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   そうだ、旅に出よう。 後編   


ようやく完結。
レイノが出てきた話の後編です。



次は…滝に打たれるのね…。


座禅修行の次は、滝行の体験レポートがキョーコと奏江を待っていた。
水量はそれほどないが、10メートルは上からザーッと水が落ちてくる滝を前に、奏江は嫌そうな表情を浮かべていた。

「やりたくないわね」
「えーっ!滝行なんてやったことないし。楽しそうじゃない?」

キョーコはわくわく顔で奏江を見つめる。
奏江は残念なモノを見る目つきでキョーコを一瞥し、フーッとため息をついた。

「本当にあんたは能天気ね。絶対に変な顔がVTRに残るのよ!そして忘れた頃になって
『トップ女優が昔はこんな仕事を』ってバラエティ番組とかで使われちゃうのよ!!」
「さすがモー子さん…将来を見据えていらっしゃる…」

「じゃ、準備できたからはじめるぞーっ」


無情なプロデューサーの声に奏江は恨めしい気持ちで一杯になった。




滝に打たれた時間はほんの僅かな時間だった。
顔面を硬直させてキョーコと奏江は滝から上がった。




「…なんか精神統一できた気がします」
「そうね、なんか無心になれたっていうか…ちょっと感動ものでした」

何とかカメラの前で感想を告げる2人を、どこから現れたのか、レイノが見つめていた。



「…そそられるな」
「何言ってるの?」

キョーコは不審げにレイノを見上げる。
レイノが見つめるキョーコの姿は…
白装束は濡れて体の線にぴったりと張り付いて、衣装として渡されたピンクのビキニが透けていた。


…これを映したくてリポートさせたって訳ね…

プロデューサーの考えに思い当って奏江は無我の境地から一気に般若の心を取り戻した。

「寒いだろう…ほら、温めてやる」
「っ!!結構ですっ!!」

両手を広げてキョーコを抱きしめようとするレイノ。
美坊主の妖しい笑みにプロデューサーが小躍りしているのに反し、小動物のように後ずさるキョーコをどうしようかと思案していると・・・



「うわーーーーっ!蓮なにするんだーーーーーっ!!」


バシャン


振り返ると、滝から少し離れた川辺で蓮と社の二人が川に飛び込んでいた。
カメラも何事かと蓮たちを追う。


川から上がる蓮と社。

「なにするんだよぉ~。びしょ濡れになったじゃないか!」
「ははっすみません。はしゃぎすぎましたね」


濡れた髪をかき上げる蓮と、ネクタイを緩めようとする社。
その姿は悩ましげな、水も滴るイイ男で… その破壊力満点な二人の姿にカメラは釘づけとなる。

--- 蓮の姿を捉えたレイノは、いつの間にか消えていた。 ---

「あわわわわっ!!敦賀さん!何やってるんですかっ!」

驚いたキョーコが、タオルを掴んで蓮たちの元に駆け寄る。


「大切なお体なのに…風邪を引いちゃいます! …はいっ!屈んでください!」

キョーコは蓮の髪を拭こうと、自分の頭上でタオルを広げる。

「…自分で拭けるから大丈夫だよ?」
「いえ!拭かせていただきます!!さ、遠慮なさらず!」


…頭を拭いてもらうために屈むと…目線がちょうど胸のあたりになるんだけど…

一瞬無表情で固まった後、蓮は川に飛び込む前に脱いでいた、河原においていたジャケットを無表情でキョーコに着せた。
「…その前に、最上さんも風邪をひいてしまうから、せめてコレ、着ていて?」
「すみません。お借りします」
「うん。…じゃ、お願いします」

