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   幸せなら態度で示そうよ 9   


こんばんは。ナーでございます。
黄金週間、皆様いかがお過ごしでしょうか。
ナーは久しぶりにこの期間国内におります。東南アジア行く予定だったんですけどね。。飛行機取れず断念です。
何だかんだで更新が滞ってしまいましたが、久しぶりにおバカ話をアップです。
笑っていただければ何よりですが、どうでしょう。


初めてのダンスに緊張し、足元を気にするキョーコに合わせて小さくステップを踏んでいたレンが、キョーコをリラックスさせようとその身を抱いて大きくターンをした。
まるで宙を飛ぶようなダンスにすっかりリラックスしたキョーコは、今やその身をレンに預けて軽やかにステップを踏んでいる。

ダンスを心から楽しんでいるキョーコの笑顔に、レンもまた心からキョーコとのダンスを楽しんでいた。

「まぁっ!キョーコ姫ったら何て可愛らしいの!?まるでニンフが風の中を自由に踊っている様よ。それにいつも誰にでも胡散臭い微笑みしか浮かべないレンが心の底から笑っているわ!」
「うむ。実の親である私たちでさえ久しく見ていなかったレンの本物の笑顔だ」

キョーコの華やかなドレスの裾がふわりと舞う様子に目尻を下げていたジュリエラは、息子の表情が変わっていく様子にいち早く気づき、そして安堵の表情を見せた。

社交界でも評判の美姫と謳われる令嬢がその瞳を潤ませて熱い視線でレンを見つめても、レンの瞳も、その表情も揺るぐ事は無かった。
そんなレンが、キョーコだけを見つめて笑っている様子に、ジュリエラは感極まった様子で夫の手を握りしめる。その様子にクーは笑みを深めた。

「ジュリ、君はレンの幸せが何よりも嬉しいんだね」
「ええ。嬉しいわ。でもそれより何より…」

言葉を詰まらせた妻の顔を覗き込めば、ジュリエラは顔を真っ赤に染めフルフルと小刻みに震えている。

妻の異変にクーは眉を顰めた。

「ジュリ、どうしたんだ」
「~~~っ早く孫の顔が見たいわ!あの2人の子ですもの。可愛い赤ちゃんが生まれるはずよ」
「それは気が早いだろう。あの2人はまだ手を取り合っただけだよ」
「あらやだ、ごめんなさい。私ったら先走り過ぎたわ。そうよね。手に手を取って微笑み合っている段階ですものね。でも…でもそれじゃあ全然全く間に合わないのよ!」
「何に間に合わないと言うんだい。あぁジュリ、泣かないで私にわかるように説明しておくれ」
「クー…だって私…私の寿命は10カ月と10日よっ!!」
「…ジュリ、寿命はさておき色々と順番をすっ飛ばしていやしないかい?それにその計算だと、コウノトリが今夜やって来ることになるよ?」

ガクリと肩を落とす国王と、愛に時間は関係ない、今日レンが頑張ればどうにか間に合うと言い募る王妃の言葉に、ヤシロは気が遠くなるのをどうにか堪えて舞踏会のフロアへと足を進めた。

楽しそうに踊っている2人だが、そろそろキョーコの足も限界だろう。この会場に入るまで、初めて履いたハイヒールに、まるで生まれたての小鹿のように膝をガクガクさせていたのだ。

それなのに。会場に一歩踏み入れた途端、堂々とした足取りで会場に入り、衆目を見渡して悠然と微笑み礼を取ったキョーコにヤシロは正直舌を巻いていた。

ヤシロの中で、キョーコの評価はぐるぐると二転三転していた。

始めはヒズリ王国を軍事力でねじ伏せようとするモガミ国からの悪魔の使いだと思ったのに、その悪魔の正体が、着乱れた服装のまま、裸足でレンの執務室に駆け込んできた少女だと知った時は本気で驚いた。
恐ろしい魔術を使う悪魔でもない、ただの小娘を大国・ヒズリ王国への使者に据えるとは何事か。それほどまでにモガミ国に見下されているのかと思えば、その小娘はヒズリ王国の官吏が徹夜で作成した報告書の誤りを一瞬で見抜き、訂正して見せたのだ。

一体モガミ国の姫は何を考えて王太子であるレンに近づいているのか。
ヤシロは判断に苦しんでいた。


キョーコはレンとのダンスを時間を忘れて楽しみ、気が付けば3曲が終わっていた。

「姫、少し休憩しませんか?」
「む?」

何を言っているのだろうかとキョーコが首を傾げた仕草に、レンはクスリと笑うと分かりやすいよう単語で話しかけた。

「すこし、休みましょう」
「はい!」

通じた事に安堵したレンは、キョーコをバルコニーに近い壁際へとエスコートした。
開け放たれたバルコニーから漂う夜風は、初めての舞踏会に興奮したキョーコの心を少し鎮めてくれた。

「ダンス、楽しかったですか?」
「きゃうう!」
「そう。それなら良かった」

モガミ語は全く分からないが、その豊かな表情と胸の前でぎゅっと拳を作り肩をすぼめるリアクションで、キョーコがダンスを楽しんでくれたのが伝わる。

「殿下、飲み物をお持ちしました」

そう言うと、いつの間にか傍に控えていたヤシロがレン達にワインを差し出した。

「ヤシロさんありがとう。喉が渇いていたので助かります」
「そりゃそうでしょう。あれだけ楽しそうに豪快に踊れば喉だって乾きますよ。さ、姫もどうぞ」
「ありがとございます」

