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   偶然と必然 バレンタイン迷走曲 後編   


時間が無くてバッタバッタです。
でも勢いで投稿です。


「敦賀さん、お願いがあるのですが」
「ん?何かな?」

2人で狭いキッチンに立って用意した夕飯を食べ終えた頃合いを見計らって、テーブルを挟んだ先のキョーコが蓮にお願い事を切り出した。
今日一日、ずっと考えていた切なる願いだ。

はにかみながらモジモジと上目遣いで俺を見るなんて、可愛すぎるだろう。
一体何をおねだりする気なの?俺に出来る事なら、何だって叶えてあげるよ。

…いや待て。色々と学習してきた俺の理性が言っている。
大体キョーコがおねだりをするものなんて、思い返してみれば大概俺が思いつかないようなものじゃないか。

この前のおねだりは、『餃子が食べたい』だったな。

1人でニンニク臭くなるのは恥ずかしいから一緒に餃子を食べて欲しいと言われて、2人で手作り餃子パーティをしたんだ。
「これならキスしても、お互いニンニク臭いから気にもなりませんね!」なんて言われたら、試しにしてみようかって流れになるのは当然じゃないか。寧ろ誘ってるだろう。
そして勿論キスだけで終わる筈が無いよね。食べたのは強壮作用の強いニンニクだよ?をパワーは使い切らなくちゃねって流れになるのは当然の成り行きじゃないか。

さて、今回はどんなおねだりをしてくれるのだろう。

「そのですね。チョコ、ください」
「え?」
「敦賀さん、今日沢山チョコもらいましたよね?その中で敦賀さんが私にあげてもいいよって言うやつをですね。ご相伴にあずかりたいなと。勿論タダでとは言いませんよ?ちゃんと私だって敦賀さんに用意してるんです。ちょっと待っててくださいね?」

そう言ってキョーコはそそくさと立ち上がると、食べ終えた食器を持ってミニキッチンへと消えて行った。


チョコが欲しいと言われた瞬間、蓮は『俺がキョーコからもらえるんじゃなくて?』と言う疑問で頭が一杯になった。

今朝、勝手に義理チョコを食べたとキョーコに怒られた蓮はチョコレートは貰えなかった。
キョーコが楽しそうに準備していた義理チョコを嬉々として食べたであろう、見た事のない男たちに蓮は盛大に嫉妬した。食べた奴などお腹を壊してしまえと呪いまでかけたくらいだ。
キョーコから自分の為だけに作ったチョコレートを貰えるのだと思うと、口元がふよふよと緩んでしまうのは仕方が無いではないか。
そう思いながら、蓮はミニキッチンに立つキョーコの様子をそわそわと窺っていた。

「お待たせしました!」
「ありがとう」

蓮の目の前に差し出されたガラスの器には、刻んだイチゴやブルーベリーと一緒に、フォークで崩したらしい透明なゼリーが乗せられている。
その上に、ハート型のプレートチョコがちょこんと乗せられていた。

「敦賀さんはチョコレートを貰い過ぎて、しばらくチョコレートなんて見たくも無いかなと思いまして。どっさりフルーツ白ワインゼリー掛けです!」

チョコは見飽きただろうと言いつつも、ハート型のチョコを添えてくれている辺りに、蓮はクスリと笑った。
その視線を感じたのだろう。

「ゼリーだけだとバレンタイン感が皆無じゃないですか。少しくらいバレンタインを演出してもいいじゃないですか」
「うん。キョーコから俺へのハートはちゃんといただくよ」

そう言って蓮はチョコレートを摘むと、パクリと口に入れた。

「旨いよ」
「えへへー。良かった」

蓮がワインゼリーを口に運ぶのを、キョーコがキラキラと目を輝かせて見ている事に気づいて、蓮は眉を下げて笑った。

「はいはい。チョコレートが欲しかったんだよね。好きなだけ食べていいよ」

そう言って蓮は、会社から持ち帰った紙袋をキョーコに差し出した途端、キョーコの眉間がぎゅっと狭まり、期待を込めて蓮を見つめていた瞳からは、まるでブリザードを起こす様に冷え冷えとした鋭い視線が放たれた。
今まで漂っていた恋人同士の甘い空気が一転した事に、蓮は慌ててスプーンを取り落とした。

「ちょっちょっとキョーコ?俺何か失敗した?」
「…敦賀さん、本命チョコはいらないです。義理チョコでお願いします」
「だから全部好きなだけ食べていいよ?」
「そんな横着せず、本命チョコと義理チョコを選り分けてください」
「本命チョコ?そんなのないよ」
「嘘ばっかり」

ねっとりとまとわりつく様なジト目で見ないでよ。

「だってカフェの手前まで、敦賀さんをわざわざ追いかけてきた可愛い女の子からチョコもらってたじゃないですか!」

キョーコは蓮の手から奪い取った紙袋に入った沢山のチョコレートから、1つを探し出して蓮の目の前に差し出した。

「ほら、これですよ!」
「これと言われても、誰にどれを貰ったか分からないよ」
「ムキーっ!誰がどのチョコをくれたか分からないですって!?アナタ、女の敵アルヨ!!」
「どうしてカタコト!?」
「このチョコ、行列2時間待ちは必至だって知ってるんですからね。そんなチョコを義理でなんて用意するはずないじゃないですか!」

