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   あなたの隣に 1   


お久しぶりでごぜぇます。
諸々あって、本当にお久しぶりでございます。

亀更新にならないように、でも自分のできるペースで、妄想を書き散らして行こうかなと。
そんなアテにならないナーですが、1つ妄想をスタートです。
宜しかったら、お付き合いくださいませ。



「いやだ何あの格好!?眼が痛い!!」
「わぁ。。知らないけどコスプレか何かじゃないの?もしくは彼女なりの精一杯のお洒落とか?」
「あれがお洒落だなんて、どんなセンスよ。青春の無駄遣いしてるって」

今日何度目かの、思わず盛大に飛び出した心の声に、はぁ、とため息を漏らしながら、声の方をちらりと窺えば、如何にも人を小馬鹿にした笑いを浮かべるお嬢さんたが、モップを片手にした私を見ている。

まったく。人を指差しちゃいけませんって教えられなかったのかしら。

誰に何を言われたって、大抵の事は聞き流せるスキルを身に着けた私にとって、頬を撫でるそよ風のようなモノ、せいぜい顔の前をうっとおしく飛び回る蚊のようなのモノよ。
もしも私の生き血を啜ろうと寄って来ようものなら。

フンッ。

鼻息1つで蹴散らしてやる。

コッチは忙しいのよ。あんな通りすがりの奇異の目なんて気にしてる暇なんか無い。
…それに、確かに奇異の目で見られても仕方ないと自分でも思う。


「確かにあの子のセンスは疑うけど…。ほら、モップ持ってるじゃん、お掃除の子だよ」
「えっ、うちの事務所の清掃作業員?あんな奇天烈な作業着が!?」


はい。お掃除オバサンです。

目にも鮮やかという慎ましやかな表現では表しきれない作業着を着たお掃除オバサンです。

…全身ドピンクですが、何か問題でも?


今週から変わったって、主任さんから伏せ目がちにコレを手渡された時は私も目を疑ったわ。思わず目を見開いちゃったもん。
お陰で余計目が痛かった。何の冗談もしくは罰ゲームかと思ったわよ。
同僚の麻里子さんとか、お姉様方が嫌がる言葉を口にしている割には、姿見で全身を映して、よく分からないポーズをとっていたりしたけど。

このビルの大手芸能事務所の社長がデザインしたらしいけど、社長さん頭がおかしいわよ。もしくはイカレポンチよ。


「ライバルのアカトキだっけ?そっちの芸能事務所の清掃員が全員メイド服だったらしいんだ。それが羨ましかったらしくて、『うちの清掃員の制服もリニューアルだ!!』って張り切ったらしいんだ」

絶対に張り切る方向が間違ってるよ、社長さん。

どうしてメイド服に対抗した結果が強烈な色合いのつなぎの作業着…。

…若作りしているとはいえ、既に年金受給者だって噂の、クネクネポーズのお姉さん達がフリフリのメイド服を着てるのを見るよりはいっか。

「そういう訳だから、今日からこれ着てね。胸元と背中にはゴージャスにラブミーの刺繍が入ってるよー。よく見ればオシャレだよー」
「主任さん、台詞が棒読みです。目が死んでます」


こんな服を着て街中を闊歩している人がいたら驚くし、確かにさっきのお嬢さんたちの反応をしちゃうのも頷ける。
私だってこんなドピンクつなぎの作業着なんて出来ればお断りしたい。

それでも私がこの恥ずかしい限りを尽くしたドピンクの作業着に袖を通しているのは、それなりの理由があるからよ。
このビル、LME芸能プロダクションの清掃スタッフの時給が破格なのよ!!
流石、売れっ子を何人も抱えているやり手の芸能事務所。昼間のバイトだって言うのに余裕の千円越え!
このご時世こんな美味しいバイト、そうそう見つからないもん。

そうよ!例え恥辱にまみれる制服だろうと、一お掃除オバサンとしてスタイリッシュかつエモーショナルに着こなしてみせますとも!!
それに本日残すは最上階の清掃のみ!!

これから向かう最上階は、本当ならベテラン清掃員の頼子さんの担当だから、私初めて行くんだよね。
専用エレベーターでしか上がれないフロアなんて、一体何があるのかしら。
…でも普通にバイトの清掃員を通すくらいだから、大した秘密は無いんだろうな。それに当然のように社長室は重要機密がゴロゴロあるみたいで、掃除は不要だって言われてるから、会議室くらいしか入れる場所は無いしね。

それより頼子さん、体調不良でお休みなんて大丈夫かな。昨日もだるそうだったし。
帰りにお見舞いしてみようかな。



確かに最上階だけあって窓からの都会の景色は綺麗だし、フカフカの絨毯は気持ちいい。思わず靴を脱いで座りこんでお茶を飲みたいくらいだ。
…但し、無駄に窓が多いから拭くのが大変だし、絨毯も毛足が長いから掃除機が滑りにくい。
激しく掃除がしづらい。
ベテランじゃなきゃこのフロアの掃除は無理だって事がよく分かった。それに自分の掃除スキルがまだまだ未熟だと痛感したよ。

