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   奇跡 後編   


やっぱり25日に間に合いませんでした。
不甲斐ない自分のバカバカー。
そんな1日遅れですが、後編を書き上げたそばからアップです。


蓮がリックへの想いを1人、胸の中で折り合いをつける間、キョーコはただ蓮に寄り添ってくれた。
何も言わず、ただその身を蓮に預けて。
自分の弱さも無力さも、後ろ暗い過去でさえ、蓮よりも小さなキョーコが両手を広げて全てを、蓮の全部を優しく抱きしめてくれる。

キョーコから伝わる温もりに勇気づけられ、そしてその穏やかな寝顔をずっと守りたいと蓮は確かに思った。


キョーコからもらった手編みの手袋を外して再び動き出した時計を左手に着ける。
今度は己の枷としてではなく、前へと歩んでいく決意を持って。


キョーコを抱えたまま腕時計を見れば、その時まで既に時計の秒針で3周を切っている。

その秒針は早く進んだり、途端に遅くなったり、かなり気まぐれなようだ。
まるで石に躓いて立ち止まりそうになったり、時にスキップするように一足飛びにしてみたり。
それでも秒針は決して後ろには戻らない。ただ前へと進んでいく。

時計としては役立たずのそれだけれども、もう一度動き出した奇跡に感謝する。

その時計を眺めながら、蓮は優しくキョーコに声をかける。

「ほら、そろそろ起きよう?」
「んー。あと少しだけ…」
「駄目だよキョーコ、起きて?」
「んーー…あと5分…」

起きたくないと眉を寄せて、蓮の広い背中に回した腕にぎゅーっと力が入る。
そんな駄々を捏ねるキョーコに眉を下げながらも、蓮はキョーコの背中を擦りながら目覚めを促す。

「少しだけでいいから。ほんの少しの間起きて目を開けてよ。ね?お願いを聞いてくれたら、その後はもう一度眠りに誘われたキョーコをお姫様抱っこでベッドへ運んであげるから」
「……嫌です」

お姫様抱っこというキーワードにほんの少し心が揺れたらしく、キョーコの答えに迷いが見えた。
その葛藤に蓮はくすりと笑った。

それならばと、蓮はキョーコの頬にキスを1つ落とし、耳元に顔を寄せて誘うように囁く。

「ね、本当に起きないの?」
「っ……起きませんってば!」

途端に体をビクンと揺らし、ボボボッと音が聞こえそうな勢いで顔を熟れたリンゴのように真っ赤に染めながらも、キョーコは頑なに目を瞑り続けている。

「本当はもう起きてるじゃないか。それなのにどうして寝たふりをし続けるの?やっぱりキョーコって頑固者だよね」
「だって」
「だって?何?」

そろりと顔を上げて、上目遣いで蓮を見つめるキョーコの瞳に映る自分の顔は、自分でも見た事が無い程に蕩けている。

「私今、凄くすごーく幸せなんです。敦賀さんの胸の中はとても温かくて、心がふわふわするんです。これ以上幸せになれる場所なんて無いんです。だからこのまま誕生日を迎えさせてください」
「…うん。分かった」

キョーコを抱きしめる蓮の腕に、自然と力が籠る。
ここがそんなに居心地がいいというのなら、ずっとずっとここに居ればいい。いや、居て欲しい。
もう君を手放すことなんて出来ないし、考えられない。

一生この腕の中にいればいい。

クリスマスの夜。そして君の誕生日のを迎える時。
こんな特別な日に特別な人と過ごす以上に、どんな幸せがあるというのだろう。


チクチク

 あと10秒

チクチク

 あと5秒

チクチクチク…

ぎゅうっと隙間を埋めるように、蓮は腕に力を込めてキョーコを抱きしめる。


「ハタチの誕生日、おめでとう」
「ありがとうございます」

蓮のお祝いの言葉に、キョーコは満開の笑顔で蓮を見上げる。
その笑顔に蓮も自然と笑みが零れた。


0時を迎える瞬間、ほんの少し秒針の進みが遅く感じたのは気のせいだろうか。
もしかしたら、リックからのキョーコへのささやかなお祝いだったのかもしれない。
…いや、俺へのプレゼントか。


「キョーコ、愛してるよ」

そう言って蓮はキョーコの唇に優しくキスを落とす。

「私もです」

自分の腕の中で、はにかむ様に笑いながらも、恥ずかしそうに目を伏せるキョーコが蓮は堪らなく愛しく感じた。
キョーコがちらりと視線を上げれば、蓮はじっとキョーコを見つめている。
その視線に熱が籠り始めている事をキョーコは感じ取った。

「…ついさっきまでとっても居心地が良かった場所が途端に居心地が悪くなりました」
「それは心外だな」

気恥ずかしさに居たたまれなくなったキョーコがモジモジと蓮の腕の中から抜け出そうとするのを、蓮は放すまいともう一度抱き寄せる。

「それじゃあお姫様、場所を移そうか」
「ひゃぁっ」
「もっとキョーコを幸せにするから…」

そう言って蓮はキョーコを横抱きにして立ち上がると、すたすたと寝室へと向かい優しくベッドへとキョーコを降ろした。
ぎしりと音を立ててベッドに乗り自分を見下ろす蓮の熱い視線を、キョーコは少し戸惑いながらも受け止めた。
蓮の切なそうに自分を見つめるその艶を帯びた表情に、キョーコの胸は早鐘の様に鳴り響いている。
無言のままそっと重ねられた蓮の大きな手のひらに、キョーコも応えるように細い指を絡めた。

「これ以上の幸せなんて、想像できません」
「それじゃあ、感じて?」

考えるんじゃなくて、ただ俺を感じて。俺の気持ちを、俺の愛を。

俺がキョーコに幸せをあげられる存在だというのなら、両手に抱えきれない程の幸せを注ぎ続けるから。
君が俺を包んでくれる愛情と同じくらい、キョーコの事を大切に思っている事を感じて欲しい。
愛されることに臆病な君が伸ばしてくれた手を、俺は一生放さないから。

視線を絡ませたままキョーコはコクンと小さく頷き、そっと瞳を閉じた。




くたりと目を閉じたキョーコの目が覚まさないように、蓮は慎重にベッドを抜け出すとクローゼットに隠しておいた小さな紙袋から、手のひらに乗る小さな箱を取り出した。
その青いベルベッドの箱から中身を取り出してベッドへと戻ると、眠り続けるキョーコの左手をそっと取り、薬指にリングを慎重にはめた。

銀色の細いリングの真ん中にはプリンセス・ローザと同じピンク色の輝石が柔らかい光を湛えている。

目が醒めた時、このリングを見てキョーコは喜んでくれるだろうか。
それとも誕生日プレゼントは手渡して欲しかったと拗ねるだろうか。

もし拗ねてくれたなら、最初からやり直そう。
王子様がお姫様にプロポーズをするように、キョーコの前で片膝をついてリングを差し出したら、
おとぎの世界が大好きな君は機嫌を直してくれるだろうか。

「キョーコ、誕生日おめでとう。そして生まれてきてくれてありがとう」

そっと蓮がキョーコの耳元で囁くと、ふにゃりとキョーコの口元がほころんだ。
眠っているキョーコにその声が届いたのだろうか。

蓮はクスリと笑うと、すうすうと穏やかに眠るキョーコを抱き寄せて、蓮もその微睡の中へと意識を手放した。



Fin.




キョーコちゃん誕生日おめでとう。
キョーコちゃんが大好きな人と紡ぐ幸せなその日が早く訪れますように、願いを込めて!!



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