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   コングラッチェ 25   


先生の頑張り継続中です。


蓮のありったけの想いを込めた告白に、キョーコの顔はくしゃくしゃになった。

返事をしたいのに嗚咽で声にならない。口を開けば「うーっ」と苦しそうな呻き声が出るだけで、どうやっても言葉にならない。

そんなキョーコを蓮は優しく抱きしめて、背中を擦り続けた。

縋った蓮の胸は温かくて、その温かさを感じる程に更に泣けてきて、次々と涙が溢れた。


蓮は何も言わずに、ただ泣き続けるキョーコを抱きしめていた。


暫くキョーコの涙がようやく止まり、少しは気持ちが落ち着いたのだろう。恥ずかしそうに鼻をスンスンと言わせながら、キョーコは蓮を見上げた。

もしもキョーコが今自分の顔を鏡で見たなら、きっと不細工だと、見ないで欲しいと逃げ出していたに違いない。

でも、そんな泣き腫らした目に赤くなった鼻のキョーコの顔が、蓮にはとても綺麗に見えた。
恥ずかしそうに微笑むキョーコの表情は、まるで憑き物が落ちたようだった。心の底からすっきりした様子に、蓮はほっと息をついて微笑んだ。


今なら私、先生に自分の気持ちを素直に伝えられる。

きちんと先生と向き合おう。

意を決してキョーコは蓮を見上げて口を開いた。

「先生…私…」
「うん。」

蓮はキョーコの声音に緊張を読み取った。
きっと今から蓮の告白にキョーコが答えてくれるのだろう。蓮も真剣な眼差しでキョーコを見つめた。


「あのですね「RRRRR …… 」」


嘘でしょーーーーーっ!!

どうして今なの!?どうしてこの絶妙なタイミングで電話が鳴り響くのよ!

オロオロするキョーコの姿は可哀想なほど狼狽えている。
その様子は、ついさっき蓮がキョーコを壁に追い込んだ時以上だ。

青くなって慌てふためくキョーコの様子に、蓮の緊張はどこかへと消え、ププッと笑ってしまった。
蓮はキョーコを抱きしめていた腕をそっと解いた。

「緊急かもしれない。電話、出た方がいいよ?」
「スッスミマセン!」

私の一大決心を挫くなんて、一体誰なのよ!!

手に持っていたミニバッグから慌ててスマホを取り出し、表示された着信元を確認した瞬間、キョーコの表情が固まった。

「どうしたの?」
「…いえ、大丈夫です。ちょっと思ってもいなかった相手からの電話だったので…」

怪訝そうに見守る蓮の前で大きく深呼吸をして、キョーコは通話を押した。

「…どうしたの?お母さん」

キョーコの抑揚のない一声に、そして自分の手を探るように絡めてきた、キョーコの指の冷たさと微かな震えに蓮は驚いた。
蓮はキョーコの縋りつくような手を、すぐに力強く握り返した。


『…大丈夫そうね』
「なっ何が?」
『竜巻被害に遭ったと松太郎君のお母さんから連絡があったわ』
「う、うん…竜巻があった時、私は家にいなかったから…」
『そのようね。雨宮さんのお母様からお聞きしたわ』
「そうなんだ…」

私とは話してないけど、女将さんやテンさんとは会話してるんだ…。
私の事が心配っていうより、私が誰かに迷惑かけてないかが心配ってところなのかな…。

目を伏せて足元を見つめるキョーコの頭を、蓮はその大きな手で優しく撫でた。

大丈夫。さぁ、勇気を出して。取り繕う必要なんてない。お母さんに言いたいことを言えばいいんだ。

俯いていたキョーコが蓮の思いに応えるように、顔を上げる。蓮は優く微笑んで大きく頷いた。


っ駄目駄目!卑屈にならない!!敦賀先生も、こんな嫌な子の事なんて嫌いよ!!
大丈夫。先生が手を握ってくれてるんだもの。ちゃんとお母さんと正面を向いて話をしなくちゃ。
…大丈夫。どんな事を言われたって、めげるもんですか。

