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   コングラッチェ 37   


コングラです。
脳内妄想いただいた翌朝です。


「あれ?」
「おはよう、天宮さん」
「きの「今日のお味噌汁はね、かぼちゃと玉ねぎとしめじにしてみたの。かぼちゃが甘くていい感じだよ」」
「おに「切り干し大根もね、おいしく炊けたと思うの。出汁を取った後の昆布を甘辛く煮てふりかけもどきも作ったよ。前に天宮さん、これ美味しいって言ってくれたでしょ?」」
「まだ「あとね、アジの干物を焼いて卵焼きを作れば完成だから。あとちょっとだけ待っててね?」」

冷や汗交じりにニコニコと笑うキョーコを見て千織は首をすくめた。

「もう分かったから。何も聞かないから安心して頂戴」
「うっ…。あっありがと」

途端に真っ赤になってモジモジするキョーコを横目に、千織は冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した。

「何、キョーコさんお墓参りに行くの?」
「うん。でもどうしてわかったの?」
「だって調理台に乗ってるのって、お揚げを煮たやつでしょ?それに寿司桶に入ってるの酢飯を見ればいくら料理音痴の私でも分かるって。もうほとんど準備完了してるじゃない…ちょっと何時に起きたのよ?」

ちらりと時計を見れば6時半を回ったところだ。
それなのに普段より手の込んだ朝食、そして墓参りに持って行こうと父親が好きだったと言うお稲荷さんの準備が殆ど終わっている。
昨夜、予備校で講義の合間に食べたお弁当箱を洗った時には、キッチンは綺麗に磨かれていて鍋の1つも出ていなかった筈だ。
今朝、急に思い立って準備をしたに違いない。

「うーん。何時だったかな。でもここの地下のスーパーって24時間開いてて便利だよね」

大量の油揚げを冷蔵庫にストックしている訳もなく買いに出たという。
本当は前に住んでいたアパートの近くの商店街にあった豆腐屋のお揚げが美味しいのだけれど、開店時間を待っていられずに仕方なくスーパーに行ったのだと残念そうにキョーコは話した。

「そこのお豆腐屋さんね、本当に美味しいのよ。おからを貰った時はドーナツを作ったりしたなぁ。今度寄ってみよう」

うちは凝固剤に、にがりしか使ってないのだと自信満々の笑顔で豆腐を売っていたおじさんの顔が浮かんでキョーコの顔が笑顔になった。

それをじっと見つめていた千織が口を開いた。

「ねぇ、本当は全く聞きたくないんだけど、もしかしてお兄ちゃんから逃げ出したの?」
「へ?」
「お兄ちゃん変態だった?ねちっこかった?嫌いになった?もう顔も見たくない?」
「あああ天宮さん!?」
「だってそうでしょ?普通大好きな人と一晩過ごしたらそのまま腕の中にいたいって思うでしょ!?違うとでも言うの!!」

段々とヒートアップする千織にキョーコは鍋の蓋で防御の構えをとった。

「ちちち違うの!別に先生は変態じゃないしねちっこくも無かったし大好きだしずっと顔を見てたいです!」
「それならどうして早々にベッドから抜け出してんのよ!!」

あんな図体をして根は乙女なのだ。最愛の人と初めて甘い夜を過ごしたと言うのに、目を覚ました時に腕の中から消えているなんて考えもしないだろう。
きっと天国から奈落の底に突き落とされた心境になるはずだ。
もしかしたら泣いてるかもしれない。いや、絶対めそめそ泣いているに違いない。
キョーコを探してフラフラと部屋中を歩き回ってる姿を思い浮かべて千織はぞっと身震いをした。

気持ち悪い!
そんなお兄ちゃんなんて朝から見たくない。早々にキョーコさんをお兄ちゃんの部屋に戻さなくては。

「あっ天宮さん?」
「何よ!お兄ちゃんの事好きならとっとと部屋に戻りなさい!ハウス!!」
「だっだって恥ずかしかったのよー!」
「今更恥ずかしいですって?」

蓮に抱きしめられて本当に幸せだったし、蓮の事を愛しいと思う気持ちでいっぱいだったのに、情事が進むにつれてキョーコは蓮に翻弄されて思考に霞がかかった。
何も考えられずに縋るように蓮にしがみ付くばかりで、そして…。
それを思い出すだけで、身の置き場も無いほど恥ずかしい。
でもそんな事を千織に言える訳もなく、キョーコは真っ赤になってフルフルと震えながら涙目で千織を見上げた。

