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   偶然と必然 7   


ナーは旅に出ると予算圧縮に努めてビジネスホテルか、少し贅沢すると旅館になって、高級ホテルに泊まったことがありません。
優雅なホテルライフする位なら1日中外で観光したい派なので、一生縁が無さげです。


それ、家なの?家じゃなくてホテルだよね?そこで暮らしているって事?仕事で長期滞在?ビジネスホテルなんかじゃなくて高級ホテルに?

…彼女はいわゆるお嬢様なのか?

いや。お嬢様がイカそうめんや珍味の類をこよなく愛してるなんて、ちょっとイメージじゃないと言うか…結びつかない。
それにキョーコが身に付けているモノだって、ブランド物というより普通に売ってるようなものだった。
言動…は…斜め上過ぎて、もはや何が彼女の中の普通かさえ分からない。

確かにホテルの普通の部屋にキッチンなんて無いだろう。でも、セキュリティは万全だしホテルライフは快適だろう。
それなのに、俺の部屋を羨ましがるなんて…。

やっぱり

「…分からない…」
「何が分からないって?」

頭を抱え込んだ蓮に、同僚の貴島が面白そうに声をかけてきた。
蓮が顔を上げると、好奇心に満ちていた貴島の顔がみるみるうちに曇った。

「何、敦賀君どうしたの?目の下にクッキリ隈なんか作って。色男が台無しだよ?」
「…色男…なれるもんならなりたいよ…」
「は?」

昨日、駅の反対側にあるホテルにキョーコを送った帰り道から、蓮はずっと考え続けている。
そしてやっぱり、どんなに考えても答えは出てこない。悶々と夜を過ごし、そのまま出社していた。

「それより昨日、どうして飲み会来なかった訳?結構盛り上がったよ?経理の琴南さんとかさー…って聞いてる?」
「そう。それは行けなくて残念だった」

飲み会が盛り上がろうが、貴島君が誰を狙おうが、俺はどうでもいい。
俺とキョーコが盛り上がればそれでいいんだ!!

「ちょっと敦賀君、すっごく切迫した顔してるけど、本当に大丈夫?悩みでも抱えてるなら、俺で良ければ相談に乗るよ?」


ピロリン


面倒な奴に絡まれたと内心舌打ちをしていたところに、蓮のスマホにメールの着信音が鳴った。
貴島の話を聞くでもなくスマホをタップした蓮の眉がピクリと揺れた。

それはキョーコからのメールだった。

急いで中身を確認すると、昨夜ホテルへと送った事へのお礼と、早朝の仕事に無事間に合ったという内容だった。
わざわざそんな内容を送って来るなんて、意外と義理堅い子なんだなと思い、蓮の口元がふと綻んだ。

「うわー。この男、会社の飲み会蹴って女と会ってたんだー」

貴島の声にハッと顔を上げると、メールの内容を読んだようで、ニヤニヤと蓮の顔を見つめていた。
蓮は浮足立つ心をどうにか地面に繋ぎ止めた。

「…何の事かな?」
「ちょっと、何誤魔化そうとしてるのさ。見てるこっちが恥ずかしくなる位破顔してるって気づけよ!!あっ大原ちゃーん!!敦賀君に春が来たよ!」

貴島は蓮の恋バナを手土産に、書類を持って通りかかった秘書課の大原の元へと駆け寄って行った。
やれやれとため息をつきながら、蓮はキョーコからのメールをもう一度見ようとして、続きがある事に気が付いた。

今夜、少しの時間でいいから会えませんか? と書かれていた。


**


高級ホテルの毛足の長い絨毯を踏みしめて、蓮はキョーコに指定された部屋へと急ぐ。
逸る気持ちを抑えて、蓮は部屋のベルを鳴らした。

「……はい」

少し探るような声は、やはりキョーコのものだ。このドアの先にキョーコがいると思うだけで蓮の心は浮足立った。

「俺だけど…ごめん。仕事が長引いて遅くなった」
「今開けますね」

ガチャリとロックを外す音が響く。開いた先には、部屋着なのだろう。Tシャツワンピース姿のキョーコが、冴えない表情で蓮を迎えた。

遅くなったことを怒っているのだろうか?…裏返せば、俺に会いたいと思ってくれたって事?

