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   目に猛毒   


どぼーん。ブクブクブクー。
sei様の3周年記念を拝見して早10か月。(もうすぐ4周年じゃないですか!)
準備体操中に寝てしまい、寝返りを打った拍子にお池にどぼーん。そんな感じです。

sei様の『30行脱出企画』にほぼ1年遅れで参加させていただきます。
sei様のご活躍、今後もお池の中からお祈りしておりますー。ブクブクー。



『あぁクオン、私ずっと貴方の事を待っていたの。やっと私のところに帰ってきてくれる日が来たんだわ!』
『突然私の前から姿を消して本当に寂しかったのよ?この気持ち、貴方なら分かってくれるわよね?』
『今の貴方となら、きっと私たちやり直せるはずだわ!クオン、もう一度はじめからやり直しましょう。今夜から』


「大丈夫。自信を持って一歩踏み出してごらん」


華やかな本場アメリカ・ショービズ界のパーティに尻込みするキョーコの背中を優しく押すように、蓮は緊張した面持ちのキョーコをエスコートして会場に入った。
大物プロデューサーや関係者、今を時めくハリウッドスターたちが揃い踏みする煌びやかなパーティ会場に、蓮と共にハリウッドへと進出したキョーコの胸は期待と不安でいっぱいだった。


大丈夫。尊敬する敦賀さんが…大好きな敦賀さんが一緒なんだもの。

そう思って一歩を踏み出したはずなのに、キョーコは壁際の花になっていた。


蓮と共にパーティー会場に入ると、関係者への挨拶や売り込みもままならないうちに蓮目当ての美女軍団に取り囲まれ、あれよあれよと言う間に押し退けられ、輪の外に弾き出されてしまった。

精悍な男性へと成長した光輝く容姿に加えて、トップモデルとハリウッドスターの息子という申し分ない血統を持つ蓮を取り囲むのは、女性としての魅力は自分が一番だと信じて疑わない元カノたち。

そんな美女たちに囲まれて、いつも通りにこやかな笑顔で対応している蓮の様子をキョーコはじっと観察していた。


ふーん。敦賀さんを囲んでいる美人さん達は、みぃーんな敦賀さんの元彼女さん達ですか。

ひぃふぅみぃ…両手じゃとても足りないようですね?

それにしても、敦賀さんも世の男性と嗜好は同じなんですね。きっと敦賀さんファンじゃない男性からも親近感を持ってもらえるのではないでしょうか。
やっぱりボッキュッボッがお好みでいらっしゃいますか。皆様ナイス・バディで羨ましい限りです。

キョーコはそろりと自分の胸に視線を落として、そのついでにため息も落とした。

そんな憂いを湛えたキョーコの貌を、周りの男たちが遠巻きにチラチラと窺っている。
キョーコが身に纏っているのはマーメイドラインのパーティドレスで、大きく開いた肩口から胸元は繊細な刺繍が施されたレースが滑らかな肌を包んで、デコルテのライン美しく魅せている。

そんなキョーコを盗み見する男たちの視線になど一切気づかず、華やかな女性達をキョーコは見つめ続けた。

さすがショービズ界で活躍なさっている女優さん達ですね。皆さんお綺麗で自信に満ち溢れてて。
そんな彼女さん達をとっかえひっかえしておきながら「あれは恋じゃなかった」だなんて、随分と怪しいものです。
その上私の事を「本気で」好きだなんて仰って…。日本を発つ前に、ハリウッドでの最後のお仕事…このパーティが終わったら返事が欲しいだなんて仰ってたくせに。


あぁ!なるほど。


敦賀さんがずっと戻りたかった場所に帰って来て、ハリウッドスターの皆さんと接しているうちに、私の事を好きだなんて気の迷いだったと、「これ『も』恋じゃなかった」という事に気付かれたのですね?
パーティで敦賀さんを取り囲む元彼女さん達を見た後なら、いくらバカな私でも分を弁えた返事が出来るろう?という事ですか。

なるほどなるほど。要するに、告白した手前自分から取り下げるのは格好がつかないから、私から『分不相応です』とお断りしろと言う事でございますね?


