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   偶然と必然 リベンジ 後編   


長くなってしまいました。
分けようかと思いましたが、おバカ話なので長いままお届けです。


キョーコは俺が恋愛音痴だって言いたいの?

まさか恋愛音痴クイーンのキョーコに言われるなんて全然思ってもいなかったぞ。
一体何を見てそう思ったんだろう。全然分からないからある意味すごく面白い。DVD見るより断然面白いよ。

蓮はDVDの再生を止めた。

「で、俺が恋愛音痴って、一体どのあたり?」

真剣な顔で蓮を見上げるキョーコの顔を可愛いなと思いながら蓮はビールを一口飲んだ。

「敦賀さんは周りの方からどう思われているか、まるで分かってないです!」

ゴフッ

「わっ。大丈夫ですか!」
「ゴホゴホ…だっ大丈夫…」

危ない。ビールを吹き出すところだった。

「ちょっと待って。まるで分かってないのはキョーコだろ?」
「いえ。私は己を知っております。演技という味付け、化粧というトッピングがない私は素うどんです。だから色々と盛られた『女優の京子』じゃない普段の私に興味を持ってくれる奇特な方はいらっしゃいません」
「そんな筈無いよ」

俺がキョーコのドラマ撮影に乱入した時の、スタッフや出演者たちの諦め顔や悔しそうな顔は忘れられないよ。
あの現場だけでも相当数の男がキョーコを狙っていた事に君は気づいてなかったのか。

「そんな筈あります。だって今まで仕事仲間の皆さんやスタッフさんからも、周りの女優さんたちが言うようなお誘いを受けたことがありませんし」

それは君のマネージャーが、キョーコが気づかないうちにブリザード攻撃で馬の骨達を氷結粉砕しているからだと思うよ?

「でもさ、キョーコの事を『可愛いね』とか『付き合ってよ』とか言われたり、社さんに内緒で食事に行こうとか誘われたことあるだろ?」
「そりゃありますよ。でも皆さん社交辞令がお上手なだけです。私だってバカじゃないんですからそれ位で舞い上がったりしません」

あーあ。折角社さんの目を掻い潜ってもキョーコがこれじゃあ落とせないよなぁ。

蓮は眉を下げて苦笑し、キョーコの頭を優しく撫でた。するとキョーコは蓮の顔を大きな瞳でまじまじと見つめ返す。

「敦賀さん、私の事どう思ってます?」
「え?凄く態度で示してるつもりだけどまだ足りないの?…可愛いなと思ってるよ。好きだよ?」
「ほら!」

何がほらなの?すごく得意げな顔して今度は何を言い出すつもり?

「私みたいな地味で何の変哲もない女を相手にするなんて、敦賀さん絶対におかしいですよ。女性なんて選り取り見取り、百戦錬磨な顔をしてるくせに、よりによって素うどんな私を敦賀さんは選んだんですよね?
これこそ恋愛音痴の証拠です!」
「プッ。キョーコが地味で変哲もない子だって?もしそれが本当なら、この世の中は相当面白い事になってるね」

こんな面白い子、世界中探したって居やしないよ。

そんな事を胸を張って言い切るとは、きっとキョーコの中の自己評価は地面スレスレ、もしくはめり込んでいるのだろう。
今、蓮の隣でふふんと鼻を鳴らしているキョーコが着ているルームウェアは、淡いピンクのモコモコのニットとおそろいのショートパンツ姿だ。
蓮の家で過ごすルームウェアを探そうと思っていた折、新発売するアルコール飲料『大人のキュララ』の撮影で使ったものだ。

蓮もそのCMはネットで1度だけ見た。

キョーコが部屋で寛ぎながら缶チューハイを一口飲んで、ふにゃりと笑う。
そのままクテンと毛足の長いラグに寝転がり、コロコロと転がる…

凶悪的な可愛さだった。そのCMを見た男たちもキョーコの可愛さに目を奪われたに違いない。
その撮影現場にいた男たちがキョーコに惚れない訳が無い。

でも、キョーコはそんなものには一切気がつかない。

「全く…面白いを通り越して呆れるよ」

はぁと蓮がついた盛大なため息を、それをダメだしと気づいたキョーコがムッと顔をしかめる。

「あとですね、敦賀さんは周りの女性からの好意に鈍感です。きっと好き好き光線を浴びすぎて、センサーの感度が鈍くなってるんです」
「何それ」

蓮は目を丸くしてキョーコを見つめる。

「だって、敦賀さん自分の顔を見たことあります?」
「まぁそれなりに?」

毎朝髭は剃るし、トイレに行けば手洗い場に鏡だってある。でも、そこに映る自分の顔に蓮は見惚れた事はない。
それでも淡い好意や時には熱の籠った視線を感じる事は確かにある。ソレの事をキョーコは言っているのだろうか。
蓮は笑いながら二本目の缶ビールのプルトップを開けた。

「ほら。自分がモテるって事をきちんと理解しているって表情じゃないですか」
「まぁ否定はしないよ。それにこの顔のお陰でキョーコにコンビニで声を掛けてもらえた訳だしね」
「むぅ。それはそうですけどね」

そう言って駄菓子のあられを食べ終えたキョーコは、今度はラムネをポリポリと噛んだ。

「それに敦賀さんが乱入したせいで私が取り乱してしまった時の事だって覚えてます?ドラマの撮影を中断して控え室に行く間だって、敦賀さんが私の肩を抱いているのを見て悲鳴を上げた女の人をたくさん見ました」
「え?そうだっけ?」
「そうでした!」

