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   コングラッチェ 32   


コングラです。
何だかシリアスになりきれないのがコングラです。
やっぱりおバカがベースだからですかねぇ。


「ん…も…無理です…」

キョーコは、はぁはぁと荒い息遣いで蓮の胸にくたりと凭れ掛かりながら、首をふるふると振った。
蓮のおねだりに負けて、2度目のキスを蓮の唇に落としたところまではキョーコの意志。
その触れた甘い唇を逃さないようにと、キョーコの白い項からすっと長い指を差し入れて後頭部を支え、もう一方の腕で背中をきつく抱き絡めて…
驚いたキョーコが声を発しようと開いた隙間に舌を進めて、ねっとりと咥内を舐めあげ、縮こまったキョーコの舌を絡め取る極上の口づけに変えたのは蓮の意志。

そんな蓮に翻弄されて、キョーコは自分を支える力も思考も全て奪われてまった。

まるで軟体動物になったみたい。
キス1つで毎日先生のお弁当に詰めている、タコの様にふにゃふにゃになっちゃうなんて…。

「愛してる…」

蓮の劣情を含んだ熱い眼差しを一身に浴びて、キョーコはどうしたらいいか分からないとばかりに、眉を下げてギュッと目を閉じて蓮のシャツをギュッと掴んだ。
まっすぐに自分に愛情を示す蓮の想いは、キョーコにも痛い程、十分に伝わっている。
でも、それをどうやって受け止めて良いのか、どう返してたらいいのか。キョーコは戸惑っていた。

蓮がキョーコを抱きしめる腕に力を込めた時

「あーママー。あそこの人達ラブラブーー!」
「こらっ!マー君。人を指差しちゃ駄目だっていつも言ってるでしょ?」
「だってあのお兄ちゃんたちチューしてたよー?ラブラブチュッチュだよー?」
「まっマー君!!」

振り向いたキョーコたちに、マー君を抱えた年若い母親がペコペコと頭を下げながら足早に去って行った。

ポカンとした顔で親子を見送っていたキョーコが、顔を真っ赤にしてフルフルと震えだしたのを見て、蓮はがくりと項垂れた。
誰もが入れる展望デッキで口づけを重ねていた事に思い至ったキョーコは、恥じ入るように蓮の胸に顔を埋めてしまった。
これではもうキスの続行は不可能だと、人目など気にしない蓮は名残惜しそうにキョーコのつむじにチュッとキスを落とした。

「…帰ろうか」
「はい…」


飛び立つ飛行機の轟音に驚いて蓮の胸から上げたキョーコの顔を照らした、雲間からのぞくオレンジ色の夕日は、とても温かく、とても綺麗だった。



空港からの帰り道、キョーコは自分の荷物を教室に置いてきた事を思い出して真っ青になった。
お財布もスマホも、全て鞄の中に入れたままだ。今自分が履いているのも、上履きのバレエシューズだ。
ちらりと蓮の足元を見れば、蓮も靴下の上に室内履きとして使っていたビルケンシュトックのサンダルを履いている。

慌てて学校を飛び出した2人は殆ど手ぶらで、荷物は学校に置いたままだった。
きっと今から学校に戻れば、飯塚教頭に雷を落とされることになるだろう。
情けなさそうに笑い合いながら、蓮は車を走らせた。


蓮とキョーコが職員室に入ると、既にほとんどの職員は帰宅しており、雑然とした室内は静かだった。
カタンという音のする方を見ると、椅子から立ち上がった飯塚教頭が、蓮とキョーコを見つめていた。

蓮とキョーコの背筋が自然と伸びる。
口元をぐっと引きしめた硬い表情でカツカツと2人に歩み寄りった飯塚の迫力に、キョーコは早々と降参した。

「申し訳ありませんでした!!でっでも敦賀先生が学校を飛び出したのは、全部私のせいなんです!!」
「いえ、最上さんは悪くありません。俺が…私が独断で彼女を連れ出したんです」

2人揃って飯塚の前で必死に頭を下げた。

「…事情は同じクラスの天宮さんから聞いています」
「え…」
「お母様には会えたの?」
「いえ。間に合いませんでした」
「そう…。色々と思う所もあるでしょう。今日はもう帰ってゆっくりなさい。最上さんの荷物は天宮さんに任せて帰しました。敦賀先生の荷物も、ついさっき社先生が持って出ましたよ」

怒られる事を前提に飯塚の前に立ったキョーコは、飯塚の気遣いに溢れる言葉に大きな目をぱちくりとさせた。

「まだ何か?それとも反省文を書きたいの?」
「いっいえ滅相もございません!!」

ブンブンと首を振るキョーコに、飯塚は柔らかく笑った。

「あなたの周りには、敦賀先生をはじめ、たくさんの味方が居るの。それをちゃんと理解しなさいね。そしてそれに甘える事を覚えるのよ?」
「…はいっ!ありがとうございます!!」

キョーコは深々と飯塚に頭を下げた。
こんなところにも自分の事を気遣ってくれる人が居る。そう思うと鼻の奥がツンとして、ぎゅっと瞑った目尻には涙が浮かんでくる。

頭を下げたまま肩を震わせるキョーコを、飯塚と蓮は優しく見守った。

「さ、敦賀先生。今なら社先生に駐車場で会えるんじゃないかしら。あなたもそのまま帰りなさい。そうだ、駅まで最上さんを送って頂戴」
「はい。そうします」

蓮は飯塚にもう一度深々と頭を下げて、キョーコの肩にそっと手を置いた。


感傷的になったキョーコを気遣いながら、蓮はキョーコの荷物を持って駐車場へと歩いて行くと、なじみのある声が聞こえてくる。


「琴南先生!離してくれーっ!!」
「馬鹿な事言ってんじゃないわよっ!そんな事をしたらあんたの方が痛い目を見るんだからね!?」
「それでもっ!俺の愛車に盛大な傷がーっ!!かたき討ちをさせてくれよぉーーーっ!!武士の情けーー!!」
「何が武士よ!アンタ子供かっ」

よく見れば、涙目の社を奏江が必死に羽交い絞めにしているではないか。

「社先生に琴南先生、何やってるんですか!?」
「琴南先生が社先生を襲ってるんじゃない?それで社先生が暴れてるんじゃないかな」
「成る程…」
「何変な事言ってんのよっ!アンタのお高そうな車に仕返しをするって騒いでるのよっ!敦賀先生も見てないで早くこの男を取り押さえなさいよーっ!!」
「むおーっ!蓮ーーっ!!ここで会ったが100年目ぇーー」
「わっ!社先生、手に持ってるの10円硬貨じゃないですか。もしかして10円傷をピーッと入れる気だったんですか!?」
「入れてやるぅー。綺麗に一直線に入れてやるーっ!」

ジタバタと暴れる社を、蓮と奏江が取り押さえようとする姿に、キョーコは最初ぽかんと見つめ、そして口元を押さえてプルプルと震えた。

だっ駄目よキョーコ。今笑ったら社先生が可哀想過ぎるわ。
大人2人に取り押さえられる社先生…。しかも手には10円玉…。


ブフーーーーッ!!!


キョーコは大声を上げて涙を流しながら、お腹を抱えて心の底から笑った。




つづく。



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