神々しい笑顔で蓮は答え、頭をキョーコに差し出した。
ワシワシと蓮の髪を拭くキョーコと、それを撮影するスタッフたちを尻目に、奏江は社にタオルを手渡した。


「ねぇ、社さん。あの人は私たちの仕事をぶっ壊しに来たの?」
「あはは…旅番組として成立するといいね…」
奏江の冷たい視線に社は笑うしかなかった。



***



「はいっ!オッケーです!」
「「お疲れ様でした!!」」


精進料理のリポートは、闖入者もなくキョーコと奏江2人だけで何とか終わり、残りの撮影は、明朝、宿を出発するシーンの撮影のみとなった。
スタッフたちは、今まで撮影に使っていたこの部屋で、打ち上げを行うのだという。
未成年のキョーコと奏江は宴会を固辞して、部屋へと向かった。


「ねぇ、モー子さん、まだ時間早いし、温泉にもう1回入らない?」
「もういい…。疲れたし寝たいわ」
「つまんなーいっ」

キョーコが文句を言いながら部屋に戻ろうとすると、奏江のスマホが鳴った。

「はい。」
「…分かりました。じゃあキョーコだけ玄関に向かわせるので拾うよう伝えてください。」


「何?なんかまだ撮影し忘れたカットとかあったの?」
「社さん。外が涼しいから、散歩に行かないか?ってお誘いだったから、あんただけ行くって伝えておいたわ」
「えーっ?モー子さんも行こうよぉ~」
「行かないって行ってるでしょっ!ウザい子とはもう口きかないわよ?」
「うっ… じゃあ行ってくる…」
「…気を付けて」


奏江に見送られてキョーコが玄関先に付くと、そこには蓮が1人、キョーコを待っていた。

「お待たせしました!!」
「最上さん、お仕事お疲れ様」

極上の笑顔で蓮はキョーコを迎えた。

「…あれ?社さんはまだですか?」
「なんか急に疲れが出たって言い出して…。2人で散歩に行って来いって。2人じゃ不満かな?」
「めめ滅相もございません!」
「じゃ、行こうか」

うぅー。急に恥ずかしくなってきちゃった…。


出かけようとする2人の前に、キャリーケースを手に持ったレイノが現れた。

「!ビーグル!!こんなところで何やってるのよっ」

キョーコは身を固くしてレイノを威嚇する。

「最上さん。大丈夫だから…」

キョーコを落ち着かせようと、蓮はキョーコの頭を撫で、優しく語りかけた。
そしてそのまま目線をレイノに向ける。


「お前たちには関係ない。人を待ってるだけだ」


…ライオンに噛み殺されるのはゴメンだ…


レイノはフッとため息をつき、両手を上げて降参の意思を蓮に告げた。


「最上さん、行こう」
「…ハイ…」

二度とキョーコに近づくなと、殺気と凍て付く鋭い目線をレイノに投げつけ、蓮はキョーコ肩を抱いて立ち去った。




「レイノ、迎えに来たぞ?」
「…遅い。」
「あはは。ムクれるなよ。これでも高速をブッ飛ばしてきたんだぞ?よく親父さん、結界解いたな?」

ミロクは笑いながらレイノに頼まれたものを手渡した。
レイノは父親の住職が張った結界によって、外に出られない状態だった。
それが急に、もう東京に戻っていいと言い出したのだった。