蓮がドラマの撮影とは知らずに乱入した映像は、キョーコが所属する大手芸能事務所の力で有耶無耶になった。
翌日のスポーツ紙の一面にキョーコの写真が載らなかったのも、ひとえに事務所の力のお陰だ。看板女優と一般人男性とのロマンスは静かに見守ろうというのが事務所の方針だった。

あの時、えぐえぐと泣くキョーコをどうにか落ち着かせようと、髪を撫でたりおでこにキスをしたり忙しかった蓮は周りの事など目に入っていなかった。
お昼時のオフィスビルのエントランスには、蓮と同じ職場の女性も多かったようだ。そんな人たちから睨まれたり、呆然と見つめる人の視線が痛かったとキョーコは言う。

笑いながら自分を見つめる蓮を、キョーコはムッと眉間に縦皺を作って不満そうに見上げた。
芸能人としてどうかと思う不細工顔さえ、蓮にとっては可愛いとしか思えない。

「大体アレですよ。商社の営業だなんて接待も大変だって聞きました。ホステスさん?とか綺麗な女の人がたくさんいるお店に行くんでしょ?ドンペリを入れちゃって、シャンパンタワーをやって、ヨッ!シャチョーなんて言われてるんですね?」
「キョーコ、ソレいろんな種類のお店が混ざってるから」
「でもやっぱりモテモテじゃないですか!この女たらし!浮気者ー!!」

えぇっ!?今までどんなに俺が恋愛音痴かを力説していたくせに、急に女たらしとか言い出されても俺はどうしたらいいんだ?

蓮は慌てて俯いてポロポロと涙を流すキョーコを胸に抱き寄せた。

「浮気なんてそんな事をする訳無いじゃないか。全部キョーコの妄想だよ。キョーコ、ちょっと落ち着こう。ね?」
「うーーーーー  … 隙あり。」
「え?」

ニヤリと笑ったキョーコの顔に、泣き真似だった事に気付く。
蓮が呆気にとられた次の瞬間、キョーコは蓮が手に持っているビールの缶に持っていたラムネをボロボロとこぼした。

「ちょっと何する…うわっ!!」

途端に缶ビールの口から泡がゴボゴボと噴出する勢いで溢れてくる。

「わーーーっ!!キョーコッ何してくれてるの!!ちょっと!全然止まらないッ…冷たっ!!」

ぶくぶくと勢いよく溢れ出すビールに慌てふためく蓮を見て、キョーコはコロコロと笑い転げた。

「初めて会った日のお返しです!プププーっ!今の敦賀さんの焦った顔!してやったりです!!」

確かに出会ったその日、蓮はちょっとした悪戯心でキョーコが持つ缶ビールにイカそうめんを突っ込んで噴出したビールを浴びせた。
そのリベンジが成功したと両手を叩いてはしゃいでいるキョーコの笑顔に、蓮は弱り顔で笑うしかない。


「泣いたカラスがもう笑ってるのか」
「敦賀さん、女優は5秒もあれば泣けるんですよ?それに仕事でお酒を飲む場所に行くくらい何とも思いませんよ。ホステスさんだってお仕事ですもん。お客様をもてなすプロなんですから、敦賀さんだって楽しいお酒を飲ませてもらってるんでしょ?」
「それはそうだけど…」

本当は少し嫌だとは思ったけれど、とキョーコは笑い過ぎてこぼれた涙をぬぐいながら床を拭いている。
ラムネを突っ込むために蓮に甘くしなだれかかる方法を会話の中から探っていたというキョーコは、ちょっと得意げな顔だ。

キョーコの一挙手一投足に俺はいつだって翻弄されてしまう。
それにこんなリベンジを受けても腹が立つどころか、可愛いなんて思ってしまうのはやっぱり惚れた弱みってやつだろう。

でもね

「キョーコ、これで終わったと本気で思ってるの?」
「え?思ってました」

甘いよ、キョーコ。

「あーあ。ジーンズがびしょびしょだよ。キョーコも濡れちゃったね」

蓮に抱き寄せられていたキョーコもビール噴射から逃げ遅れたらしく、ニットの袖が濡れて色を濃くしていた。

「敦賀さんから離れるのが少し遅くなっちゃいましたからね。でもそんなに濡れませんでしたよ…って何してるんです!!」
「濡れたままじゃ風邪引くし?」
「だっだからってどうしてここでズボンを脱いでるんです!破廉恥です!」
「いや、早く洗わないと色落ちしちゃうよ。ついでにビール臭いしシャワーも浴びたい。さ、一緒にシャワーを浴びよう」
「ふええ?」

キョーコが口に放り込もうとしたラムネがコロコロと床を転がった。

「どどどどうして一緒にシャワーを浴びなくちゃいけないんですか!?」
「ん?だってキョーコも濡れちゃったでしょ?放っておいて風邪でも引いたら大変だよ。さあ、ほら立って」

唖然とするキョーコの腰に手を回して、蓮は軽々とキョーコを立ちあがらせた。

「つつつ敦賀さん?一緒にお風呂なんて本気ですか!?」
「勿論。そうだ、体を洗いっこしようね。…隅々まで洗ってあげるよ」
「ひぃっ!!むっ無理ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」




おしまい。



結論 : リベンジ失敗。



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