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   幸せなら態度で示そうよ 6   


12月に入ってしまいましたね。
年内に1つくらい完結させたいと思ってるのですが、どうでしょう。
ちょっと怪しくなってまいりました。



「レン、あなたキョーコ姫にきちんとご挨拶なさい。姫はちゃんとご挨拶してくださったでしょう?」

まったく礼儀もなってないんだからとジュリエラは息子にプチプチとぼやく。
モガミ国使節団の長、それも一国の姫に餌付けなどしている母に礼儀を指摘されたくないと思いつつも、自分がキョーコに未だ名乗って無かった事に気づけば、ばつが悪い。
不躾な自分にキョーコが不愉快に思っていないだろうか。不安に駆られながらもちらりとキョーコの様子を窺うと、親子のやり取りを小首を傾げて不思議そうにじっと見守っている。

その姿にレンはほっとしていることを自覚しすると同時に、自分に苦笑した。

「姫、申し遅れてしまったことをどうかお許しください。私はレンと申します」
「むむ?」

何を言ってるのか分からないと、キョーコは困ったように傾けていた首を反対側へと倒してじっとレンを見つめる。
自分を見つめるその大きな瞳に、レンはフラリと吸い込まれそうだと思った。
キョーコの視線に絡め取られたかのように身動きできなくなったレンに呆れたジュリエラが、間を取り持つように話に割って入る。

「異国の姫にヒズリ語はまだ難しいわよね。レン、もっと簡単に自己紹介すればいいのよ」

そう言ってジュリエラはキョーコに身振りを交えながらレンを紹介する。

「姫、コレはレンよ」
「れんたま?」
「そして私はママ!!」
「ままたま!」
「そうよ!!私は姫のママになるのよ!!」
「ジュリずるいぞ!姫、私はパパだ!お父さんだよ!!」


例え母親に自分の事を『コレ』と呼ばれてもいい。そんな些末な事などいちいち指摘するまい。
一瞬で心を奪われた目の前の少女が自分の名前を呼んでくれたのだから。

ヒズリ語をまた1つ覚えたと、嬉しそうに笑うキョーコの無垢な笑顔にレンは口元を押さえてただ見惚れていた。

「おとったま、ままたま、れんたま!」
「はうぅっ。本当にキョーコ姫ったら可愛らしいわ。もう食べちゃいたい位!!」
「姫っ。おとったまじゃなくてパパだよ!パパって呼んでごらん?」

顔を紅潮させて身悶えする母と、悲壮感さえ漂わせ教え直す父の姿にレンは我を取り戻す。

「母上、少し落ち着いてください。キョーコ姫は他国の使節団長なんですよ?少しは慎んでいただかないとヒズリ王国の威信にかかわります」
「レン、何を言っているの?威信なんて姫の可愛さには無意味、何の価値も無いわ。そうよ、カワイイは正義なのよ!」
「何ですかそれは。全く意味が分か「れんたま?」」

プリプリと怒るジュリエラの暴走にため息をついたレンが、母に怒られて悲しそうに目を伏せた様に見えたのだろう。
キョーコは眉を下げてレンの顔を覗き込んできた。


**


「…この場合、わが国へとして…」

口元とぽってりとしたピンク色の唇から覗く白い歯

「…次官級協議の結論としましては…」

期待を浮かべて俺をじっと見つめる大きな瞳

「…としており、また…」

強請るように開いた口元からチロチロと覗く赤い舌

その扇情的な表情を思い返してぞくりと背筋を震わせる。

「おーい。お戻りくださーい」
「…ヤシロさん、なんでしょう。きちんと聞いていますよ?」

今『ハッ』ってなったくせに!!本気で誤魔化せたと思ってるんだろうか?

