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   偶然と必然 バレンタイン迷走曲 前編   


昨夜から悪寒と頭痛がしてます。
インフルエンザが忍び寄って来たかもしれませんが、捕まらないうちに投稿です。
バレンタインもスッカリ終わりましたが、書いてしまいました。前後編予定です。
リーマンな敦賀さんと芸能人キョーコちゃんがお付き合いしてる話のおまけ?話です。


ピピピ…ピピピ…

目覚まし時計のアラーム音に導かれて、甘い夢の世界から無理矢理意識を浮上させられる。
もう少し…あと少し、この夢の中で漂っていたかったのに。  …どんな夢を見ていた?

結局はいつもと同じように、目覚めと引き換えに夢の中の出来事を忘れてしまう。
とてもいい夢を見ていた筈だったのに。

少し残念に思いながら、アラームを止めた腕を温かい布団の中に戻して二度寝を決め込もうと、もぞもぞと布団を被りなおそうしたその時、寝室のドアがガチャリと開いた。

仕方なく薄目を開ければ、エプロンを着けた愛しいあの子がドアの前で仁王立ちをしている。

「もうっ。早く起きないと遅刻しますよ!」
「うん…でもどうしてそんなに朝から元気なの?…こんな事なら力加減なんかするんじゃなかったな…あと1回いや2回…完全燃焼すれば良かった」

ぽそりと呟いたはずの一言に、キョーコがピクリと反応した。

「何か仰いました?」
「いーえナンデモアリマセン。今起きるよ」

もそもそと起き上がり大きく伸びをした蓮を見届けて、キョーコは満足げにコクンと頷いて部屋から出て行った。

いい夢と引き換えにキョーコに起こしてもらう現実が手に入ったから、それはそれで十分なんだけどね。
でも、できればキョーコを抱きしめたまま目覚めたいんだけど。…いつも朝から元気だよね。

そんな事を考えながら、蓮は寝室のドアを開けた。

「おはよう…っ!?」

寝起きの蓮の脳髄に、甘い甘い香りが染み渡り一気に眠気が吹き飛んだ。

「何この匂い。キョーコ、朝から何を作ってるの!?」
「ムフー。敦賀さん、今日が何の日か分からないんですか?バレンタインですよバレンタイン。少し早起きしてチョコを作ってたんです」
「あぁバレンタインか」

毎年必ずやって来る乙女の祭典。蓮も物心がついた幼稚園児時代から、その祭典に祭り上げられたものだ。

休み時間や放課後に呼び出されては、顔を真っ赤に染めた女の子たちから差し出される、色とりどりのラッピングが施されたチョコレート。
それだけでは飽き足らず、体育の授業や移動教室から戻れば、机の上にチョコの小山が築かれていたし、下駄箱の中にも入っていたそれを、毎年紙袋に抱えて家に帰ったものだ。
昔はそんな1つ1つのチョコに込められた想いなんて気づかなかった。いつも全方位から差し向けられていた想いに、蓮は鈍感だった。


唯一に恋い焦がれ、その人の一挙一動に心が揺れる思い。
そしてその唯一の人が自分に向けてくれる笑顔に胸が締め付けられる感情。


きっと、蓮が無造作に紙袋に詰め込んだそれらは、自分の思いを受け止めて欲しいと願いながら差し出されたチョコレートだったのだろう。
今思えば、女の子たちの気持ちが籠ったチョコをぞんざいに扱った事に対して、申し訳ない事をしたと思う。

ほろ苦い気持ちで過去の自分を反省しながら、キョーコが冷蔵庫からチョコレートを取り出す様子を眺めていた。
キョーコが機嫌良さそうに鼻歌交じりに朝早くから作っていると言うチョコは、そろそろ出来上がるのだろうか。
それにしても大きな板状のチョコを作ったものだと、蓮はキョーコの後ろから手元を覗き込んで笑った。

「朝からそんなにチョコ食べられるかなぁ」
「食べたいんですか?」
「食べたいって…ちょっとキョーコ、それは俺へのチョコじゃないの?」
「え?違いますよ。それより早くシャワー浴びてください」

ミニキッチンの反対側のお風呂の扉を開けようとしていた手が止まる。

「じゃあ誰にあげるつもりなの?」

確かにキョーコが作業台へと移した板状のチョコレートは大きく、蓮1人で食べられるものではない。
それでも、蓮への愛情の大きさを示していると言われたら、それはそれで嬉しいと勝手に解釈していたと言うのに。蓮のキョーコへの問いかけは思わず責めるような口調になった。

