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   偶然と必然 10   


今回で1周年記念話、完結です。
どうにか7月中に終われました。


「俺が撮影をぶち壊した後、キョーコが縋るような目でマネージャーを見たから、あの人が『ショーちゃん』だと思った」
「どうして敦賀さんがアイツの名前を知ってるんですか?」

訝しむように蓮を見つめながら、キョーコはテーブルに置いたままだったミルクティの缶を手に取る。

「キョーコが寝言でその名前を呼んだんだよ」
「呼ぶなんて絶対にあり得ません。呪ってたの間違いじゃないですかね?」

キョーコの表情が曇り、握っていたミルクティの缶がベコリとへこんだ。

「呪うって、穏やかな話じゃないな…。一体『ショーちゃん』とキョーコはどういう関係なの?」
「アホ太郎との関係…私の黒歴史を語るのに3日3晩必要ですが…それでも聞きたいですか?」

3日3晩かかる程…その男の事を深く怨んでしまうくらい、キョーコにとって身近な存在だったと言う事か。
そんな話を3日3晩も聞かされたら、嫉妬で狂ってしまう自信があるよ。

「そこをどうにか掻い摘んで、3分で」
「3分ですか…。簡単に言うと、私の幼馴染みでした」

そこから捲し立てるようにキョーコは『ショーちゃん』の事を語った。

中学を卒業後、女優を目指して単身上京したキョーコの元に、数カ月に1度様子を窺うように、母親からの差し入れを持って『ショーちゃん』は現れた。幼い頃から大好きだった『ショーちゃん』が、自分の事を気にかけてくれていると思っていた。

ある日仕事から帰ると、何故か玄関に『ショーちゃん』の靴と、自分の物ではない女性ものの靴があった。
今日から地方ロケの予定で、キョーコは家に帰らない事を事前に『ショーちゃん』に伝えていた。その撮影が機材トラブルの為に急遽1日ずらされ、予定外の帰宅となったのだ。
頭で鳴り響く警鐘を無視して部屋に入ると、『ショーちゃん』が知らない女性とキョーコのベッドの上で睦み合っている姿があった。

どん底に落とされた気がした。『ショーちゃん』はキョーコの事が心配で度々上京していたのではなく、単なる遊び拠点として利用されていただけだった。

知らない間に合鍵を作った『ショーちゃん』が、お酒の飲めるお店で『お持ち帰り』をした女性を、ラブホテル代わりにキョーコの部屋に連れ込んでいたことを知った時、二度と恋などしないとキョーコは誓った。そしてすぐに引っ越しもして、『ショーちゃん』を忘れようと仕事に打ち込んだ。

それなのに、女優として売れてきたキョーコの事が惜しくなった『ショーちゃん』が、つい最近キョーコの前に現れるようになった。
何処で調べたのか、今住んでいるマンションに『ショーちゃん』が訪れたのだ。

「お前、俺の事が好きだったろ?付き合ってやるよ」

ブチ切れたキョーコが『ショーちゃん』の頬を平手打ちしたことに逆ギレした『ショーちゃん』に、キョーコは自宅の玄関前で押さえ込まれ、無理矢理キスされそうになった。
それを迎えに来た社が寸前のところで助け、キョーコの安全の確保のためにホテル住まいをさせると共に、『ショーちゃん』に厳重な注意を行った。

蓮は見たことも無い『ショーちゃん』に殺意を覚えつつ、キョーコの話を聞き続けた。


「だから私、お酒の飲める場所には絶対に行きたくなくて、お酒を飲んだことが無かったんです。それなのに、今度、『大人のキュララ』のCMに出させていただくことが決まりまして…」

京子のデビュー作となったCM が清涼飲料水の『キュララ』だった縁で、新発売する発泡酒『大人のキュララ』のCMに、大人になった京子を起用したいと飲料メーカーのカインドーから、京子が所属する大手芸能事務所であるLMEにオファーがあった。

「撮影までにお酒を飲んで、どんな気分になるのか体験しておこうと思って…それであの日、ビールを選んでもらったんです」
「それじゃあ…『肥えたい』って言っていたのも、太りたい訳じゃなくて、飲酒して酩酊感を経験して…演技の肥やしにしたいって意味だったのか」

役者バカって言うかなんていうか…。真っ直ぐなんだなぁ…。

「で?本題だけど、どうして俺に抱かれようと?」
「…さっき敦賀さんが乱入したドラマなんですけど…私にとって初めての恋愛ドラマなんです。でも、恋愛なんて愚かな行為、一生しないと誓っていましたし、私の浅くも黒歴史を思い返したくなくて、主人公への淡い恋心ってやつを、演技力でねじ伏せようと思ってたんです。でも、やっぱりばれてしまいまして…演技を社長さんに薄っぺらくて嘘くさいと言われました」

恋愛なんて一生しないだって?

