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   幸せなら態度で示そうよ 1   


おバカ万歳。
ナーにとってはシリアスな妄想をここ最近していた反動が…。


大陸の遥か西に繁栄を極めた大国があった。その国の名はヒズリ王国。

名前の通り代々ヒズリ家が治める国は穏やかな気候で、農作物の生産も盛んだ。
食料の自給率は90%を超え、小麦やオリーブといった作物の輸出量も年々増加している。
南北に延びる領土の北部にそびえるヒズリ連山は良質な鉱石を産出する宝の山でありながら、自然の要塞として外敵の侵入を阻んだ。
更に南部は海に面しており、整備された港湾は大小さまざまな船のが出入りする。
そんな繁栄を極めたヒズリ王国に大冒険時代が到来したのは今から10年程前だった。まだ見ぬ地を求めて多くの挑戦者たちが旅立ち、数少ない冒険家が戻ってきた。
そんな冒険家の1人である、マルコ・ボーロが5年前に執筆した『東方見聞書』は、国中に一大旋風を巻き起こした。

その中で語られた極東の国、モガミ国に今、国中の人々の興味が注がれている。


300年もの長い間、鎖国制度によって外界との接触を絶ってきた極東の島国、モガミ国。


四方を海で囲まれ、大陸から離れた孤島の鎖国具合は完璧だった。そのお陰で異文化が混じることなく独特の文化を育んできたのだ。
どの大陸のどの国の地図にも無い、『忘れ去られた国』となっていた。

5年前までは。

そんな忘れ去られたモガミ国に、嵐で座礁し舵が利かなくなったヒズリ王国の冒険家、マルコを乗せた船が漂着した。
鋒鋩の体でモガミ国に辿りついた異人たちを、モガミ国の民は手厚くもてなた。そして無償で船を修繕しマルコ達を再び大海へと送り出してくれた。

モガミ国の事をマルコは見聞書に、「莫大な金を産出し、王宮や民家は黄金で作られている。また、モガミ国の人々は善良な偶像崇拝者である」と記した。

外界との接触を拒絶し、独自の文化を形成した金を産出する豊かな国。
まるでおとぎの世界からの船がヒズリ王国に到着したのが1週間前だった。

その船は、海洋国家でもあるヒズリ王国の民衆をもってしても、目を丸くする異様な姿をしていた。

全長はゆうに20メートルを超える船体は、厚い鉄板で覆い尽くされている。
ヒズリ王国をはじめ、大陸の全ての船は木で出来ており、装甲した船など見た事も聞いたことも無かった。
更に船首部分には大砲が1門、左右に3門ずつ設置されている。

その甲板の上には船体とほとんど同じ大きさの、まるで居住部のような箱型の構造物が乗っている。
更にその上には楼閣まであり、まるで動く城、さながら要塞の風体だった。
大陸一の軍事力を持つと謳われ、それを当たり前と思っていたヒズリ王国の人々にとって、その船の姿は脅威に満ちている。
こんな船団が大挙して襲って来れば、大陸一の王国のヒズリ王国であっても勝てるとは思えない。

そんな船から一体どのような屈強な兵士たちが現れるのだろうか。そして兵士たちに護られた使節の貴人はどんな姿をしているのだろうか。
集まった民衆は固唾を飲んで、今や遅しとモガミ国民の下船を見守っていた。

その船から、出迎えたヒズリ王国の使者を伴って1人の少女が下船した。

その姿を一目見ようと集まっていた民衆の口からはため息が零れた。

少女が纏った衣装は赤をベースに、見た事のない色とりどりの大輪の花や、これまた見た事のない羽根を広げた白い鳥が、金糸・銀糸をふんだんに使って描かれている。
豪華絢爛な異国の衣装に、『黄金の国』は本当にあるのだと民衆が確信した瞬間だった。

そしてその衣を羽織る少女の凛とした佇まいに民衆は心を奪われた。


おとぎの国に妖精は存在するのだと、確信した瞬間でもあった。


**


「王太子殿下、伝書鳩が王都からの伝令を運んでまいりました」
「そう。ありがとう、ヤシロさん」

殿下と呼ばれた男は、近衛兵に差し出された伝書鳩の頭を指で撫でてその労をねぎらった。

「ちょっと殿下。どうして鳩を私の名前で呼ぶんですか。せめて他の名前を付けてくださいよ」
「だってこの鳩、ヤシロさんみたいな顔してません?」
「鳩全般同じ顔です。区別ががつきません。それよりレン殿下、早く中を改めください」

王太子のレンとその側近であるヤシロが気安い関係にあるのは、彼らが乳兄弟で、幼い頃から一緒に育ったせいだ。
王太子より5歳年上のヤシロは、兄弟のいないレン王子にとって兄のような存在だった。
喧嘩も悪戯も、剣の稽古も学問も。末はこの国の王となりそれを支える宰相として、2人は競い合いながら成長してきた。


そんな2人が寄り添う絵姿が、巷では一部の若い女性に大層人気だと言う事を、2人は知らない。


西部の農業地帯に視察に来ていたレンに届いた、小さく丸められた伝令の封印は間違いなく父王のサインだった。
10日間の視察工程は滞りなく順調に進んでいた。今年は大した災害も無く、作物の成長も順調だった。

青々と茂る麦は風に揺れ、あと3カ月もすれば収穫を迎えるだろう。リンゴの実もまだ小さいが、たわわに実っている。
例年以上に明るい農民たちの表情が何よりも物語っている。
今年は豊作だと。
今年の収穫祭は前年以上に盛り上がりそうだと思い、レンの表情も柔らかくなる。

国内での消費は十分に賄える。今年は芋類と麦の輸出枠を増やそう。
王都に帰ったら大臣に試算するよう伝えなければ、などと考えていた矢先に伝令が届いた。

王都に帰るのは3日後だ。
あと数日もすれば帰ると言うのに、急な知らせとは何だろうかと眉根を寄せながら封を解いた。

そこにはただ一言が記されていた。


「ハハキトク。スグカエレ」


クルッポー


「…残り3日の工程です。きちんと公務を済ませてから帰りましょう」
「えぇ!?でっ殿下、駄目ですよ!!王妃が危篤なんでしょ?すぐに帰りましょう。そうだ足の速い馬を用意します。少数の護衛となりますが、馬で駆ければ今日中に王都に帰れます!」

慌てて言い募るヤシロにレンは力なく首を横に振る。

「ヤシロさん、きっと母上の悪い病気です。何かとんでもない事を思いついたのでしょう。それで早く帰ってこいと無茶を言ってるだけです。こんな事で公務を疎かにすることなど出来ません。きっちりと仕事を終えてから帰ります」
「殿下…。分かりました。なるべく早くご公務が終わるよう、微力ながらお力添えさせていただきます!」
「ありがとうございます」

穏やかに微笑むレンに、ヤシロは頭を下げてその場を辞去した。


そして3日後、レンはヤシロの進言通りに帰城しなかった事を悔いた。



つづく。





勿論、時代考証やら何やら全てまるっと無視です。
マルコ・ポーロが生きていたのは、元寇の頃なので鎌倉時代です。
モガミ国の船は信長の鉄甲船です。(史実では外洋は成功してません。)なので桃山時代。
そして妖精の衣装は江戸時代の色打掛イメージです。
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