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   コングラッチェ 22   


コングラです。
テンさんに、チオリンたちのママンになってもらいました。
だって、料理できなそうじゃないですか。先生を思いっきり凹ませる説教をしそうじゃないですか。
チオリンの毒なんて気にせずスルーしそうじゃないですか。
でも、何より沢山の愛情を注いでくれそうだなぁと。


「うーん…」

寒いのか、肩を竦めてブルリと身震いしたキョーコから伝わる振動で、蓮は眠ったままのキョーコを抱きしめ続けていたことに気付いた。
キョーコへの積もる想いに、そしてキョーコから伝わる温もりを離し難くなっていた事に蓮は苦笑した後、自分の上で眠り続けるキョーコの膝裏と背中にそっと腕をまわして、そのままゆっくりと起き上がった。

「おっと」

ぐらりと前へ倒れそうになるキョーコの頭を、上体を反らして蓮の胸に受け止める。

ン…なんか固い…でもすっごく温かくて、いい匂いがする。
あ…敦賀先生の匂いだぁ…

ふにゃりと笑うキョーコの寝顔に、蓮はたまらない思いに駆られた。いっそこのまま朝まで抱きしめていようか、などと考えていると

グリグリグリグリ

えへらと笑いながら、キョーコは蓮の胸に額をぐりぐりと擦り付けた。
キョーコからの無意識の反撃にノックアウト寸前、ラグへと倒れこみそうになるのを蓮は何とか堪える。

っ…最上さん、このタイミングでそれは反則だよ。
感傷的になっていた気持ちが一気に180度反対方向に傾いたよ。

「もう、本当にどうしてくれよう」
「どうもしなくていいから早く部屋に連れて行きなさい」
「わっ!」

びっくりして振り返ると、こめかみに青筋を浮かべて腕組みをしたテンが立っていた。

「母さんか…脅かさないでよ」
「まったく。物音がするから様子を見に来たら、まさかキョーコちゃんを襲う5秒前だなんて…。本当にどうしようもない子なんだから」
「いや、違うよ。寝ぼけた最上さん「おだまり。」…スミマセン」

やれやれと息をついてから、蓮はキョーコを横抱きにして立ち上がり、眠ったままのキョーコを部屋へと運んだ。

「んー」

蓮がそっとキョーコをベッドに寝かせてやると、すっかり冷えてしまった寝床が不快だったのか、キョーコは眉を顰めて、離れて行こうとする温もりを追いかけて腕を伸ばした。その手は布団をかけようとしていた蓮のパジャマの裾をそっと掴んだ。

その握り締められた手は、蓮が引き剥がす気になれば、すぐに払える程のか弱い力だった。しかしそれを蓮が払える訳もなかった。

「…蓮ちゃん、ママがそんな事を許すと思ってるの?」
「いや、でも最上さんが離してくれないし、無理に離すのは可哀想じゃないか」
「だからってどうして蓮ちゃんがキョーコちゃんのベッドに入ろうとするの!!そんなにキラキラした笑顔を振り撒いたって、ママは騙されないわよ!」
「いや、だって寒いし?」
「…それ以上ボケようとするなら、千織ちゃんを起こして呼んで来ちゃうからね?」

本当にどうしようもないんだから、と嘆くテンに蓮はクスクスと笑った。

「もういいわ。蓮ちゃん、早くパジャマを脱ぎなさい」
「えっ!?」

突然真顔でパジャマを脱げというテンに、蓮の笑顔が一瞬で引っ込んだ。
キョーコのベッドに潜ろうとしている息子に向かって、着ているものを脱げと言う母親の言葉に蓮は自分の耳を疑った。

「何をそんなに慌てているの?キョーコちゃんが掴んで離さないなら、パジャマを置いて行くしかないじゃない」
「あぁ、そういう事か」

テンの言葉に慌てた自分は何て馬鹿なのだと、笑い出したい気分で蓮はパジャマのボタンを外し、そっとベッドから出た。

「さ、ゆっくり休ませてあげましょう」
「そうだね」

蓮が頬を緩ませて部屋を出ようとした時、テーブルの上にぽつんと置かれていたものが目に入る。
途端に蓮は真顔に戻り、そっとそれを手に取った。

平成○○年11月 …17年前って事は最上さんが生まれた年か…
いや、ちょっと待て。最上さんは12月生まれだぞ?という事は最上さんが生まれる前に!?

キョーコの父親の位牌に刻まれた享年に、キョーコの父親への思慕に思いを馳せた。

蓮のパジャマを口元でギュッと握り締めて、安心した様子で眠るキョーコの顔を、蓮は焦燥に駆られる気持ちで見つめた。

「蓮ちゃん…キョーコちゃんの事を本当に大切にしたいなら、ただキョーコちゃんが好きって感情だけじゃ足りないって事、分かるわよね?」
「うん…。大丈夫だよ」

ジッと自分を見つめるテンに、蓮は視線を揺らがせることなく答えた。


**


身支度を整えた蓮がリビングのドアを開けると、ダイニングテーブルを拭くキョーコがいた。蓮の姿を認めたキョーコが、眠りながら無意識に流した涙など無かったかのように普段通りに蓮に笑いかける。

「おはようございます!」
「…おはよう。昨日はよく眠れた?」
「はい。ぐっすり眠れました!…でも何故か先生のものと思われる男性物のパジャマを握ってたんですが…何故でしょう?」

