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   月蝕(4カ月記念)   


本日、皆既月食だそうです。
3カ月記念が中秋の名月だったので、4カ月記念は皆既月食です。



蓮は仕事を終えて、自宅マンションに珍しく早めに戻った。

リビングに入ったところで窓からの明かりで長い影を作り、窓辺に張り付くキョーコを見つけた。
微笑むキョーコの顔は月明かりで陰影を刻み、蓮には儚げに見えた。

「お帰りなさい。あっ、電気つけないでください」
「え?…ただいま。電気をつけるなって、どうして?」

キョーコは蓮から窓の外に目を移す。

「皆既月食を見ようと思って部屋の明かりを全部消していたんです。…でも街の光が邪魔で真っ暗にはなりませんね」

蓮は残念そうに呟くキョーコの隣に並ぶ。

見上げれば月は既にほとんど暗闇に侵されて、細い三日月になっていた。


____ 月食   月が地球の影にすっぽりと収まる瞬間 _____


「なんか不吉だね。月を暗闇が食べるなんて」

月の光が、地球の影せいで輝かなくなってしまう


俺がキョーコをこの腕に閉じ込めようとするから…キョーコの輝きを俺の闇が奪ってしまう
キョーコは俺を置いていくべきなんじゃないか…


蓮はキョーコを後ろから抱きすくめる。


「キョーコ…暗闇が月を食べてしまう前に逃げて…」


逃げてと言いながらなぜ俺はキョーコを抱き締める?
逃げ出さないように、消えないように、俺の檻に捕らえようとする?
どうしてこれほどまでにキョーコを渇望するんだ…

蓮は焦燥に駆られてキョーコの肩に頭を落とす。


少しの間、キョーコは蓮の様子に戸惑い、何も言えず、何もできなかった。

…ほんと仕様のない人なんだなぁ。
私の心をねじ上げるように見えない鎖でつないでおきながら、まだ足りないなんて。
こんなにも敦賀さんを好きなの、どうしたら伝わるんだろう…


キョーコは自分をがんじがらめにして震える腕に、フワリと手を置く。


「違いますよ?あたたかい、柔らかい光を永遠に注いでくれる月に憧れて切望して、闇が月に触れるんですよ?」


キョーコに救いを求めるように、怯えたような表情で蓮は見あげるようにユックリと顔を上げると、
キョーコは蓮の頬に触れるか触れないか、微かなキスをした。

「ほら、ね?」

優しく、慈愛に満ちた笑顔でキョーコは蓮を見つめた。

キョーコは振り向き、蓮の胸にすっぽりと収まり、両手を背中に回す。


「ずっとこうやって触っていさせて下さい…」


キョーコの想いが柔らかい光となって、ゆっくりと蓮の心の闇に侵蝕してゆく…



蓮は愛しい存在を抱き締め続けた。



Fin.



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