グイッと額の汗を袖で拭い、その腕にある時計で時間を確認すれば、既にこのフロアの掃除を始めてから3時間が経過していた。
その間、社長は勿論の事、誰ともすれ違わなかった。唯一、社長室前の受付に座った女性に出会ったのと、会議室の掃除をしている時、隣の会議室のドアが開く音と、何人もの人が入室する足音が聞こえたくらいだ。

こんな都心の一等地で、遊んでいるフロアがあるとはなんて贅沢な事だろう。
全く無駄な事この上ない、などと考えながら最後の仕上げにエレベーターのドアを拭いていた丁度その時、『チン』という到着音と共にエレベーターの扉が開いた。


突然開いた扉に呆然と見上げると、視線の先には2人の男性が居た。


開いた扉の前に居た強烈なピンク色の作業着を着た少女に、1人は『はえ?』と間の抜けた声を漏らした。
もう1人も驚いたように一瞬目を見開いた後、すっとその眼光を光らせ、眉を顰めた。

その視線に、少女はビクリと身を竦ませた。
そんな少女を見逃さないとばかりに目に捉えながらエレベーターから降りた男は、高身長に見合ったその長い脚でまた一歩少女へと近づく。

自分を見下すような無遠慮な視線に、気を取り直した少女はぐっとお腹の底に力を入れて何とか踏みとどまった。

「…ここは許可なく入れる場所じゃない。どうやって入った?」

テノールの耳触りの良い声の筈なのに、心の芯を凍らせるような冷たい声音だった。

「べっ別に」

ちゃんと主任から預かった専用のエレベーターキーを使ったのだ。
自分は怪しいものではなく、ただの清掃員だと言いたいのに。

男の鋭い視線に何も言えず、唇をぐっと噛みしめて男を威嚇するように見上げる事しかできなかった。
それくらい、その男の纏った空気は怖かった。

「おっおい蓮、この子お前に怯えてるじゃないか。お前の方が悪者のようだよ」

助け船を出すように同行していた男が窘めるように声をかけたると、はぁ、と大きく息をつき、纏っていた怒気を消た。

「さっき行き違った椹さんあたりかな?このエレベーターは共連れ禁止だって言うのに、あの人はセキュリティに頓着しないからぁ」
「社さん、今度きっちり言っておいてくださいね。…君、これは専用エレベーターで、このフロアは関係者以外立ち入り禁止だ。勝手に入ったら駄目だろう。守衛に突き出されたって文句は言えないよ?」
「はぁ。知ってますが」

だって、専用のキーで来たもの。

「知っていてここまで来たってことは確信犯か」

そう言うと男は少女の襟首を、まるで猫のようにプランと摘み上げ、さっさとエレベーターへと戻ると、直通になっている3階ボタンを押した。

「おっおい蓮!?」
「社さん、先に行っていてください。すぐに追いかけますから」
「ちよっと、襟掴まないで下さいよっ!っ苦しいっ…ぐぇ」

少女のまるでカエルがつぶれるような声と共にエレベーターの扉は閉まった。


なんなのよ!私はまだ仕事中なのよ。勤労少女に何て手荒な真似をする男なの!?
コレが今一番売れている芸能人だっていうの?抱かれたい男ナンバーワン!?

だたの目つきが悪い人の話を聞かない男よーーーっ!!


吊るし上げからどうにか逃れようとジタバタ暴れていた子猫は、エレベーターが到着した音も扉が開いた事にも気が付かない様子だった。
そんな子猫を、蓮はポイッとエレベーターの外へと放った。

「ふんぎゃっ」

突然宙に放り出された子猫は当然前のめりになる。
どうにか両手と両膝でなんとか着地すると、首を回してギッとレンを睨みあげた。

犬や猫のように人の事を扱って、一体何様だと言うのか。

文句を言おうとしたよりも先に、蓮が少女を見下ろしながら口を開いた。


「その恰好…。君、芸人だろ?仕事がほしいならコソコソと動き回らないで実力で取りに来い」
「は?…芸人?」


ポカンと呆けているうちにエレベーターは閉まった。


何を言ってるのか?私が芸人?
芸人なわけないじゃないか。芸能人じゃない人間の方がこのビルで働いている数の方が多いだろうに。それに、なぜ芸人限定?

「これか…これのせいか…」

少女はワナワナと震える指で、身に纏っている作業着の胸のあたりをぎゅっと掴んだ。

「…あの男…私が売れない芸人で、仕事欲しさに社長に直談判をしようとしてたとでも?」


「私は芸人じゃない!!芸能関係のお仕事なんて欲しくなんかなーーーい!!」


既に閉じたエレベーターの扉に向かって、少女はど憤怒の表情で絶叫した。




続く。



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