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   さしあたり不用品   


久しぶりに小話です。
キョーコちゃんに買ってもらった素材のパジャマが欲しくて買おうか悩んでるんですよ。
そんなこんなでポロリ小話です。


むむむ…………

これはどういう事だろう、とキョーコは腕を組んで首を傾げていた。

ホカホカと湯気が上がる程に温まってバスルームから出てきたキョーコは、バスタオルを体に巻き付けたまま脱衣所で佇んでいる。
風呂上りに着ようと、準備していた筈のパステルピンクのパジャマが見あたらないのだ。


へぇ、タオル素材のパジャマなんてあるんだ、などと興味本位で触れたパジャマの柔らかさにキョーコはびっくりした。
撫でまわしたり掴んだり。ふわふわした手触りを無意識のうちに堪能してしまう。

あまりのトリップ具合だったのだろう。少し引き攣った店員に声をかけられて我に返ったキョーコは、思わず真っ赤になってしまった。


最近、ようやく恋人同士となった蓮の家に、キョーコの私物が少しずつ増えて行った。
歯ブラシや化粧品、そしてお姫様仕様の手鏡。蓮の家に自分の私物を置かせてもらえる事が、キョーコは嬉しかった。
そして昨日は意を決して、お泊り用のパジャマを探していた。

食事をおざなりにする蓮の夕飯をキョーコが作り、それを蓮がおいしいと言いながら食べ終えた後、コーヒーを飲みながらソファで蓮と他愛ない会話をする。
演技の相談や、その日の出来事などを、蓮の隣で語らい合うのがキョーコにとって至福の時間だった。

そんな穏やかな時間の中、ふとした会話の切れ目がやって来る。

蓮に優しく肩を抱かれるのを合図に、キョーコがそっと見上げれば、そこには夜の帝王の気配をチラチラと覗かせるご尊顔を拝し奉り…。
ビクリと体を揺らして慌てて視線を落とした後は、お許しが出たとばかりに蓮にお姫様抱っこをされてベッドルームへと連れ攫われてしまうのだ。

そんなこんなで気がつけばキョーコはベッドで裸のまま、そしてやっぱり裸の蓮に巻きつかれた状態で朝を迎えるので、パジャマなど着る暇も必要も無かった。

でもそんなお泊りの度にゴニョゴニョなんて、ちょっとどうなのだろう?と思っていた昨日、雑誌の取材が捩じ込まれたので明日は帰るのが遅くなるというメールが蓮から入った。
それなら、会うのはまた別の日にしよう、とメールの返信をポチポチと打っている途中で、2通目のメールが入った。

そのメールを読んで、キョーコの口元はふよふよと緩んだ。

先に眠っていてくれて構わないから、家にいて欲しいというメールを、キョーコははにかみながら読み返した。

また別の日にしようなどと、物分かりのいいメールを打ちながら、内心はがっかりしていたのだ。
分刻みのスケジュールをこなす蓮と一緒に過ごせる時間は限られている。先週は蓮のドラマの撮影と舞台の稽古で忙しく、キョーコもバラエティのロケで地方に2日滞在していた。
1週間ぶりに会えることを期待していた分、落胆も大きかった。

仕方が無いとは思う。でも「また別の日」なんて一体いつ訪れるのだろう?と口を尖らせたくなるのも、心の内に留めておくのでそれくらい許して欲しいと、溜め息を噛み殺しながらポツポツとメールを打っていたのだ。

それなのに、寝ていていいから、それでも居て欲しいというメールを貰ったキョーコは、一瞬で気鬱を土俵外へとうっちゃりを決めた。

よし!パジャマを準備しよう!!
先に寝てていいって事は、今までのようになし崩しでベッドに入る訳じゃないし、敦賀さんが居ないのに敦賀さんの服を勝手に着るのもアレだし…。
それにパジャマを敦賀さんの家に置かせてもらうなんて、ちょっと照れるけど、その…恋人っぽいよね?…こっ恋人って!!

「ふぬぉーーーーーーーーー!!」

思わず浮かんだ『恋人』という言葉に盛大に照れて、キョーコはテレビ局の廊下で奇声を発していた。


**


おかしいなぁ。お風呂上りに着ようと思ってパジャマ、ここに置いておいた筈なのに。
それにパジャマの上下の間に下着も挟んでたのよね…


もしかしてお風呂の前に洗濯物を片付けた時、脱衣所の棚にタオルを仕舞った後、他の洗濯物と一緒にクローゼットに入れちゃったのかなぁ。

う…。それじゃあ私はここからどうやって出て行けばいいと言うの?さっきまで着てた下着とか着けたくないし。
かと言って裸で…マッパでクローゼットまでなんてとんでもないわ。

そうよ、自分の家ならやっちゃうところだけど、敦賀さんのおうちでそれをやるなんて無理よ。
いくら敦賀さんが居ないからって、好き勝手に使って構わないと言われていても、裸でウロウロできる気がしないわ。
だってこの家、無駄に広すぎるのよ。

