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   正直者は救われる? 前編   


おバカ話前後編予定です。…予定は未定…。
螺旋を書いてたんですけどね、煮詰まったのでおバカに逃げました。




「で、これがその錠剤」
「何だか普通の風邪薬みたいだね」
「やっぱり村雨君のお手柄だよ。酒に混ぜようとしてるところを取り押さえるなんて普通出来ないよ」
「確かに凄いけど、そもそもそんな怪しい店になんか行かなければ良いのにー」
「愛華ちゃん、そこは酔った勢いってヤツだよ。行きつけからのはしご中にキャッチに捕まってそのまま怪しい店に連れ込まれて、揚句の果てにボッタクラレるなんてよくある話だよ?」
「えぇー。そうなんですかぁ?」

TRAGIC MARKERの撮影現場の休憩スペースで、出演者やスタッフたちが興味津々、白い錠剤を覗き込んでいた。

先日、男性出演陣やスタッフで、景気の良い呼び込みに誘われて訪れた3次会のキャバクラで、村雨がトイレに立った時に偶然、今まさに酒に混ぜられようとしていたその錠剤をキャバ嬢から取り上げたのだ。
錠剤を取られて慌てふためく様子のキャバ嬢と喧嘩腰の村雨を、既にいい感じに出来上がっていた酔っ払いたちが鷹揚な態度でその場を納め、それ以上揉めることなく3次会はお開きとなった。

翌日、もしかして昨日のあれは睡眠強盗?と、スタッフが面白半分に村雨が持ち帰った錠剤に書かれているアルファベットをスマホで調べたところ、酒に混ぜて客をデロンデロンに酔わせて、キャッシュカードの暗証番号を聞き出すという、昏睡強盗が自白剤としてよく使うもらしいと言う事が分かった。
その瞬間、その場に居合わせた全員の笑いがスッと凍ったと言う。

村雨が噂の自白剤を撮影現場に持ち込んだという噂を聞きつけた者たちで、休憩スペースに人だかりを築いていた。


「で、実際どんだけ威力があるものなんですか?」
「さぁ。結局未遂だったし飲んだことないから分からないしなぁ…じゃあ、試してみよっか」
「えぇ?」

村雨は置いてあった紙コップを2つ並べ、自白剤を砕いて落とした。

「本当はもっと入れるらしいけど、さすがに怖いから1錠にしとくか」
「えーっ1錠でも十分怖いよぉ」
「愛華ちゃん、飲んでみる?」
「絶対に嫌!村雨さんが持ってきたんだから村雨さんが飲めばいいじゃない!」
「うん。1つは俺が飲むよ。一応首謀者だし責任取らないとね」

村雨は紙コップにコーラを注ぐと周りが止める暇もなく一気に飲み干した。
冗談だろうと笑っていたスタッフたちは大いに慌てた。

「うわっ!村雨君本当に飲んだの?」
「味は?気持ち悪くない?」
「うーん、別に味はしなかったし、気分も悪くないね」
「ちょっと、邪魔よ」
「ぬおっ!セツカちゃん!!」

ワイワイと騒ぐ休憩スペースに、セツカに扮したキョーコがやって来た。

「どっどうしたの?」
「…飲み物を貰いに来たの」

本当に私ったらマヌケだわ。コーヒーをポットごと忘れるなんて。
スタジオってすごく乾燥してるんだもの。いくら喋らない役とは言え喉のコンディションには最悪よ。風邪だって引きかねないわ。
敦賀さんに何か持って行って差し上げなきゃ。

普段は宿泊しているホテルで淹れたコーヒーをポットに入れて持参しているため、休憩スペースをほとんど使った事が無いキョーコは、紙コップを探して視線をキョロキョロと漂わせている。

そんなキョーコに、村雨がニタリと笑った。

「あ、じゃあ俺がセツカちゃんにあったかい飲み物用意してあげるね!セツカちゃんダージリンでいい?」
「えっ!ちょっと村雨さん!?」

愛華が慌てて声をかけるのも無理は無かった。村雨が手に取ったのは、砕いた自白剤が入った紙コップだった。
村雨は素知らぬ顔でブルーワーからコーヒーを注き、もう1つの紙コップには紅茶のティバックを入れて湯を注いだ。