「ライオンが来たから…それを客寄せパンダに使うから、もう十分だとか言い出した」


--- 敦賀蓮が座禅を組んだ寺、敦賀蓮が戯れた河原がある寺 ---


十分な宣伝効果があると住職は踏んだのだ。

「ふーん?よく分からんが、とりあえずバンドの顔であるヴォーカルが戻ってきてくれて良かったよ…」



カパッ。



「…数か月の我慢だ。明日、ちゃんとしたヤツを発注するから… ブブッ 結構似合うぞ?」

レイノはムッとしつつも、アフロのウィッグを被り東京へと向かった。



***



「「お世話になりましたー!」」
「またいつでもいらっしゃい」
「はい!本当に綺麗な場所で、心の洗濯ができました!」

キョーコはニコニコと住職と会話をする。

「そうだ!昨日の夜、散歩がてら河原に行ったんです!そうしたら、蛍がたっくさん飛んでて…とても幻想的で綺麗でした」

蓮と散歩に行った先…昨日滝行のロケを行ったあたりの河原で、月明かり中、蛍が舞い踊る幻想的な光景を、時間を忘れてキョーコは蓮と2人で見入った。

いつしか蓮はキョーコの手を握り締めていた。


キョーコはその光景を思い出して頬を染め、ウットリと目を細めた。


「蛍、ですか?」

住職は急に顔を顰め、思案顔になった。



「あの河原には蛍はいませんよ?居るとすれば… この世に未練を残した者の魂か… ナムナム」

住職は急に数珠を持ち、手を合わせ経文を唱え始めた。



「うえぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」


「すっごいいっぱい居たのに!?すっごい光って綺麗だったのに!!」
「…あんた動揺しすぎ。体震えすぎ。 …今日1人で寝られるの?」



「無理無理無理無理絶対無理!モー子さん、今日泊めて?手を繋いで寝て?ね、お願い!!」
「ムリね。用事があるのよ」
「うえーーーーーーーん!モー子さん酷いよぉーっ!恐いよーっ!どうしたらいいのぉーーーーーっ」


えぐえぐとキョーコは泣き始める。
そこに見慣れたポルシェがキョーコと奏江の目に飛び込んできた。


「あれ?最上さん、どうしたの?」

蓮は驚きつつも、キョーコに優しく語りかけた。


「うえーーーんっ!ちゅるがしゃーーーーん!!」


ふーっ。もう面倒だから敦賀さんに全て押し付けてしまおう。

「敦賀さん、このまま東京に帰りますよね?今日は仕事無いですよね?この子のこと好きですよね?
私の初リポート仕事をぶち壊したのも計算ずくですよね?社さん、車降りてください。
キョーコ、あんたの新幹線チケット、社さんに渡して!渡したら敦賀さんの車にの乗って!」

「モー子さん?」
「良いからさっさと言われたとおりにするーっ!!!!」
「ふゎい!!」


訳の分からないままキョーコは言われたとおり、社に東京行きの新幹線チケットを渡し、泣きながら蓮の車の助手席に乗った。
「じゃ、敦賀さん。昨日あなたがキョーコを肝試しに誘った罰です。今日はキョーコと一緒に寝てやってください。
た・だ・し!
これは罰です!今日キョーコに手を出したら、二度と手を出せないようにして差し上げますからね?」

奏江は蓮をグッと睨みつける。

「琴南さんは怖いなぁ。クスッ。今日は紳士でいるよ。でも…明日は分からないよ?」
「…明日以降は任せます。じゃ、キョーコの事よろしくお願いしますね?」
「ご心配なく」


奏江はプイっとそっぽを向いた。


「モーゴざーん!!がえっだら電話じょうだいねーーーっ!!!」
「嫌よ。敦賀さんに全部聞いてもらいなさい」
「薄情者~~~~っ!」

「蓮お前、こうなる事まで計算して、昨日キョーコちゃんを河原に誘ったのか。凄いなぁ」
「何のことですか?じゃ、そろそろ行きますね? 最上さん、シートベルトした?」
「ひっく。…らいじょうぶでしゅ」

蓮はキョーコの泣き顔にとびっきりの笑顔を見せ、アクセルを踏んだ。


そんな様子を撮影カメラは捉え続ける。



「…この映像、事務所はどうするのかしら?」
「うーん。旅番組として成立するところだけカットして使うか…社長の耳に入ったら、自称・愛の伝道師だけにノーカットで放送しちゃうかもね!」



恋は人を大ばか者にするってことがよーくわかったわ…
やっぱり私は女優業一本で…演技の事だけ考えて生きていこう。


奏江は遠くに走り去るポルシェを見つめながら強く誓った。





おしまい。




知り合いが滝行を経験してました。
本気でもう1度やりたいと言ってたので、いいものみたいですよ?



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