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   黒猫の希い 24   


黒猫です。
このモヤッと感じがナカナカ黒猫をアップできない難所となってます。


「ちょっと、何ベッドの上で膝を抱えて座ってるのよ。辛気臭いわねぇ、何なのよ!!」
「うん。…やっぱり人混みって苦手だなぁって」
「そんなこと言ってないで、ほらっ!今日もトウモロコシ見つけに行くんでしょ!?シャキッとしなさいよっ」
「トウモロコシじゃないよ!コーンだよ!!」

誰にも告げずに1人でコーンを探しに出かけて、キョーコの方が大捜索をされて以来、キョーコは必ず誰かと外出するようになった。


「ほらっ!早く支度しなさいよ。今日は私が一緒に行ってあげるから」
「ほんと?」

モソモソとベッドから降り、てきぱきと外出の準備をする奏江の傍に歩み寄ると、キョーコはじっと奏江の顔を見つめた。

「モー子さん…」
「何よ。思いつめたような顔をして。…さては、また変なことを考えて…っ」

キョーコは奏江に抱き付いた。

「ギャーー!!なっ何にすんのよ!離しなさいよっ!!」

奏江の悲鳴をものともせず、背中に腕を回してぎゅうぎゅうと抱き付くキョーコに、奏江は真剣に慌てた。

「いいい一体何なのよっ!!」

どうにかキョーコの腕を振り払って、ゼイゼイと荒い息をしながらキョーコを見れば、眉を寄せて真剣に何かを考え込んでいる。

「違う。フワフワだけど、なんか違う…」
「違うって何よ!言っとくけど私、シリコンなんて入れてなからね!?天然よっ!!」

キイキイと怒り出した奏江を無視して、キョーコはムムと首を捻る。

「何が天然なの?」
「げっ!!」

耳に心地よく響く低音ヴォイスに、キョーコの耳がピクリと反応する。
振り向くとキョーコが想像した通り、そこには蓮と社が笑顔で立っていた。

「琴南さん、随分なご挨拶だね。それが先輩に対する態度?」
「…ラブミー部同期生のくせに…」
「ん?今のは独り言かな?」

んん?と耳元に手をあてて奏江に詰め寄る蓮を、笑いながらそろそろ仲裁に入ろうかと声をかけようとした社が、ふと自分を見つめる視線に気づいた。

振り向くと、すぐ目の前でキョーコが思いつめた顔で社を見上げていた。

わぁー、可愛いなぁ。眉を下げて上目遣いで見上げてるよ。キョーコちゃんって小動物属性だよなぁ。
ウサギかな?いやリスかな?蓮じゃなくてもナデナデしたくなるよー。

「社さん…」
「ん?キョーコちゃん、どうしたの?」

社の声に、蓮に遊ばれていた奏江が社とキョーコの方に振り返ると、ギョッと身を竦ませた。

「駄目!社さん逃げてっ!!」
「へ?何が?…!!!」

何から逃げるのかと奏江に首を傾げているうちに、ぽすんとキョーコが社の胸に顔を埋めて、腰のあたりに腕を回した。

「キョーコちゃん!?」

突然のキョーコの抱擁に、社は一瞬頭の中が真っ白になった。

「ちょちょっと、キョーコちゃんどうしたの?もしかして琴南さんにイジメられたの?」

動揺しながら、社はキョーコのつむじと、額に手をあててため息をつく奏江を交互に見比べる。
その視界に、禍々しいオーラが入り込んだ瞬間、キョーコの頭を撫でようと、頭上15センチの所に浮かべた手がビシリと固まった。

「ぅおい!!蓮、何て顔で俺を見てるんだ!!今すぐ消えてしまえって顔に書いてあるぞ!」
「…やっぱり違う。ふわふわでさえない」
「違うってキョーコちゃん何が違うのーっ!」
「…」
「!! お願いだから、思考の小部屋から出て来て俺を離してーっ!!」
「あ、社さんごめんなさい」

社を解放したキョーコは、首を捻りながら考え込んでいる。

「全く…。さっきからあんた、人に抱き付いて何を確かめてるのよ」
「さっきから?」

蓮の眉間にくっきりと縦じわが寄る。
どんな理由があっても、自分以外の男にキョーコが抱き付くのも抱き付かれるのも嫌だと、
キョーコに触れて良いのは自分だけだと叫びたいのを、蓮はぐっと我慢する。

「…敦賀さん、顔が険し過ぎです。あの子が怯えても知りませんよ?」
「うっ」
「それに、抱き付かれたのは私です」
「…そう」

…キョーコちゃんを好きだと自覚した途端、何ていう独占欲なんだ…。

あからさまにほっとした自分に大きなため息をついた蓮の傍に、キョーコが歩み寄ってきた。

「ブフーッ!!やっと順番が回ってきたみたいだよ?蓮、スルーされなくて良かったな!」

蓮君で遊ぼうと、ニマニマと見つめる社と奏江の視線も気にせず、蓮は自分を見上げるキョーコを、蕩けんばかりの笑顔で迎えた。

「蓮…ぎゅってしていい?」
「勿論。好きなだけどうぞ?」
「俺にも事前に聞いて欲しかったーっ!!」

社の主張を余所に、両手を広げで受け入れ態勢を示す蓮の胸にキョーコは顔を埋めて、広い背中へと腕を回した。

「やっぱり…」
「ん?何?」

やっぱり蓮の胸はふわふわする。
とても温かくて、いい香りがして…すごく気持ちが良いの。

でも、どうしてかな。モー子さんも社さんの事も大好きなのに、蓮の胸の中だけ違うの。
…特別なの。

ねぇ、コーン。コーンなら、その答えを私に教えてくれる?


キョーコは蓮の背中に回していた腕を解いて一歩下がると、じっと蓮の顔を見つめた。

「…ん?どうしたの?」
「ううん。…何でもない。それより今日はどうしたの?」
「うん。仕事の合間に寄るように社長に呼ばれてね。その前に、キョーコちゃんの顔を見に寄ったんだ」
「…ふーん…。…ありがとう」

用事のついででも、自分に会いに来てくれた。

そう思うと、キョーコの胸が一層温かくなりるのを感じた。


事務所ではなくローリィの自宅に呼ばれた話の内容は、きっと仕事以外だということは、蓮も理解していた。
体もある程度回復し一通りの家事を覚えたキョーコを、そろそろ蓮の家に連れて行く事を許す気になったのではと思うと、自然と蓮の笑顔が柔らかくなる。

「それじゃあ、そろそろ社長に会いに行こうかな」
「じゃ、私もコーンを探しに行ってくるね。モー子さん、コーンを見つけに行こう!」
「はいはい。ハンカチとティッシュ持ったの?」

子供扱いするなと頬をぷくりと膨らませるキョーコを直視できず、蓮はツキンと痛む胸をおさえて目を伏せた。
自分がコーンだと名乗り出ない限り、キョーコが願うコーンとの再会は叶わない。
そして絶対に逢えないコーンを、キョーコは必死に探し続けるのだ。

分かってはいても、蓮は立ち止まったまま、前にも後ろにも進むことが出来ずにいた。

「…そう。今日もコーンを見つけに行くんだね」
「うん!今日は渋谷のスクランブル交差点に行くの」

あの場所は、私が人間になって初めて歩いた場所だもの。きっと父さんも、何らかの意図でこの地…日本に私を降ろしたはずよ。
きっと…絶対にコーンは日本に、この近くに居る。


必ず、絶対に見つけてみせる。



続く



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