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   女のロマン?   


ポロリ小話です。
笑って許してください。


「京子ちゃん、出番待ち?」
「貴島さん!おはようございます!!」

現場入りした貴島と、貴島のマネージャーにキョーコは読んでいた本を閉じて椅子から立ち上がり、綺麗なお辞儀をした。

貴島とは『Dark Moon』以来のドラマ共演で、キョーコは主人公の友人、貴島は主人公の主治医を演じていた。
医療系のドラマという事もあってキョーコより年上の出演者が多い中、演技力も申し分なく、その上礼儀正しいキョーコはベテラン俳優たちから大層可愛がられている。
それでもキョーコは大御所たちに気後れしてしまい、気軽に話しかけてくれる貴島はキョーコにとって貴重な話し相手だった。

「おはよー。熱心に何を読んでいたの?台本?」
「いえ、台本ではなくて、『世界の残虐王』です!!」
「またすごいタイトルの本だねぇ」
「今日は待機時間が結構あるって話をラブミー部の部室でしたら、友達の天宮さんが貸してくれました!」

キョーコは友達から借りた事を胸を反らして誇らしげに貴島に伝えた。
そんな自慢げな様子に貴島は笑いながら、キョーコの向かいにあったパイプ椅子に腰を下ろした。

「でもさ、残虐な話なんでしょ?」
「ロマンチックなのもありましたよ?えっっと…あれ、どこだったろう」

キョーコはパラパラと本を捲る。

「あ、この章です。お妃様の侍女と恋に落ちた王子のお話なんですけどね、王様と重臣たちに侍女は殺されてしまうんです」
「うわ。酷いね」
「王子が王様に即位した後、侍女を殺した重臣たちを全員粛清するんです。かたき討ちです」
「ほう」

貴島は適当に相槌を打ちながらくるくると変わるキョーコの表情を観察していた。

「でですね、侍女をお墓から掘り出して盛大な結婚式を行うんですよ」
「王子はその侍女を心から愛していたんだね…って!それロマンチック!?まるっきりホラーじゃん!!」
「更にですね、侍女を王妃として忠誠を誓う証にって、重臣たちに彼女の手の甲にキスをさせたんです」
「ミイラにキス…いくらストライクゾーン広めの俺でも無理。ミイラはボウル。デッドボールだよ」
「デッド…そうですね。お亡くなり済みですしね…。今は、王様が最後の審判を迎える時に起き上がった時、一番最初に見るものが王妃の顔であるようにって、2人の棺は足を向かい合わせにして置かれているそうです」

キョーコはほうっとため息をつき、ウットリとした顔で本を胸に抱いた。

…残虐王の本を胸にウットリされてもなぁ。

「素敵じゃないですか?王様が侍女…いえ、王妃を愛してるって、ひしひしと伝わってきませんか?」
「うーん、でもさぁ、起き上がらないと見れないんでしょ?もっと近い方が良くない?ほら、一緒の棺でとか」
「えっ…言われてみると、そうかもしれませんね」

目をぱちくりとさせた後、むむーと小首を傾げて真剣に考えるキョーコを貴島はジッと見つめる。

本の事は置いておくとして…。
京子ちゃん、どんどん可愛くなって行くなぁ。少女と大人の女性との中間というか、今まさに脱皮しようとしている蝶って感じ?
敦賀君がライバルっていうのは面倒くさいし、そんなリスクを冒してまで手を出そうなんて思ってないけど、たまに京子ちゃんが見せる表情にドキリとするもんな。
やっぱり女の子の成長は早いよ。

まぁ、敦賀君のおかげでもあるんだろうけどさ。

ふっと笑う貴島に気付かず、キョーコは腕を組んで考え続けていた。

「一緒の棺という事は、死ぬ時も一緒という事ですか?」
「うーん?…イク時は一緒か…いいね、理想だね。そうなるとやっぱり最高の死に方は腹上死か!」
「…フクジョーシ?って何ですか?」
「えっ!?」
「へ?」

ゴフォッ!!

「あー、大丈夫?」
「スマン…。気にしないでくれ…ケホッ」

飲みかけていた缶コーヒーにむせ込む自分のマネージャーを気遣いながら、貴島はキョーコの顔を一瞬困ったように見つめた。

そんなキョトンとした顔されても…ボケたつもりだったのになぁ。
ま、いっか。

「えっとねぇ…そう、好きな人の胸に抱かれて死ぬってすごくない?」
「えぇ!!フクジョーシって、そういう意味なんですか!?」

キョーコの頭の中では、膝の上に横たわる最期を迎えた恋人をかき抱くロマンチックな構図が浮かんでいた。
まるでロミオとジュリエットの最期のシーンのような。

「究極のロマンスです…本物の愛ですね!!」
「そう!愛なんだよ。まさに男の本懐!!男のロマンなんだよ!」

貴島はグッと拳を握って力説する。

「え?女性のロマンにはならないんですか?」
「うーん。どうかな…人それぞれじゃない?」

ここは笑って誤魔化してしまおう。

「敦賀君に聞いてごらんよ。きっと喜んで指導…いや実践してくれるさ。大切な何かを失うと思うけど、得難い何かが手に入る筈だよ」
「得難い何かですか…。それはやっぱり、掴まない手は無いですよね?」
「うん。多分日本中の女性から羨望の眼差しで見られることは間違いないね」
「えぇっ!そこまで凄いんですか!?」

そんなにも素敵なものが手に入っちゃうの!?
ロマンチックな演技をするための感覚が掴めるなら、何だって捨ててやるわ!そうよ、私に捨てるものなんて何も残っちゃいないもの!
例え敦賀さんの胸に抱かれたって、挙動不審になんかならずに立派に死んだフリをし通してみせるわ!