キョーコの表情を覗き込もうとした時、キョーコが蓮のネクタイを両手で下にぐいっと引っ張った。

「うわっ」

蓮が驚いているうちに、キョーコの顔が至近距離に近づいて、赤くぽってりとした唇が、蓮の唇を捕えて包み込んだ。

蓮の唇がピクリと動いた刹那、キョーコの唇はそっと離れて行った。


蓮が無表情のまま固まっていると、キョーコは不安そうに眉を顰めて、蓮の瞳をじっと覗き込んできた。
少し怯えた表情は、正気に戻った蓮の征服欲を駆り立てる。

「…駄目でした?」
「駄目なんかじゃないよ?でも、どうしたの?」

寧ろ嬉しい。
キョーコからの強引な拙い口づけに、蓮の胸は逆に締め付けられた。

「敦賀さんのおうちに住んでも良いかって、会社で私の面倒をみてくださってる方に相談したんです。そうしたら…」
「そうしたら?」
「もっと敦賀さんの事をきちんと知ってからにしなさいと言われました」

反対された?それで拗ねてこの態度?
…可愛すぎるだろう!?

キョーコは握り締めたままだった蓮のネクタイを、くしゃくしゃにしたり、ぴんと伸ばしたりしている。
もういっその事、その両腕にネクタイが絡まって、自分から離れられなくなってしまえばいいと蓮は思った。

しょんぼりと項垂れるキョーコを促して、蓮は部屋の奥へと進んだ。

クィーンサイズのベッドを部屋の中心にして、窓際には2人掛けのソファとテーブルが置いてある。
鏡の前には、昨日キョーコが唱えていた呪文を具現化したものだろう。いくつものスワン型の容器が並べられている。
ベッド脇のローボードには、食べかけのチョコレート菓子と、女性をターゲットにした、アルコール度数が低い桃の缶チューハイが置かれていた。
きっと今までキョーコは甘いお酒とおつまみでやけ酒をしていたのだろうと思うと、蓮の口元はふよふよと緩んでしまった。

蓮はキョーコをソファに座らせ、自身もその横に腰を下ろした。

「…でも、確かにそうですよね。私、敦賀さんの事ほとんど何も知らないし」

それはそうだ。キョーコとまともな会話なんて、殆どしていない。
お互いの名前と住んでる場所しか知らないのだ。年齢やどうしてホテルで暮らしているのか。
それより何より、キョーコが寝言で紡いだ名前…

『ショーちゃん』が何者なのか。

蓮の心につい今まで漂っていた甘い気持ちがシュワッと霧散した。

「知った上で、きちんと紹介しなさいって言われました」

俺が見極めてやる、と息巻いたと言う。きっと職場でもキョーコは可愛がられているのだろう。
その男性社員は、いつもキョーコのそばで、突拍子もない行動をハラハラと見守り、そしてキョーコと笑顔を交わしているのだ。
蓮が数日前まで知らなかったキョーコを、その男はずっと見守っていたのだ。

蓮は想像の彼方でキョーコの面倒をみる男性社員に嫉妬した。


「ふわっ!つっ敦賀さん!?」

蓮は隣に座っていたキョーコの腰に手を回し、ぐっと引き寄せて自分の膝の上にキョーコを座らせた。
左腕はキョーコが倒れないように背中を支え、右手で腰を支えた。

「是非とも早急に紹介してほしいな…」

腰を支えていた右手がキョーコのワンピースをたくし上げ、太腿をゆらゆらと往復した後、スカートの内へと潜り込んだ。

「ぁっ!ちょとっ!どこ触ってるんですか!!」
「…キョーコの事をよく知っている人さえ知らない…俺だけが知っているキョーコのイイところ?」
「ん…駄目ですってばっ!!」
「クス。駄目じゃない癖に」
「ほんとうに駄目です。話っ話をしましょう。ね?敦賀さんの事を教えてください。あっ…」
「俺の事なら何でも教えてあげるよ。キョーコにだけ、全部、ね?」
「全部?」

背中を支えていた右手に力を込めて、キョーコを蓮の胸の中に納める。
キョーコは睫毛を伏せて蓮の厚い胸に頬を預けた。

「ん…」
「まず1つ目。…俺はエッチです」
「っ!それは知ってます!!」



つづく。



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