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   ユメマボロシ 6   


夢話、次でラストのはずです。
やっぱりドタバタは書いてて楽しいです。


「蓮君、どうして君はそんなにも早く家に帰りたがっているのかな?そんなに朝の続きを致したいのか?」
「……社さん、何か言いましたか?」
「何でもない」
「そうですよね?ちょっと口を閉じていてください。少し飛ばしますから、喋ると舌を噛みますよ?」
「ヒッ…蓮君っ!首都高にも法定速度ってものがあるんだよーーっ!!」


本当に今朝はびっくりしたよ。敦賀蓮とは思えないまさかの出来事だったよ…

何度インターホンを押しても、鳴らし続けるスマホにも出ない蓮にヤキモキした社が、緊急時用にと預かっていた合鍵でエントランスを開けた。
エレベーターの中でも時計を見ながらスマホをかけ続けた社が最上階に着いたエレベーターから飛び出ると、そのフロアに1つしかない玄関のドアが開いている。

訝しみながらも、社が玄関の中を覗くと…

「ふぎゃ!!れっ蓮!?」

大男が上半身裸で玄関先の廊下に転がってるんだから、とうとう蓮が過労で倒れたのかと思ってテンパったよ。
一瞬頭の中が真っ白になって。それなのに…


「んっ…ぃやぁ…」


甘ったるい声に踏み出そうとしていた足が竦んだよ。
倒れた蓮の頭も喉もおかしくなって、女の子みたいな声を出したのかって……思う訳が無いだろう?
声の主の、たくし上げられたミントグリーンのワンピースから突き出たほっそりとした白い脚が目に入った瞬間…

「About turn!」
「えっえっ??」
「社さんっ回れ右っ!!」
「ひゃいっ!」

蓮の尖った声に、本当に回れ右をしたよ。
…覚えてるもんだなぁ。高校を卒業して以来「回れ右」なんてやった記憶ないけど、自分でも綺麗な「回れ右」だったと思うよ。

その後はバタバタと蓮が女の子をどこかに連れて行く物音しか聞いてないけど…焦ったよ。

本当に気まずいよ。こんな事ならエントランスの外からインターホンを鳴らし続ければよかった。
でも、きっとインターホンなんて無視されたんだろうな…。
どうして玄関先で…って言うか、どうして玄関を開けたままだったんだよ!せめて玄関が閉まっててくれればーーっ!!


…だって仕方が無いじゃないか。

部屋から出る寸前でキョーコちゃんを必死に捕まえた後、無理矢理キスしたキョーコちゃんの表情と仕草に…頬をうっすらと染めて俺に身を預けてくれて。
理性とか頭のネジとか、諸々を一気に吹き飛ばされるには充分過ぎる威力だったよ。

社さんが来なかったら、俺はあのままあの場所でキョーコちゃんを…。
朝は恨めしい気持ちでいっぱいだったけど、玄関先で最後まで及ばなくてよかった。
あんな所で、きちんと話をしないまま抱いていたら、それこそどんな結末になっていたか…


「ゴメン、キョーコちゃん。仕事の迎えが来ちゃった」
「……」

蓮に抱き上げられて、社から宝物を隠すように素早くベッドルームに運ばれたキョーコは、そこでやっと自分が蓮のなすがままになっていたことを自覚した。
真っ赤になって恥ずかしそうに乱れた服を直すキョーコを、蓮は抱きしめたい衝動に駆られた。

「すぐに戻る。…昼過ぎには戻るから。だから、帰ったらキョーコちゃんが作ってくれた朝ご飯を食べさせて。ね?」
「…朝ご飯じゃなくてお昼ご飯じゃないですか」
「うん。でもとっておきの食材で、とっておきのご飯を、俺の為に…俺にとって、とっておきのキョーコちゃんが作ってくれたんでしょ?残さず食べるから。だから待っていて」

お願いだから、帰らないで。どこにも行かないで。

「……はい」
「良かった…。じゃ、社さんが居るから、俺達が出かけるまでここに居て。今はちょっと気まずいでしょ?今度ゆっくり紹介するから」

それだけ言うと蓮はキョーコの頬にキスをして、『行ってきます』と声をかけて寝室を出て行った。


キョーコちゃん、本当に待っていてくれているだろうか。
俺が仕事をしている間にキョーコちゃんが家に帰っていたら、それこそあのままヤッ…愛し尽くして、腰も立たない状態にしておけばよかったなんて後悔する羽目になるぞ?

社さんからキョーコちゃんを隠そうとして、慌てて抱き上げた時なんてキョーコちゃん、頬を上気させて夢うつつって表情で…。
仕事を忘れてそのままベッドで…って本気で考えたよ。


蓮が気持ち悪い。
笑ってみたり難しい顔をしてみたり…うわ、今度はニヤニヤ笑ってるよ。絶対に今、朝の椿事を思い返してるんだ!!
蓮君、俺はもう君のことを紳士だなんて欠片も思わないよ!!