「ふふふふふ…」


よぉーーーっく分かりました。お望み通り、綺麗さっぱり後腐れなく敦賀さんの前から消える役を演じて差し上げましょう。

最上キョーコ、一足早く本日ハリウッド舞台デビューさせていただきます!



「敦賀さん。お楽しみのところ非常に申し訳ございませんが、少しだけお時間をいただけますか?」
「ん?最上さん、何かな?」

元カノたちとの実りない会話に辟易しながらも、笑顔を貼りつかせて対応していた蓮がキョーコの声に振り返ると、鮮やかな碧が視界一面を覆った。

「これ、お返しします」
「えっ?」

あれ?この色、俺が最上さんに贈ったドレスの色に似ている?

「コーンの瞳の色と一緒ですね!」

ハリウッド進出のお祝いにと俺が贈ったドレスを身にあてて、嬉しそうに鏡の前でくるくる回っていた最上さんは本当に可愛かった。そのドレスを纏った最上さんは、凛とした美しさを魅せてくれた。

そう。俺の瞳の色と同じ碧のドレスが白い肌が映えて、とても綺麗だった。

でも、どうしてその碧が俺の目の前にあるんだ?

不思議に思って眼前の碧から顔を少しずらすと、そこには

満面の笑顔を湛えて蓮を見つめる黒のビスチェ姿のキョーコが、脱いだドレスを蓮に突き出して立っていた。

薔薇が描かれたシルクを思わせる光沢のあるチュールレースに包まれて、胸は上へと迫り出し、元から細い腰はより細く。
綺麗にボディメイクされた先の丈の短いスカートからは、白い太腿がすらりと伸びている。

「っ最上さん!?」

蓮の体からすっと血の気が引いて行く。

更にピントをキョーコの背後に合わせれば、固唾を飲んでこちらの様子を見守っている男たちの熱の籠った視線に、引いた血の気が一瞬にして頭に駆け昇った。

「最上さん!何て恰好をしているんだ!!」

キョーコは蓮の動揺など気にも止めない様子で、片手を腰に当てたモデル立ちで連を見つめ続けた。

「敦賀さんじゃなくても…」

キョーコは首だけを回して、遠巻きに成り行きを見守っている男たちへと視線を送る。
その濡れた黒い瞳には艶やかな誘惑の色を浮かべ、白い肌を強調する紅い唇には魅惑的な微笑みを湛えている。

「これを身に付けなくても、誰か1人くらい私にドレスを贈ってくれるでしょう?
…私をどうにかしたいって思うなら?」

周りを見渡す視線はBOX”R”で演じた「ナツ」のようだと蓮は思った。

何か楽しい遊びを見つけたかのように、輝きを湛えた三日月の弧を描いた瞳に魅入られた蓮は固まったまま一歩も動けない。


敦賀さん、何の反応も示してくれないのですね。こんな醜態を晒すような私に、最早かける言葉なぞ何も無いですか。
それとも折角ナイス・バディで綺麗な彼女さん達と楽しく過ごしてるのだから、そんな前だか後ろだか分からない貧相な格好で話しかけるなってところですか。

ううーーっ泣くもんか。キョーコ、あと少しの我慢よ。

「受け取ってくれないんですね。じゃ、いいです。もうコレ要らないですから」

蓮を見つめたまま突き出していた手を開く。

ドレスがパサリと床に落ちると同時に、キョーコは蓮に背を向けた。

クロークで上着を受け取ったら、ダッシュで荷物を取りにホテルに戻ろう。そしてそのまま日本に帰ろう。
やっぱり私にはこんな華やかな場所でシャンパングラスを持っているより、ちゃぶ台に座ってお茶を飲んでいる方がお似合いよ。
それくらいハリウッドと私なんて…敦賀さんと私なんて、最初から不釣り合いだったのよ。

カツン

キョーコが蓮の元から立ち去ろうと一歩踏み出したハイヒールが大理石の床を鳴らした音に、蓮がはっと我に返る。

「最上さん!!」

慌てて自分が纏っていたアルマンディのジャケットを脱いでキョーコに羽織らせて、その上から覆い被さるように抱き締めた。

「…やめてください。綺麗な彼女さん達が誤解しますよ?どうぞ素敵な夜をお楽しみください」
「俺から離れて行かないで!」
「もう放してくださいっ!放してったら!!」

最後は絶叫と言って良い程の声で蓮の抱擁を拒絶し、キョーコは絡まる腕を解こうと暴れる。

もうっ!こんな恰好までして、捨て身で格好いい女性を演じたのに、ただのヒステリー女になってるじゃないの!!
うーーっ格好悪いーーー!!

