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   螺旋 4   


なかなか推敲しきれないです。
書き始めてなんですが、「螺旋」難しいです…。


敦賀さんの、大好きな人の為になるならば。
少しでも役に立ちたかった。手料理を食べてもらえるのが嬉しかった。
敦賀さんの部屋の合鍵を受け取った時は、プライベートな空間に私が居てもいいと許された気がして、舞い上がる気持ちだった。
一緒に居させてもらえる時間が大切なのに、そう感じる程に時間が経つのが早くて。

敦賀さんが私の事を後輩としてしか見ていない事だって分かってる。
少しばかり出来が悪い私が心配で、あれこれと面倒をみてくださってるんだってちゃんと理解してる。
合鍵だって、お食事のお世話が必要なくなればお返ししなくちゃいけないものだって分かってる。
そう。私は身の程を弁えている。

そのつもりだった。それなのに。


ベッドルームへと運ばれて

    全身に優しいキスが降り注ぐ
  
        貫かれ  揺さぶられて



まるで夢みたいだって思った。

まさか敦賀さんに愛してもらえるなんて。
その瞬間は怖かったし、とても痛くて。でも私の泣き顔を真上から覗き込んだ敦賀さんの辛そうな顔を見たら、どうでもよくなってしまった。
幸せすぎて涙が溢れて止まらなかった。

「最上さん…その痛みを俺にも分け与えて」
「んんっ…あぁっ…」

敦賀さんをもっと感じたくて背中に縋りつくように腕を伸ばし、そして爪を立てた。

ただ愛しくて。

敦賀さんに自分の想いが通じたんだと思うと、もっと泣けてきた。


愛し合った後、キョーコは蓮の逞しい腕に背後から抱き竦められていた。
ほんの隙間も無い程に抱きしめられているのに、まるで真綿で包まれている様に。

身も心も蓮に預けた気持ちでキョーコはただふわふわと漂っている心地だった。

夢心地って言うのかな。幸せすぎて本当に夢の中にいるみたい…。

至福の中でキョーコが眠りへと意識を手放しかけたその時
キョーコの耳元で囁かれた蓮の心地良いテノールがキョーコの心を一瞬で凍らせた。


「キョーコ…キョーコちゃん…ずっとずっとキョーコちゃんが好きだった。キョーコちゃんだけを愛してる」


きょーこちゃん?

キョーコは自分の指先から急速に熱が奪われて冷たくなっていくのを感じる。
目の前が真っ暗になるとはこういう感覚かと冷静に自分を見ているもう1人の自分が居た。
ほらやっぱり大火傷をしたと暗い瞳でクスクスと嗤っている。

私は敦賀さんから『キョーコちゃん』なんて呼ばれた事なんてない。
敦賀さんが風邪を引いて、朦朧とした意識の中で呼んだ『キョーコちゃん』が最初で最後。

今の今まで…この腕の中でさえ、敦賀さんは私の事を『最上さん』って呼んでたのに。

夕飯の準備をしていた時に見た蓮の表情は何か思いつめている様だったし、焦燥に駆られている様にも見えた。
普段とは全く違う様子に、キョーコも心配し、どう声を掛けようかと思案していた。

蓮にあれ程思いつめた顔をさせていたのは、仕事の事ではなく『きょーこちゃん』の事だったのだろう。
そうキョーコは確信した。

あれ程思いつめた表情をさせていた原因も、お仕事の事じゃなくて、『きょーこちゃん』だったんだろうなぁ。
敦賀さん、『きょーこちゃん』と何かあったのかな。

その瞳には私<キョーコ>じゃなくて『きょーこちゃん』が映ってたんですね。
一体いつから?まさか…最初から? 
…あぁ、なぁんだ。はじめからか。

そして今も敦賀さんが抱きしめているのは、私<キョーコ>じゃなくて『きょーこちゃん』なのですね。
切なそうに、心を捧げる様な声で愛を囁いた相手も私<キョーコ>じゃなくて『きょーこちゃん』なのですね。

泣き喚きたいような、嗤い出したいようなグシャグシャな気持ちになった。

やっぱり私は正しかった。まるで夢みたい? 違う。正真正銘の夢だったんだ!
皮肉だね。夢の中の王子様の甘い甘い囁きで、ここが夢の中なんだって気付いちゃったよ。目が醒めちゃったよ。

でも

夢から醒めてしまったけれど、私は無理矢理寝たフリをした。それこそ必死になって。
だって寝たふりを続ければ夢の世界に居られる筈だもの。例えそこが光あふれた場所じゃなく、真っ暗闇でも。

耳さえ塞いでしまえばいい。
きょーこちゃんを見つめる敦賀さんの蕩ける様な笑顔が私に向けられていると思えるから。
例えその唇が『きょーこちゃん』と呼んでも、私の名前を呼ぶ動きと同じに見えるから。

そうやって夢の中にさえいれば、いつか私をキョーコちゃんって呼んでくれる日が来るかもしれない。
夢が現実になる日が来るかもしれない。

…一生来なくても、もう少しの間だけ夢の中に居させて下さい。


夢を見ているフリをした私の瞼から溢れた涙を、敦賀さんは優しく指で拭ってくれた。



続く



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