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   幸せなら態度で示そうよ 4   


急に寒くなりました。
そして風邪引きました…。皆様はお気をつけて。


『にぱぁ』

…一体彼女は何を言ってるんだろう?全く分からないけれど、俺を見つめる大きな瞳から目を逸らせない。
そんな意味不明なたった一言じゃなくて、その鈴の音のような声音をもっと聞きたい。もっと聞かせて欲しい。
…その声で俺の名前を呼んで欲しい。

「ふふ。レン、ビックリしたでしょう!」

ハッと我に返り、少女の隣で自分に笑いかける母、ジュリエラを見る。

「あら、レンったら姫の可愛らしさに言葉も出ないの?レディに先に挨拶させただけでなく返事も出来ないなんて、それでも私の息子なのかしら」
「ジュリ、仕方が無いだろう。レンも姫の可愛らしさに釘付けになっているんだ」
「まあっ!それじゃあ仕方が無いわね」
「いえ…失礼しました。そうじゃなくてですね、今のは一体何ですか?」

不思議そうに首を傾げて王と王妃を交互に見つめる姫の仕草は可愛らしい。
先程庭園で見た子リスは、やっぱりこの少女だったのだとレンは確信した。

「何って、姫からのご挨拶だって言ってるじゃないの。レン、あなたのその耳は飾りなのかしら?」
「母上…そんな拗ねなくても。それに何ですか。数日前ご危篤だという報せが届きましたが、随分とご機嫌ですね。病は快癒されたと言う事でしょうか?」
「あら?そんな事あったかしら。ねぇ、あなた」

昨夜城に戻った際に、レンは侍従長に王妃の様子を一応聞いてみた。その答えは予想通りだった。

「いつも通りつつがなくお過ごしでございます」

その言葉通り、ヒズリ王国の大輪の薔薇と称えられるその美貌をほころばせて、愛する夫を見つめている。
そんな美貌の王妃がたまに拗らせる病に、夫であり国王のクーと息子のレンは時折振り回されることになる。

余命5時間の憐れな自分に、街で評判のケーキを食べさせてほしい。できれば親子3人だけで最後のお茶会が開きたかったなどと言われれば、侍女は苦笑しながら街へと所望されたケーキを求めに行く。
そして国王と王太子は必死に公務にあたり王妃のための時間を作る。

可愛らしい母のおねだりを叶える事に、レンや王家に仕える者たちは苦ではなかった。
そして今回の病も、きっとこのモガミ国からの使者、姫と呼ばれるこの少女に関係する事なのだろうとレンは思った。

「レン、いい加減コッチに還ってらっしゃい」

母の呆れを含んだ声に我に返る。

「ええ。…挨拶って、あの二言がですか?」
「そうなの。モガミ国の挨拶なんですって。可愛らしいわよね。たった一言だというのに、私の心はギュウッと鷲掴みさてしまったわ」

挨拶だって?あれが挨拶?一体何という意味だったんだ。

「でも姫はこの国の言葉も話せるのよ?ね?」

ニコニコとジュリを見上げた後、姫と呼ばれた少女はレンを見つめて、その可愛らしいふっくらとした唇を開いた。


「はじめましゅれ。キョーコ、ともうしましゅ」


ドーン!!


父から耳にたこが出来るほど、何度も繰り返し聞かされていた、母と出会った時の衝撃。
雷に打たれる感覚というのを、レンは身を以って体験し、そして理解した。


**

突然のモガミ国からの表敬訪問に、ヒズリ王国の重臣たちは上へ下への大騒ぎだった。
それでも使節団を船に押し留めておく事など出来ない。未知の国とはいえその国を代表した使節が海を越え、はるばるやって来たのだ。

謁見の間に使節団より一足早く玉座に国王・王妃夫妻が入り、その後に重臣たちが続いた。

一体モガミ国の目的は何なのか。モガミ国についてのデータが何もないのだ。
モガミ国の成り立ちも、王がどのような人物なのかもわからない。そんな人物からどんな親書を携えて来たというのか。
ただ目の前に現れた強大な軍事力を物語る船だけが、ヒズリ王国にとって知りえるモガミ国のすべてだった。

そわそわと浮き足立ったヒズリ王国の面々をよそに、モガミ国の使節団が静々と入廷した。

侍従に先導され、使節団の長の姿が現れる。

現れたのは女だ。しかも少女だった。

その姿を見た重臣たちのどよめきが室内に響いたが、そんな様子を些末な事だと一切気に留め無い様子で少女は凛とした居住まいで足を進める。

少女が纏う光沢のあるあでやかな紅は絹。そこに金糸、銀糸で描かれた異国の豪奢な花鳥画にその場にいた侍女や女性文官はほうっとため息をついた。
緊張しているのか、初々しく頬を少し紅潮させ、大きな黒曜石を思わせる瞳と濡れ羽色の艶やかな黒髪に、ざわめきはいつの間にか消えていた。

国王陛下、王妃の前に辿りつくと、少女は当然の事であるかの様に床にぺたりと座ると、三つ指を着き、頭を下げた。
そして顔を上げると、自分を無言で見つめる王と王妃に顔をほころばせる。

そして見守るヒズリ王国の重臣たちが固唾を飲んだ。


「にぱっ」


謁見の間の空気が固まった。

たっぷりとフリーズした空気を溶かしたのは王妃だった。

「何ていう事でしょう…」

そう呟いて両手で口元を押さえると、体をプルプルと震えさせている。更には大きな瞳に涙をたたえた最愛の妻の異変に国王が慌てた。

「どうしたんだ!ジュリ、しっかりするんだ」
「無理よ…」

フラフラと椅子から立ち上がると、ジュリは跪いたまま小首をかしげて自分たちを伺っていた使節団長に駆け寄ると、腕を取り立ち上がらせた。

「何なのクー!この可愛い生き物は何?何属何科何目なの!?」
「ジュリ落ち着くんだ。モガミ国のご使者に失礼だろう。我々と同じ、サル目ヒト科ヒト属だ」
「違うわ!!クー、どうしてそんなことを言うの?」
「ジュリ…王妃よ、落ち着きなさい」
「どうしてあなたは落ち着いていられるの!?あぁ、あなた。あなたは何時からそんな人になってしまったの!?これが人だって言うの!?違うわ!この子は妖精よ!モガミ国は妖精の国だったのよ!!妖精の国だから、モガミ国には人は近づけない。そういう事だったのよ!!」
「ジュッジュリエラ!?」

「むむ?」

何を話しているのか分からないと、小首をかしげて困った顔をした少女をジュリエラはギュッと胸に抱きしめ続けた。



つづく。



Comment
かわいすぎる!
いやもう、なーさんによる、姫の挨拶のチョイス(?)に爆笑でした!

いろいろ感想を書きたいところですが、続きが気になりすぎるので、失礼ながらもうすこし読み進んでからにさせていただきます。

(∩*´ω`*∩)
Re: かわいすぎる!
まじーん様

コメントありがとうございますー!
ニッコニコに微笑みながらそんなご挨拶されたら、誰だってメロメロになっちゃいますよね。
でも、モガミ国では老若男女問わずこのご挨拶です。普通なのです。
そんな国にジュリママを放り込んだら大暴走間違いなしです。
そこらへんの町娘を捕まえてはギュウギュウに抱き締めちゃう危険人物です!
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