蓮はギュッと力強くキョーコを抱きすくめる。

「こんな姿を俺以外の男に晒さないで!これ以上馬の骨を量産しないでよ」
「何を言っているんですか。こんな恰好を晒したところで、元カノさん達のムンムンなお色気になんて到底及びません。敦賀さんだって本当はそう思ってるんでしょ!?」

今まさに馬の骨を自ら量産したんだよ!
そんな刺激的な姿で、その上蠱惑的な表情で周りの男たちを自分の虜にさせておいて、君は何を言っているの!

本当は昔の彼女達と話す俺に、最上さんが少しでも焼きもち焼いてくれれば良いなって思ったんだ。
それがまさかこんな事になるなんて…想定外の深さの墓穴を掘ったよ!

「ねぇ、最上さん。本当に俺もドレスみたいに躊躇なく捨てられちゃうの?」

蓮の言葉に、身を捩って蓮の抱擁から逃れようとしていたキョーコの動きがぴたりと止まった。

「捨てるって!!敦賀さんこそ私の事、気の迷いだったと気づいたんでしょっ!」

口をへの字に曲げたキョーコがようやく顔を上げて振り返ると、そこには情けなさそうに眉を下げて必死にキョーコの許しを請おうとする蓮の顔が間近にあった。

キョーコは蓮に向き直り、上目遣いに見上げた。
その瞳の奥には未だ不信感が燻っている。

「敦賀さん、本当に私の事…「好きだよ!!俺が欲しいのは君だけなんだ!!」
「…本当に敦賀さんは、私だけの敦賀さんになって下さるんですか?」
「うん。そうだよ。最上さんだけのものだよ」

もう、ずっとずっと前から君だけのものなのに、どうしたら信じてくれる?

「…じゃ、証を刻んでも良いですか?」
「俺が最上さんのものだって言う証?それなら好きなだけ刻み付けてよ」


ガブッ

「痛っ」

キョーコは蓮の肩に勢いよく腕を回すと、カプリと首に噛みついた。

驚いた蓮がキョーコの顔を覗きこめば、演じ続けていた大人の女性は消えていて、拗ねてはいるものの、いつものキョーコの表情になっていた。

キョーコの思い描く「男をスパッと切り捨てる大人の女性」 の役者魂は、キョーコから抜けたようだ。

素のキョーコに戻っても、やっぱり怒っている事には変わりはなく。

「お仕置きです」

そう言うと、再び蓮の首に唇を寄せてきゅっと吸い付いた。

キョーコを抱きしめたまま、されるがままになる蓮の様子に、蓮の元彼女達は美しい貌を歪めて悔しそうに歯噛みする。

キョーコのお仕置きを甘んじて受け入れている蓮は、大きな筋張った掌でキョーコの後頭部を支え、もう一方の腕をキョーコの腰に絡ませた。
キョーコから与えられる熱に、蓮も当然のごとく浮かされる。

蓮は周りの男達に、勝ち誇った笑いを浮かべながら突き刺さるような鋭い視線を撒き散らした。


「最上さん、色々我慢の限界。もう、このままホテルに帰ろう?」
「…お仕置きです。今夜はお預けです」


そう。お返事なんてしてあげません。
絶対に好きだって言いません。分かってますか?私、本当に傷ついたんです。

お預けなんて絶対に無理。部屋に着いたらそのままベッドに直行だから。
こんな姿を俺以外の男の目に晒すなんて、どれだけ俺が怒ってるか分かってる?そう、お仕置きしないとね?


蓮は夜の帝王の微笑みを湛え、頬を膨らませるキョーコをジャケットにくるんだまま横抱きに抱えてパーティ会場を後にした。



おしまい。



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