思案しながらキョロキョロと、何か着られるものは無いかと辺りを見回すと、洗濯用の籠にふわりと掛けられたシャツが目にとまった。

「敦賀さんのシャツか…」

蓮の部屋で過ごすのに、Tシャツやスエットを借りた事はある。蓮にピッタリなTシャツでもキョーコが着れば、首回りは大きくはだけて鎖骨は全開となり、その先に咲かされた紅い所有印さえ覗かせた。Tシャツの裾はキョーコの太腿まで隠してくれたために、スエットなど履く必要も無かった。

「やっぱり敦賀さんって大きいんだなぁ」

ゆったりサイズのワンピースを着た気分になって、スエットを返そうとリビングのソファに座って台本を読んでいた蓮の傍へと寄って行く。
Tシャツだけで十分だったと、着ているTシャツをつまんで見せたところで、キョーコの視界は反転した。

「何それ…。美味しそう過ぎるんだけど」

私が食べ物に見えるくらいお腹が空いているなら早く離して朝食を作らせてほしいと言う前に、ソファに押し倒されたまま唇を塞がれて、そのまま昼過ぎまでベッドに逆戻りした記憶も新しい。


でもほら、今日は遅くなるってメールを貰ってるわけだし、まだ帰って来ているはずがないわ。
もしも帰ってるなら、きっと声くらいかけてくれる筈じゃない?
…さすがにバスルームに乱入はされないと思う。うん。多分…きっと。

裸で出て行くと言う選択肢はない。キョーコに残された選択肢は、バスタオルを巻きつけてか、蓮のシャツを着て出るという2択だった。
チラリと蓮のシャツを見る。蓮のシャツを着てみたい、という乙女心がムクリと頭をもたげたのだ。
どうせ蓮はまだ帰っていないのだから、見咎められる心配も無い。それにパジャマをクローゼットに取りに行く少しの間だけだ。ちょっとだけ、という気持ちで蓮のシャツを手に取った。

広げたシャツから、蓮の纏うフレグランスがふんわりと香る。たったそれだけで、今から蓮のシャツを着ようとしている行為が背徳的に感じてしまうのは何故だろうか。ドキドキしながら袖に腕を通した。

蓮が歩く広告塔を務めるアルマンディのロゴが入ったボタンを胸元あたりからとめて行く。さすが高級ブランドのシャツは、滑らかで着心地も抜群だった。
やはり裾も長く、太腿を十分に隠してくれる。

「うん。これなら恥ずかしくない」

1人納得して、脱衣所のドアをキョーコは開けた。


「やっと出てきた…」
「ふへ?」

少しほっとしたような、声に驚いて足元を見ると、脱衣所の脇の壁にもたれて座る蓮が、キョーコを見上げていた。
居る筈のない蓮が目の前に居ることに驚きつつも、視線の高さを合わせようと、キョーコもそのまま廊下にしゃがみ込んだ。

「敦賀さん!?今日はお帰りが遅くなる筈だったんじゃ…」
「……うん。急に取材が入ったんだけどね。それが急に無くなって、元のスケジュールに戻ったんだ」
「そうだったんですか」

明日の朝、眠りから醒めた時に蓮に会えればいいと思っていたのにこんなに早く会えるとは、と思うとそれだけでキョーコは嬉しくなった。

「おかえりなさい」
「ただいま」

蓮の吃驚したような表情に、自分が蓮のシャツを着ていることを思い出して、思わず「あ」とキョーコは小さく声を出してしまった。
蓮のシャツを勝手に着ている事を見咎められるのではないか、呆れられるのではないかと不安で、モジモジとシャツの裾を握っていると、蓮はクスリと笑いながら持っていたタオルでキョーコの濡れた髪をワシワシと拭いてくれた。
どうやら不問に処してくれるようだと、キョーコはほっと息をついた。

髪を拭いてくれているタオルが少し濡れている事にキョーコは気付いた。それに何故蓮が濡れたタオルを手に持っていたのか、ふと疑問に思って顔を上げると蓮の手が止まった。
よく見れば、蓮の髪も濡れている。

「ん?どうしたの?」
「いえ…敦賀さん、お風呂入ったんですか?」
「あぁ、ジムのシャワーを使ったんだ」

元の予定通り、いつもより早めに仕事を終えた蓮は急いでマンションへと帰って来た。
玄関を開ければ、愛しい恋人の靴がちょこんと揃えて置かれている。
それなのに、キッチンにもリビングにも、果てはベッドルームにもキョーコの姿が無い。もしかして?と思いながら脱衣所の扉を開けると、その先のバスルームからキョーコの鼻歌が聞こえてくる。それを聞いて蓮の口元に笑みが零れた。

このままバスルームに入ってしまおうと、蓮はシャツを脱ぎ捨てたところで我に返った。
もしもこのまま乱入してしまえば、きっと盛大な拒絶に遭うだろう。破廉恥だと、そんな人だとは思わなかったと。
そして今夜は指一本触れさせてくれないだろう。

