HOME   »  スポンサー広告  »  スポンサーサイト  »  長編   »  [完]コングラッチェ!  »  コングラッチェ 24

   スポンサーサイト   


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

   コングラッチェ 24   


敦賀先生に頑張ってもらう回です。
頑張りきれてますかね…。


「せせせせ先生…」
「うん。」
「ちちちち」
「乳?」
「違いますッ!何サラっと破廉恥な事を言ってるんですかっ。近い!近いです!」
「だって最上さんが逃げようとするから」

蓮が自分にプロポーズする決意表明を立ち聞きしてしまったキョーコは、蓮の家からプチパニック状態で飛び出した。
それを追いかけてきた蓮に、エレベーターに乗り込んだところであっさりと捕まった上に、狭い箱のなかで更に壁際に追い込まれていた。

「…もう逃げ場なんてないじゃないですか。少し離れてもらえませんかー!心臓がもちましぇんっ」

かっ噛んだ!恥ずかしい!!

壁に追いやられたキョーコの顔の横に蓮は手を置いて、キョーコを見下ろしている。
蓮の真剣な表情は、もう逃がさないと雄弁に物語っている。そんな蓮とは対照的に、キョーコは慌てるばかりだ。どこかに逃げ場は残されていないかと、まるで小動物のように忙しなく目をきょろきょろと動かした。

この状況から逃げ出したい一心で、今すぐに宇宙人が地球侵略をしてくれないかなどと現実逃避した考えがチラリと頭を掠める。
勿論そんな事が起きる筈もなく。

「ねぇ最上さん、さっきの会話、どこから聞いてたの?」
「ごごごごめんなさい!!盗み聞きするつもりかんか無かったんです!テンさんが合鍵を貸してくださって。おつまみを置いたらすぐに出ていくつもりだったんです。本当です!」
「別に怒ってるわけじゃないんだよ。その…本当は最上さんに直接言いたかった事を、どの辺りから聞かれちゃったのかなって。社さん達との乙女トーク ……もういいや」

キョーコへの気持ちを、キョーコではなく社たちに赤裸々に語っていた自分が情けなくて、蓮は話を打ち切った。
蓮の今すぐ床を転げまわりたい程の羞恥心は、キョーコに全く伝わっていない。

もういいってどういう事だろう。盗み聞きなんてしてしまった私の事なんて、もうどうでもよくなったってことなのかな。
心底呆れて、軽蔑されちゃったのかな…

キョーコはいたたまれない気持ちになってギュッと唇を噛みしめて俯いた。

「聞かれてしまったと思うけど…俺は君のことが好きだよ。前に…卒業式の日に屋上で君に告白をした時より、ずっとずっと好きになってる」
「ふぇっ」

突然の蓮の告白にキョーコはびっくりして顔を上げると、そこには先程と同じ真剣な蓮の瞳がキョーコを絡め取った。

身動きが出来ないどころか、呼吸さえ止まりそうになる。
キョーコの体温は一気に上昇し、頭から湯気が出そうな程顔は真っ赤になってしまった。

「ねぇ、最上さんにとって俺はどんな存在?自惚れかも知れないけど、君が俺に好意を持ってくれてるって思ってるよ。だって嫌いな男の為に毎日弁当を作ったりしないよね?それに不破君の家で俺の手を握り締めてくれたろう?」

「そっ…それは…」

自分でも蓮への気持ちは否定できない位に育ってしまっている。

「最上さんが誤解したり曲解しないように、俺はずっと君への気持ちをストレートに伝えてるつもりだから、本気だって分かってくれているよね?」
「…はい。重々承知しております」

想いが伝わっていたことに、良かったと蓮はほーっと大きく息をついた。

「最上さんも俺の事…意識してくれてるよね?」

蓮は突っ張っていた肘を折り曲げ壁に腕をつけて、キョーコとの距離を一段と詰める。
そんな蓮に驚いたキョーコは壁と同化しそうな程に背中を張り付けて、なんとか距離を取ろうと蓮の胸に手をついた。

ちちちち近いです更に近いですーーっ!!!どうしようどうしようどうしよう。今までこんな風に詰め寄ってこなかったからすっかり忘れてたけど…


コッチが本当の敦賀先生なのよ!元々こういうお人だったーーーーーーーーっ!!


告白された時に私、ファーストキスを奪われてるんじゃないの!!そうよ!!今まで2人きりの時に何も無かった方がおかしいのよ!奇跡だったのよ!!

…あれ?なんか…先生の胸、凄くドキドキしてる?まるで全力疾走した後みたいな…

蓮と距離を置こうとして、無我夢中で蓮の胸に突いた手から、早鐘のように打ち鳴らす蓮の心臓の鼓動が伝わった。
余裕がある表情は見せかけだけで、本当は今にも心臓が家出しそうなくらいに緊張している事を悟って、キョーコの動揺は少しだけ収まった。

「本当は、長期戦で行くつもりだったんだ。弁当を作って貰ったり一緒に買い物したり。凄く距離が縮まってるって実感出来てたからね。それに俺は教師で、最上さんは教え子な上に受験生だ。せめてあと1年、高校を卒業するまでは我慢しようって思ってた」

我慢?あれだけ人を振り回しておきながら、我慢してたって言うんですか!?
ご近所に変な噂を立てられないようにって気遣ってくれてたはずが、いつの間にかアパートの皆さんの公認までいただいちゃってるのに!?

