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   黒猫の希い 27   


本当に久しぶりに黒猫です。
ムラがありすぎですよねぇ。ガツーンと最後まで書いて、
区切りが良いところで刻みながらアップ出来ればいいんですけどね。。


「こんにちは」

カーテンからヒョコリと覗かせた顔に、黒崎はニッと笑った。

「おう、キョーコちゃんか。久しぶりだな。元気にしてたか?」
「うん!」

キョーコが顔を出した先は外科の外来診察室だった。
退院してからもキョーコは定期的に診察に通っていた。

「…よし。綺麗に治って来てるな。もうここに来なくてもいいぞ」
「え?ほんと!?」

診察を終えて、看護師に手伝ってもらいながら身支度を整えるキョーコが笑顔になる。
それもとびっきりの笑顔に黒崎が面を食らった。

「何だよ、退院する時は用が無くても来ていいかって泣きべそかいてた癖に随分と嬉しそうだな」
「うん!病院に通わなくてもよくなったら、蓮の家に行って良いって社長さんに言われたの」
「そうだったか。…よしキョーコちゃん、あと1年くらい病院に通っとくか」
「えー」

クスクスと笑う看護師に黒崎は窘められて、まるで娘を嫁に出す父親の心境だと苦笑した。

「で、アイツの家に行ってオマエ何やるんだ?料理洗濯掃除って、あれか。やっぱり嫁に行くみたいだな」
「ん?嫁じゃないよ。御守りだよ」
「は?」

ニコニコと笑うキョーコに、意味が分からないと黒崎は眉を寄せた。


**


蓮があの怖い風貌の『カイン・ヒール』になる。
キョーコが社長に聞いた話では、カインはとても荒んだ人だそうだ。
両親を早くに亡くして孤児院で育った彼の10代の頃は暴力とドラッグに明け暮れたと言う。

カインの怒りに火がつけば、相手を容赦なく追い詰める。相手が瀕死の状態になろうと攻撃の手は緩めない。
嗤いながら血に染まった己の拳を振るい続けるカインは誰の目にも異常だった。
誰もカインに近寄らない。コイツは危険だと本能が察知するような人間。
そんな彼が演技だけに執着して他は一切顧みない。そして演技をする彼からは誰もが目を離せない。
演技だけがカインに生きている事を感じさせてくれる。

蓮はそんな人物を演じながら、更に映画の中で殺人鬼のブラックジャックを演じると言う。

「どうして蓮がB.Jを演じちゃ駄目なの?どうしてそんな面倒な事するの?」
「その方が面白いだろう?」

B.J役のキャスティングが白紙になった事は、まだ監督と製作スタッフの一部しか知らない。
それならばいっその事、B.J役を蓮が演じている事は映画の封切後に種明かしをして世間を驚かせようと言う話になったらしい。

「モー子さんも蓮に気付かなかったしね。凄く真っ青な顔してたし、生まれたての小鹿みたいに脚をカクカクしてたよ」
「そうだろう?」

カイン・ヒールの正体が蓮だと分かった後の奏江は、その場にペタンとへたり込んだ。
キョーコを護らなければ、殺気を放つ大男からキョーコを引き離さなければと懸命だった分、一気に気が緩んで腰が抜けたらしい。
腰が抜けたくせにプンプンと怒る奏江を蓮は背負い、キョーコとは手を繋いで違法駐車していた車へと歩いた時は注目の的だったと、キョーコは楽しそうにローリィに話す。

その様子を笑って聞いていたローリィがその笑いを消してキョーコを見つめた。
キョーコもいつにないローリィの真剣な表情に、じっとローリィを見つめる。

「…誰からも恐れられ、誰からも愛されないカイン・ヒールをキョーコ君は拒まないでやって欲しい。演技とはいえそんな姿を誰かに蔑まれるかもしれない。それでもキョーコ君だけは蓮の傍に居て欲しい」
「大丈夫だよ」
「随分とあっさり言ってくれるじゃないか?」

少し拍子抜けした様子でローリィはキョーコの顔を見つめた。

「だって魂は蓮なんでしょ?」

へばって道路に座り込んだキョーコに絡んできた知らない人達から助けてくれたカイン・ヒールは、間違いなく蓮だった。
負の感情を放つオーラを纏っていたが、それでもキョーコはそれが蓮だと分かった。

だから大丈夫。

「そうか。…キョーコ君ならきっと蓮をこちら側に戻してくれるはずだ」
「コッチ側?」

ローリィは痛みに耐えるかのように目を閉じて顔を顰めて大きく深呼吸した。

「キョーコ君にだけ教えるが、アイツは過去にカインいや、B.J.の心の闇にリンクしかかった事がある」
「B.J.って…蓮って殺人鬼だったの?」
「いや、断じて違う。違うがその過去が蓮を今でも苦しめているんだ」

躊躇なく人を殴り殺そうとし、それを止めようとした大事な友を亡くした過去。
そしてそれ以上に、演技をすることだけを求めるカイン・ヒールは蓮にそっくりだ。

カインを演じる事であいつは必ず過去に苛まれる。

だが、その時はどうか蓮を救って欲しい。
真っ白いこの子なら、きっと蓮の闇を振り払い浄化してくれるはずだ。いや、絶対に蓮を過去から解き放ってくれる。

俺の勝手な願いかもしれないが、願わずにはいられないんだ。


久遠、前に進むことを、人を愛し受け入れる事を恐れるな。



続く



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