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   偶然と必然 6   


限定の4、5話をすっ飛ばしても大丈夫なように書いたつもりです。
お待たせしてすみません。しかも長い…。2話に分けようかと思いましたが、1話でお届けです。


結局、無理をさせすぎたか…

蓮は荒い息のまま額の汗を拭って、ベッドにくたりと横たわる小さな体を見下ろした。

昨日、無理矢理に初めてを奪ってしまった後悔。
それを事も無げに赦した少女…キョーコが望むものを与えようと、最初は本気で思った。

与えようだなんて、それこそ思い上がりも甚だしかった。

長い睫毛を伏せて、少し唇を噛みしめながら羞恥に耐えようとする姿、白い喉を上下させながら喘ぐ媚態。
時折見せる幼さの残る仕草。

結局与えるより欲した。

理性が焼き切れた後はただひたすらキョーコを求めた。
蓮の首に細い腕を絡ませて、必死に蓮の行為を受け入れようと、拒否する様子が無いのを良い事に、蓮はキョーコを貪った。
その結果、蓮の3度目の絶頂の中、キョーコは意識を手放した。

ベッドに両手を投げ出して、うつ伏せで横たわるキョーコの荒かった息は、少しずつ深いものに変わってきた。

「自分がコントロールできないなんて…俺は盛りのついた高校生か!」

大事にしたかったのに、あれ程誓った筈なのに、結局は自分の欲望を優先させてしまった後悔に蓮は項垂れ、掴んだ両手でクツクツと額を打った。

まだ会って2回目で、ろくに話なんてしてないのに、この子の事が気になって仕方が無い。ベッドの中で教えてもらった名前しか知らないこの少女の事を、もっとよく知りたい。
知りたいと言うか…手放せる気がしない。

彼女が俺に近寄ってきた意図は全く分からないけれど、悪意や罠なんてものじゃない事は分かる。
俺を見る瞳に、憎しみや害意は見て取れない。

…そして恋やら愛やらも見て取れない。

今までうんざりするほどに他の女性から向けられたものが、この少女から向けられない事が不甲斐ない。
キョーコが目を覚ましたら、愛を散々に説いて、付き合って欲しいと告げよう。
そう思いながら蓮は、キョーコの汗を吸って額にはり付いた前髪を、指でそっと愛おしむようにかき上げた。


蓮の指がくすぐったかったのか、キョーコは小さく肩を上げて身じろきをした。
そして眉を顰めて、天国にいた男を地獄の底に叩き落とす一言を紡いだ。


「ショーちゃん……」


「え?」


蓮の思わず発した問いかけに少女は反応することなく、すうすうと穏やかな寝息を立てている。

…聞き間違いか?いや、今この子は…キョーコは確かに「ショーちゃん」って言った。

一体誰なんだ?男?彼氏か?

もしかして、偶然出会った俺に抱かれてしまう程、自暴自棄になるような酷い振られ方をしたとか?
それとも『ショーちゃん』が本命?キョーコの好きな男なのか?
…いや待て。そんな本命がいたら、俺に2度も抱かれようとするなんて変だろう?
好きな男がいるなら、それこそ再会したコンビニで罵倒されて当然じゃないか。
それなのに、今キョーコは俺に抱かれて…。

『ショーちゃん』…君は一体何者なんだ。キョーコの中で、君はどんな位置づけなんだ!


蓮は不安に駆られ、キョーコの上に覆いかぶさり白い柔らかい躰をぎゅっと抱きすくめた。


そして俺は君の中でどんな位置づけなんだ?
…… 聞いてどうする?聞いたところで今更手放せるとでも?そんなつもり無い癖に。
俺を嫌っていない限り…いや、嫌っていようが関係ない。嫌っているなら好かれるよう努力する。キョーコが望む事を何でも叶えてあげる。
だから…。

「俺を好きになって」

蓮はキョーコの耳元で囁いて、頬に願いを込めたキスをした。


「ん…重…」


蓮の想いの籠ったキスは、キョーコには目覚めのキスとなったようだ。

ゆっくりと瞼を上げると、そこは薄暗い部屋の中だった。ぼーっとした頭で、ここはどこだろう?いつものベッドじゃないし…などと悠長に考えていると、後頭部に何かが押し当てられた。その感触は嫌なものではなく、寧ろ心地よかった。
何かが体をベッドに押し付けてるけれど、それは温かくて、まるでキョーコを大事に守るように、包み込まれているようで。

安心した気持ちになって、瞼を閉じようとした時、キョーコの髪にキスをしていた蓮が声をかけた。

「良かった。気が付いた?」
「ふえ?…あっ!」

体が動かないせいで、首をまわして後ろを見れば、神々しい笑顔の蓮がキョーコを見つめていた。
一気に現実に引き戻されたキョーコが状況を確認した途端、ピシリと固まった。

うつ伏せのキョーコに蓮が覆いかぶさり、蓮の両腕はキョーコに巻き付いている。
その上一糸纏わぬ姿で抱き付かれている事に、それまでの行為を途端に思い出してキョーコは真っ赤になった。