不思議そうに蓮を見上げるキョーコに、蓮はクスリと笑った。

「母さんと一緒に最上さんの様子を見に行った俺のパジャマを、寝ぼけた最上さんが脱がしにかかったんだよ。積極的な最上さんに襲われるってのもいいけど、今度は2人だけの時にしてね?」
「ふえぇぇ!?そっそんな破廉恥な事、私絶対にしていません!何かの間違いです!!」
「でもほら、証拠のパジャマがあったんでしょ?」
「うー…」

寝ぼけていたのか、それとも気が付かなかっただけで夢遊病だったんじゃないかなどとブツブツと呟くキョーコを蓮は笑った。

「それより、何だかいい匂いがするんだけど?」

柔らかい朝日が差すリビングに、今まで異臭や煙しか漂った事のないキッチンから食欲をそそるいい匂いが届く。

「はい。朝ご飯を用意させていただきました。勝手に冷蔵庫を開けるのもどうかと思ったのですが…。自分の家と思って構わないとおばっ…テンさんが仰って下さったので、エイッと開けちゃいました」

それでもほとんど食べるものが入って無くてびっくりしたと笑いながら話すキョーコを、蓮はじっと見つめ続けた。
返事もせず、ただ自分を見つめる蓮に、キョーコは首を傾げた。

「先生?どうかしました?あ…やっぱり人様のお宅で勝手に料理をするなんて不躾ですよね…」
「違うよ。そうじゃなくて…。最上さんのエプロン姿、可愛いなぁと思って見惚れていただけだよ」
「なっ!もう、先生またそんな事を言って。おだてたってこれ以上何も出てきませんよ?」

慌てたようにキッチンへと逃げていくキョーコの後ろ姿を蓮は少し寂しそうに見つめた。


「「「いただきます」」」
「はい。召し上がれ」

普段全くと言って良いほど料理をしない天宮家の冷蔵庫にあった食材を使って、キョーコは朝ご飯を作り上げていた。

「あら?お味噌なんてあったのね!」
「はい。賞味期限ギリギリでした」
「へー、うちにジャガイモなんてあったんだー」
「うん。芽がいっぱい出てたけどね」

ジャガイモと乾燥わかめを戻した味噌汁、目玉焼きに添えられた冷凍ミックス野菜の炒め物とカリカリベーコン、そして炊き立ての白飯の食卓を4人は囲んでいた。

「すみません。こんなモノしか作れなくて…」
「何言ってるのよ!何も無い冷蔵庫からこんな美味しい朝ご飯が作れるなんてキョーコちゃんは料理の天才ね!」
「天才なんてっ…何のヒネリも無い朝ご飯じゃなくて、もっと頑張ればよかったー!」
「ううん。普通が一番の贅沢よ。うちでは『朝ご飯は旅館で食べるもの』だったのよ?生まれてこのかた普通じゃなかったんだから。ザ・朝ご飯が食べられるなんて嬉しいわ」

一番の贅沢か…。本当にそうかも。今まで1人で朝ご飯を食べてたから、誰かと一緒に食べられる普通の朝ご飯は、最高の贅沢だよね。

千織の言葉を噛みしめて微笑むキョーコを、蓮は味噌汁を飲みながらじっと見つめていた。


「キョーコさん、今日はどうする?必要なものとか買いに行く?」
「うーん…それより今日はアパートに行ってみようかと思って。使えるものとか色々と回収したいの」

後片付けをしながら、キョーコは住めなくなったアパートから必要なものを取りに行くと言う。

「そう…今日は午後から予備校なんだよね…」
「それじゃあ、俺が手伝うよ」

あと数日、新学期になれば消えてしまう有休が沢山あるのだから1日くらい構わない。それにキョーコの為に何かが出来るのであれば、何でもしてあげたいと蓮は思った。それ以上に、蓮はどこまでも気丈に振る舞うキョーコの事が心配でならなかった。

「大丈夫です!不要なものを仕分けるのも、自分じゃないと出来ませんし。あ…申し訳ないのですが、必要なものを運び出したいので、仕事帰りにでも先生の車で運んでもらえませんか?」
「それくらいお安い御用だよ。それより本当に1人で大丈夫?」
「大丈夫です。きっとアパートの皆さんも来ると思いますし」

アパートの住人達と話をしながらの片づけになるはずだから、きっと楽しい時間になるとキョーコは笑った。

「…でも何かあったら、遠慮なんかしないで連絡するんだよ?すぐに駆けつけるから」
「はい。ありがとうございます」

過保護だと笑うキョーコを、蓮は何も言わずに困ったように見つめた。
それじゃあ行くよ、と蓮は玄関へと向かう。

「あっ先生!!」
「ん?どうしたの?」
「お弁当です。その…本当に私の力不足で朝ご飯とたいして変わらない内容なのですが…。良かったら持って行ってください」

玄関先で差し出された紙袋を覗くと、アルミホイルに包まれたおむすびがコロンと入っている。

「…ありがとう。それじゃあ行ってくるよ。最上さんを迎えに寄った後、スーパーにも行かないとね」
「そうですね。たこさんウィンナーが作れませんしね」


くすくすと笑いながら蓮を送り出すキョーコに、精一杯の作り笑いで蓮は応えた。



つづく。



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