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   はぐくむ   


ちょっと長いか?と思いましたが、切るには短いので、このままずるりと投稿しちゃいます。
あれれ?酔っぱらって投稿した時は長く見えたのに、寝て起きて見たら長くない。
酔っ払って投稿しちゃいけないってことを実証しました。



「うっく…ぅっ… ひっくっ」

蓮がラブミー部の部室のドアを開くと、キョーコが肩を震わせてボロボロと泣いていた。


「最上さんどうしたの!?何があったの?」

蓮は驚いてキョーコの元に駆け寄った。

「ふぇっ…づるがざん… なんでもございまぜん」
「や、絶対に何かあったでしょ?!」
「う~~~~~~~~~~~~~~っ」

苦しそうに目をギュッと瞑って涙を耐えようとする姿を見て、堪らず蓮はキョーコを抱きしめた。

「最上さん、大丈夫だから。俺が居るから。泣かないで?ね?」
「うっく… ふぇ… 敦賀さん~~っ」

キョーコは蓮の背中に手を回して、シャツをギュッと掴んだ。
その締め付けは、キョーコに縋られているようで、蓮の心をぎゅっと捩じ上げる。

「大丈夫…。大丈夫だから…」

肩を震わせて泣くキョーコを蓮は落ち着かせようと必死だった。

キョーコの背中をさすり、頭を撫で、背中をトントンとたたき…


「敦賀さん…慰めてくださるのはうれしいですが、それ全部赤ちゃんをあやす時と同じです…」


…軽口が叩ける程度には落ち着いたのか?


「…やっぱり私が子供っぽいから… ふぇっ うぅっ ヒック」


ダメだ、悪化した…


今度こそどうしていいか分からず、蓮はキョーコを両腕で力強くギュっと抱きしめた。

「そんなつもりなんかないよ。ただ…最上さんを安心させたく「子ども扱いしないでくださいっ」」


…大人の女性として扱ったら、君はもっと泣く癖に…


自分の腕の中で泣き続ける愛しい存在をどうしていいか分からず、蓮は途方に暮れた。


「ねぇ最上さん、じゃあ教えて?どうしたら泣き止んでくれるの?」
「…分かりません…ぅっく」

その返しは想定外だ。

「じゃあ何があったの?俺だけに教えてよ」

そう、俺だけには何でも教えてよ。


悲しくて泣いてるなら、俺が寄り添うから。
苦しくて泣いてるなら、俺がその苦しみを取り除くから。
悔しくて泣いてるなら、俺も一緒に泣くから。


そしてこうやって精一杯の愛情で抱き締めるから…

君は次の一歩を踏み出せるよう、俺の腕の中で休めばいい。

踏み出すことを躊躇うなら、そこから抜け出すヒントを俺があげる。

いつでも君が掴める位置で俺は両手を広げて待っているから、自分から腕を延ばして、俺の手を選んで?



***



「監督、最上さん…京子を苛めすぎですよ」
「おう蓮。…目がツララのように凍て付いてるぞ」
「…俺の可愛い後輩なんです。甘やかせとは言いませんが、あれは無いんじゃないですか?」

蓮は自身の主演映画の関係者との初顔合わせの後、メガホンを取る新開監督を捕まえた。

キョーコはこの映画で蓮の恋人の友人役での出演が内定していた。
それを、制作発表の直前に降ろされたのだ。
納得出来ないキョーコは新開の元を訪れて、下ろされた理由を聞き出した。

京子にオファーされた役は、親友の恋人…蓮に恋をし、略奪を試みる女性だった。


「降ろした理由、聞きましたよ。何ですか、実戦不足って…そもそもオファーなんかしなければいいのに」
「はは。実戦は実戦だよ。こればっかりは根性じゃどうにもならないだろ?ベースに基づかない演技力でねじ伏せるだけの、つまらない画なんか撮りたくないし」

新開は面白そうに蓮を見つめる


___ DARK MOONで愛を表現できなかった己の無様な姿 ___


確かに演技力だけではでどうにもならなかった。
主人公…美月に最上さんを重ねて、ようやく役の気持ちを掴んだんだ…


「まぁ…そうですね」

溜息まじりに蓮は答えた。
それでも、キョーコが泣いていた姿を思い出すと、それだけで胸がギリリと締め付けられる。


『敦賀さんと…共演したかったんです…』


蓮はせり上がる感情を抑えようと、グッと拳に力を入れる。


「…お前、意外に分かりやすい奴だったんだな…」

まじまじと蓮を見ていた新開が驚いたように呟いた。
蓮の瞳が一瞬揺れる。

「で?教えてやったのか?恋しい相手が弱っているところを付け込んででも手に入れたいって気持ち」

新開は興味津々と蓮をじっと見つめる。

「そんな人の悪い笑いを浮かべて見られても…何もしてませんよ?」
「え?なんで?」

なんでって…
自分でも美味しいシチュエーションだとは思ったけれど


あの子に触れる事が叶うときは…ただの男として彼女に触れたい。
仕事も演技も忘れて、ただ、彼女だけを求めて、求められたい。


「…男の純情ってやつです」
「ぶははっ!!いいね!オトコノ純情~あはははっウケるっ …くっ…腹痛ぇっ!!くくくっ」
「笑わないでください」

蓮は新開からようやく目をそらしてフーッとため息をついた。
そんな蓮に笑いがおさまった新開が、真剣な顔で語りはじめた。

「なあ、蓮、あの子を大事に育てたいって思ってる奴は俺だけじゃないぞ?」
「え?」
「彼女のCMを撮ったことがある黒崎って奴もな、彼女が羽化するのを待ってる」

蓮は驚き、目を瞠る。

「彼女は勘がいい。役が憑く。天賦の才も持ってる。…でも何より足りないのが経験だ…そこをどう育ててやるか…
結構楽しいと思うんだけどな」
「そうですね…3年後には…監督の納得がいく映像が撮れる事を期待していてください」
「3年計画か~!お前、結構気が長いんだなぁ」


3年で気が長いなんて冗談じゃない。一生をかけてですよ。



「そうだなぁ~。じゃあ3年後、京子主演で一本映画を撮るか~」
「いいですね。文句ない画が撮れるはずですよ」
「んー、相手役どうするかなー。オーディションでもやるかなぁ」

蓮を見上げてニヤニヤ笑う新開。

「…いいでしょう。オーディションでもカメラテストでも何でも受けますよ?
但し、京子に最高の演技をさせたいなら、俺を使うべきでしょう?」


不敵に笑う蓮。


「そうかなぁー。クー・ヒズリって手もあるんだよなぁ~」


ニヤリと新開が笑い、クーの名前に蓮の顔色が変わる。


何故かクーは京子にベタ惚れらしく、彼女が本物の演技者になった時にはぜひオファーしてほしいと、
日本の名だたる監督たちに連絡済みらしいと新開が面白そうに言う。


「構いません。クーが相手だろうが、負けませんよ?あんなオヤジに俺が育む京子を取られるなんて、冗談じゃないです」
「あははっ!!ハリウッドスターを捕まえてオヤジかよ!」



父さん、勝負ですよ?



蓮は目に強い光を宿し、今度こそ楽しそうに笑った。




Fin.



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