そう言って盛大に唇を突き出して怒りをあらわにしたキョーコがズイッと両手で差し出しているチョコを見て、蓮は苦笑した。

「俺を外まで追いかけてきてくれたのは、俺の所属している営業部の吉野さん。それは営業部の女性一同からの義理チョコだよ」

そんな凄いチョコを用意してくれたのなら男性一同で用意するお返しの出費が今から怖いと言いながら、蓮は差し出されたチョコを受け取った。

「本当に義理ですか?」
「義理だよ。本命だって言われたチョコは受け取ってないんだ。だから俺が貰ったのは全部義理チョコだよ」
「え?」

本命チョコと共にきっと告白もされたのだろう。
それを全て断ったと、キョーコをまっすぐに見つめて笑っている蓮に、際限なく膨らんでいた心の中のモヤモヤがプシューッと抜けて行く音が聞こえる気がした。

「それじゃあ、紙袋にあるチョコは全部本当に義理チョコなんですね?」
「うん。正真正銘、義理チョコ」
「そっか…そうなんですね…。何だー。凄く可愛い人が敦賀さんを追いかけて来てチョコを渡したのを見てから、ずっと胸がモヤモヤしてたんですよね」

良かったー。折角目の前にある高級チョコがあるっていうのに、食べられないと思ってモヤモヤしてたのよね。
ムフフ。どれでも食べていいって言ってくれたし、これで心置きなくこのチョコを食べられるわ。


モヤモヤ? …もしかして、焼きもち?
本命チョコを貰ったんじゃないかって、それで怒ってくれてたんだ。
俺にはキョーコという彼女がいると言うのに、どうして他の女性からの好意を受け入れられる?
チョコを差し出してくれた子たちには申し訳ないけど、その気持ちには応えられないんだから受け取らなかったよ。
キョーコからの想いの籠ったチョコを1粒貰えたら、それだけで十分なんだよ。


「このチョコ、食べたい?」
「はい!」


ラッピング解きパッケージの蓋を開けて、すました風情で鎮座したチョコを手に取り、蓮はひょいっと自分の口に入れた。

「あっ!」
「美味しい」
「あうぅ。敦賀さん、酷いです」

この世の終わりのような顔をして、恨めしそうにじっと蓮を見上げるキョーコに蓮はクスリと笑うと、もう1つチョコを摘んでキョーコの目の前に差し出した。
その途端、キラキラとした瞳が戻った。

「食べる?」
「食べる!!」
「じゃあ、俺から奪ってね?」
「へ?」

そう言うと、蓮はパクリと自分の口へとチョコを放り込んでズイッとキョーコに顔を寄せた。
口移しで奪い取れと言っているのだと気付いたキョーコは、その手には乗るまいと躊躇する。

「普通に食べさせて下さいぃ」
「やだ。ほら、キョーコ。早くしないと高級チョコが溶けてなくなっちゃうよ?」
「あうぅぅーっ」
「往生際が悪いね」

真っ赤になってジタバタと暴れるキョーコの頬を両手でガシリと掴むと、蓮はそのままキョーコの唇にキスをした。

もうここまでされたら進むしかいない。そう覚悟を決めてキョーコは渋々と舌を蓮の口へと差し込み、チロチロとチョコを探して彷徨わせる。

あ、あった。

ちょん、と舌先でつついたものが、キョーコの舌にぐるりと巻きついて擦り上げる。

キョーコが探り当てたそれは、チョコではなくキョーコのものよりも厚い蓮の舌だった。

んん、とくぐもった声を上げるキョーコを、熱の籠った両腕で蓮は胸の内へと閉じ込める。

俺の体温で、キョーコが蕩けてしまえばいい。
チョコレートの甘い甘い香りに包まれた、甘い甘い口づけに翻弄されて、チョコレートのようにトロトロに溶けてしまえばいいんだ。

「もっと欲しい?」
「…欲しいです」
「じゃあ、続きはベッドで、ね」
「あうぅー」


蓮は笑顔を湛えて、チョコを1箱とキョーコを抱き上げて、ベッドルームへと向かった。




おしまい。



Comment
キョコさん
やっとありつけると思った高級チョコレートは、じっくり味わうことがなかなかできそうにないですね。

たくさん食べれば、蓮さんが甘さに耐えかねて白旗あげそうな気もしますが、女優さんですから無茶はできませんよね。まあ、高級なチョコだと肌への害は少なそうですが。

楽しいバレンタインパラレルを御馳走様でした!

ヽ(´▽`)/

ホワイトデーも迫ってきてますので、そちらも期待してお待ちしてます。( ̄∇ ̄*)ゞ」
Re: キョコさん
まじーん様

コメントありがとうございます!そしてお返事遅れてすみません(汗)
キョーコちゃんはあと何粒チョコを堪能できたんでしょうかね…。
きっと味わう余裕もなく、敦賀さんの手玉に取られちゃったと思います。
その後は敦賀さんのいない隙を狙ってコソコソと食べたと思われます!

楽しんでいただけて何よりですー!
ホワイトデーもおバカしか妄想できてませんが、相変わらずのクオリティでお届け予定です。が、既に遅刻な気がしてます。
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