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   コングラッチェ 26   


やっと新学期に入りました。


「最上さんおはよう」
「あ、琴南先生。おはようございます」
「ちょっと聞きたいことがあるの。良い子だからこっちにいらっしゃい」

始業式日の朝、いつもより少しだけ早めに登校したキョーコは、校門で待ち構えていた奏江に声をかけられた。

腕を組んで仁王立ちをしている奏江の眉間にくっきりと皺が寄っている。

これは明らかに良い話では無い。出来れば遠慮したいというか、今すぐ逃げ出すべきだ。

「いえあの、新入生歓迎会の準備があって急いでるのですが…」
「いいから!!すぐ終わらせるわよっ!」
「ひょえぇ」

美人の鬼気迫る般若顔に気圧されて、一瞬反応が遅れたのがマズかったとキョーコは思ったが、どんな反応をしていても結果は変わらなかっただろう。
奏江にぐいっと襟首を掴まれて、キョーコは校内へとずるずると引き摺られていく。

奏江が向かった先は校舎内ではなくて、教職員用の駐車場スペースに停めてある、自分の車だった。
キョーコをポイッと助手席に放り込んだ後、奏江は運転席に座った。

「ここなら誰にも話を聞かれないでしょ」
「はぁ…」

一体何の話なのだろうか。奏江に会うのは、アパートの片付けを手伝ってもらって以来だ。
その間に奏江を怒らせるような事をした覚えはキョーコには無かった。


「…あの後大丈夫だったの?ずっと心配だったのよ」
「あの後?」

キョトンとした目で奏江を見つめながら、キョーコは小首を傾げた。
風邪でも引いているのか、キョーコはマスクを着けている。口元が隠れていて表情はよく分からないが、それでも見つめ返す大きな瞳は、意味が分からないので説明してほしいと訴えている。

「…私と社先生が敦賀先生の家で飲んでた日。敦賀先生があなたを追いかけて行った後の事よ!」

蓮のプロポーズ宣言を立ち聞きしてしまったキョーコを追いかけて行ったきり、どんなに待っても蓮は戻ってこなかった。

2人で何を話しているのか。話すだけなら1時間もすれば戻ってくるだろう。キョーコも蓮の事を憎からず思っている様子を奏江は承知している。
きっとキョーコは蓮の告白を受け入れて、まばゆいばかりの幸せオーラを燦々と振りまきながら蓮は戻ってくるだろう。

そんな風に思っていたのに、1時間、2時間経っても帰ってこない。
そうなると妄想はあらぬ方へと膨らむばかりだった。

結局蓮は戻って来ず、一睡もしないまま翌朝を迎えた奏江たち2人は重い足取りでそれぞれの家に帰った。
その日の午後、社から蓮とキョーコが晴れて付き合うことになったらしいと連絡があった。

「…告白されてOKしたのは聞いてるわ。その後の事よ!もしかして…もしかして朝まであんたたち……」

それを聞いたキョーコの体がビクンと跳ねて、ボボボーッと真っ赤になった。

その顔!その反応!!
やっぱりあの男は我慢なんか出来ずに、想像した通りの展開に持ち込んだのね!!

奏江の疑惑がほぼ確信に変わった。

「ふぇー。琴南先生どうして知ってるんですか?…もうっ恥ずかしいですーっ!」

恥ずかしいって何よ!マスクしててよく分からないけど、真っ赤になっちゃってるじゃないの。
まさか今時の女子高生がキスの1つや2つでそんなに狼狽えないでしょ!やっぱりあの男は……。

「その…最初は衝撃で頭が真っ白になっちゃって痛みはあんまりなかったんです。でも、段々痛くなってきて…凄く痛くて……」
「えぇっ!?」
「気が付いたら血が出てて…」

ヤッパリ!!!

「そっそう……初めてだったのね…痛かったわよね…」
「本当に痛かったです。しかも血がたくさん出てきて、先生も慌ててました」

そんなに血が出るなんて!!あの男、どれだけこの子に無理をさせたの!?
慌てる位ならもう少し理性を保つ努力しなさいよ!!

「一応確認しておくけど……それって敦賀先生が無理矢理…とかじゃないわよね?」

顔を引き攣らせながら奏江はキョーコに尋ねた。

お願いだから無理矢理だったとかやめてよね!引くし、ドン引くだけじゃなくて敦賀先生の事を抹殺したくなるわよ!!

「はい…その…合意の上です」

フシューッと音が出そうな程真っ赤になって、居たたまれなさそうに俯きながら、キョーコはぽそぽそと答えた。

良かった…良くは無いけど…未成年に手を出してる時点で犯罪だけど……でも良かった。

安堵して奏江はほーーっと大きく息をついた。

「……それじゃあ大変だったわね…」
「はい。先生がすぐに病院に連れて行ってくれて。でも先生、お酒を飲んでいたから車の運転が出来なくて、テンさん…先生のお母さまが車を出してくれたんです」

ちょっと待ちなさいよ!!敦賀先生の母親が病院に連れて行ったって!!
あっちの家族には何を致したかバレてるって事じゃないの。私だったら居たたまれないわ!

「で…その…体の方は大丈夫なの?」
「はい!週末には抜糸できるそうです」

抜糸!?裂けたって事じゃないの!!あの男、どんな勢いで突っ込んだのよっ!モーーーーーーッ!!!
初心者相手にそこまで盛るなんてどうなの?ケダモノめーーーっ!

