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   あなたの隣に 4   


お久しぶりでごぜぇます。
本当にびっくりするほど間が空いてしまいました。
そしてシリアスですと言っておきながら、全くシリアスになっておらず!
多分次あたりからそうなる筈です。。  多分(ポソリ)


「じゃあ、あの子。キョーコちゃんだっけ?お前の事許してくれたんだ」
「拍子抜けするくらいあっさりと」
「へー。いい子だな」
「ええ。笑って許してくれました」
「そっか。 …かわいい子だったよな。まぁ俺は驚いた顔とお前に吊り上げられて慌てた顔しか見てないけど。笑った顔もやっぱり可愛かった?」
「ええ。とてもチャーミングでしたよ」
「お、興味持った?」

次の仕事場へと移動中の車内で、蓮はキョーコに会えた事を社に報告していた。
キョーコが鯛焼きがいかにおいしかったかを力説した表情を思い浮かべて穏やかに笑う蓮に、助手席からその表情の変化をつぶさに見ていた社はムフフと笑った。

「…社さん、何を期待してるんです」
「だって経緯はどうあれ、蓮が女の子にちょっかい出すなんて初めてだし。もしかしてほのかな恋心抱いちゃった?」
「何を言ってるんです。俺は別に…」
「青春だねー!」
「社さん、二十歳を超えた大人に向かって青春っておかしくないです?」
「でもさー、キョーコちゃんも奇特な子だよなー。蓮が送るって誘いをあっさり断ったんだろう?」

社は蓮の話を聞いていないらしい。
まったく、と小さくため息をつきつつも、蓮は社にその通りだと頷いた。

「蓮が一声かけたら100人は集まっちゃうだろうに」
「そんな人数、この車になんて乗れませんし、そんな事態になんてなりません」

そうだ。キョーコに声をかけたのも、気の迷いだった筈だ。

「100人乗っても大丈夫ーってCMあったよなー」
「それは物置でしょう」

乙女のような、社のとりとめのない会話のせいで、キョーコの話題からどんどんと遠ざかっていった。


忙しくも充実した毎日を過ごす中で、すっかり蓮の中からキョーコの存在が薄れて行った。


その日、事務所に用事があるという社に付き合う形で、蓮は仕事の合間に事務所に顔を出していた。
そんな何気ない日常の中、蓮はキョーコと再会した。


「お疲れさまです」
「おつかれさ…ッ!?」

気が緩んでいた所を後ろから声をかけられて、反射的に返事をかえす蓮の視線の端にドピンクのつなぎが映りこんだ。
驚いて後ろへと首を回せば、キョーコがペコリと頭を下げていた。

その姿を見て、蓮は飛び退きそうになるのをどうにか我慢した。

「こんなところで何をしてるんだ!」
「何って掃除ですが」

それはわかるけれど!

「ここ、男性用トイレだよ!?」
「はい。お掃除の一環で見回りとトイレットペーパーの交換に伺いました」

まさか見知ったうら若い女性に男子トイレで声をかけられるとは。
蓮の心臓はまるで100メートルを全力で走りきったようにドキドキとドラムロールのように鳴り響き、まるで幽霊でも見たかのように、冷や汗が背中をツーッと伝っていく。

さっき前を歩いていた男子社員がトイレに入ろうと扉を開けた瞬間、ビクリと肩を揺らして回れ右をした理由を、蓮は理解した。
不思議に思いつつも蓮がトイレに入った時、ちょうどキョーコは個室に入ったところだったから人影が無かったのだ。そして個室の方からカサカサと音が聞こえたのは、先客が居たわけではなくキョーコがペーパー交換をしていた音だったのだ。

「どうぞ気にせずお使いください…ってもう使ってますね」
「スミマセン」
「いえ、お気になさらず」

蓮は背後の気配に、精神がゴリゴリと削られていく気がした。

まさか男性用トイレもキョーコが担当しているだなんて、蓮は思いもしなかった。
またいつか廊下辺りでばったりと出会う事があるかもしれない程度には思っていたが、まさか再開がこんなシチュエーションになろうとは。

急いでベルトを締めたいのに、気持ちが焦ってカチャカチャと音が鳴るばかりで上手くいかない。
こんなにも慌てた事など、人生でそうなかった筈だと蓮は一層焦った。

何とかキョーコの正面に立てる状態になった頃、キョーコもペーパー交換が終了したらしく、入り口に掛けられていれたボードに見回り時間を記入していた。

「いつも1人で見回ってるの?」
「そうですね。1人で行うみたいです」

今日から担当になったので、まだあまり要領よく掃除できないとキョーコは眉を下げて言った。

「危険じゃないか」

ちょっとの危険じゃない筈だ。もしも不埒な輩が個室の掃除中に入って来たらどうするつもりなのだ。
蓮は険しい表情でキョーコを見つめるが、そんな蓮の心情などキョーコは全く理解できないが、ピンとくるものがあったらしい。

「アルカリ洗剤と酸性洗剤は混ぜてませんよ。流石に慣れてなくたって、それくらい分かってます」
「そうじゃなくて!」

したり顔で頷くキョーコに蓮は焦った。
一体何に怒っているのか。全然分からないと不思議そうにキョーコは首を傾げた。

「あ、ご利用後はちゃんと水流してくださいね」
「はい」

じゃなくて!

「…本当にもう、色々と心配だよ」

脱力しながら流水ボタンを押す蓮に、キョーコはああ、と声を上げた。
蓮が何を心配しているのか、ようやくキョーコにもわかったらしい。

「大丈夫です!麻里子さんたちにNGが出たような事は致しません」
「あの人何したの?」

蓮の脳裏に、気合いだと蓮の背中をばしばしと遠慮なく叩く麻里子の朗らかな笑顔が浮かんだ。
そんな彼女が一体何をしたと言うのだろうか。

「主任さんにジロジロ見ないように。視線は足元!と何度も念押しされました」
「麻里子さん…」

…真理子さん、見たのか。しかもジロジロと。
それは抗議されても仕方ない。寧ろ抗議した人に同情する。

蓮はがくりと項垂れた。

「でも麻里子さんは減るもんじゃないのにケチ臭いって口を尖らせてました」

ケチ臭いなんて麻里子さん、何て事を言うんだ。

「でも、クレームを入れた人に同情しちゃいます」
「はは…。そう」
「顔をジロジロと見られて嫌だったんでしょうね」
「多分、いや絶対違うよ!」

蓮は光の速度でツッコミを入れていた。

「でもほら、トイレでほっと緩んだ顔をじっと見られたら嫌じゃないですか。何も芸能人じゃなくたって、見られて嬉しいものじゃないですよね。敦賀さんだってお嫌でしょう?」

腕を組んでしたり顔でうんうんと頷くキョーコに、蓮はこれ以上なく脱力し、頭を抱えた。

この子は全然、これっぽっちも分かってない。
そんな麻里子さんがじっくりと見たであろうモノなど1ミリも浮かばないような子なんだ。初心過ぎて何も分かっていないんだ。

だから逆にコッチが恥ずかしいんだ!

「よし。西側の巡回で最後だわ」
「え。まだ男性トイレを廻るの?」



続く。



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