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   母強し 暴走は続くよどこまでも 前編   


ジュリママの暴走に終着駅が見えてきました。
ポロンと出てきたのですが、長くなったので2話に分けます。


「ン…。」
「キョーコちゃん、気が付いた?」

眠りから醒めてぼーっとしていたキョーコの耳に、聞きなれた心地よい低音が響いた。

「はい。おはようござい…ます?」

あれ?確か私はクーパパの主演映画に、おこぼれでエキストラ参加させていただいてた筈よね?
その他大勢の通行妖精A役。
森のセットでお花を摘んで、みんなと戯れてた所に悪魔が現れて…
そうだ!悪魔って言うか魔王って言うか殺人鬼がやって来たんだ!!
B.Jにロックオンされて逃げ惑ったけど、あっさり捕まった筈じゃない!

ガバリと身を起こすと、そこは見慣れた風景だった。
キョーコを東京からパリへ、パリからロサンゼルスへと運んだジュリエラのプライベートジェットの中だった。
長旅を快適に過ごせるよう、機内は改造されている。
フルフラットにした座り心地の良い革張りの椅子の上にキョーコは居た。その隣のシートに長い脚を組んで優雅に座り、こちらを向いて微笑んでいる男を、キョーコは驚きの表情で見上げて固まっていた。

「コーン…」
「うん。おはようキョーコちゃん」

数日前にクーとジュリエラに連れて行ってもらった妖精の国(注:旧マイケル宅)では、結局コーンに会えなかった。
帰り道、しょんぼりと肩を落としたキョーコを抱き締めて、クーとジュリは絶対すぐに会えると慰めた。
きっと烈火の如く怒った蓮が、すぐにでもキョーコを奪い返そうとやって来るはずだと2人は確信していた。
だが、蓮からの連絡が無いまま、日にちだけがジリジリと過ぎて行く。

『キョーコが私たちの娘じゃないなんて!!私の余命はあと3時間よ!!』

もうヘタれた息子なんて待っていられない。息子に任せていたら、キョーコを本当の娘にできるのは何年先だろう。
毎朝クーに訴えるジュリの余命宣告が、日一日と短くなっていく。

蓮が現れないのなら可愛いキョーコを本当の娘にしてしまおうと、キョーコとの養子縁組をお抱え弁護士に相談をしようとしていたその矢先、遂に蓮が現れた。

それはそれは真っ黒いオーラを纏って。


その数日前、蓮はキョーコを迎えに行くために休暇が欲しいと、事務所の社長室に直談判に訪れた。
暴走した両親の元からキョーコを連れ戻すための休みを捻出してほしいと、懇願しようとした蓮の言葉をローリィは遮った。

「蓮、皇貴がお前の為にハリウッドの仕事をもぎ取ってきたぞ。勿論出るよな?」
「なっ!?」

今は仕事の話なんかしていないのにと憤る蓮にローリィはグッと眼前にオファーレターを突き付けた。

それを読んだ蓮の目が大きく見開かれた。

「向こうじゃお前なんぞ無名の新人なんだ。その役を精一杯演じて来い」
「はい…。ありがとうございます」

オファーレターに書かれた役は、その他大勢の通行悪魔A役だった。


そして今、キョーコの目の前にいる男は、キュラキュラと最上級の笑顔を湛えている。

「あれれ?私、さっきまでクーパパの映画のエキストラとして撮影に参加させていただいていたんじゃ?」
「そうだよ。なかなか日本に帰ってこないキョーコちゃんに、少しお仕置きをしようとしたら、気を失ってしまったんだ」

ごめんね、と悪かったとは微塵も思ってない似非紳士スマイルを前に、キョーコははーっと大きくため息をついた。

そうでした。B.Jのどす黒いオーラに中てられて、気を失ったんだ。
それに怒涛の日々にすっかり都合良く忘れてたけど、お仕事も学校も放り出して来ちゃったんだもん。…あぁ、帰ったらいろんな人に怒られるだろうなぁ。

『あぁ、キョーコ。気が付いたのね!!良かったわ。全く!!クオンが堪えきれずにキョーコに無体を働くからよ!!』
『ママ!!』

キョーコの為にとミネラルウォーターを持って部屋に入ってきたジュリエラは、起きたキョーコに安堵した。
そしてキョーコの気を失わせた張本人を、キリリと睨みつけた。

恐怖から逃れようと意識を失った天使の滑らかな肌は、恍惚の表情を浮かべた悪魔の唇に穢されていく。
首元から鎖骨、胸元。そして誰にも奪われないようにと自らの体を盾にして、その先の果実を舌で愛で、むしゃぶりつこうとしたした瞬間