ヤシロは大きくため息をついた。

昨夜遅く帰城したヤシロはレンと分かれた後そのまま議会場へと足を向けた。
そこでは宰相以下ヒズリ王国のブレーンたちがモガミ国からの親書を前に賛成派と反対派の2派に分かれ舌戦を繰り広げていた。

親書に書かれていた一番の目玉は、モガミ国との自由貿易協定だった。

マルコ達の報告や持ち帰ったモガミ国の文献からは、新興国と思っていたモガミ国の歴史が存外に古く、既に1千年を超える統一国家だという。
その国の将軍職を巡る戦いは何度も繰り返され、その戦いに干渉しようとした隣国を遮断するために、300年前に鎖国となったようだが、かといって好戦的な血なまぐさい民族かといえばそうでもないらしい。卑怯な振る舞いは断固として許さない『恥』の文化を持つという。
マルコ曰く、それは騎士道に通じるらしい。

聞いているだけで興味深く、引き付けられる。周りを見渡せば反対派だったものたちも、身を乗り出してその話を聞いているのには苦笑した。

決して悪い話ではないと思う。
価格や関税率については次官級の協議を継続する事や技術提携についても、ヒズリ王国にとって悪くない。
そう考えれば、巨大戦艦での来訪も武力の誇示以上に造船技術の国家がかりの売り込みなのだろう。そもそもヒズリ王国を武力で制するにはモガミ国は遠方過ぎる。
そして王室への献上品のごく一部だと言うものを見てヤシロは驚いた。

何気なく開いた絹の布からは、ヒズリ王国では人魚の涙とも呼ばれ大変珍重されている真珠が光り輝いていた。それも見たことも無いほどの大粒の逸品だった。
ヒズリ王国のはるか南の国から輸入される真珠と比べるまでも無い程のまろやかな乳白色とその艶に、宝飾品に興味のないヤシロでさえまじまじと見入ってしまう。
そしてその真珠を包む布が納まっていた黒い重厚な照りを放つ黒い箱には、金で繊細な模様が描かれている。
蒔絵、というものらしい。このような繊細で芸術性の高い工芸品を見たことがなかった。

そしてモガミ国からの親書の最後に、孫娘であり一の姫であるキョーコがヒズリ王国に嫁ぐ事になるならば、より強固な同盟関係を築くこととなるだろうという一文が添えられていた。

そんな親書を読むよりも先にジュリエラはキョーコを息子の嫁にと、周りが止める暇も無く暴走した。

愛する王妃のおねだりに、国王が否と言えるだろうか。答えはきっぱりNOだ。ノー。考える余地も無い。賢王でありながら唯1人、王妃の前でだけはただの愚者となってしまうのだ。
ヤシロは不安に駆られた。

国の最高権力者である国王が使い物にならない今、父王譲りの頭脳と聡明さを持ち、臣下からの信頼も厚い王太子だけが頼りだ。王太子が国を二分する論争を見極め、正しい判断をしてくれるはずだ。いや、しなくてはならないのだ。
今やレンだけが最後の砦だ。

「殿下、お願いですからしっかりしてくださいよ。そうそう。こちらの書類は昨日までの東部視察の報告をざっとまとめたものです」

溜息を噛み殺しながらレンに書類を渡すヤシロに、蓮は首を竦めた。
気を引き締め直してレンは渡された書類を捲って行く。そこには領地ごとの作物の収穫予想量と昨年との比較が纏められており、視察で感じた通りやはり収穫量は増加していた。

「ありがとう。こんな短時間でよく纏めてくれましたね」

コンコン

レンの執務室のドアを叩く音が聞こえた。
侍女が飲み物でも持って来たのだろうかと、ヤシロが入出を許可してもドアは開かない。
レンと不思議そうに顔を見合わせた後、ヤシロは扉へと歩み寄り扉を開けた。

そこには見慣れない小さな少女が頬を高潮させて立っていた。心なしか息も弾んでいるようだ。
茶色い瞳に黒髪の異国の少女。きっとモガミ国の使者の1人だろう。少女とは言え他国の使者を王太子の執務室に招き入れてよいのだろうか。
どうしたものかと判断に迷ったヤシロがレンに振り返れば、ガタンと大きな音を立ててレンが椅子から立ち上がり、少女を見つめて破顔していた。

「姫!?」
「にぱ!」
「姫、どうされたのですか?私にご用でしょうか」


なに嬉しそうな顔しちゃってんの!?殿下がこんなに嬉しそうに女性に笑いかけてる姿なんて初めて見たぞ!
しかもこの少女の事を姫って呼んだぞ?

こっこれはもしや…

何親子して早々と篭絡されてるんだーーーー!




つづく。



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