HOME   »  スポンサー広告  »  スポンサーサイト  »  長編   »  [完]王子は誰だ  »  王子は誰だ 18

   スポンサーサイト   


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

   王子は誰だ 18   


本物王子がイジケ中なので、偽物王子話をお届けです。
引越し前から続けてるお話なので、旧居にも同じものをアップしてます。



蓮はキョーコの提案で、フェリックスが滞在するホテルの駐車場に車を停め、ホテル内のラウンジに入った。

モダンなインテリア、天上の大きなシャンデリアにキョーコは興味深げにあたりを見回す。

「キョーコちゃん、こっちの窓際の席でいい?庭の緑が綺麗に見えるよ」
「都会の真ん中なのにこんなに緑があるなんて!!あっ、噴水まである!!」

初めて入ったラウンジの豪華さと、お世話係という仕事を遂行することに専念し、今までホテルの庭など
見る余裕のなかったキョーコにとって、そこには別世界が広がっていた。


「ほら、キョーコちゃん、アフタヌーンティセットとかあるよ?お姫様っぽくない?」
「凄い…お皿が3段!!素敵~」

鮮やかなマカロンや繊細なデコレーションが施されたトリュフチョコレート、イチゴが乗ったプチケーキなど、
セーブルの皿の上に品よく並ぶ宝石のようなスィーツにキョーコは目を輝かせる。
そんなキョーコを、蓮は優しい目で見つめ続ける。

「じゃあ、これを2人で食べよう?」
「うん!!」

満面の笑顔でキョーコは蓮に答える。

「あっそうだ!社さんに敦賀さんが見つかったって連絡しなきゃ」

忘れてた~、とキョーコはゴソゴソとバッグから携帯を取り出したところでピキッと固まった。

「ねぇ、コーン、社さん…敦賀さんのマネージャーさんに何て説明すればいい?」

キョーコは小首を傾げて蓮を見つめる。

可愛いな…。俺がコーンだって信じきってる。
でもこんな簡単に騙されるなんて…きっと他の男の口車にも簡単に騙されてしまうよ。
…危険だ。危険極まりない。

「ねぇコーン、聞いてる?」
「あっ、うん聞いてるよ。そうだな…『敦賀さん』は見つかって、スマホの充電が切れていたことにしてくれる?」
「うん…不自然な言い訳じゃないわね。分かったわ」

キョーコはコクコクと納得したように頷き、社に電話をかけた。

「…あっ、社さん。お疲れ様です。最上です。あのですね、敦賀さんが見つかりました。えっとですね…」

準備した口実を告げようとすると、蓮はキョーコに手を伸ばした。

「キョーコちゃん、社さんと話をさせて?」
「…はい。今敦賀さんに代わりますね?」

「コーン、大丈夫なの?」
「うん。任せて」

心配そうに蓮を見つめるキョーコに、蓮は『大丈夫だから』と微笑んで社と会話を始める。

「すみません、社さん。充電が切れていました。…で、急用ですか? 
…分かりました。明日1時間早くなったんですね? はい。了解です。じゃ。」

「キョーコちゃん、ありがとう。」
「コーン、勝手に敦賀さんの真似をして…ちゃんと敦賀さんに伝わるの?」
「うん。大丈夫だよ。敦賀さんの頭に刻み込んどくから」

大丈夫も何も本人だしね。

蓮は苦笑する。

「マリアちゃんにも敦賀さんが見つかったことと、もう少ししたら戻ることをメールしとかなきゃ」
「ふぅん…」

戻らなければと言い、ポチポチとメールを打つキョーコの手元を、蓮は眉根を寄せて不機嫌そうに見つめる。

「そう言えば…私ね、今フェリックスさんっていう人間の王子様のお世話係を、ほんの少しの間してるの」
「ふぅん…」

蓮の眉間の皺が深くなる。

「コーンにはお世話係、居ないの?」
「えっ」

突然の振りに蓮は驚き、不機嫌が一気に吹き飛ぶ。

「だってコーン、妖精界の王子様じゃない」

屈託のない笑顔でキョーコは蓮を見つめる。

「…大人だからね。自分の事は自分でやるよ。…でも仕事には優秀な側近がついてるよ?…少しお節介だけど、
兄のように面倒を見てくれるよ」


**


「…ハックチュンっ!」
「ちょっと社さん、風邪?移さないでよ?」
「ん…違うと思うけど、久しぶりのオフだから気が緩んだのかな…ねぇ、もっとあっためて…」
「モーッ!調子に乗らないで!!」