**


「キョーコちゃん!!」

仕事を終えた蓮が急いで自宅に戻り、部屋にいる筈のキョーコを求めてリビングに飛び込んだ。


「お帰りなさい。」
「……えっと…誰?」

勢いよく踏み込んだリビングには、ソファで寛ぐ黒髪の少女と、その脇にちんまりと座っていそいそと紅茶を注ぐキョーコがいた。

蓮を見上げるキョーコの顔が、ぼぼぼっと音を立てて真っ赤に染まる。

「おっおかえりなさいましぇっ!」
「キョーコちゃん、ただいま。…こちらはキョーコちゃんの知り合い?」

挙動不審ながらもキョーコが蓮の家にいてくれた事に蓮は安堵したが、キョーコが寄り添う見知らぬ少女に別の不安を覚える。

黒髪の美少女は腕組みをして、値踏みするような視線を蓮に無遠慮に投げつけていた。

「えと、こちらはモー子さんです。あ、牛乳をいただいたおうちの天使です」
「あぁ、モーモー牛乳の…」

朝、キョーコが実在すること動揺していた蓮は、キョーコの話を半分も聞いていなかった。

「なによっモーモー牛乳って!それにあんたも何回言えば分るのよっ!私の名前はカナエよっ!モーーッ!」
「モー子さんごめんなさいぃ~怒らないでぇ~」

あぁ、この子はキョーコちゃんの友達か。また随分と違うタイプの天使みたいだ。
人を導くって言うより、尻を叩くって感じかな?

くすりと笑う蓮をジロリと睨んで、カナエは蓮に話しかけた。

「久遠さん。私、あなたに話があって来たの。ちょっとそこにお座りなさい」
「…何でしょう?」
「良いから早く座るっ!私、こう見えて凄く忙しいのよ!!」
「忙しいって…やっぱりキョーコちゃんみたいに迷える子羊を君も抱えてるの?」
「そんなものいやしないわよ!迷走するバカ天使のお守りに忙しくて、子羊の面倒なんて見ている余裕無かったわよ!」

キョーコを見ながらカナエは捲し立てた。

「人の事をバカだなんて、モー子さん酷いよぉー」

キョーコちゃん、君は今朝、俺の事をバカって連呼していたよ?

「うるさいわね。この後帰ってから洗濯だって山ほど片付けなきゃいけないのよ!久遠さん、単刀直入に聞くけど、あなたキョーコの事どうするつもりなの?本当に結婚する気あるの?無いの?」
「えっ…」
「無いのね?」
「ちょっ「ふっーっだから言ったじゃない!本当にあんたは馬鹿なんだから!!」

ちょっと待ってよ。答える間も与えてくれないなんて、俺に最初から発言権は無いの?

「『久遠さんの家に食べられるものが何一つ無い!』って真っ青な顔をして帰ってきて。仕方が無いから牛乳を搾ってあげている間に、この子ったら鶏を締め上げてたのよ?悪徳ブローカーのような悪い顔して、『産まない子なんて、明日には美味しそうに鳥肌がこんがり焼き上がったローストチキンになっちゃうよ?』なんて脅して」

「えっ…確かお祝いにポコポコ産んでくれたって…」

蓮は驚いてキョーコを見ると、慌てて蓮から目をそらして、口笛を吹こうと必死に唇を突き出している。

「恐怖でポロポロ産んだんでしょうね。来る前に見たら、坊の鶏冠(とさか)が萎れてたわよ?雄鶏のブライアンが一生懸命慰めてたわ。あのカップルもゴールイン間近ね。あんたのお陰でねっ!」
「えぇっ…私、あの子たちのキューピットになったって事?いやだっ照れるー」
「モジモジしない!褒めてない!!その上タイショウの奥様の農園にまで無断で入って。猪が出たって大騒ぎになったんだからね!」
「猪だなんて酷いっ!ちょっと勢いよく手あたり次第、失敬しただけよ。その…時間が無かったから…」
「…全く。あんたの置き手紙を見て奥様は笑ってたけど、タイショウの目は笑ってなかったわよ?」
「うぅ…。ごめんなさい」

キョーコちゃん、野菜もお祝いに持って来てもらったとか言ってなかったか?

嘘をついたり、鶏を脅してみたり、誤魔化そうとしたり…天使って意外に人間臭いんだな。
こんな話を聞いたら、導いてもらおうなんて気も起きないよ。

でも、それもこれも、俺に朝ご飯を食べさせたくてしてくれたんでしょ?
君なりに一生懸命…何だかすごく愛おしいよ。

ジワリと蓮の胸が暖かくなる。

「あんな騒ぎまで起こしておいて、これからどうするのよ。あんた天使じゃなくなっちゃったのに。もう天界にあんたの居場所なんて無いわよ?」

キョーコの奮闘ぶりを想像していた蓮の頭に、カナエは滝のような量の冷や水を一気に浴びせた。



続く



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