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   幸せなら態度で示そうよ 8   


ちゃんこ鍋を食べて風邪から完全復活です!
前回は寝過ぎて変なテンション(?)で書いた事を反省して、今回はちょっと大人しく。




ふわぁぁっ!!これが舞踏会なのね。

王城に初めて招かれた時に踏み入れた謁見の間の豪華な装飾にも驚いたが、舞踏会が開催されている広間の豪華さにキョーコはウットリと見惚れていた。
豪奢なシャンデリアは蝋燭の光を反射してキラキラと煌めき、天上や柱はフレスコ画で彩られている。
広間の入口上方からは、宮廷楽団による優美な音色が会場を包み込む。
その奏でられるメロディに乗せて、華麗なステップを踏む男性にエスコートされた色とりどりのドレスを纏った女性たちがくるくると軽やかに舞い、一段高い場所からそれを眺めるキョーコからは、色とりどりの花が咲き誇っているかのように見える。


朝食を摂った後、キョーコはジュリエラに舞踏会の様子を教えてもらい、大きな目を爛々と輝かせた。
夜会で着飾った女性たちが優美なダンスをする姿をほぅっと両頬に手をあてて空想する隙に、キョーコが着ていた服をジュリエラが脱がせにかかっていた。

「まっままたま!?」
「舞踏会、楽しいわよー。姫も舞踏会の準備をしましょうねー!!2日前に全身採寸したでしょ?優秀な宮廷のお針子たちが急ピッチでドレスを仕上げてくれたのよ?それを着て舞踏会を楽しみましょうね。その前にこの玉のようなお肌に磨きをかけるの。さあ、一緒に湯殿に参りましょうね!!」
「ひぃーーーっ!!」

一度は逃げ切ったキョーコだったが、レンの執務室で捕まったキョーコは気が付けばツルンと剥かれて湯あみから香油での全身マッサージを受け、まるで鎧のようなコルセットをメイドたちに手早く着つけられた。コルセットのあまりの苦しさに『ぐえぇ』とまるで押し潰されたカエルのような声を上げれば、メイドたちはこれが大陸の淑女のたしなみなのだと苦笑しながら教えてくれた。
そしてお針子たちが徹夜で仕上げたドレスを着て化粧を施されたキョーコは舞踏会の会場の一輪の華となっていた。


国王、王妃と共に会場に一歩踏み入れたその時から、キョーコはそれまで見せていた不安を押し隠して、モガミ国の代表としてその存在感を示していた。
大輪の薔薇のような王妃の隣に立ち微笑み合うキョーコの姿に、広間にいた要人たちは息を呑んだ。
凛とした佇まいは謁見の間で初めて見た使節団の長である威厳はそのままに、ヒズリ王国の装いを着こなしさらには美しく輝いている。

薄いシルクを何枚も重ねたピンク色のパフスリーブのエンパイアラインのドレスには、品の良い小花の刺繍がウエストから裾へと広がるように咲いている。
開いた胸元には、大粒の真珠で作られた首飾りがまろい輝きを湛えていた。

その姿に周囲は勿論、隣に立つレンもまた目も心もキョーコに奪われていた。


キョーコは初めて目にする舞踏会に、何もかもが興味深く、その様子を楽しんでいた。
そんなキョーコがふと周りの視線に気づき、その視線の先をたどって右へと顔を傾けた。

そこにはじっとキョーコを見つめるレンの顔があった。その真剣な表情にキョーコは内心ドキリとした。

レンが纏った黒の詰め襟と袖口には金の刺繍が施され、肩口からは飾緒が伸びている。

正装のレンに、広間にいた女性たちがほぅとため息をつき、熱い視線を向けている。
金髪碧眼の美しい顔立ちに190センチの長身。王太子然としたオーラを纏いその貌にはいつも優美な微笑みを湛えている。

今年21歳となった子の国の後継者であるレンに、国内外の有力な王侯貴族たちからの縁談話は引きを切らない。
そんな中、いまだに婚約者候補の一人もいなかったのは、ヒズリ王国が大陸の雄である事と国内の情勢が安定しているため、政略結婚の必要性が薄い事もあるが、それより何より、国王夫妻が王太子に自分たちと同じように恋愛結婚をして欲しいと考えていたからだ。