カットという撮影終了の声によって、悪魔役を演じていた蓮は現実に引き戻された。

『全く!!クオンったらキョーコを怖がらせた上に襲い掛かるなんて、本当になんて子なの!ママ悲しいわ!!』
『でも母さん、あれはああいう役だったから』
『何を言ってるの!素でキョーコを襲ってたじゃないの!!』

バツが悪そうに眉を下げる金髪碧眼のコーンを前に、両手を腰に当ててプリプリと説教をするジュリエラを眺めながら、キョーコは良く似た親子だなぁと酷く感心していた。

「はれ?親子?」

そうよ。私ったら、どうしてクーパパが妖精界の王様だって教えてもらった時に気付かなかったのかしら。
クーパパが日本に来た時、お世話係をした時にも聞いたじゃない。息子の名前は『久遠』だって。
ジュリママとクーパパは妖精界の王様と王女様で、その子は必然的に王子様で…。コーンだって自分で王子だって言ってたのに、どうして久遠とコーンが同一人物だって思わなかったのかしら。

キョーコのバカバカ!!本当に私ったら考えたらずなんだから!!

キョーコは両手でコツコツと自分の頭を叩いた。
そしてその拍子に、何かが頭の中で繋がったらしい。

「あれれ?さっきまで悪魔だったのは敦賀さんで、私を迎えに来たと言っているのはコーン?はれれ??コーンは敦賀さん??」
「キョーコちゃん?」

救いを求めるかのように、不安そうに蓮の瞳を覗き込むキョーコに、蓮は居たたまれずに引き寄せて、力強く抱きしめた。

「ごめん。本当に今まで黙っててごめん!!」
「コーン…コーンが敦賀さんだったの?」
「…うん。いずれはキョーコちゃんにきちんと話さなくてはいけないと思ってたんだ。これだけは信じて欲しい」

騙し続けられるのなら、『コーン』はキョーコの綺麗な思い出の中の住人にしておきたかった。
泣いた少女をどうにか笑顔にしたくて。嘘の魔法で笑顔を取り戻してくれるキョーコを見て、キラキラと輝く嘘の世界も悪くないと思った。

でも、蓮は本当の自分を最愛の人に受け入れて欲しいと、好きになって欲しいと思ってしまった。

『妖精界の王子様』は嘘で塗り固めたまやかしの存在でしかないと。
本当はそんなモノは最初から居なかったのだと気付かされた今、少女は蓮の事をどう思うのだろう。

受け入れてもらえるだろうか。それとも拒否されてしまうのだろうか。

すべてが不安だった。

蓮はキョーコを抱きしめていた腕を解いた。
恐る恐る覗き込んだキョーコの表情はスッキリとしていて、笑ってさえいた。

その姿に、蓮の方が動揺していた。それまでぐるぐると頭の中を占拠していた思いつく限りの言い訳は、キョーコの笑顔にスコーンと頭から弾き出された。

「キョーコちゃん?」
「ちょっと驚いたと言うか…その、騙されたって怒ってるわけじゃないんです。何だか感慨深いと言いますか、コーンはちゃんと大人になってたんだなぁって思っただけなんです」
「うん。…でも、ちゃんと説明させてくれる?」
「いえ!それには及びません。大丈夫です。私、分かってしまったんです!」
「ん?一体何を?」

絶対に大丈夫じゃない。この子は何を言い出すつもりなんだ。
最上さんのキラキラ光る瞳を見れば、とんでもない答えが弾き出された事だけは分かるぞ?

キョーコは両手を拳に握りしめてうずうずと体を揺らし、興奮を抑えられない様子を体全体で表現している。

蓮はゴクリと喉を鳴らして、頬を紅潮させたキョーコを見つめた。

「敦賀さんの真の姿は妖精界の王子様で、ジュリママやクーパパと共に、王家自ら妖精界の魅力を広める啓蒙活動を人間界でなさってたんですね!」
「…ん?」

「そして魔法を人間界に与えてくださってるんですね!私、感動しました!!」


眩しい…。
君のキュラキュラ輝く笑顔が眩しすぎるよ。あまりにも眩しすぎるから、ちょっと目を閉じてもいいかな?


準備していた同時通訳を介して、2人のやり取りをジュリエラがふんふんと真剣に頷きながら聞いていた。



つづく。



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