すぐにでも教えて欲しいけど、敦賀さんに今度お会いできるのなんて、一体いつかしら?
…うーっ、やっぱり待てないっ!

「貴島さんは指導して下さらないんですか?」
「!!滅相モゴザイマセン!!」

もしも京子ちゃんに手を出して、それが敦賀君の耳に入ったら…ブルッ…確実に生き地獄が待ってる!
バラエティ豊かな敦賀君からのハイリターンがギュウギュウに詰め込まれたリュックを背負っている子に手を出すなんて絶対無理!
そんな不思議そうに俺を見つめないでよ。あっ悲しそうな顔もしないで!!

「…そうですか。じゃあ、あちらにいらっしゃる大御所の岡田さんにお願いしてみようかな?」
「絶対に駄目ーっ!!京子ちゃん、何が何でも敦賀君以外にお願いしちゃ駄目だよ?ね?分かったよね?お願いだから分かったと言って!!」
「えーっどうして敦賀さん限定なんですかぁ」

それは岡田さんの命が危ないから!そして俺の命も確実に無い!!

「よし、敦賀君に今からメールするから。京子ちゃんが演技に悩んでるって言えば、絶対に今夜会えるよ!そして指導してもらえるよ!ね!!」
「そんな急にご指導をお願いするなんて…お忙しい敦賀さんにご迷惑なんておかけできません」

ううん。君が敦賀君以外の人を誘惑する方がよっぽど迷惑だから。

「いいからいいから。俺に任せて」

そう言うと貴島は胸ポケットからスマホを取り出して、必死の形相でメールを打ち込んだ。


京子ちゃん貞操の危機!今スグ連絡を!!


「送信っと!これでもう大丈夫!!絶対に敦賀君から連絡があるからね。ちゃんと掴むんだよ?」
「貴島さん…すみませんありがとうございます。私、絶対にフクジョーシを掴んで見せます!!」

キョーコは真面目な顔で貴島を見つめながらコクコクと頷く。

「京子さーん、スタンバイお願いしまーす」

キョーコの出番を告げに撮影スタッフがやってきた。

「はいっ今行きます!それじゃあ貴島さん、行って参ります」
「頑張っておいでー」

ヒラヒラと手を振る貴島に、キョーコは丁寧なお辞儀と笑顔を残してセットへと小走りで向かった。


貴島のマネージャーはため息をつきながら読むフリをしていた雑誌を閉じた。

「貴島君、後で敦賀君からどんな仕打ちを受けても知らないからね?」
「ねぇ。一体どんな報復が待っているのかな…でも案外感謝してもらえそうじゃない?俺のお陰で今日こそ敦賀君の恋に決着が着くんだから」
「またぁ」
「はは。でもあの二人を見てるとついチョッカイを出したくなるんだよね。見ていて飽きないって言うか。いつもスカしてる敦賀君が絶賛片思い中の京子ちゃんに振り回されてる姿って、新鮮で面白いと思わない?」

笑いながら貴島はセットの上で立ち位置を確認しているキョーコを見つめている。
そんな貴島を呆れた、という顔でマネージャーは見つめた。

「スカしてるって…多分そう思ってるの君だけだし、本気で敦賀君に怒られても知らないよ?」
「そうだね。そうなったら許して貰えるように本気で謝るよ」
「懲りないねぇ」
「懲りないんです」

だって面白いし、見てる方が幸せになれるバカップルなんて、そうそういないんじゃない?



おしまい。





残虐王の話は、ポルトガルのペドロ1世とイネスの実話です。
ナカナカいい性格の王様ですよね。。



Comment
そんな・・・
ナー 様 
こんにちは。
思わず笑いがこぼれてしまい、ヤバかったです!只今仕事中(仕事中に何やってる‼)
天然キョーコちゃんと貴島さんのやり取りは何ともいえずいい感じですよね。ピンクに感じないのが不思議です。
が、しかし‼この後です!この後の蓮様がどう出てくるのかが気になる・・・・すっごく気になる・・
キョーコちゃんの貞操の危機ですよ!(ある意味)メールの返信がどう来るのか?はてまたメールより自身が来てしまうのか・・・ああ・・ナー様 イジワルはなしですよ!
どうか御慈悲を・・・・・
Re: そんな・・・
ひろりん様

こんにちは。
お仕事中に笑いをお届け出来て何よりです(•̀ω•́ )ゝ
ストレス解消になったでしょうか??
ピンク色は漂わなかったですね。妄想した自分もビックリです。
キョーコちゃんで遊ぼうとニマニマしていた貴島さんが、徐々に焦る姿が浮かびました。
この後、敦賀さんどうするんでしょうね??ちょっと妄想できてるのですが、オチが…。(オチって!)
最後まで妄想できたら、忘れた頃にアップできるかもしれません。
しばしのご猶予をー。
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