**


「そうなんだぁ。人間界の方が甘やかされてるのねぇ」
「クスッ。そうなのかな?」
「私ね、フェリックスさん…人間の王子様にね、色々と聞いてる途中だったのよ?」
「へぇ。何を聞いてたの?」


本当は全く聞きたくないよ。
子供のころ聞かされた『ショーちゃん』話並み…いや、それ以上に不愉快な気持ちになるな。


「あのね、コーンは妖精界の王子様でしょ?だからおんなじ王子様なら少しはコーンと同じで…
コーンもそうやって過ごしてるのかなーって思いを馳せられるでしょ?だからね、フェリックスさんに
聞こうとしたんだけどね…話してる途中で体調を崩しちゃったの。私が話をせがんだりしたから…」

しゅんと項垂れるキョーコに、蓮はピシリと固まった。

俺のことを…そうなんだ…


「あれ?キョーコちゃん、話したことなかったっけ?妖精界はね、毎日月明かりの下でパーティーをしているよ?」
「えぇ!?毎日がパーティなの?」

キョーコが現実からメルヘンの世界に一気に旅立つ。

「そうだよ?歌って踊るだけのパーティだけどね。みんな歌や踊りが大好きなんだ」
「ふふっ…コーンも踊るのね!」
「そうだね。踊るよ?…キョーコちゃん、今ここで俺と踊る?」

蓮はキョーコに手を差し出す。

「なななっ何を言い出すの、コーン!こんな公共の場でワルツを踊るなんてハタ迷惑よ!」

もっもう!コーンったら!!人間界の常識を知らないからって、こんなところで踊るなんて!
…しかも敦賀さんと踊るなんて、私の心臓がもたないわ!

あははっワルツなんだ!やっぱり毎日が舞踏会って言った方が良かったかな?

真っ赤になったキョーコを見つめて蓮はおかしそうに笑う。

「残念だなぁ。じゃ、ダンスは今度2人きりの時にね?」
「うっ… あっそうそう!あとね、フェリックスさんに乗馬はするの?って聞いたのよ?王子様と言えば白馬でしょ?」

ダンスは体よく断られた?…その上バカ王子の話に戻ったぞ?
白馬を上回るには…

「うーん… 俺の愛馬は真っ白いペガサスだよ。とっても速いし、それに高く飛べるんだ。今度キョーコちゃんを
乗せてあげたいな?」
「ペガサス!!いいな~。乗ってみたいなぁ。あっペガサスとお話はできるの?」

爛々と輝くキョーコの顔を楽しげに、蕩ける笑顔で蓮は見つめた。

やっぱりメルヘンの世界にいる最上さんは昔の『キョーコちゃん』のままだな…。
この嘘がばれる時、最上さんは怒るかな?それとも泣くかな…


蓮の胸にチクリと小さな痛みが走った。


それでもいつか最上さんに俺の全部を、コーンが妖精じゃなくて、ただの人間で…
『久遠・ヒズリ』で『敦賀 蓮』だって事を受け入れて欲しいと思ってる俺は少し傲慢なのかな…




つづく。




Comment
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する

menu    Profile    menu

ナー

Author : ナー

menu    Recent    menu

menu    Counter    menu


キリ番踏まれた方、コメントなどでご連絡ください。
リクエストなぞあれば浮かれてお聞きしちゃいます。

    Since 2014.12.07     

menu    Category    menu

menu    禁無断転載    menu

menu     Link     menu

menu    ブロとも    menu



形而上 愛の唄
美海様が作ってくれた拙宅バナー



menu   WonderfulWorld   menu
Mimi's Worlds  by 美海様 mimi's worlds /STAR星DREAM夢の卵 HEARTハートLOVE愛の卵 From Mr.D * Dear my dare Dears. Love Dreams Eggs ©From far away beyond beautiful sea.

Hop Step Skip Jump !!
  by ゆみーのん様 Hop Step Skip Jump !!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。