「…それで演技の肥やしになればと、俺に抱かれたの?」
「えっとあの…『ショーちゃん』みたいにお酒が入れば、こんな私でもどうにかしたくなるかなと…」

そんなに目を泳がせなくても…正直すぎるだろう。

「俺、キョーコの事すごく本気だったのに、そんな男と同じと思われてたなんて…ショックが大き過ぎるよ」

蓮は盛大なため息をついて、机に突っ伏した。
あわわわと、慌てたキョーコが、蓮の向かいの席から蓮の横の椅子へと移動して、蓮の顔を覗き込む。

「でっでも!!どうせならエッチが上手そうな人がいいなと!それにできれば脂ぎったオジサマじゃなくて、王子様みたいな人の方がいいなって思ってたんです!!そんな事を考えていた時に、コンビニで敦賀さんを見かけて!」
「…え?」
「でっでも、そんな破廉恥な事…声をかけるのを躊躇って、ぐるぐる考えて…それでも自分の女優生命を絶ちたくないしって何日も声をかけられないままコンビニで…でも撮影は進んでいくし進退窮まって…だから…敦賀さんに声をかけたのは、偶然じゃないんです」

ちょっと待て。この子は何を言っている?
あのコンビニで…俺が会社帰りに寄るのを、何日も待っていてくれたと?

それって、キョーコが俺に一目惚れしたってことじゃないの?

「まさか敦賀さんからおうちにお招きしてもらえるとは思ってなかったですけど。それに、どうやって切り出そうかと思ってたら…イカそうめんのせいで服が濡れちゃって、チャンスかもって…だからパーカーを脱いで…」
「それじゃあ…」

この子を襲ったのも、実は誘導されてた?偶然なんかじゃなかったのか?

「キョーコは、うさぎ苔だったのか…」
「へ?兎ですか??」

俺は甘い蜜に誘われて捕食されたって事か。さながら食虫植物じゃないか。
見た目の可愛さに騙されて、まんまとその手に絡め取られて逃げ出せない。彼女に食べられて、気が付いたら彼女と同化して…。

良いじゃないか。望んで捕まってあげるよ。

「…本当は1回だけのつもりだったんです。1度経験すれば、そこから学習できると思ってたのに…
思ってたのに、もう1度って…。そのもう1度が叶ったら、もっと敦賀さんの事が知りたくなって…本当にごめんなさい」

「もう謝らないで。それに俺もキョーコの事をもっと知りたいよ。もっともっと…これからも、ずっとね」
「…敦賀さん…」

頬を染めて、キョーコはこくんと頷いた。


「ねえ、そもそもどうしてイカそうめんだったの?」
「へ?」
「ほら、最初に声をかけてくれた日に、ビールの銘柄は選べない癖に、おつまみはもう握り締めてたじゃないか」
「だってアキちゃんが、肴は炙ったイカでいいって…」
「キョーコの友達?でもさ、炙っイカより生イカのわた焼きの方が美味しくない?」
「うぅっ…だってコンロのあるキッチン…」
「じゃあ今夜、俺の家でイカ、焼いとく?別にイカじゃなくても良いけど」
「…本当にいいんですか?こんなに計算高くてズルい女ですよ?」

確かにぶっ飛んだ答えをはじき出すキョーコの計算式は、正直言って俺には一生分からないと思う。
でも、そんな計算式さえ可愛く思えてしまうんだ。

絶対に離したくない。

蓮がキョーコの手を握ると、キョーコは真っ赤になって握り返した。

「じゃあ仕事終わりに、一緒にスーパーに行こう」
「はい…。あ、変装用の伊達眼鏡、敦賀さんもして下さいね?今日の撮影映像が流れたら、敦賀さんもきっと注目を浴びてしまいます」
「えっ!?アレ、変装用だったの?」

キョーコは思い出したように真っ青になって、鬘と髭も準備した方が良いかと首を捻る。

あれくらいで変装できていると思ってたなんて…。一体どの辺りが計算高いんだ?


俺は必然的に彼女に出会って、その可愛さにやっぱり必然的に恋に落ちたんだ。
確かに今日、俺が仕事中のキョーコに出会ったのは偶然かだったかもしれない。
でも、それがあったから、今こうしてキョーコの気持ちも聞けた訳だし、こうやって本当の恋人になれたんだ。

そう考えたら、キョーコとの出会いから今までに、偶然なんてものは何一つ無かったんだよ。

だったら、この手を離す理由は無いでしょ?
ずっとずっと…キョーコにブンブン振り回されながら愛を育んでいくのもいいんじゃないかな?


「ねぇ、キョーコ。ここが会社の会議室で、きちんと付き合い始めて数分の初々しい恋人同士の2人しかいない。その上可愛い彼女は会社の制服を着ている…。思いつくことは?」
「へ?…全く分かりません」
「キョーコは鈍いなぁ」
「悪かったですね!って…ひゃ」

キョーコを抱きしめて、キョーコの唇をペロリと舐め上げた。

「だから…オフィス・ラブだよ」
「!~~~~~っはれんちッ …やぁっ」


破廉恥でいいじゃないか。恋は人を愚かにするけど、幸せにもしてくれるんだ。

今までキョーコにブンブン振り回されたし、これからだって全力で振り回され続けるんだろう。
だったら俺だってキョーコを振り回してあげるから、おあいこだよね?

「キョーコ、愛してるよ」



おしまい。





こんなオチでしたー。シリアスゼロのアホ妄想でしたが、楽しんでいただけたでしょうか。
読んでいただき、どうもありがとうございました。

アキちゃんは祥子さんじゃないですよ。日本の心を唄う八代さんです。祥子さんが演歌歌手…いいかも。
本編で収まらなかった部分があるので、おまけでそのうちアップしたいと思ってます。



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