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   偶然と必然 バレンタイン迷走曲 中編   


インフルエンザから逃げ切りました!体調不良は風邪だったようです。
周りはA型にバッタバッタなぎ倒されてます。皆様もお気を付け下さい。
そしてバレンタイン話が終わりませんでした。


取引先からの帰社の途中、メールの着信を知らせるバイブに気付いて蓮は内ポケットからスマホを取り出した。
送信元を見れば、キョーコのマネージャーである社からだった。緊急用にと交換していたメアドから、今までほとんど連絡を貰う事は無かった。
キョーコに何かあったのだろうか。不安に駆られて急いで開いたメールを、蓮は思わず二度見した。


10分以内に敦賀君の勤め先のオフィスビル1階にいるキョーコちゃんに会える?
都合がつかない、もしくは返信が無い場合はこちらで回収します。


蓮は迷わず走り出した。


**


「こんなところで何をしてるの?」
「ひょっ!?」

慌てて帰社してみれば…。
うん。コレは一刻も早い回収が必要だったろうね。

突然声をかけられて、ビックリしたキョーコが振り向くと、そこには引き攣った笑顔を浮かべた蓮が立っていた。
今日は接待も無く久しぶりに定時に上がれると言っていた蓮が会社から出てくるのを、わざわざビルの外で隠れて待っていたと言うのに、客先から戻って来たらしい蓮に見つかってしまった。

「その姿は一体何の罰ゲーム?」
「罰ゲームじゃないですよ!」

きっとまた変な事を思いついちゃったんだろうなぁ。
キョーコ、君は人気女優だっていう自覚があるの? …あるからこそなのか?

「そんな格好を週刊誌にでも撮られたら、社さんに怒られるよ?」
「むぅ。そんな恰好って何ですか。これは変装ですよ。誰も私が京子だなんて思いません」

やっぱり真剣に変装してたんだ。
物陰に隠れていたキョーコに気づいた人も、きっと危ない人だと思って目を逸らしてもらえるから、逆に京子だとは気付かれないかもしれないけれど。
確かに良い作戦かもしれないけど…キョーコの事だから、そんなの狙ったつもりは無いだろうな。

「残念な子を憐れむ様な眼差しで見ないでください」

そっか。変だって自覚はあったんだ。良かった。

「ごめんね。それにしても他に変装アイテムはなかったの?」
「だって社さんが伊達眼鏡だけじゃダメだって言うから考えたんですよ?マスクしちゃうと息苦しいけど、これなら口元も隠れますし」
「考えてソレか。本当に俺の彼女は面白いよね」

いくらなんでも、ちょび髭付きのおもちゃ眼鏡ってチョイスは無いだろう。

社さんもよくそれを許したよね。きっと面白がってるんだろうけどさ。…あぁ、だから10分が限界なんだ。
きっとそのあたりで様子を窺ってるんだろうな。キョーコが芸能人の『京子』だってバレないかハラハラしながら。

車道に目を向けて見渡せば、停車中の車の中に見覚えのある車が1台ハザードを焚いたまま停まっている。
きっと車内で、社は面白がって変装グッズをキョーコと選んだ事を後悔しながら、蓮が現れるのをキリキリと痛む胃を押さえて待っていたに違いない。

蓮は車に向かって軽く頭を下げた。

「で?仮装…じゃなくて…まぁいいや。一度オフィスに戻って荷物を置いてくるね」
「家に持って帰らないんですか?」

キョーコは蓮が鞄と一緒に持っている紙袋をじっと見つめていた。
予想通り、出歩いた先々で蓮はチョコレートを貰ったのだろう。それをオフィスに置いてくると言うのか。

『その紙袋は私が責任を持って預かっておきましょう』
そう口から転がり出す前に、蓮は喜色を浮かべてキョーコを抱き寄せた。

「少しも離れたくない気持ちは俺も一緒だけど、クライアントから預かった書類を今日中に上司に渡す必要があるんだ」
「へ?えと…」
「体が冷たい。こんな寒空で俺を待っててくれたなんて…。そこのカフェで待ってて。すぐに戻る。あ、眼鏡は普通の伊達眼鏡に変えてね?店員さんが困っちゃうからね」
「いえその……はい。待ってます」

蓮は甘やかな笑顔で、もう一度すぐに戻るからと言い残して足早にオフィスへと向かった。

「あうぅ。チョコが駆けていく…」

どうかチョコをうっかりオフィスに置いたまま戻ってきませんように。
そう蓮の後ろ姿に願いを込めた後、キョーコは蓮に言われた通り伊達眼鏡をかけ直してカフェに入り、カプチーノをオーダーした。

「お待たせしました」
「ありがとうございます。わぁ!」

礼を言って店員に差し出されたコーヒーを受けとると、そこにはラテアートが施されていた。
コーヒーの表面には、スマイルマークが躍っていた。

それを見てキョーコは花が開くように笑顔を咲かせた。

何か、ちょっとモヤモヤしてた気分が一気に軽くなったゃった。
スマイルマークの顔をしたお日様が、私の心のなかにパーっと光を照らしてくれたみたい。

小さく笑いながらアートを壊さないようにゆっくりと口をつけて、窓の外をじっと見つめると、蓮がこちらに向かって歩いてくるのが目に入る。
先程オフィスに戻ると言ってから、まだ10分も経ってないだろう。本当に荷物を置いただけで戻ってきたようだ。
窓に面した席に座っているキョーコに気づいたのだろう。蓮の口元がふと緩んだように見えたその時、蓮は振り返ると足を止めた。

どうしたのだろうかと蓮の後方に視線を向ければ、蓮に向かって白いコートを羽織った、緩く巻いた茶色い髪の女性が小走りで駆けてくる。
追いついた女性は可愛らしい笑顔を浮かべて蓮を見上げている。
何か言葉を交わした後、追いかけてきた女性が手のひらに乗るサイズの包みを蓮に手渡した。

あれはチョコレートだ。しかも有名チョコレート専門店のバレンタイン仕様のラッピングだ。
共演している女優から貰ったと、浮かれた社が見せてくれたラッピングと同じものだ。

敦賀さん、告白されているのかな。

そう思いながら、キョーコはずずっと音を立てて勢いよくコーヒーを啜った。

「あっ…」

ついさっきまで表面で揺れていたスマイルマークは、まるでお化けのように歪んでいた。



つづく。



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