なんか最上さんが哀れで涙出てきたわ。
もう私が言えるこ事はもう無いわ…。純潔を守りなさいなんて今更手遅れだもの。言えやしない。

言えることがあるとすれば…。

「順序だけは守りなさいよ?」

くれぐれも高校卒業前に妊娠とかやめてよね。まだ1年あるんだもの。期間的には出産まで可能なところが恐ろしいわ。
あの独占欲まみれの男なら既成事実から結婚にこぎつけようとして、早々に種付けまでやりかねないわよ。

「順序ですか?…ちょっとわからないので学習しておきます!」

キョーコはうんうんと頷いて、ビシリと敬礼して見せた。その姿を見て奏江はがくりと肩を落とした。

「…あなたは今のままでいて頂戴…何かあったらいつでも相談に乗るから」
「はい。ありがとうございます」

キョーコの目尻を下げた幸せそうな笑顔に、奏江はアルカイックスマイルで応えた。



___ 遡る事3日 ___


熱烈に私の事を好きだ、愛してると言ってくれて、私が欲しかった言葉をポンポンとまるで大安売り、バナナの叩き売り状態(見たことないケド)で、心を幸せでいっぱいにしてくれる。

そして、いつも私を安心させてくれる広い胸にギュッと抱きしめてくれて…。

しかもそんな風に私を大事にしてくれる人は、とてつもなくカッコいい。そこら辺の芸能人や、王子様より遥かにカッコいい(これも見たことないケド)のだ。

そんな人に『ごめんなさい』と言う女子がいるって言うのなら、教えて欲しい。目の前に連れてきて欲しい。
あなた、ツンデレならぬツンツンですか!!と聞いてみたい。

これ程までに私の事を想ってくれる人がこの世に居るだろうか。絶対に居ないし、この先だって絶対に現れないって言い切れる。
そしてそんな先生の事を、私もいつの間にか好きになってて…だから私は、敦賀先生の告白を受け入れたの。


そして今、私は流血しています。


予備校の春期講習でクタクタになった千織が自宅マンションに辿りついたのは夜10時を過ぎていた。
扉が開き、乗り込もうとしたエレベーターの中に、自分の兄が二回りは小さい人物を抱きしめている後ろ姿を見た瞬間、千織のストレスゲージが振り切れた。

千織は助走をつけて、「天誅!!」と叫びながら蓮の背中にとび蹴りを浴びせた。

「ん゛っ」

想いが通じた事に胸がいっぱいで、そしてキョーコとの蕩ける様な甘いキスに蓮は完全に無防備になっていた。
キョーコのぷっくりとした柔らかい唇をそっと噛んでいた蓮の歯が、突然の衝撃にキョーコの唇を強く噛みしめてしまった。

「痛ッ」

蓮を鬼の形相で見つめていた千織が、蓮が抱きしめている、小さな悲鳴を上げた人物の顔をジロリと見た瞬間、大きく目を見開いた。

「ぎゃっ!キョーコさんだったの!!」
「う、うん…。予備校お疲れ様…」


蓮に噛まれた唇はジンジンと痺れている感じで、痛みはあまり感じない。
キスしているところを千織に見られた気恥ずかしさを誤魔化そうと、キョーコははにかんだ笑いを返した瞬間

口から血がつーっと流れ出てくる。

その光景に思わず蓮と千織が一瞬固まった。

「…あれ、痛い… ~~~~っ痛い゛ーーーーーーーーー」

キョーコは激痛に口を両手で押さえて座り込んだ。

「最上さん!大丈夫!?…じゃないよね。千織っお前何てことをするんだっ!!」
「だってお兄ちゃんが…。ゴメン。こんな時間にキョーコさんがこんなところにいるとは思わなかったし、見たことない服を着てたから…その、お兄ちゃんがキョーコさんじゃない別の女を連れ込んだのかと思って…」

ついカッとなってとび蹴りをしてしまったのだという。


それからは大騒ぎだった。

「すぐに病院…そうだ、救急車。救急車を呼ぼう!」
「アホかっ!この程度の傷で救急車が来てくれるわけないでしょ!早く車出しなさいよっ!!」
「分かった……あぁ…俺、酒飲んでるから無理だ」
「もーっ!この役立たず!!」

両手で頭を抱える蓮に、千織が容赦なく舌打ちをする。

心臓が脈打つたびに唇に痛みが走るのに、兄妹の漫才のような掛け合いにキョーコは笑いそうになる。

「痛っ…」

唇を動かした瞬間、ビリっと鋭い痛みに体を引き攣らせた。

「最上さんしっかりして!!」
「ママ呼んで来るから、2人は駐車場にいて!!」


結局テンの運転で、千織と蓮に付き添われて辿りついた夜間病院で、キョーコの唇は合計6針縫われてしまった。


**


キョーコが奏江と狭い車内で話をした10分後、駐車場で蓮の出勤を待ち構えていた奏江に、蓮は渾身のグーパンチを浴びる事になる。



つづく





知り合いが顔から転んで、自分の歯で唇を切ってしまい縫ったんですよ。
顔面から転ぶなんてバカだなーしかも縫うって!
と笑ったのを思い出しまして。



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