キョーコもグラスを手に取ると、乾いた喉を潤そうとコクリと一口飲み、その美味しさに目を見開いた。
船旅の過程で、キョーコは初めてワインを飲み、その芳醇な味に最初戸惑い、そして美味しさを知った。
今、ヤシロから差し出されたワインはヒズリ王国の中でもワインの一大産地のものだと言う。そのワインの味は、今までキョーコが口にしたどんなものよりも美味しく感じた。

「ヤシロさん。姫がワインの美味しさに感激してくれているようです」
「姫は押し黙ってるだけじゃないですか。何を都合のいいように解釈して勝手なことを言ってるんです」
「こんなに目を輝かせてじっとグラスを見つめているんですよ?言葉など無くても、何を思っているかなんて伝わって来ますよ」

確かにキョーコはワインの味に感動していた。
ヒズリ王国の豊かな土壌で育った葡萄で作られたワインなのだろう。また見た事のないブドウ畑を、そして収穫したブドウを足で踏んで果汁を絞るというワイン作りを体験してみたいと、キョーコはグラスの中のワインを見つめながら思った。

そしてレンと一緒にブドウ踏みを、先程のダンスのようにステップを踏みながら出来たらいいなと考えている事に気づいて、キョーコは頬を染めた。

「ごちそう様」

一気にワインを飲み干した蓮は大きく息をつくと、節立った指先で詰襟を緩めた。
夜風が届く場所とは言え、今までキョーコを抱き上げるように踊っていたレンの体はまだ熱い。その熱を逃がそうと襟を緩める仕草に、貴婦人たちは口元に置いた扇子の陰で頬を染め、ほうっとため息を漏らした。

そんな女性たちの視線を集めるレンの額に汗が滲んでいる事に、キョーコは初めて気が付いた。

「んー…」
「どうかしましたか?」
「ぱ!」

そうだ!とばかりに何か思いついたキョーコが、自分の胸元に勢いよく手を突っ込んだ。

それを見たレンとヤシロは一瞬で固まった。

「なっ何をしてるんです!!」

先に正気に返ったヤシロが一歩キョーコへと近づこうとしたのを、ヤシロの声で正気に戻ったレンが視線で静止させた。


こ れ 以 上 近 づ い た ら 命 は 無 い と 思 え


「ひぃぃっ!!」

長年レンの側に仕えていたヤシロだったが、初めて見たレンの殺人光線に震えあがった。
言葉など無くても、表情と空気だけで相手が何を思っているか、手に取るように分かるという事をヤシロは身を以って理解した。

そんなヤシロの命の危険にも気づくことなく、キョーコは胸元をごそごそと探り続けるが、それでも見つからないらしい。
もう一方の手で胸元のドレスを大きく引っ張ると、その中を覗き込んだ。

「ッキョーコ姫!」

キョーコとの身長差のせいで、キョーコを見下ろす形で見守っていたレンは、図らずもキョーコの滑らかなデコルテのその先、象牙色の滑らかな胸の谷間を目にしてした瞬間、目を逸らす事も出来ずにその姿勢のままピシリと固まった。

そんな空気など全く気付かず、ゴソゴソと一生懸命に目当てのものを探していたキョーコが満面の笑みを湛えて顔を上げた。
どうやら探し物が見つかったらしく、胸元から手を引き抜いた。

しゅるん

キョーコが胸元から取り出したのは、真白いハンカチだった。その周囲には繊細なレースが施され、更にその途中途中には、キョーコが身に着けているドレスの刺繍と同じ黄色やピンクの小花が舞っていた。


漸く探していたものが見つかったキョーコは、レンの心中や周りの視線も気に留めずニコニコとレンに一歩近づき、手に持ったハンカチを掲げてレンの額に浮いた汗をそっと拭った。

ポンポンと優しく肌を滑って行くハンカチの感触に、レンを見上げるその笑顔に停止していた思考が動き始める。

そして

それまでキョーコの胸元に仕舞われていたハンカチが揺れる度に、ふわりと漂うバラの香りに胸が締め付けられると共に、かっと顔が真っ赤に染まった。

「レン!狼狽える事なんて無いわ。体の中心(?)に熱が籠るのは当たり前の事よ!さあ男なら根性見せなさい!!」
「ジュリッ!何を応援してるんだい!冷静になりなさいーっ!!」


そんな王妃の鼻息の荒いヤジを遠くに聞きながらヤシロは思った。


キョーコは悪魔の使いなどではない。


天然無自覚な小悪魔なのだと。



つづく。



Comment
罪な娘w
ヤシロさんのファイナルアンサー、大正解!!← 勝手に

それにしても、王子。
親の応援は有難くも、いますぐ助言に即従えないのは辛いところですね。

それでも、姫との距離は今夜からさらに近付くのでしょうか。

ヾ(๑╹▽╹)ノ"

もう嫁ぐ覚悟できてそうなキョコさんですが、かわいいその中身は天然思考でいま何を考えているのでしょうなー。

最強言語を操る国の姫とその姫にめろめろな王子の今後が大変気になります。

続きも楽しみにしてます。

Re: 罪な娘w
まじーん様

コメントありがとうございます!!
ヤシロさんの心の叫び、王子にとっては大正解ですよね。
ポンポンと優しく汗を拭いてくれる姫に何を思うのでしょう。
それより何より、目に焼き付いた姫の胸の谷間で脳が暴走しない事を祈るのみですが、
ジュリママは声援を送っているようです。

そんな母、どうですかね??

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