ぐぐぐっ…。破壊力満点っ。可愛すぎるでしょう。

千織はエプロン姿のキョーコの背中をぐいぐい押して玄関へと追い立てた。

「天宮さん!?」
「もういいから。何も聞かないから、早くお兄ちゃんの所に戻んなさい。そんでその顔見せてあげればすべて解決するから。大丈夫、アジは焼いておくから任せて」
「う、うん。すぐ戻るね」

戻れるといいわね。とは言わないでおいてあげるわ。

千織は困った顔でエレベーターに乗るキョーコを見送った。



部屋に戻ると蓮はまだ眠っているらしく、瞳を閉じ呼吸に合わせて肩を大きく上下に揺らしていた。
キョーコが蓮の腕から抜け出す時に、自分の身代わりにした枕を抱えて眠っている。

キョーコはぺたんと床に座りベッドに両手を置いてその上に顔を乗せ、蓮の顔をじっと見つめた。

今更だけど先生、やっぱり整った顔をしてるよね。睫毛まで長いなんて、ちょっとうらやましいなぁ。…あ、髭が少し伸びてる。
触ったらショリショリするのかな。撫でたら起きちゃうかな?
…この唇とキスしたんだよね。私の唇よりちょっと硬くて、大きな唇で…。
食べられちゃうんじゃないかって思ったし、それもいいかなって思ったんだ…。

「そんなに熱く見つめられたら、朝から抑えが利かないんだけど?」
「ふぇ?」

急に声を掛けられて、キョーコはびっくりしながら、唇一点に集中していた視線を上げると、自分を映す蓮の瞳がそこにあった。
あ、と思う間もなく蓮は抱えていた枕をポイッと放り投げて、キョーコの背中と腰に腕を回して、そのまま自分の腕の中に抱すくめた。

「せっ先生!?」
「どうして朝方俺の腕から抜け出したの?ちょっとイジケたよ」
「気づいてたんですか?」
「そりゃ気づくに決まってるよ。やっと君を腕の中に納めたっていうのに、コソコソと逃げようとするんだから。ご丁寧に枕を身代りにするんだもんな」

気付いていたけれど、キョーコがあまりに必死に抜け出していくから寝たふりを通したのだと蓮は怒ることなく教えてくれた。
それでも少し拗ねた風ではあった。

「うぅ…。忍法・分身の術です」
「分身の割には抱き心地はこんな風に温かく無いし柔らかく無かったよ?」
「ふぁっ!せっ先生、どこ触ってるんですか!しかもはっ裸!!」

真っ赤になって蓮の腕から抜け出そうとするキョーコを蓮はくすくすと笑う。

「ん。分かってるよ。恥ずかしかったんでしょ?朝、こんな風に抱き合って目覚めた時にどうしたらいいか分からなくて逃げ出しちゃったんだよね?」
「…半分…」
「ん?」
「半分正解です。でもあと半分は…その眠りたくなかったんです」

蓮の広い胸に抱かれて、これ以上ない幸せな気持ちで一杯だった。半分眠りかけた時に、これが夢で次に目覚めた時には自分の部屋で1人だったらどうしようと思ってしまった。
今ある蓮と分け合った熱が、目覚めた時に無くなっているなんて考えたくなかった。
よし、起きていよう。このまま眠らずに朝を迎えれば夢で終わらない筈だ。
そう思っても、蓮から伝わってくる温もりに疲れた体は夢の世界に誘われてしまう。

だからベッドから抜け出して朝ご飯の支度をしていたのだと言う。

「全く…本当に最上さんは怖がりだね」
「だってこんな幸せな気持ちを味わった事なんて無かったから、どうしていいのか分からなくて…」
「大丈夫だよ。夢で終わらせる気なんて更々無いし。何だったら信じられるようになるまで、これから毎日こうやって抱きしめて朝を迎えるってのはどう?」
「…一生夢かもしれないって思い続けてるかもしれませんよ?」

キョーコはじっと上目遣いで蓮を見上げる。
そんなキョーコを、蓮は蕩ける様な笑顔で見つめ返す。

「良いね。一生こうやって抱き合って朝を迎えよう。おじいちゃんになってもおばあちゃんになっても」
「喧嘩をしてもですよ?」
「うん。そうだね。…おはよう、最上さん」
「はい。おはようございます」


カーテンから漏れ入る朝日が今日も晴天であることをキョーコに教えてくれた。



つづく。



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