「気を失っちゃったんだよ。でも、少しの間だけだから」
「そう…でしたか…」
「ごめんね。無理をさせちゃったよね…」

そう言って自分を気遣う蓮に、大丈夫だと声をかけようと躰を捩ったところで、キョーコはハッと息を呑んだ。

今は何時だろう?まだカーテンの外は暗い様子だ。
蓮の家に上がり込んだ途端、夕ご飯も食べず、シャワーも浴びずに縺れ合ったのだから、それ程遅い時間だとは思えない。

「あの…そろそろ帰ります」
「門限?ご両親が心配する?」
「いえ。独り暮らしなので、そういう訳じゃないです」
「…なのに泊まって行かないの?」

不機嫌そうな声で蓮はキョーコに問いかけた。
そして巻き付いていた腕が動いて、大きな手のひらでぞわりとキョーコの躰を撫で上げる。
このまま抱き合って朝を迎えたいと、蓮は言外に伝えたつもりだった。

「っ!駄目です。帰ります!明日は早出でお仕事に行かなくちゃいけないんです。だから早く帰らなきゃ」
「…だったらここから行けばいい。何なら車で送るよ」
「本当に駄目なんです。だって、洗顔料もマッサージクリームも化粧水も美容液も乳液もリンクルクリームもリフトクリームもエッセンスマスクもここには無いじゃないですか」

「…ソウデスネ?」

今のは何の呪文?と聞きそうになったけど、説明されても分からなそうだし止めておこう。
でも…

「それがあったら、ここに居ても構わないの?」
「うーん…そうですねぇ…あとは着替えですかね?前日と同じ格好で職場に行くなんて、絶対に無理です」

赤くなってゴニョゴニョと応えるキョーコに、蓮は苦笑した。

「そっか。キョーコ、社会人だったんだ…学生かと思ってた」
「ちゃんと働いてますよ?」

きっと、自宅に帰らなかった事情を、同僚たちに冷やかされるのが嫌なのだろう。
そんな理由を考えているだろうキョーコを、蓮は猫かわいがりしたくなる。

どうせなら昨日の服のまま、眠たげなキョーコを職場まで送り届けて、謎の『ショーちゃん』と出くわして、見せつけてやりたい。
そんな黒い考えなどおくびにも出さずに、蓮は仕方が無いと言う様子でキョーコの躰を拘束していた腕を解いた。

「それじゃあ、送って行くよ」
「えっ?でも近いですし、1人で大丈夫ですよ」
「…こんな時間に女の子を1人で帰せるわけないでしょ?俺が心配なんだ。送らせてよ」

それに名残惜しいんだ。次に会える約束だってしたい。それよりも、付き合って欲しいと伝えるための時間が欲しいんだ。

「…はぁ。それじゃあお言葉に甘えさせていただきます」
「うん。ありがとう」
「送ってもらうのは私なのに、敦賀さんが『ありがとう』なんて変ですよ」

そう言ってキョーコはクスクス笑った。

その笑顔に、蓮の心臓がドクンと大きく踊った。
キョーコの屈託のない笑顔を見たのは初めてで、まるで花のように可愛らしかった。その花は、決して大輪の薔薇や高潔な百合の花ではないけれど。

色とりどりのガーベラの、小さなブーケを大切にしたいと蓮は思った。


身支度を整えて蓮の家を出ようとすると、キョーコが廊下に備え付けられたミニキッチンをじっと見つめている事に気付いた。

「どうしたの?」
「いえ、すみません。随分とキッチンが綺麗だなぁと思いまして。料理しないんですか?」

そんな事か。と思いながら蓮はキョーコと部屋を出て歩き出した。

「うーん。コーヒーを淹れる為かカップラーメンの為に鍋でお湯を沸かしたくらいかな」
「鍋、ですか?…やかんも無いって事ですね。コンロが2口、グリルまでついてるって言うのに、宝の持ち腐れですね」

あれ?さっきまで甘い情事を楽しんでいた筈なのに、すっかり現実モードだし、何だかお説教モード?

「私なんて、今キッチンが無いお部屋なんですよ?羨ましいぃー」

蓮の頭の中に、『ワンルーム、キッチン・風呂無し、トイレ共同』という古びたアパートが浮かんだ。
セキュリティが万全なわけが無いだろう。若い女の子が望んで住む様な環境じゃない筈だ。
そんなところに今から帰るなら、蓮の家の方が断然快適だろう。しかもキッチンがある蓮の家を本気で羨ましがっているのだ。

「じゃあ、俺の家に住めば?」
「へ?」

蓮の口からするりと飛び出した言葉に、キョーコは歩みを止めた。

「キョーコが手料理を食べさせてくれたら嬉しいし。俺、本気だよ?着替えと、さっきの魔法の呪文グッズを持ってくればいいじゃないか」
「何を言ってるんですか…」

ポカンと見上げるキョーコに、蓮は背中を曲げでチュッと唇にキスをした。

「んなっ!?」

途端に真っ赤になって、慌てて周りをキョロキョロと見回すキョーコの様子に、蓮の頬が優しく緩む。
あぁ、やっぱりこんな仕草一つが可愛いく見えて仕方が無いのだ。やっぱり自分はキョーコに本気で惚れたのだと蓮は納得した。


「もももーーっ!からかわないでください!!私、こういうの初心者過ぎて上手に反応なんて出来ないんです!」
「ごめん。でも、段々と慣れて行けばいいんじゃない?」
「慣れですか …… そうですね…ってあ、私の家ここです。送って下さってありがとうございました」

そう言ってキョーコは腰を折って丁寧なお辞儀をした。

「敦賀さんの家のお話、とっても魅力的です。少しだけ考えさせてください。お返事は…今度お会いするときでいいですか?」
「……うん」
「じゃ、ご都合のいい日を先程お教えしたアドレスにメールくださいね。それじゃあ失礼します」


キョーコは笑顔を残して、ドアマンによって恭しく開けられたホテルの正面玄関を入って行った。



つづく。



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