「やめておこう…」

すごすごと脱衣所から出ようとした蓮の目に、キョーコがウキウキしながら準備したタオル地のパジャマが目にとまった。

お風呂から上がった時、これが無かったらキョーコはどうするのだろう?そんな悪戯心がムクムクと目を出した。

もしかしたら、風呂上りで頬を上気させたキョーコが、タオルを巻いただけの扇情的な姿で脱衣所から出て来てくれるんじゃないか?
そんなキョーコを前に、俺は理性を保てるのか?保てるわけが無いし、保つ必要があるのか?
…うん。無いな。

その後に訪れる甘い時間を期待をしながら、蓮はキョーコのパジャマを掴んで脱衣所を後にした。そしてキョーコが長風呂を堪能しているうちに、自分も汗を流してしまおうと、ジムに併設している簡易シャワーへと向かう途中、リビングのソファにポンとキョーコのパジャマを置いた。

手早くシャワーを済ませてリビングに戻ると、キョーコのパジャマはソファに置かれたままで、まだキョーコが出てきていないことを知る。

「よし、間に合った」

まるで子供のようにガッツポーズを決めて、濡れた髪をタオルで拭いながらキョーコを待った。

…なのになかなかキョーコは姿を現さない。
不安になって、蓮はリビングを出て脱衣所の前の廊下に腰を落とした。
まさか湯あたりして倒れているのか?などとソワソワし始めたとき、やっとキョーコが脱衣所から現れたのだ。

そして今、蓮の目の前にはタオルを巻いたキョーコではなく、先程まで着ていた自分のシャツを纏ったキョーコが座っている。

驚いて固りつつも、キョーコの全身を視線で辿った。どうやら下着は着けてないようで、胸の頂がシャツを押し上げている。更に下の方に視線を向けると、それに気づいたのか、キョーコは慌て裾を引っ張った。恥ずかしがるようなその仕草に、危うくノックアウトされそうになった理性を何とか立ち直らせて、蓮は手に持っていたタオルでキョーコの髪を拭いてやった。

平常心、平常心と唱えながらキョーコの柔らかな髪をワシワシと拭いてたのに…
それは神の悪戯なのか、その振動でシャツの裾がはだけて、隙間からキョーコの白い太腿がチラチラと覗かせた。
その上、蓮の髪が濡れていることに気付いたキョーコが、上目遣いで覗き込んできたのだ。

もう無理だよ…破壊力満点。

髪を拭いていたタオルを床に置いて、蓮はキョーコの両頬にそっと手をあてて、顔を上げさせた。
キョーコの目に映ったのは、突如として降臨した夜の帝王の艶めいた表情だった。

なーっ!!なんで??どうして??
髪を拭いてもらってただけなのにどうして!?どこに萌え要素があったの!?
この前はTシャツで「美味しそう」なんて言われてしまった首元だって、ちゃんと今日は隠してますよねっ!!
一体いつ私、スイッチ押しちゃいましたかーーーーーっ!!


「キョーコ…」
「ちょ…敦賀さんお夕飯まだ …んっ…」

キョーコは慌てて抗議の声をあげようとするが、蓮の唇によって封じられてしまい、言葉にならない。
あっという間に熱い舌が潜り込んできて、咥内を犯していく。
いつもはゆっくりと、キョーコの反応を確かめながら徐々に深くなる口づけが、今日は最初からトップギアと言ってもいい。
キョーコがびっくりして引っ込めた舌を、蓮は器用に絡め取ってしまう。

蓮は何度も角度を変えて、深いキスを与え続けた。

蓮の情熱的なキスに頭の芯が痺れ始めた時、蓮の掌がキョーコの太腿をさわさわと撫でまわした。


「んっ…だっ駄目です!」
「どうして?」
「だって…しっ下着…っ…あっ」
「…うん。下着、着けてないみたいだね?」

太腿を撫でていた節立った指がつっと裾から這い上がって、キョーコの敏感なトコロを掠めて行く。

「んっ…不法侵入ですーっ!!」
「大丈夫。すぐに合意させてみせるよ。…この後ベッドで、ね?」

真っ赤になって蓮の手から逃れようとするキョーコを抱き寄せて、蓮はそのまま立ち上がった。

「つつつっ敦賀さん!?あのっ私パジャマっパジャマを」
「…少なくとも今日は必要ないよ。もう我慢の限界なんだけど?…キョーコも分かるでしょ?」
「~~~~~~~~!!」

ぐっと腰を抱き寄せられて、密着したキョーコのお腹あたりに、蓮の熱い昂りを感じとってキョーコは息を呑んだ。
そして見上げた先にある、瞳の奥に淫靡な雰囲気を湛えた、蓮の壮絶なまでの色気にキョーコが太刀打ち出来るはずもなく、キョーコは誘われるがまま蓮の首に手をまわした。



翌日、気だるげな溜め息と共に、クローゼットに収められたパジャマが日の目を見るのはずっとこの先の出来事。



おしまい。



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