『全くあなたって子は……どうして自分から連絡してこないの?』
「えっ?連絡?」

予想外の冴菜の言葉にキョーコは戸惑う。

『あなたの担任の先生が、あなたの様子や状況、どこに身を寄せたか、事細かにあなたの代わりに連絡をしてくださったのよ』
「えぇっ!?先生が…」

驚いたキョーコが目を見開いて蓮を見れば、蓮は穏やかに笑っている。

『まったく…あなたって子は人様にご迷惑かけて。自分で出来る事は自分でなさい。出来ないと判断した事はすぐに相談していらっしゃい』
「う…うん…ごめんなさい」

どうして私はお母さんに謝っているんだろう?どうせ相談したくても電話になんか出てくれないくせに。どうせ留守電にメッセージを吹き込むだけで、その後はメールで「了解しました」とか機械的なメールが返ってくるだけじゃない。心細い時に傍に居てくれないくせに!!
そもそも相談事じゃなきゃ連絡しちゃダメなの?そんな親子関係ってアリなの?
お母さんに言いたい事なんて、溢れ出したらきりがない。幼少期からの恨みつらみなんて、3日3晩かけても語りつくせない自信さえあるわ。


…でも、お母さんから電話がかかってくるなんて…


「どうしたの?お母さんこそ何かあったの?」
『…別に。それじゃ、切るわよ?』
「あっ」
『何?』

切られそうになった通話を、キョーコは思わず延ばしてしまった。
まるで親子の絆を…か細い絆を手繰るように。

「…電話、ありがとう」
『……6月の進路相談には行くから。日程が決まったら連絡を寄越しなさい』


冴菜との久しぶりの会話は終了を告げた。
一体何を言われるのかと身構えたのに、終わってみればキョーコの様子を確認する内容だった。相変わらず冷たい口調ではあったけれど、突き放される訳ではなかった。

そんな親子の会話を取り持ってくれたのは、他ならぬ蓮だという。
きっと母に何度も何度も電話をしてくれたのだろう。実の娘でさえ母を捕まえることを諦めて、年単位で会話をしていなかったというのに。


「先生……」
「よかったね。お母さん、君のことを心配していたよ?」
「どうして…」
「ん?」
「どうして先生は、私が喉から手が出る程欲しいものが分かるんですか?そしてすんなりと、事も無げに与えてくれるんですか?」

握り締めたままだったキョーコの手を引き寄せて、キョーコをもう一度自分の胸の中に包み込む。
すっぽりと、その大きな愛情で包み込むように。

「そんなの簡単だよ。俺が最上さんにしてあげたい事、出来る事を考えたら、すぐに分かるよ」
「だから…どうして先生はそんなに…」
「言ったでしょ?俺は君を愛してるんだよ。それ以上に理由なんて無いよ」


この人には敵わない。

キョーコは本気でそう思った。


「先生…私、先生の事が好きです。だから…その…」

恥ずかしくて真っ赤になりながら、これ以上は察して欲しいと、キョーコは上目遣いで蓮を見つめる。

「……ほんとうに?」

キョーコの告白に目を丸くした蓮の、キョーコを抱きしめる腕にぐっと力が入る。
痛い程なのに、キョーコは振り払う事はしなかった。
それ以上にその痛みが、蓮の告白が本気なんだとキョーコに教えてくれているようで、心地いいと思うほどだった。

「はい。その…よろしくお願いします」

蓮は自分の想いを受け入れてくれたキョーコに破顔した。
本当に嬉しそうに、少年みたいな顔で笑ってくれるんだな、とキョーコは思った。

「ありがとう。凄く嬉しい…嬉しいついでに、キスしてもいい?」

ヤッパリそういうお人ですよね?と肩を落としつつ、困った顔をしながらもキョーコは頬をピンク色に染めて小さくコクンと頷いた。


蓮の顔がゆっくりとキョーコに近づいてくる。

先生の睫毛長いなーとか、やっぱり美形だなぁなどと考えているうちに、蓮の唇がキョーコの頬に触れた。

色づいた両頬、瞼、鼻先を辿って…

キョーコの唇に重なった。


先生の唇って柔らかいんだ…

そっと押し当てられた唇は優しくキョーコの唇を食むような口づけに変わった。
蓮の愛情を素直に感じられる今、蓮からの口づけはキョーコを蕩けさせた。

息継ぎをしようと口を開いたキョーコの下唇を、蓮はそっと噛んだ。その衝撃にキョーコはビクリと体を震わせた。

その時



「天誅ーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」



恐ろしい衝撃が蓮とキョーコを襲った。



つづく



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