びっくりした顔で見つめるキョーコに、蓮も苦笑した。

「これでもすっごく我慢してるつもりなんだよ。それなのに周りからはダダ漏れだって言われるし、最上さんは際限なく可愛い。だったら我慢しても仕方ないし、これ以上無駄な足掻きは精神衛生上よろしくない」
「かっ可愛いって…」

しかも際限なくって、どうしちゃったんですか?先生、その審美眼はオカシイです。
はっ。視力落ちたんじゃないですか?

「そんな不思議顔しなくても…。可愛いよ。本当に可愛い」
「先生…」
「でもね、それだけじゃなくて、俺は最上さんにとって信頼に足る人間になりたいんだ。俺を信じて、もっと寄りかかってよ」

蓮の部屋のドア越しに聞いた『帰る場所になる』という独白を思い出した。

今までキョーコの頼れる場所と言えば、疎遠で連絡もつかないほど多忙な母親か、キョーコが預けられたショータロー一家だった。
甘えたくても母親は不在で、『預けられた身』と自覚していたキョーコにとって、ショータローの両親は無条件に甘えられる存在では無かった。
いつも背筋をぴんと伸ばして、「面倒で無い良い子」であろうと気を張って過ごしていた。それがたとえ自分に与えられた部屋で、1人の時であっても、気を抜ける場所ではなかった。

私の帰れる場所…そんなもの、あのアパートで暮らし始めるまで無かったんだもの…分からないよ。
ようやく手に入れた1人で居るあの場所も…誰もいない帰る場所になんて、寄り掛かれるモノなんて、やっぱり無かったもの。

「先生の事…信頼してます。でも……私、人にどうやって寄り掛かったらいいのかとか、どのくらい寄り掛かっていいのかも分からないんです。だから……」

蓮は震えるキョーコの腕を掴んで自分の胸へとぐっと引き寄せて、ぎゅっと抱きしめた。

「全部だよ。全体重かけて寄り掛かっていいんだよ」
「でっでもっ!全部なんて重いです。きっと先生だって私の事を面倒になっちゃいます」

そうよ。ショーちゃんのように。

私、もう嫌なんです。心を預けた人に置いて行かれるのなんて、もうこりごりなんです。だから…だから、そんな事しちゃ駄目なんです!」

…そう。お母さんのように。

もしも、先生に腕を振り払われたら…今度こそもう私の心は耐えられない。きっと破裂してしまう。

「本音を言えば、俺に甘えて欲しい。俺がいないと生きて行けないって思って欲しいよ。もしも最上さんがそれを望むのなら、一生グダグダに甘え倒してあげる。腕によりをかけてね?」
「…遠慮いたします。そんなグズグズに甘やかされたら、脳みそが蕩けたバカ女になってしまいます」
「うん。最上さんはきちんと自分の足で歩こうとする子だ。そんな最上さんだからこそ、俺は君のことが好きなんだよ」

ちょっと暴走する癖があるけどね、と蓮はクスリと笑う。

「君が歩き出す時に背中をポンと押してあげたい。そして行った先での出来事とか、嬉しかったことや楽しかったことを、俺の腕の中に帰ってきて聞かせて欲しい」
「…一緒に歩いてはくれないんですか?」
「いいの?少しは余裕のある大人のフリをして、最上さんの事を真綿で包むように見守ろうと思ってたんだけど…。最上さんがそれを望んでくれるなら、手を握って一緒に歩きたい。同じものを見て笑い合ったり喧嘩したり。でも握った手は絶対に離さないし離してあげない」

「それに出来る限り最上さんを傷つけるものからは守ってあげたい。それでも…辛くて泣きたい時には、こうやって抱きしめて背中を擦ってあげる。君の帰ってくる場所は、ここだよ」

その場所は今キョーコがいる蓮の腕の中なのだと、キョーコの背中を優しくポンポンと叩いた。


「俺は…君のことを愛してる」


蓮に抱き寄せられて、ただでさえ狭かったキョーコの視界がぼやけて、殆ど何も見えなくなってしまった。
今まで誰も言ってはくれなかった言葉が、本当は欲しくて欲しくてたまらなかった言葉が、キラキラとキョーコの頭上から降り注ぐ。


「君が不安に思うようなことは俺が全力で取り払ってあげる。だから俺を頼ってよ」
「…頼るって…どうやっていいのかっ…うっく…分かんな…けど…ありがっ…ありがとうございます…」

蓮はキョーコをぎゅっと抱きしめていた腕を緩め、嗚咽に震えるキョーコの肩に手を置いた。
ボロボロと真珠のような涙を零しながらキョーコは蓮を見上げると、蓮は優しく笑いかけていた。


「最上さん、結婚を前提に俺と付き合ってください」



つづく



Comment
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する

menu    Profile    menu

ナー

Author : ナー

menu    Recent    menu

menu    Counter    menu


キリ番踏まれた方、コメントなどでご連絡ください。
リクエストなぞあれば浮かれてお聞きしちゃいます。

    Since 2014.12.07     

menu    Category    menu

menu    禁無断転載    menu

menu     Link     menu

menu    ブロとも    menu



形而上 愛の唄
美海様が作ってくれた拙宅バナー



menu   WonderfulWorld   menu
Mimi's Worlds  by 美海様 mimi's worlds /STAR星DREAM夢の卵 HEARTハートLOVE愛の卵 From Mr.D * Dear my dare Dears. Love Dreams Eggs ©From far away beyond beautiful sea.

Hop Step Skip Jump !!
  by ゆみーのん様 Hop Step Skip Jump !!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。