる事を実感させて」
「久遠さん…本当に、ほんっとーに、ここは夢の中ではないのですよ?分かってるんですか?」


リック…ごめん。立ち止まったり後ろを振り返っている時間は俺にはもう無いらしいよ。
俺の足元を照らしてくれると言ったのに、その灯りは全速力で前に進んで行くんだ。
必死に追いかけないと逃げて行ってしまう。…逃がしたくないって思えたんだよ。この子だけは絶対に。

「分かってる…いや、分かったんだ」

蓮は想いを込めてキョーコに口づけをした。



続く




ヒロインがカーテンでワンピース作っちゃうディズニーの実写映画、大好きなんですよね。
ヒロインを追って現実世界にやって来る王子様の憎めないお間抜け感とか、あのハチャメチャっぷり。
見た後、凄く幸せな気分になる映画で大好きです。



Comment
中途半端なコメントすみませんでした
以前送ったのが拍手からのコメントだったので、自分で取り消してしまったようです。

神様にお願いするきょこちゃん、
一生懸命過ぎて椹さんや、いつぞやのタクシーの運ちゃんのように詰め寄ったのかなぁ〜と想像してしまいました。

ほんわかなお話、癒されます。

コングラも大好きです、屋根の実話はお気の毒ですが、昔の大きくない台風や雨の災害の被害は家も今ほど丈夫じゃなかったので、今では起こらないような事も多々あった気がします、遠い昔を思い出しました(笑)
お気になさらず!!
ケロ様。

気にしないでくださいね。
私も書いてる途中で送信とか、送信エラーとかよくなります。ガックリしちゃいますよね。

天使のキョーコちゃん、きっと鬼の形相で詰め寄ってます。その辺りは次で書けたらいいのですが。
なんせ文章力が…。
ホンワカしていただけてよかったです。夢話はあともう少しお付き合いください。

コングラの屋根吹っ飛びは、本人はネタにして話してました。笑うしかないですよね。
その人が学生の頃だから、20年以上前のボロアパートです…うん、飛んでもおかしくないですね!
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