村雨さんって本当に親切ねー。ムードメーカーだし、すっごく良い人だわ。
南国バードな外見の私なんぞにも分け隔てなく親切にしてくださるなんて、愛華さんじゃなくても驚くわよ。

セツカの無表情の下で完全に警戒を解いているキョーコに、村雨はニコニコと笑いながらコーヒーと紅茶を渡した。

「はい。熱いから気を付けてね」
「…ありがとう」

キョーコは紙コップを持ってカインの元へと戻って行った。

休憩スペースからは出演者たちがカインとセツカの様子をチラチラと見守っている。


「ちょっと村雨君ヤバいよ!カインさんにあんなもの飲ませるなんて。バレたら速攻殺されるよ?」
「それもひとおもいなんて生易しいもんじゃ済まないね。1ミリ単位で切り刻まれるんだよ。こわーっ」
「そうよ、絶対そうよ! …あっ飲んだ!!」


**


…なんかフラフラする。暑いし気持ち悪い?もしかして風邪でも引いた?

顔に手をあてて、辛そうに顔をしかめる様子を心配して覗き込む。


「セツどうした?」
「…なんでもない」
「風邪か?」

カインがセツカの額に手を置く。

「ひゃぶっ!!」

奇声と共にセツ魂が抜け出しそうになるの口を、キョーコは慌てて両手で塞ぎ何とか堪えた。

「…どうした?」
「だって…つ…兄さんが急に触れるからっ」
「…俺に触られるのが嫌なのか?」
「っ嫌なわけないっ!」

目を潤ませながら必死に否定の言葉を紡いで、セツカはギュッとカインの手を握った。


急な出来事に蓮は固まった。

最上さん、どうしたんだ?セツカとも普段の最上さんとも違う。

驚きながらも、蓮は抱きついてきたキョーコの肩を優しく抱いた。触れた体温はいつもより少し高めに感じる。

「セツ、大丈夫か?」



「まさか妹ちゃんの方がコーヒーを飲んだのか?」

自白剤入りのコーヒーをヒール兄妹に渡したことを知っている出演者たちは、様子のおかしい雪花に目を丸くし、つーっと冷や汗を垂らした。
そして同じ頃に同じ薬を飲んだ村雨の様子を全員が見守っていたが、これといった変化は見て取れなかった。

「効果に個体差とかあるのかな。体重差とかもあるだろうし」
「やっぱりマジでヤバいんじゃないの?変なクスリなわけだし…まさか倒れたりしないよね?」

遠巻きにヒール兄妹たちの様子を観察しながら、ひそひそと共演者やスタッフたちが顔を青くして囁き合う。

「~~っやっぱり私、黙ってるなんて無理!」
「あっ!愛華ちゃん!!」

共演者たちが止める間もなく、愛華は心配そうにセツカの肩を抱くカインの元に走った。

「ギャーッ!B.Jに愛華ちゃんが殺されるーーっ!村雨君!早く救出して来いよ!! …って、村雨君?」


「あっあの、カインさん!」
「…取り込み中だ」
「分かってます!でもセツカさん、体調が悪いんですよね?その原因、多分……その…」

言い淀む愛華を見据えてカインは話を促した。

「原因は?」
「えっと…むっ村雨さんが入れた自白剤入りのコーヒーを飲んじゃったんです!カインさんがコーヒーで、セツカさんが紅茶を飲むと思ってたみたいだけど、実際は逆で…」
「…誰も止めなかったのか…」

カインの瞳がユラリと揺れ、セツカを抱きしめたままスタジオ内をぐるりと見渡した。
その眼には生き物としての温度は感じ取れず、まるで魂にこれから訪れる惨劇の刻印を押されたかのような錯覚を与えた。

「「ひーーーっ!俺達も同罪って事!?リアルに無差別惨殺劇の被害者になっちゃうかもーーっ!」」

スタッフや共演者たちの恐慌は頂点に達した。


「何だよ、おっかねえ顔して誰彼構わず威嚇するなよ?」
「……ムラサメ」

カインの眼前には、完全に目が座った状態の村雨が仁王立ちしていた。



つづく。



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