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   コングラッチェ 39   


あれ?センター試験、今日終わりましたね(汗)
ちょっと旬に遅れるのが今年の課題のようです。




「よし。受験票に筆記用具、それと一応参考書も全部入れたよね?」

翌日の試験に向けた準備も終えたキョーコがもう一度鞄の中を確認し、そろそろ寝ようとベッドに潜りかけた時、コンコンと部屋のドアを遠慮がちに小さく叩く音を聞いた。特に気にも留めずにドアを開けると、そこには蓮が立っていた。

「ごめんね。寝てた?」
「いえ。まだでしたよ?それより先生、今帰って来たんですか?」

蓮の出で立ちはスーツのままで、コートを手に持っている。どうやら今帰宅した様子だった。

「うん。残業でね」
「お夕飯食べました?まだでしたら、軽くでも用意しますから」

職員室で店屋物を頼んで食べたので大丈夫だと言う。
公立の高校教師なんて残業と無縁の職業だと思っていたけれど、受験や就職を控えた3年生の担任としての仕事は大詰めで、目が回るほどの忙しさだと蓮は苦笑した。
そして明日の土日も休日返上で出勤して緊急事態に備えると言う。

「ごめんね。明日は最上さんを送っていけないんだ」
「先生、過保護ですよ。それに天宮さんと同じ試験会場だから心強いですしね」

いくら蓮が忙しくなかったとしても、キョーコたちが行くセンター試験会場には同じ高校の生徒がいるのだ。そんなところに蓮に送ってもらったら、それこそ大変な騒ぎになって、試験どころではなくなるだろう。

それを想像してキョーコはブルリと震えた。


「で、先生どうしたんですか?」
「うん…。朝はきっと慌ただしいだろうから、今日中に渡しておきたくて」

そう言うと、蓮はジャケットの胸ポケットから何かを取出し、キョーコにそっと差し出した。
何だろうか、とキョーコは小首を傾げながらも両手を胸の前へと差し出した。

蓮がキョーコに渡したそれは、たくさんの桜が描かれたピンク色の綺麗な和紙で出来た小さなポチ袋だった。
その絵柄に、キョーコの見開いた目が爛々と輝いた。

「綺麗な桜の和紙ですね…。ありがとうございます!」

一体何が入っているのだろうかと封を開けようと見れば、それはべったりと糊付けされている。
こんなに可愛らしいポチ袋を破いて開けたりなどしたくない。どうにか破かずに中身が取り出せないものかと、袋を上下に振って無駄な努力を続けるキョーコに、蓮はクスリと笑った。

「それ、受験が終わるまで開けちゃ駄目だよ?」
「えぇ?開けちゃ駄目って…。これ何ですか?」
「合格祈願のお守りだよ。まぁ、9割俺の煩悩が詰め込まれてるんだけどね」
「煩悩まみれなんですか」

おどけた風に肩をすくませて笑う蓮を見て、キョーコの好奇心は増す一方だ。
一体何が入っているのだろうか。面白そうに蓮を見上げるキョーコの様子に、蓮は少しはキョーコの緊張が解けたようだとほっとする。部屋のドアを開けた時のキョーコは、明日の試験の事を考えていたのだろう。きっと一睡もできずに明日を迎えそうな程に緊張で顔が強張っていた。

「御守りありがとうございます。肌身離さず持ってます」

そう言ってキョーコはハンガーに掛けられていた制服のポケットへ蓮から渡された御守りを入れると、キョーコはポケットの上から御守りに手をあてた。
その様子を蓮はそっと見守った。

「それじゃあもうお休み」
「あっ…」

蓮がキョーコの部屋のドアを閉めようとしたその時、キョーコが小さく漏らした心細そうな声を蓮は欠片も逃がさず拾った。
振り返りると、キョーコは眉を下げて不安そうに自分を見つめる。

蓮は優しく微笑みかけてそっと歩み寄った。

「どうしたの?」
「その…明日…凄く不安で…失敗しちゃったらどうしようって…」
「うん。不安だよね」
「明日からの試験の為に頑張ってきたつもりだけど、私以外の人だってみんな一生懸命頑張って来たわけで…」
「うん。受験生みんな頑張って来てるよ。でも、最上さんも頑張って来たよね?」
「…っ」

蓮は持っていたコートを床に放すと、うな垂れたキョーコを優しく抱きしめた。
キョーコもされるがまま、蓮の胸に身を預けて広い背中に腕を回した。

「だから思う存分、闘っておいで」
「闘うんですか?」
「そうだよ?自分との闘いに勝っておいで」

勿論他の受験生たちにもねと、蓮はキョーコのつむじにキスを落とした。

「…足りないです」
「ん?何が足りないの?」
「闘うパワーが足りないです。だから先生、パワーチャージさせてください」

つむじへのキスだけでは全然足りないと、もっと欲しいと強請るキョーコに驚いた蓮が腕の中の恋人を見下ろせば、顔を真っ赤に染めて蓮を見上げている。

「分かった。思う存分パワーチャージしてあげるよ」
「うぅー。思う存分って」
「俺のパワーを全部最上さんにあげるから」


そう言うと蓮はキョーコの唇に口づけを落とした。
大切そうに、包み込む様に優しく触れるキスを蓮はキョーコに贈った。

「どう?チャージできた?」
「……まだ足りないです」
「それじゃあ、もう1度」

恥ずかしそうに視線を漂わせるキョーコを愛おしそうに見つめて、蓮はもう一度キョーコの唇に自分の唇を重ねた。



**



「それでは行って参ります」
「忘れ物は無い?お弁当持った?」
「…幼稚園児か。さ、キョーコさん。お兄ちゃんに構ってたら遅刻しちゃうわ。そろそろ行きましょう」
「天宮さんも忘れ物無い?大丈夫?」
「大丈夫よ。受験票と筆記用具さえあれば何とでもなるわよ」

まぁそれはそうだけど、と不安そうにするキョーコに千織はため息をついた。

「今日の試験の為に色々と準備してきたんじゃないの。後は己の力を信じるのみよ」
「あらー。さすが千織ちゃんね。思う存分実力を発揮してらっしゃい。あ、これ持って行きなさい」

玄関まで2人を見送る蓮の後ろからテンがひょい、と両手を出した。

「何よ。御守り?」
「合格祈願のお守りですか?」
「そうよー。由緒ある神社で頂いてきた御守りよー。実力プラス神様パワーよ」

笑顔で親指をグッと突き出すテンの後ろで、昨夜キョーコにお守り渡した蓮は首を竦めていた。
同じ事を考えるあたり、やはり蓮とテンは親子なんだなぁと思いキョーコは微笑んだ。

「ありがとうございます!」

キョーコたちはとうとうセンター試験初日を迎えていた。
会場へと向かうキョーコと千織の顔は同じように緊張しているように見える。

その緊張感を上手くコントロールし集中して臨んでくれればいいと、蓮はキョーコと千織の頭を大きな手のひらで撫でた。
キョーコは目を閉じ唇を噛みしめて、大きく深呼吸をした。
気持ちが悪いと眉間に皺を寄せながらも、千織も大人しく蓮に撫でられている。
普段の千織であれば身を躱して膝蹴りをお見舞いしようとするところだ。それが大人しくされるがままになっているのは、緊張の表れなのだろう。

「よし。2人とも頑張っておいで」
「「行ってきます!!」」




つづく。



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