「何を言ってるんですか。これは現場のスタッフさんへの『ありがとう生チョコ』ですよ。あと社さんや共演者の方々へは『お世話になってますトリュフ』を作りました」

トリュフは生チョコと同じ物を丸めて、ホワイトチョコとダークチョコでコーティングしたと楽しそうに話した。
芸能界も日頃お世話になっている方々への心配りは大切なのだと言いながら、作業台に置いた生チョコに型を押し当ててくり抜いたものを摘むと、蓮の目の前に差し出した。

「ほら簡単!あとはハート型でくり抜いてココアをまぶせば、生チョコの完成です!」
「…ハート型じゃなくてもいいんじゃない?」
「だってハート、可愛いじゃないですか」
「キョーコが可愛いんだから、それだけで十分だよ」
「はいはいぃっ!?」

キョーコは蓮を無視して手に持っていたハート型の生チョコをココアが入ったボウルに入れようとしたその時、蓮はキョーコの手を掴んで引き寄せると、そのままチョコをパクリと自分の口に入れた。

「あーっ。何するんですか!」
「ハート型のチョコを誰かに渡そうなんて…それが義理だろうが何だろうが許さないよ」
「そんな…ゆっ指舐めないでください」
「まだチョコが付いてるから駄目」

蓮がちらりと作業台を見れば、型押しされたハートのチョコがもう1つ転がっている。キョーコの指を解放すると、抗議の声を上げようとしたキョーコの口の中に、自分の指ごとチョコレートを差し込んだ。

「んぅーーっ!!」
「ほら、可愛い舌で俺ごと味わって。…ハート型のチョコはこうやって2人で全部食べちゃおう。ね、キョーコ?」

そう言ってキョーコの咥内を優しく擽っていた指を引き抜いた蓮は、そのままキョーコに噛み付くようなキスをした。


**


「もーっ。お陰で生チョコ、ハートに出来なかったんですよ。酷いと思いませんか?」
「はいはい。朝からゴチソウサマ」
「社さん酷い、棒読みですか!?」

移動中の車のハンドルを握るマネージャーの社にキョーコはプンプンと怒りながら今朝の蓮とのやり取りを告げ口していた。
結局蓮の監視の元、生チョコは一口大の四角に切り分けられた。

「敦賀くん、嫉妬したんだよ」
「へ?何にですか?」
「何って、キョーコちゃんのハートのチョコをもらうスタッフさんたちに」
「だって盛大な義理チョコ…」
「義理でも何でも。心が狭いなんて本人に言っちゃダメだよ?男心は繊細なんだから。大好きなキョーコちゃんの手作りチョコを振る舞うのは最大限譲歩できても、ハートのチョコだけは食べさせたくなかったんだよ」
「ハートが駄目…うーん形の問題ですか」
「ちょっと違うと思う…」

社はキョーコの考え込む横顔を見て肩を落とした。

「でもさぁ、敦賀君ってイケメンな上に仕事もできるんだろう?それに営業職だっけ?取引先の会社を回ってるうちに、抱えきれないチョコ貰っちゃうんじゃないの?」
「ねー。沢山貰いそうですよね…」

確かに敦賀さんって芸能人みたいにカッコいいもの。きっとチョコレート、いっぱい貰うんだろうなぁ。
沢山…山ほど…きっと高級チョコ…  じゅるり。
はっ駄目よキョーコ!敦賀さんが頂いたチョコなのよ?それを横取りなんて…でも1粒くらいくれないかな。
もっ勿論本命チョコになんて手出ししませんよ?まして手作りなんて色々なモノが込められてそうだし。でも義理チョコなら私が食べても…。
義理でもやっぱりダメかな?

あれ、キョーコちゃんが黙り込んだ…。もしかして敦賀君がキョーコちゃん以外の子からチョコを受け取るのが嫌だとか?

表情が凄い勢いでくるくる変わってる!これぞ恋する乙女ーっ!!

そうだよなぁ。敦賀君って芸能人並み…それ以上にイケメンだもんな。たくさん本命チョコ貰うだろうから、キョーコちゃん心配にもなるだろうけど。
でも相手はキョーコちゃん大好きな敦賀君だよ?全方位に牽制球を投げつけてくる男だよ?キョーコちゃんしか見てないのなんて丸わかりなのに、本人には全く伝わってないなんて不憫だねー。

「キョーコちゃん、何無駄な葛藤してるの?」
「なっ何でもないでふよっ!それより社さん、今日のお仕事って夕方でお終いですよね?」
「うん。都内のスタジオでドラマの撮影が夕方までの予定だよ」
「それじゃあ、帰りは敦賀さんのお勤め先の近くで降ろしてください」
「えぇっ!?」
「ちゃんと変装しますから大丈夫です!」



つづく。



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