本当に綺麗なお顔。会場の女性たちの視線を独り占めにするのも頷けるわ。

キョーコはヒズリ王国に向かい船の中で、マルコたちに事前にヒズリ王国の地理や気候、特産物といった基本情報を聞いていた。
国王夫妻がとても仲睦まじく国民の信頼が篤い事や、その夫妻の1人息子が王太子として国を支えている事。仕事熱心で次期国王としての期待も高いという事を。
そして大層な美形であることも。

静かにただ見つめ合うレンとキョーコの様子に、ジュリエラが苦笑した。

「レン、姫に見惚れてないでダンスにお誘いしたらどうなの?」

折角の舞踏会なのだから、キョーコと踊ったら良い。勿論初めての舞踏会。ダンスなど踊った事のないキョーコの為に、侍女たちがキョーコに即興で簡単なステップを教えた。
舞踏会の中盤で、レンがダンスに誘うはず。手を差し出されたその手を取って、あとはレンに任せればいいのだと言う事も教えてくれた。

さあさあとジュリエラに促され、レンはキョーコに手を差し出した。

「キョーコ姫、一曲私と踊ってはいただけませんか?」

どうしようかと、不安そうに迷う様子を見せるキョーコに、大丈夫だと言うかのようにレンは優しく微笑みかけた。
その微笑みに後押しされ、キョーコはおずおずと自分の手をそっと載せると立ち上がった。

そんな様子をクーとジュリエラは満足そうに目を細めて見守っている。

レンとキョーコの向かう先は2人の為に道が自然とでき、広間の中央でとっていた手はそのままキョーコとレンは向かい合った。
そしてレンはキョーコの細い腰にもう一方の手をとり、キョーコもレンの広い背中に手を添えた。

優雅なワルツに合わせてレンが一歩を踏み出す。

「あわわっ…ひゃっ!」

キョーコも必死に覚えたステップを踏もうとするが、一歩目から足が縺れそうになる。

転びはしないか。レンの足を踏んでしまうのではないか。おっかなびっくり足元を気にし過ぎて視線は足元を彷徨い続ける。
それに初めて履いたハイヒールの不安定さに、キョーコは支えが無ければプルプルと膝が揺れてしまう。まるで生まれたての小鹿状態のキョーコを、ジュリエラが嬉しそうに抱き留めていたのはつい先ほどの事だ。
そんな状態なのに、その上軽やかなステップを踏めなど無茶な注文だと叫びそうになるのをキョーコは涙目で我慢した。
その姿さえ庇護欲を誘ったらしく、ジュリエラの抱擁はコルセットの締め付け以上の拷問となった。

レンからはキョーコの後頭部しか見えない程に俯くキョーコの姿にクスリと笑った。

右足をついた後のターン。
その時キョーコの腰がグッとレンに引き寄せられたと同時にキョーコの両足がふわりと浮いた。

「ふぁっ!」

着地してもう一度反対側へのターンでも、キョーコはまるで羽根で宙を飛ぶようにふわりと舞った。

驚いて顔を上げれば、そこにはいたずらっ子のように笑うレンの顔が間近にあった。
まるで少年のような、悪戯が成功した事を誇るような笑顔だった。

その笑みに、緊張でガチガチに固まっていたキョーコの顔に屈託のない笑顔が戻る。

そうだ。この笑顔が見たかったのだ。そしてこの笑顔を、自分のものだけにしてしまいたい。

無意識のうちにレンがキョーコを抱き寄せる腕に力が籠る。


「もっかい!」
「良いですよ。3、2、1」

ふわり。

「キャーッ!!」


細い腰を抱き寄せる度にキョーコが宙を蹴るように飛び跳ねるようになる頃には、舞踏会を楽しんでいた全員の目が、レンとキョーコの様子に釘付けとなっていた。

王太子が心から楽しそうに笑うその姿に。その視線の先の少女に。



つづく。



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